7/21【新日本】オーカーンが接戦制して初日も無言貫く ファンタズモは3連敗
『ヤマダインフラテクノス Presents G1 CLIMAX 33』新潟・アオーレ長岡(2023年7月21日)
Bブロック公式戦 ○グレート-O-カーンvsエル・ファンタズモ×
オーカーンが接戦を制して今G1初日。それでもノーコメントを貫いた。一方、敗れたファンタズモは痛恨の3連敗となった。
ここまで勝ち星に恵まれていないオーカーンとファンタズモがG1公式戦で激突。各ブロックから2人が決勝トーナメントに勝ち上がるとはいえ、3敗はブロック突破に黄色信号が灯るだけに、シングル初対決はサバイバルマッチとなった。
のっけからファンタズモは丸め込みを連発して揺さぶりをかける。場外戦もファンタズモペース。鉄柵を踏み台にしてのスイング式DDTでオーカーンを突き刺した。
オーカーンはスワントーンボムを自爆させると、首と肩に施されているファンタズモのテーピング引っぺがして反撃へ。首に集中攻撃を浴びせる。ファンタズモは乳首攻撃で挽回を狙ったものの、恍惚の表情を浮かべたオーカーンは逆に乳首に噛みついた。
ファンタズモはトペスイシーダ、鉄柵超えのスワンダイブ式プランチャと捨て身の空中殺法連発で逆転。スワンダイブ式スワントーンボム、ライオンサルトとさらに空中戦でたたみかけ、場内を沸かした。オーカーンは大外刈りやコブラクラッチ、コーナーマットへのフェイスバスターなどで再び首に集中砲火を浴びせたものの、ファンタズモはカウンターのサドンデスをぶち込む。
ファンタズモはバズソーキックも繰り出すが、オーカーンはFGO(アイアンクロー式スリーパースープレックス)で譲らず。ラリアット合戦でも競り勝つと、場外に逃れたファンタズモにエプロンからドロップキックを発射した。さらに、場外でTTDを敢行すると、リングに戻ってエリミネーター式バックブリーカーで追い討ち。一気に大空スバル式羊殺しで絞め上げてギブアップを奪った。
怒とうのたたみかけでオーカーンがサバイバル戦を制し、3戦目にして初日。土俵際で踏みとどまった。開幕直前の記者会見では何も語らず、初戦、2戦目に敗れてもノーコメントだったオーカーンだが、3戦目でようやく初日を迎えても無言を貫き控え室へ。次戦は7・25後楽園大会。ウィル・オスプレイとのUNITED EMPIRE同門対決に臨む。一方、3連敗となったファンタズモはタンガ・ロアと対戦する。
※オーカーンはノーコメント
【ファンタズモの話】「(パイプイスを押しながら、それを支えにしてヒザ立ちで引き揚げてくる。イスにヒジをつき、手で顔を覆ったまま、涙を流しているような声が漏れてくる。タオルを頭からかぶって顔を隠したまま、しばらくののち絞り出すような声で)簡単にはいかないな……みんな知ってることだ。わかってるつもりなんだよ。『G1 CLIMAX』がどれほど過酷かを。ブロックのことをいろいろ気にして、誰も彼もがなんらかのケガをする。俺も痛めてるし、首や足やヒザを痛めている者もいる。いいんだ。それは予測してたことだ。予想外だったのは、こんなに心に来るってことだ。1人きりで友人もなく。父からの電話を受け取って、『パパ(祖父)が他界したよ』と言われた。オカダとのメインイベントの1時間前だ。心にフタをして仕事をこなした。それが終わるとアドレナリンを切らして、小さな小さな日本のホテルに戻る。そして、おばあちゃんに電話するには遅すぎる時間だと気づく。70年間連れ添った人を亡くしたところなのに……。娘を1年前に亡くしているのに。そして自分がどれほど皆を愛しているかを伝えられないまま1人きりで眠れぬ夜を過ごす。朝になって、おばあちゃんに電話して、パパ(祖父)の最後がどんなだったかを聞く。それはいいんだ。でもそのあとに自分の様子を伝えなきゃいけないんだ。3試合黒星で0点でブロック最下位なんて言えないよ。『勝ってパパ(祖父) のために闘ってる』って言うさ。1人でジムに行き、音楽を聴いてすべて順調というフリをする。でも違う。それがこの仕事だ。パンデミックで人が亡くなる中ここにいて、パパ(祖父)も亡くなった。皆がどれだけのことを知っているかはわからないけど。でも俺の名前を見てくれ。それが、ここのところ俺と皆とをつなげる唯一の愛だ。それが俺にとっては大きな意味を持つ。皆知らないだろうけど、ちっぽけな3文字が俺を支えてる。悲しまないと自分に言い聞かせるんだ。パパ(祖父) は91歳だった。1カ月前にもう危ないと言われていたんだ。だから俺は病院にいて試合ができなかった。でも彼は闘い続けた。1週間や2週間じゃない。3週間でもない。4週間闘った。(死に至る)その時を延ばした。その闘志が俺にとって必要なものだ。それこそ本物の闘志だ。助けが必要だ。勝つために。試合に勝つために……。『G1 CLIMAX』に勝って、おばあちゃんに『俺は大丈夫だ』って言うために……(最後まで表情を見せることなく控室へ)」