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12/2【NOAH】征矢が“師"藤波に涙の公開謝罪、そして戴冠の誓い 有明GHCへ拳王ドラゴンスリーパー葬

『NOAH THE BEST 2023』横浜武道館(2023年12月2日)
○征矢学&藤波辰爾vs新崎人生&拳王×

 1・2有明アリーナ大会でGHCヘビー級王座に初挑戦する征矢が、藤波との初タッグで王者・拳王をドラゴンスリーパー葬。初めて拳王を直接破った征矢は、かつて不義理を働いた“産みの親"に涙ながらに謝罪したうえで、悲願の戴冠を“師"に誓った。

 横浜武道館大会のメインイベントで、1・2有明アリーナ大会のGHCヘビー級王座戦に向けた豪華前哨戦が実現。拳王は人生、征矢は藤波。プロレスラーとしての“産みの親"とそれぞれ組んでのタッグマッチだった。

 一枚岩の“師弟タッグ"と言っていい拳王&人生組とは対象的に、征矢と藤波は複雑な事情を抱えていた。2007年4月に藤波率いる無我でデビューした征矢だが、そのわずか約半年後、藤波への“あいさつなし"に全日本に電撃移籍。しばらく絶縁状態となっていた。

 軋轢は時の流れが洗い流したものの、征矢は“産みの親"である藤波への感謝と、不義理への悔恨の念を胸に抱き続けてきたという。

 試合では予告どおりに拳王が藤波相手に大胆にもドラゴンスープレックスを狙ったが、即座に征矢が飛び込んで阻止。ならばと拳王は藤波に見せつけるように征矢を痛めつけていった。

 それでも藤波は、コーナーから「立ってこい!征矢!」「戻れ征矢!」と、まるで失われた師弟の時間を取り戻すかのように“弟子"征矢にゲキを飛ばし続ける。応えた征矢も自力で脱出に成功し、藤波が人生にドラゴンスクリューを見舞って挽回。さらには藤波の呼びかけで“師弟"のダブルタックルも繰り出した。

 負けじと人生も征矢を曼荼羅捻りで止め、続く拳王も同じく曼荼羅捻りを発射。それでも征矢は、蹴暴を真っ向からキャッチし、PFSも避けるや、ドラゴンスープレックスも師匠の目前で踏ん張ってみせる。逆に縦割り式のドラゴンスクリューで巻き返すと、藤波との連係を試みた。

 ところが拳王は誤爆を誘うと逆に人生と阿吽の呼吸で“ダブル"拝み渡りへ。場内がどっと沸くなか、続けざまに拳王スペシャルでギブアップを迫ったが征矢も切り抜けてみせる。逆に人生の手刀を拳王に誤爆させるや「藤波さん! いきましょう!」とダブルのドラゴンスクリューを繰り出し、弾道からのジャンピングDDTでフィニッシュ…かと思われた。

 だが征矢はあえてドラゴンスリーパーへ。拳王に一度は逃れられたものの、スリーパーで絡め取って再びドラゴンスリーパーに持ち込む。藤波がコブラツイストで人生を封じるなか、リング中央で絞めに絞め上げ、しばし耐えた拳王も激しくタップアウトしてギブアップを意思表示した。

 これまでの前哨戦では、拳王が2度に渡って征矢から直接ギブアップ勝ち。劣勢が続いていた征矢だが、“恩人"藤波のドラゴン殺法で王者を初めて直接破ってみせた。

 藤波も成長を示した征矢の手を掲げて花道を下がりかけたが、征矢は神妙な表情で呼び止める。「待ってください、藤波さん。今日俺とタッグを組んでいただき、誠にありがとうございました」と感謝したうえで、「それと改めて15年前……本当にご迷惑をおかけしました!」と涙ながらに謝罪した。顔をくしゃくしゃにした征矢は、続けて「1・2有明、必ず勝って僕のチャンピオン姿、見てください!」と誓った。

 藤波は「いいか。今言った言葉忘れるなよ。お客さんみんな聞いてるんだぞ。俺への謝罪なんかいらないんだよ、そんなものは。いいか、俺はお前の成長だけ見られればいいんだ。次にお前がベルトを巻くの、俺は見てるからな。いけよ!」と気合のビンタで闘魂注入。その姿はまぎれもなく“師弟"そのものだった。

 止まらない涙を拭いながら藤波とともに花道を下がった征矢。過去にケジメをつけ、王者・拳王を初めて撃破し、ドラゴン殺法でのフィニッシュまで会得。1・2有明アリーナでのGHCヘビー初挑戦へ、あまりにも実り多き横浜の夜となった。

【試合後の征矢&藤波】

▼征矢「藤波さん、今日はありがとうございました。(藤波と握手すると)今日は本当に藤波さんとタッグを組んでいただけて光栄に思ってます。藤波さんはプロレス界の僕の産みの親だと思ってますんで。必ず藤波さんにちゃんとベルトを巻いた姿、もう一度見届けてほしいと思っています(頭を下げる)」

▼藤波「お前には似合わないよ。そういう頭下げるのは。お前の成長も俺は見てたから。一時のそういう若いあれは俺らに関係ないし、俺もそういうことは一切捨ててるし。お前の成長をずっと俺は楽しみにしてるから。今日はリング上でスタートに俺がちょっとお前を殴ったけど、そういうこと抜きにして、それで俺もスッキリしたし。あとはお前の自分自身のことだな。力を自分で今度は試す時期だから。お前の腰にしっかりとベルトを巻け」

▼征矢「はい。わかりました。本当にありがとうございました(再び握手する)」

▼藤波「よく頑張った」

▼征矢「ありがとうございました」

――征矢選手がGHCを獲るためのポイントは?

▼藤波「獲るでしょう。僕もそういう風に願っているし。それは自分自身の心の中にあるものを、その気持ちを返すつもりで、ベルトをしっかり巻けと。そうい思いです」

――最後の張り手はそういう思いを込めた?

▼藤波「そうです、そうです。まあ、そんなちっぽけなことでね。若気の至りで。俺も今までいろんな部分で、猪木さんとはいろんな形で、俺を何度か張りたかったことはあるでしょうし。こういうプロレス界の中の長い歴史で。でも、俺は征矢学が今これだけ体も大きくなったし、成長は俺もどっかでその部分は楽しみにしてるし。最初は俺も躊躇しましたよ。でも、俺自身がまだ現役である以上は、そんなちっぽけなことで彼の成長を止めちゃいかんし。これからの征矢学を見てください。俺も楽しみしてます」

――征矢選手のドラゴンスリーパーをコーナーで押さえながら見てどうだった?

▼藤波「それはもうガッチリ決まれば。俺も見てましたけど、俺よりもパワーも当然あるだろうし、1個また昔俺とやっていた時のことを思い出したのか、一本背負いの変型のドラゴンスクリューみたいな感じでね。それを一本背負いで投げたけど、彼が今日はよくとっさにそんなもんが出たなっていう感じなんだけど。彼もそういう部分で意識しているんでしょう。とにかく次の選手権試合を楽しみにしてください」


【試合後の拳王&人生】

▼拳王「クソー。せっかく久々に師匠でもある新崎さんと組めたのに。新崎さん、すいませんでした今日は」

▼人生「いや。今日は最後の最後、ちょっとね自分の勢いが…拳王にダメージ与えてしまって申し訳なかった」

▼拳王「いやあ、この借りは、この悔しさは1・2GHCヘビー級選手権で返してやりますよ。今日はどうもありがとうございました」

▼人生「はい」

――タイトルマッチへ向けてエールがあれば?

▼人生「そうですね。今日、ちょっと征矢選手、新しい技で面食らったところもあるかもしれませんけど、リング上の動きを見てる限りでは、拳王優位っていうのは揺るがないですね。自信をもってタイトルマッチに挑めばいいと思います」

▼拳王「自信をもって! 1・2有明アリーナ迎えるだけだ」

――征矢選手の印象が変わったところは?

▼拳王「たぶん、たぶんだけど、最後はドラゴンスリーパー? そうだよな? 新たに一つ技が増えたってとこだよな。そしてその技を15年前、16年前に不義理をして裏切った師匠の技を授かった。これは大きいかもしれないね」

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