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5/30【全日本】世界ジュニア戦へ両者がシンパシー HAYATO「勝敗以外でも勝ちたい」、阿部「彼の色の世界ジュニアを奪い去る」

 6・9岐阜大会で世界ジュニアヘビー級選手権試合が決まった王者・ライジングHAYATO、挑戦者・阿部史典が30日、東京・湯島の全日本事務所で会見した。

 5・29後楽園大会における8人タッグマッチで阿部が王者・HAYATOにギブアップ勝利を収め、世界ジュニア挑戦を表明。6・9岐阜大会でのタイトルマッチが決まった。

 阿部はこれが3度目の世界ジュニア挑戦。「デビュー当時から全日本プロレスに参戦させてもらって、ずっと世界ジュニアを見て憧れて、そこはすごくモチベーションにやってきた」という阿部にとってジュニアの至宝ベルト獲りは悲願といえる。

 一方で今回は「ライジングHAYATO選手の持っている世界ジュニアを獲りたいというような気持ちが強い」という。HAYATOから他のレスラーにないものを感じているからだ。「青木(篤志)さんがいたりとか、そういう強大な歴史、思い出とか、そういう強大なものと一人で戦っているようなイメージ」を抱き、「勝手に陰ながら全然違うんですけど、ちょっと自分とリンクさせている」とシンパシーを感じてもいる。

 「このベルトっていうのは凄くいろんなものが詰まってるベルトだと思うので、そういうものも含めて凄く魅力的なうえに、今、ライジングHAYATOが作っているのは、私から見たら世界ジュニアなのか何なのかわからないですけど、そういうスペシャルなものは、もっと今まで以上に魅力的に見える」とHAYATOを評した阿部は「そういう心の対話というか、いろんな彼の考えてることだったりとか、自分が考えてることだったりのぶつけ合いをして、そこは俺の方が強いぞと。最後はしっかりと彼の色の世界ジュニアを自分が奪い去って、彼に未練を与えたい」と宣言。「いい試合をするのは正直レスラーなんで当たり前ですし、全日本プロレスに上がってる人間っていうのはいい試合するのなんか正直普通のことなので。何かこう忘れられないような作品というか、いい曲を書きたい」と内容も伴っての世界ジュニア初戴冠を描いた。

 HAYATOは3度目の防衛戦となる。「阿部ちゃんも言ったように俺も根っこは同じだと思ってた」というHAYATOは「他のプロレスラーはプロレス農園という農園の中でみんなそれぞれできるだけプロレスという果実を実らせようと必死こいてもがいている中、俺と阿部史典だけはやってることは盆栽なんだよね.盆栽は別に外が雨でも嵐でも関係ない。ただ、自分の思い描く作品を作って世に届ける」と自分と阿部を盆栽に例えた。阿部の存在を知った時、「どこの団体、どのレスラーが、どんないい試合をして、どんな凄い試合をして、誰に勝とうが負けようが、俺だけは、このライジングHAYATOっていう最高の盆栽をずっと磨き続けてやるって安心してたんだよ。で、ふと横を見ると阿部史典も必死に自分の阿部史典という盆栽だけを見て、枝を切ったり眺めたりしてる。俺はそれがとてつもなく怖かった」と脅威を感じたという。それが今回、全日ジュニアの至宝ベルトをかけて対決することになり、HAYATOは「俺は一人のレスラーとして阿部史典に勝敗でも、勝敗以外でも勝ちたい」とすべてを凌駕してのV3を描いた。

【会見の模様】

▼阿部「阿部史典です。昨日、後楽園でライジングHAYATO選手からガッチリとギブアップを奪って挑戦する機会を得たんですけど。その時、ちょっとスカしてみたんですけど、言ってくれなかったらどうしようみたいな気持ちもあって。でもちゃんと言ってくれたので、ホッとしながらカッコつけたというのが本当のところです。今回、僕3回目の挑戦なんですけど、今までは世界ジュニアを獲りたかった。世界ジュニアが前に来てたんですけど、今回はライジングHAYATO選手の持っている世界ジュニアを獲りたいというような気持ちが強いです。HAYATO選手は見た目もやってることも全くもって違うんですけど、根底というか、僕は勝手にバトラーツ精神みたいなものを彼から強く感じていて。例えばバトラーツが言っていたことっていうのは、明日なき戦いを繰り広げて世間を振り向かせるっていう。間違ってるとみんなから思われてるんですけど、相手の向こう側にいる世間を殴り続けるって石川雄規が言ってたんですけど。たとえばHAYATO選手にとって、その世間が全日本プロレスで、一人で青木さんがいたりとか、そういう強大な歴史、思い出とか、そういう強大なものと一人で戦っているようなイメージなんですけど。それを見てると、ちょっと勝手に陰ながら全然違うんですけど、ちょっと自分とリンクさせているような。自分が強くて面白いものを追い求めて、それをこっち側に迎合せず、提供するような、黙ってこれ食っとけよというようなスタイルというか考えっていうのは凄く刹那的なものを感じていて。ベルトをたとえば落としたり、1年後ひょこっとどっかいなくなってしまいそうな雰囲気がちょっとあったりとか。いつまでもずっとプロレスというものとか、何なら強烈的な感じで言うと人間界にいないような、いつまでもいないような、そういうふうなはかなさをまとっている。自分より下の世代にそういうのを出すような雰囲気の選手を見たことがなかったので、結構、自分は凄く彼を特別なふうに見ています。スタイルとか試合がかみ合うとか、そういうのは正直分からないですし、勝つか負けるかの世界なのであれなんですけど。そういう心の対話というか、いろんな彼の考えてることだったりとか、自分は自分が考えてることだったりのぶつけ合いをして、そこは俺の方が強いぞと。最後はしっかりと彼の色の世界ジュニアを自分が奪い去って、彼に未練を与えたいなと思っています」

▼HAYATO「昨日、阿部ちゃんからタップアウトさせられて、いろんな感情が頭をよぎったんだよね。悔しい、痛い、苦しい。そして、ちょっとだけうれしい。阿部史典と俺は、阿部ちゃんも言ったように俺も根っこは同じだと思ってたから、これでやっと俺の持ってる世界ジュニアに阿部ちゃんが挑戦してきてくれるんだろうなって思ったんだけど、帰っていったから。あの時は怒りを隠したけど、物凄く心の底の底から怒りが湧いてきたね。でも戻ってきてくれたから、それは許してあげるよ。根っこは同じって言ったんだけど、これは俺がずっと前から思ってたことで、俺がいつも通り、どっかの酒場でベロベロに酔っ払った俺が言ってたらしいんだよね。誰かが俺に『一番怖いプロレスラーは誰ですか?』って聞いてきて、俺はそれに対して阿部史典って真っ先に答えたって。なんでかっていうと、他のプロレスラーはプロレス農園という農園の中でみんなそれぞれできるだけプロレスという果実を実らせようと必死こいてもがいている中、俺と阿部史典だけはやってることは盆栽なんだよね.盆栽は別に外が雨でも嵐でも関係ない。ただ、自分の思い描く作品を作って世に届ける。俺はずっとこれは俺だけのものだと思ってたんだよね。別にどこの団体、どのレスラーが、どんないい試合をして、どんな凄い試合をして、誰に勝とうが負けようが、俺だけは、このライジングHAYATOっていう最高の盆栽をずっと磨き続けてやるって安心してたんだよ。で、ふと横を見ると阿部史典も必死に自分の阿部史典という盆栽だけを見て、枝を切ったり眺めたりしてる。俺はそれがとてつもなく怖かったんだよね。今回、俺の持ってるこの世界ジュニア、大事な恋人をかけるっていう形式だけど、俺は一人のレスラーとして阿部史典に勝敗でも、勝敗以外でも勝ちたい」

――3度目の挑戦になるが、世界ジュニアを獲りたい思いはかなり高まっている?

▼阿部「それはもう、デビュー当時から全日本プロレスに参戦させてもらって、ずっと世界ジュニアを見て憧れて、そこはすごくモチベーションにやってきたので。やっぱりこのベルトっていうのは凄くいろんなものが詰まってるベルトだと思うので、そういうものも含めて凄く魅力的なうえに、今、ライジングHAYATOが作っているのは、私から見たら世界ジュニアなのか何なのかわからないですけど、そういうスペシャルなものは、もっと今まで以上に魅力的に見えるものなので、このベルトを獲った瞬間のライジングHAYATOの顔面も見てみたいし、それが強いですかね。とにかくいい試合をするのは正直レスラーなんで当たり前ですし、全日本プロレスに上がってる人間っていうのは、いい試合するのなんか正直普通のことなので。何かこう忘れられないような作品というか、いい曲を書きたいなっていうようなイメージなのと。曲で思い出したんですけど、HAYATO選手と組んだりすることが何回もあるんですけど、試合前に一人でとんでもないオーラを出して、イヤホンつけて音楽を聴いてるんですよ。ぽいなって思うんですけど、自分もこんな顔なんですけど、にっちもさっちもいかなくなったりとか、ああ、やばいなと思ったときは自分も音楽を聴いたりするんです。恥ずかしいんですけど。この顔で言うのと、この顔で言うのは違うんですけど。その時に『何聴くの?』って聞いたんですよ。その時、こういう曲ですって。僕もいろんなジャンル好きなんですけど、彼も長渕(剛)好きだったり、僕もミッシェル好きなんですけど、ブルーハーツ好きだったり共通点多いんですけど、僕カッコつけてミッシェル・ガン・エレファントのリボルバージャンキーズって言ったんですよ、カッコつけたんですけど、実はドロップでした。すいません。でも今回の試合はそのドロップみたいな試合をしたいなって思ってます。これはHAYATO選手だけに伝わればいいなと思います。私の中ではドロップです」

――HAYATO選手から同じ「盆栽」と表現されたが?

▼阿部「理解できてしまうのが、結構、難解な言葉だと思うですけど、自分はすんなり理解できてしまうので、考えとか捉え方は近いものがあるんだなって、勝手にニヤニヤしながら聞いてました。プロレスっていう枠にとらわれずに、いろんなものを覆して、型にはまらない、固定概念を気にしないというか。いろんな人から、それに対して怒られたりとか、これ違うだろって言われたりするのを、僕なんかは『はい、すいません』って言いつつ、全然すいませんと思ってないっていう。そういうのを繰り返して今なので。そういう表現は腑に落ちるものがあったので、さすが私が気になってるチャンピオンだなとニヤニヤしながら聞いちゃいました」

――自分と似たものを感じる阿部選手となら、自分のやりたい世界ジュニア戦ができる?

▼HAYATO「そうだね。主義、思想が近くても、逆に近いからこそ、お互いの意見のぶつけ合い、お互いのやりたいことのぶつけ合い、否定し合いになると思うから。その結果、俺のやりたい世界ジュニア戦になるのかならないのかはやってみないとわからないよね」

――阿部選手の印象に残っている試合は?

▼HAYATO「印象に残ってる試合というか、もう全部だよね。俺はレスラーを見れば、その人がどういう思想で、どういう考えで、どういうことをやりたいのかっていうのが他のレスラーよりわかると思うんだよ。その中でやっぱり阿部史典っていうのは他のレスラーとは全く違うし。だからこの試合っていうよりも常にだね。阿部史典という人間の色。この瞬間もずっと他とは違うというものを出し続けてる、表現し続けてるから、印象に残ってる試合はないね」

▼阿部「さすがです。スカす感じとか。何かもうワクワクしちゃいますね」

――ベルトを獲ってやりたいことは?

▼阿部「これはもうHAYATO選手が言ってることと同じで、僕はジュニアとかヘビーって全日本プロレスにしかないものだと思ってるんですよ。今プロレスって試合前に体重測定があるわけでもないですから。でも、全日本プロレスだけは誰がどう見たって、これはヘビーだろと思うものが全プロレス団体の中で守られてるものだと思うので。これは間違いなくジュニアとヘビーの世界は違うものだと思います。そのジュニアっていうものを自分に明け渡した時に、これはメチャクチャにしてやりたいと思っちゃう気持ちはメチャクチャありますし、そうですね、メチャクチャにしたいですね」

――HAYATO選手を引き出して勝ちたい? それとも何もさせずに勝ちたい?

▼阿部「昔は何もさせないでとか、メチャクチャ、オラ!っていうのに物凄く価値を見出してたんですけど、ここ何年かはとにかくボロボロにもなりたいし、相手もボロボロにしたいし。何なら鼻水たらしたり、ヨダレもたらしたいし。そういう状況に相手が自分を追い込んでくれた時にちょっと違うフェーズにいける自分がいるので。相手のヨダレもたらさせたいし、相手にヨダレたらさせてよと思ったりするので。ここは根底は変わらないんですけど、高め合いをしつつ、どっかでスカして勝負を決めに行く。そのスカすポイントが勝負なのかなと思いますね。勝負事なのでお互い高め合いをしつつ、どっかでスカして試合を決めにいくポイントの見極めがこの試合では一番大切なのかなと思ってるんですけど、その場になってみないとちょっとわからないですね。楽しみにしてます」

――HAYATO選手はどういう戦いをしたい?

▼HAYATO「俺も似てるけど、ちょっと違うのは俺はプロレスで削られるのが好きだから、その瞬間にしか生きてるって実感も喜びもない。でも相手を削らないと相手は俺のこと削ってくれないんだよね。だからどこまで付き合ってくれるのか、どこまで一緒にいけるのか凄く楽しみ」

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