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10/10【WRESTLE-1】“シアタープロレス"で同期の蝶野&船木と共演 30周年迎えたAKIRAが魂の叫び「また生まれ変わる」(写真あり)

 『AKIRA30周年記念生前葬 地獄から来たチャンピオン』が東京・新宿FACEで10日、開催され、300人(満員)の観衆が集まった。AKIRAは同期の蝶野正洋、船木誠勝らとともに“シアタープロレス"を熱演。最後に「また生まれ変わります」と宣言して新たなスタートを切った。

 俳優としても活躍するAKIRAがデビュー30周年を記念して行われた『AKIRA30周年記念生前葬 地獄から来たチャンピオン』はプロレスと舞台演劇が融合した実験的な“シアタープロレス"だ。

 モチーフとなったのは、1978年に公開されたアメリカのファンタジー映画『天国から来たチャンピオン』。ウォーレン・ベイティ氏が監督・脚本・主演を務め、アカデミー賞で9部門にノミネートし、美術監督・装置賞を受賞した日本でも人気のある名作だ。

 この映画は、天使の不手際で天国に召されてしまったプロフットボーラーの主人公が、火葬されてしまった自分の肉体の代わりに、別の人間として生き返りながら、新たな人生を模索していくストーリー。それまでの記憶を失い、全くの別人として生きていくことになるエンディングが印象的で、AKIRAも好きな映画だという。

 AKIRAが交通事故で亡くなったという衝撃的な発表から物語の幕は開ける。死後の世界にやってきたAKIRAは、俳優の清水宏さん扮する水先案内人の死神に導かれて、“地獄の門番"ヒロ斉藤との一騎打ちや、"えんま大王"蝶野正洋から命じられたNOSAWA論外&朱里とのノーDQマッチ(パートナーはリン・バイロン)を突破していく。

 実は死神の手違いで、まだ死んでいなかったことが発覚するが、帰るべき肉体は火葬されてしまい、現世には戻れない。そこで別の肉体を手に入れるために、木藤裕次とのシングルマッチ中に命を落としたリッキー・フジに転生。現世に舞い戻った。

 だが、行動をともにしていた死神の言動が“えんま大王"蝶野の逆鱗に触れたと知ると、彼を助けるべく命を懸けて立ち上がる。強さのみを追求する“サタン"船木誠勝と共同戦線を張り、蝶野が召喚した“魔獣"スターバックと3WAYマッチで対戦した。

 2人の強さに圧倒されるばかりのAKIRAは、何としても勝ちを得ようと、普段の華麗なファイトをかなぐり捨てて、“強さ"のみを前面に出してスターバックを追い込んでいく。が、ここで蝶野が「地獄のストロングスタイルを思い出せ。お前の本当の姿を」とゲキを飛ばすと、AKIRAは考え方を改める。

 「例え生きていようが死んでいようが、オレの戦い方をするしかない」と、30年間かけて築いてきた自分のプロレスを取り戻したAKIRAは、ありのままの自分として2人に戦いを挑む。愚直にムササビプレスを狙ってチャンスを掴んだものの、結末は残酷だった。船木のハイブリッドブラスター、スターバックのパイルドライバーを食らいごう沈。一度は得たはずの現世での体まで失ってしまった。

 しかし、この戦いを見つめていた死神はAKIRAを称える。「もしあそこで暴走していたら、あんたが一番大事にしてきたものを失ってしまったかもしれない。勝ったのはえんま様だけじゃない。あんたも勝ったって言えるんじゃないですか」。そして、地獄での記憶を全て失うことになったAKIRAは、それでも戦い続けるべく新たに生まれ変わる――。

 激しい試合、そして生と死の狭間を舞台にした演劇で、「勝負に負けたとしても、何かを得ることができる」というプロレスの魅力を存分に描いてみせたAKIRAは、最後に「また生まれ変わります。これからがまた俺の人生のスタートだ」と絶叫。蝶野、船木ら出演者に加えて、花束を持って駆けつけた中西学もリングに上がり、AKIRAの30周年を祝福した。

 「負けてもそれでも新しいことに出会える。そこを表現したかったです」とAKIRA。結果はついてこなくとも、何かを乗り越えるたびに生まれ変わったような気分になるレスラー特有の感覚を描きたかったのだという。その言葉通り、AKIRAは何度でも生まれ変わって、次なる節目を目指し、自分のプロレスを続けていく。

【AKIRAの話】「リハーサルとか重ねられるものじゃないんで。プロレスラーの出番を稽古するわけにはいかないし、それなりの人を持ってこなきゃいけないと思って。今日は非常に有意義なトライでしたね。今までのシアタープロレスとは違ったノリをみせたかったんですよ。その点では面白いものができたと思います。俺の何となくの思いにみんなが付き合ってくれてスゲェ嬉しいです。俺は本当に幸せものだなと思いました。(4試合はきつかった?)思ったよりも疲れたな。ペース配分も考えたんだけど、リングの上に立っているだけも結構消耗するなって。最後は体を動かすのに必死でしたね。でも、そこまでやらないと誰も何とも思ってくれないだろうから。俺のできることはそういうことだから、頑張りました。(30周年を機に生まれ変わると言っていたが?)これにトライするまでに、おっかないなとか、何かの機会でダメになっちゃうかなってことはあったりしたんだよね。でも、それを乗り越えた自分がいると、今までの自分から生まれ変わったんだなって。そんなことを俺たちレスラーが日々感じているんです。負けても、それでも新しいことに出会える。そこを表現したかったです」

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