8/22【WRESTLE-1】「日本屈指のスピードを誇るアンディの上をいく!」 9・2横浜文体クルーザー王座戦へ吉岡インタビュー
3・20後楽園大会でMAZADAを破り、悲願だったW-1クルーザーディビジョン王座を獲得した吉岡世起。しかし、吉岡政権はわずか1カ月で終焉を迎え、クルーザー王座はライバルであり、NEW ERAのチームメイトであるアンディ・ウーの手に移ってしまった。
天国から地獄へ。吉岡はそれ以後、NEW ERAのリーダーである稲葉大樹にも反発するなど、失意の日々を送っていた。アンディへのリベンジを狙いながらも、そのアンディがすぐにベルトをMAZADA相手に落としてしまったことも、吉岡の迷走に拍車をかけた。
そんな吉岡に転機が訪れたのはレッスルゲート時代の先輩である進祐哉との再会だった。5・28長野大会で久々にタッグを組んだ吉岡に、進は「組んでいてもおもしろくない」と厳しい言葉を投げかけた。これに奮起した吉岡は、稲葉とのギクシャクした関係にもケリをつけ、再び目標であるクルーザー王座に向かって進み始めた。
7・16大阪大会でアンディがMAZADAを破ってクルーザー王座奪還に成功。ついに吉岡の望んでいたシチュエーションができあがった。クルーザー王座奪還はライバル・アンディから果たしたい……。その思いの結晶が、9.2横浜文体で実現するアンディとのクルーザー王座戦となる。
吉岡は決戦に備え、今日もW-1道場で汗を流す。「日本屈指のスピードとスタミナを誇る」と認めるアンディ攻略のために筋トレで背筋を鍛え、1分間走を5本敢行。アンディのスピードとスタミナに対抗するのが目的だ。さらにテコンドーで培ってきた自慢のキックに磨きをかける。「蹴りに関してなら負ける気がしない」。その言葉を証明するべく、黙々とサンドバッグを蹴り続ける吉岡。かつて「W-1の未来」と呼ばれた男が玉のように流した汗は、「W-1の今」を創るためにある。
【吉岡インタビュー】
──9・2横浜文体でのアンディ戦が迫ってきておりますが、現在試合に向けて強化している部分はあるんですか?
▼吉岡「一番はスピードとスタミナですね。アンディさんは中国拳法がバックボーンにあって、僕はテコンドー。同じ蹴りのある競技がバックボーンですけど、蹴りに関しては負ける気がしないですね。ただ、向こうはルチャができて、スピードとスタミナに関しては凄いんですよ。日本のプロレス界でもアンディさんは屈指のスピードとスタミナの持ち主だと思うんですよね。でも僕もスピードには自信があるし、そこでは負けたくないんですよね」
──アンディ選手のスピードってそんなに凄いんですか?
▼吉岡「アンディさんはかなり動きが速いですよ。そういう部分を試合で出したり出さなかったりするんですけど、練習でロープワークをやったり、さっきやったみたいな1分間走をやるとかなりのスピードを見せつけますよね」
──なるほど。ということは、この試合はクルーザー王座に相応しいスピードスター同士の対戦ということですね。そして、この対戦は4月にタイトルマッチでやっていて、当時は吉岡選手がチャンピオン、アンディ選手が挑戦者という図式でした。ところが、その試合で立場が入れ替わってしまって、吉岡選手はしばらくその敗戦を引きずっていましたけど、リベンジの機会がようやく回ってきました。どのような心境でしょうか?
▼吉岡「一時期はモヤモヤしてましたけど、今はスッキリしています。僕はアンディ・ウーにベルトを獲られたわけじゃないですか? でも、アンディさんも一発でMAZADAさんにベルトを落としてしまった。じゃあ、僕は誰からベルトを獲り返したらいいんだっていうところで、目標が一瞬ブレちゃったんですよね。やっぱり、アンディ・ウーから獲り返さなしと意味がないんですよ」
──リベンジすべき相手がベルトを落としていると目標にしづらいですよね。
▼吉岡「しかも、僕はMAZADAさんからベルトを獲ってますからね。MAZADAさんがアンディさんから獲って、そこでまた僕がMAZADAさんから獲ってもなんか違うじゃないですか?(笑) だから、ずっともやもやしているところがあったんですけど、アンディさんが獲り返して、自分の気持がガチっとハマりましたよね。これでようやく決着をつけられるというか、一番いい形になったかもしれないですね」
──しかも、W-1年間最大のイベントである横浜文化体育館大会ですから、シチュエーションとしても最高ですよね。
▼吉岡「そうですね。NEW ERAで新しい世代でW-1をやっていこうという中で、新しい世代同士でタイトルマッチができるというのは、本当にいいタイミングだったと思いますね。それこそ4月にやったアンディさんとのタイトルマッチは上の人たちからの評価も良かったんで、僕たちにしかできない世界を垣間見せられたかなと思っているんですよ。横浜文体では若い世代同士のタイトルマッチは他にもありますけど、僕らがベストバウトを取るつもりでいます」
──そこは先の公開記者会見でもアンディさんもおっしゃっていましたよね。
▼吉岡「思いは一緒ですよね。別に敵意とか憎悪かはないし、あるのは対抗心だけなんで」
──純粋に力を競い合いたい相手という感じですか?
▼吉岡「そうですね。お互いがお互いを認め合ったうえで、向こうの上をいきたいっていう気持ちなんで。この相手ならベストバウトを狙えるという気持ちですね」
──前回の敗戦からグレードアップした部分はありますか?
▼吉岡「一番は気持ちの問題かもしれないですね。やっぱりデビューした頃に『W-1の未来』とか言われて、期待を背負っていた時もあったんですけど、ケガでチャンスをふいにしてしまったところがあって。そんな時期にアンディさんが若手で初めてクルーザーを戴冠したり、イケメンが台頭してきたりして、自分の心が乱れたことがあったんですよ。プレッシャーに押し潰されそうになったし、ちょっと向上心が欠けていたかなと。だから、ベルトを獲って、すぐに落としてなんてことをしてたんですけど、進さんに活を入れられたりして、メンタルの部分では今が一番強いかもしれないです」
──では、現在は精神的に充実していると。
▼吉岡「そうですね。『W-1の未来は俺が創る』なんてことを言っていてもどこかに不安はあったんですけど、今は上の選手も抜けちゃいましたし、自分がやらないといけないという気持ちと自分ならできるという自信もあります。そういった意味では精神面で一番成長しましたね」
──だから、吉岡選手はもう未来を創るというよりは、現在進行系のW-1を背負う一人にならなきゃいけないという状況ですよね。
▼吉岡「もう未来ではないですね。ベルトを獲った時にも言いましたけど、『W-1の今を創ります』と。さらに先の未来を創るという考えは変わらないですけどね」
──わかりました。では、改めて横浜文体でアンディさんとどういう試合をしたいのか教えてください。
▼吉岡「僕とアンディさんにしかできない試合をしたいですね。ありふれた試合じゃなくて、日本でもトップレベルのハイスピードの攻防を繰り広げたうえで、アンディ・ウーの上をいく。そんな試合がしたいですね」