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6/24【DDT】樋口との真っ向勝負制して入江がKO-D王座V2 HARASHIMAの挑戦受諾も体制批判展開

☆『What are you doing 2017』東京・後楽園ホール(2018年6月24日)
KO-D無差別級選手権試合=○入江茂弘vs樋口和貞×

 樋口との真っ向勝負を制して入江がKO-D無差別級王座V2。「いつでもどこでも挑戦権」行使を宣言したHARASHIMAの挑戦を7・22後楽園で受けることになった。入江は「いつどこ権」のあり方や男色ディーノプロデューサーの言動など現体制を徹底批判。観客もそれを後押しした。

 入江は5・20後楽園ではかつての盟友・石井を返り討ちにしてKO-D無差別級王座初防衛を果たした。そんな入江に挑むのが5・29新木場でのバトルロイヤルを制して、挑戦権を獲得した樋口だ。2人は昨年までKO-Dタッグ王者として組んでいた元パートナー同士。樋口は現在、関本大介とのコンビでタッグ王座を保持しており、4度目の無差別級王座挑戦で、二冠獲りのチャンスを迎えた。2人のこれまでの対戦成績は入江の2勝1敗となっている。

 のっけから試合は激しい肉弾戦に。ショルダータックルで正面衝突すると、その後も真っ向勝負。入江のエルボー、樋口の逆水平が何度も交錯し、互角の攻防が続いた。

 先に流れを掴んだのは樋口。コーナーに上がった入江をラリアットで場外に叩き落とすと、リングサイドでも逆水平を突き刺す。入江はリングに押し入れられたのを利用してトペの構えに入るが、樋口はこれもフロントハイキックで撃墜。倒れる入江にテーブルを無造作に投げつけると、リングサイドにそのまま設置。パワーボムの構えに。

 入江はリバースしてエプロンサイドに樋口の腰を激突させると、倒れる樋口の上にパイプイスを投げつけ、リング上から決死のセントーンアトミコを投下する。なりふり構わぬ攻撃に、後楽園ホールは「入江」コールに包まれた。

 樋口も破天荒さでは負けない。入江をエプロンに誘い出すと、場外のテーブルめがけて断崖式アバランシュホールドを繰り出し、「樋口」コールを浴びた。リングに戻ると、強烈なチョークスラムを見舞って雄叫び。ダイビングボディプレスも完璧に決まる。

 ラリアットの相打ちを合図に、2人は再び真っ向勝負で激情をぶつけ合う。樋口が袈裟斬りチョップと逆水平を交互に連打すれば、入江もエルボーパットと側頭部へのバックエルボーを交互に発射。壮絶な乱打戦となった。どちらも倒れないとみるや、両者は髪を鷲づかみにして頭突き合戦を展開。入江がノーモーションのカチ上げ式頭突きを見舞えば、樋口は相撲流のぶちかましで対抗する。そして、強烈なラリアット2連発に繋げて樋口が押し切った。

 再びぶちかましを繰り出して入江を吹き飛ばすと、ドクターボムがさく裂。必殺の轟天の構えに。入江は何とか背後に不時着して切り抜けると、2人は追尾しての串刺しラリアットでなおも真っ向勝負を継続した。

 入江は2発目の串刺し攻撃をキャノンボールに切り換えて決定機を生み出す。樋口も秘策の回転足折り固めで3カウントを迫るが、しのいだ入江はラリアットの相打ちからビーストボンバーを一閃。旋回式のダイビングセントーンで追い討ちすると、フルスイングのビースト弾を再び振り抜き、熱戦に終止符を打った。

 入江がKO-D無差別級王座V2。真っ向から気持ちをぶつけ合った樋口に「ありがとう」と声をかけた。次なる防衛戦は7・22後楽園。「いつどこ権」を保持しているHARASHIMAが権利行使を表明し、両者のタイトル戦が決定した。

 以前から熱望していたHARASHIMAとの対戦。しかし、入江の表情は冴えなかった。マイクを持つや、「HARASHIMAさんほどの選手がいつでもどこでも挑戦権がないと挑戦できないんですか? この団体腐ってないですか? HARASHIMAさんほどの凄い選手なら、熱い気持ちぶつけてくれれば、タイトル挑戦できるんじゃないんですか? 僕は誰の挑戦でも受けるとずっと言い続けてますよ」と「いつどこ権」のあり方を根本から否定した。

 大会前に「いつどこ権」が移動するとタイトル戦自体が成立しなくなるが、入江は「挑戦者と王者がこのベルトを懸けて試合をするって言ってんだから、こんな飾りいらないだろ? こんなルールに縛られてるから、みんなこんな熱のない選手ばっかになるんじゃねえか!」と糾弾。「ルール、ルールうるせえんだよ! プロレスラーだろ? 気持ち見せてくれよ! SNSが大事なのかよ!」と吠えた。

 その矛先はプロデューサーのディーノに向く。「お前がプロデューサーなんだろ? お前が一番ここで偉いんだろ? お前がここでプロデューサーになって、なにが変わったか、言ってみろよ!」とまくし立てると、「何もわかってねえくせにわかったような口を利いて、プロデューサー名乗ってんじゃねえよ! 俺はお前を絶対に認めねえからな!」と体制批判。怒りに満ちた表情でリングを降りると、大会を締めることなくそのまま去っていく異常事態に。それでも観客は「入江」コールで王者の姿勢を支持した。

 バックステージでも入江は「みんなが同じじゃ意味ないでしょ? でも、それがPのやり方なんだったら、僕はあの人が気に入らないし、あの人を認めない。あの人を潰します」と断言し、ディーノとの対立姿勢を鮮明にした。王者としてベルトを守り続け、実力行使で団体のあり方を変える構えだ。

【試合後の入江】
▼入江「今日は樋口とやりあって、自分は凄く気持ちよかったし、体はボロボロだけど、これがプロレスなんだって、今は凄くプロレスを体に感じてます」

――理想とするプロレスに近づいた?

▼入江「理想とするプロレス? そんなもの、まだまだ自分の試合で表現できないですよ。もっともっといろんなものを経験して、もっといろんなプロレスを経験して。そして、もっといろんなものを見て、いろんなものを感じて、ドンドンドンドン理想に近づく。そうなりたいですね」

――試合後にはHARASHIMA選手とのタイトルマッチが決まったが?

▼入江「やっとHARASHIMAさんが出てきてくれたと。自分はHARASHIMAさんが来るのを待ってましたよ。でも、HARASHIMAさんはルールに則って、いつでもどこでも挑戦権を手に入れるまで待っていたんでしょうね。そんなもの、僕はずっといらないと言い続けてました。それに関してもそうですし、EXTREMEに関してもそうですよ。もう逃げを作るなよって話ですよ。気持ちを向けて挑戦してきて、EXTREMEを懸けて(二冠戦を)やってやるって言ってくれたっていいじゃないですか? 待ってましたよ。やっとあの人に勝てますよ」

――観客の反応をどんなふうに感じた?

▼入江「今、何かを伝えないとダメだ。ネットで伝えなきゃいけない。そんなこと、僕はプロレスがあってこそなんじゃないかと思っていて。自分はお客さんの声援で何度でも立ち上がるって気持ちも高ぶり、奮起して、お客さんの表情1つで感動して、自分たちは力をもらって。もっとプロレスを頑張ろう、もっと一生懸命立派なプロレスラーになろう、そんな気持ちを持って、僕たちはドンドンドンドン進んでいくんです。それが生きている感情なんです。今日、場外で寝ている樋口を見て、自分はやったこともない、練習したこともないアトミコを出した。あれは道頓堀プロレスの空牙選手の技です。空牙選手のあの技っていうのは、13年前ですかね、松井さんのびっくりプロレスっていう興行があって。会場に行って対戦カードを見たけど、アジアン・クーガー(空牙)という選手を知らなかったです。でも、その試合を見て、一気に僕はクーガー選手に惹かれたんです。こんな無茶な選手がいるんだって。あの倒れている樋口を見た時に、それが蘇ったんですよ。それは僕が生で見て心が動いたから、自分の体も動いたんだと思っています。自分の心に残るもの、それは生の感情なんじゃないかと。僕はそれを強く思ってます」

――試合後にはディーノプロデューサーとのやりとりもあったが、体制やシステムに関しては?

▼入江「みんながルール、ルールってそんなものにとらわれるんじゃなくて。僕は誰でも挑戦してこいって言ってます。でも、誰も出てこなかった。それはなんでかって言うと、DDTでみんな窮屈に生きているからなんじゃないですか? みんなもっと好きなように、好きなことをして生きればいいじゃないですか? みんな同じような告知文を載せ、同じタイミングでツイッターに動画を載せ…。みんなが同じじゃ意味ないでしょ? でも、それがPのやり方なんだったら、僕はあの人が気に入らないし、あの人を認めない。あの人を潰します」

【試合後の樋口】
▼樋口「まあ、正直、入江茂弘といがみ合ってたとか、そういうわけじゃなくて、自分たちの答えを…両国で別れた答えを見つけたかっただけなんで。本当にベルトも欲しかったですけど、それをリング上で答え合わせしたと。こうやって戦って、入江茂弘のほうが今回は正解なのかなという感じ。ただ、自分も負けてはいないと思います。今日は本当にあと一歩だったようなそんな気がします。確かに強かった。でもまだチャンスはある。次、KING OF DDT。次はHARASHIMAが挑戦者ですけど、そこで入江茂弘が勝ったら、両国ですよね? たぶんそのまま両国に行きますよね? だったら、俺がKING OF DDTを優勝して、もう1回やるだけです。今日も1つの糧として、自分の成長の糧として受け止めて、また明日から行きたいと思います。今日は自分が弱かった。それだけです」

――6・26新木場では、タッグ王者として遠藤&ポーリー組の挑戦を受けるが?

▼樋口「火曜日はマジ卍でタッグ選手権をやるけど、関本の兄弟には『獲ってくれよ』と言われて、いろいろメッセージをいただいたのに、本当に申し訳ないと思います。ただ、今回は本当にそれを糧にして、火曜日に繋げたいと思います」

――以前に比べて、王座に近づけた感じはした?

▼樋口「手応えはずっとあるんですよ。何なら前のKO-D戦から手応えはあるんです。ただやっぱりあと1歩、自分には何かが足りないってことなんでしょうね。それをちょっとまた自分で見つけようと思っています」

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