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12/31【RIZIN/やれんのか!】北岡が川尻とのサバイバルマッチ制す ライト級GP出場直訴で「明日からまた生きるぞ!」

 『Cygames presents RIZIN 平成最後のやれんのか!』さいたまSA大会が31日行われ、メインイベントで北岡悟と川尻達也が激突。判定2-1で接戦を制した北岡は、来年開催を予定しているライト級GP出場を直訴し、「明日からまた生きるぞ!」と絶叫した。

 『やれんのか!』は2007年の大みそかに行われた総合格闘技イベントの大会名。PRIDE活動休止後にその運営陣とK-1やHERO'Sを手かげていたFEGが大同団結して開催し、翌年のDREAM立ち上げに繋がった。『RIZIN.14』のスピンオフ大会として、日本人選手を中心にした「やれんのか!」の冠を持つ興行が11年ぶりに開催された。

 メインはともに2000年にデビューし、格闘技界を生き抜いてきた40歳・川尻と38歳・北岡のベテラン対決。11年前の『やれんのか!』にも出場した川尻は昨年10月に体重を落としてバンタム級トーナメントに挑んだものの、ガブリエル・オリベイラにKO負け。本来のライト級に戻し、1年2ヵ月ぶりの復帰戦だった。一方、北岡も今年10月に武田光司に敗れてDEEPライト級王座から転落。両者ともに生き残りを懸けた再起戦となった。

 まずは北岡が動く。1ラウンドの序盤で左ストレートをクリーンヒットさせると、倒れた川尻をがぶった状態で固め、フロントチョークを狙いつつ、これでもかとヒザ蹴りを連打した。北岡はずっとこのポジションをキープして優勢に試合を進める。

 何とか耐え抜いた川尻は、2ラウンドになると左右のパンチを散らしながら前進。ジャブを的確にヒットさせたものの、北岡は左アッパーに合わせてタックルに持ち込みテイクダウンする。そのままガードポジションで上になりながらラウンド終了を迎えた。

 あとがない川尻は3ラウンド冒頭からアグレッシブにパンチを放っていく。北岡も止まらずに打ち合いつつ、何度もタックルを狙うが、川尻はことごとく潰した。上手くガードポジションに持ち込むと、大振りのパウンドを振り下ろし、スタンド勝負に戻っても、北岡の関節狙いをもろともせずに打撃戦を展開。残り30秒となったところで、右フックで北岡をぐらつかせると、一気に畳みかけた。しかし、北岡も最後まで粘り、そのままタイムアップに。

 判定の結果、2-1で北岡に凱歌。川尻とのサバイバル戦を制した。ベテラン2人は互いの健闘を称え合う。北岡は「大みそかの朝からご来場ありがとうございます。やれたでしょうか? 『やれんのか?』という問いに…。まあ、何とも言えないですけど、でも、川尻さんと出しきり合ったんじゃないかなって思ってます。残って観てくれている人はわかってくれているというか、愛があるんじゃないかなと思います」とまず集まった観客に感謝の思いを伝えた。そして、「この試合に向けて強い自分を作ることができたのは川尻さんのおかげです。本当にありがとう。川尻さんじゃなきゃ作れなかったと思います。一応、過去最高の自分のつもりです。ありがとうございます」と川尻にも感謝の言葉を送る。

 「まあ、みんな来年、2019年、頑張って生きてください。僕も頑張っていきます。一応勝ったんで、ライト級GPに出させていただけるんじゃないかと思います。よろしくお願いします」と来年開催が予定されているライト級GP出場を直訴すると、パンクラスの創設者であり、北岡の師匠でもある船木誠勝の言葉を借りて、「それじゃあ、もう1回言っておきましょうか。明日からまた生きるぞ!」と絶叫した。

 川尻もリングに残り、「朝早くからこれだけたくさんの人がさいたまスーパーアリーナに集まってくれて、本当にありがとうございます。そういう場で、メインイベントで最高の北岡悟と戦えました。ありがとうございます。おめでとうございます」とあいさつ。「ちょっと思い通りにできませんでした。このあとも素晴らしい試合がたくさんあると思うので、ぜひ『RIZIN.14』を楽しんで、よい2018年を過ごしてください。ありがとうございました」と悔しさをにじませつつ、最後までファンに感謝の意を表していた。

【試合後の北岡】
――試合を振り返ると?

▼北岡「準備してきたことが出せた試合でしたね。運がいいというか。この2年間の試行錯誤が少し形になった、それがこの試合に向けてのことだったんですけど。2ヵ月前にDEEPの防衛戦で負けての仕切り直しとしては凄いありがたい試合だったんですけど、川尻さんとやらせてもらって。それで立ち返るというか、1周回って自分に立ち返ることができて、準備したものがうまく出せた試合でしたね。終盤追い上げられたんですけど、この2年間やってきたことで誤魔化すことができましたし。スプリットなんですけど、結構嬉しい勝利です」

――準備というのは川尻選手とやることでの特別なもの?

▼北岡「いや、準備は誰が相手でも。自分の反省というか、課題というか、それで戻るものになったんですけど。自分自身のスタイルとか、まあ、構えなんですけど。それはまあ、誰が相手でも変わらなかったんですけど、やり甲斐というか、情熱を持って作ることができたのは川尻さんが相手だったから。午前の部とは言えども、RIZINのイベントのメインイベントでやらせていただいて。この2年間、1勝4敗の選手がなんでなんだっていうふうに。戦績と人気の反比例に葛藤を抱きながらも、やり甲斐をもって準備することができて。その一端以上を出すことができたので、ちょっと嬉しいです」

――実際に対戦した川尻選手の印象は?

▼北岡「1ラウンド目で利かせてがぶることができた。4点ヒザも結構いいのが入ったと思うんですけど、やっぱり諦めないというか、しぶといというか。意識を断ち切って勝つということを僕は打撃でやったことがないので、そういう自分のスキル不足はあるかと思うんですけど、それにしてもやはりハートの強さを感じました。最後の追い上げもそうですし」

――判定での決着となったが、全て出し切れた? もっとしたいことがあった?

▼北岡「選手としてよりよくなっていきたいという向上心というのかな? チープな言葉だけど、それは全然あるので。もちろん勝てばいいと思うんですけど、フィニッシュしたいという気持ちがないわけではないので。もちろん終盤、ちょっといいパンチをもらったからこそのスプリットになってしまった部分なんで。そういったところを補っていったりとか。より強い相手…それこそGPに出るとなると、化け物みたいな選手だったり、若手でいい選手がいっぱいいるんで。本当に強い選手だらけなので。通用しないと思うので、何とか生き残れただけというのはわかっています」

――GP出場を表明したが、今後の展望は?

▼北岡「おそらくこの勝利でGPは呼んでいただけるんだと思います。まあ、できるのであれば、GPがどのタイミングでスタートするのかわからないので、それまでに1試合したいなという気持ちはあります。それをどこでするのか? RIZINなのか、DEEPなのか、パンクラスなのかわからないですけど、三択にはなると思うんですけど、関係者と話し合って決めたいと思います。それまでに1試合やりたいですね。一応数発もらって、利かされてなくはないですけど、全然ダメージはひどいものではないので。比較的すぐ練習できますし、3月、4月のうちに試合がしたいなあという思いがあります」

――左ストレートが上手く決まったが、タックルを警戒されたから打撃にいった?

▼北岡「種明かし話になるんですけど、ずっと左ストレートは練習してたんですが、構えが左ストレートを打つための構えみたいのに変わってしまってたんですよね。それを自分が得意な何でもできる構えから打つということに戻ったというか。左ストレートの質だけ考えても意味が無いので。見ればわかる話ですけど、タックルフェイント、左ミドル、右フック、それが打てる。で実際のタックルが打てるという中で、打てる左ストレートということなんですけど。川尻さんの右のローキックをカットできる立ち方ながらそれができるという。超マニアックな話ですけど、それが準備してきたことというか。凄い種明かしをしてしまいましたけど」

――試合前には喋りたくないと言っていたが、川尻選手への思いは?

▼北岡「本人にも言ったんですけど、ご縁で、このタイミングでこんな素晴らしい舞台で戦えて光栄だって本当に思ってます。好きだと言ってくれました。選手としてなんだと思うんですけど、凄いありがたいし。そう言ってくれる人と思いっきり戦えたんで。組んでくれた主催者、関係者、このカードを支持してくれたファンの人たちにも感謝の気持ちでいっぱいです。責任を持って挑んだつもりです」

――それはリング上で話した?

▼北岡「それはちょっと記憶が定かじゃないですけど、リング上ではチラッと言ったと思うんですが、裏でもドクターチェックの時に少しお話させてもらって。川尻さんからは『好きだと思っている』みたいなことを言ってくださって、凄いありがたいです。これは直に川尻さんにも言うつもりなんですけど、事前のインタビューでジムのことも褒めてくださってたみたいで。それが凄い嬉しいですね。自分のことを褒めてくれる以上に嬉しいというか。『あれだけ選手が集まってくるんだから間違いないでしょう』みたいなことを言ってくれてたんで、それは凄い嬉しいですね。ありがたいです。そういう言葉に応えられるというか、負けないように頑張ろうと思います。来年も頑張ろうって思います」

――『やれんのか!』というイベントは11年ぶりの開催だったが、メインを任されて勝利したことについては?

▼北岡「名前なんてどうでもいいですけどね、僕(笑) 名前はどうでもいいんですけど、思い入れを持って見てくれる人や、次のフェーズというか、これからも生きていくんだという思いで挑んだんですけど、長く観てる人はその名前だったり、川尻さんや僕の歴史を踏まえて楽しむことができるので、それはそれでどうぞご自由にと。好きに思い切り楽しんでくれたらよかったですってだけですよね。だからこそやり甲斐がある部分がないと言ったらウソになるので」

――何度かテイクダウンになった時に、ロープに後ろに足が出てしまう場面があったが、戸惑いは?

▼北岡「『ケージのほうがいいんじゃねえの話』をしてほしいんですか(笑) でも、逆に自分もできるわけだし、お互い様だから。リングだからこその見やすさもわかってますし、そんなに気にならなかったですね、今日は。逆に僕はロープを背負ってうまく脱力して、クリンチできましたし。場所関係なしにやるならこの場で勝て、やれという話なので。それこそ『やれんのか』ですよ。リングでやれんのか」

【試合後の川尻】
――試合を振り返ると?

▼川尻「いやあ、不甲斐ないっていうか、思い通りに戦えなかったっていうか。北岡君が強かったですね」

――北岡選手の印象は?

▼川尻「やっぱり勝ちに対する執念が強いし。それはわかっていたことだけど、その執念を上回りたいと思っていたけど」

――北岡選手は感謝の言葉を語っていて、「好きだよと言ってもらえた」と話していたが?

▼川尻「練習もたくさんしたことあるし、一緒に飯を食ったこともあるし。凄いいい男だというのも知っているし。ただ、試合前はそれじゃダメなんで、目も合わせないようにしてきたし。目があったのはリングの上だけ、試合後だけなので。本当に彼と戦えてよかったなと僕は思いますね」

――今後については?

▼川尻「どうですかね? コンディション自体は悪くなかったんですけど、勝ちに対する執念が北岡悟より僕のほうが弱かったということだと思うんで。まあ、身も心も満身創痍なので、少しゆっくりしたいなと思ってます」

――川尻選手は前回の『やれんのか!』に唯一出場していたが、今回のイベントについては?

▼川尻「『やれんのか!』というイベントに出れるということで、まず1つ戦う理由が増えて、僕自身のモチベーションも上がったし、対戦相手は北岡悟君だってことで、また1つ上がって。正直、朝早いんで、お客さんは2000〜3000人かなと思ったんですけど、思ったよりたくさんの人が朝から集まってくれて、たくさんの声援をかけてくれたんで。ファイター冥利に尽きるというか、本当に感謝だし、そういう舞台で戦えてよかったなと思います」

――ライト級での試合はどうだった?

▼川尻「コンディション自体はライト級が物凄いよかったですね。やっぱりフェザー級時代は後半の失速が僕自身気になっていたんですけど、それもないし。なんだろうな、アップの時もしっかり動けたし。やっぱりフェザー級っていうのは自分に負担がかかっていたんだなって思います」

――思い通りに戦えなかったと言っていたが、試合前はどう考えていた?

▼川尻「パンチでKOできればいいかなと考えていたんですけど、パウンドでもスタンドでも。ただ、1ラウンドにがぶられて後手になって、あれでちょっと流れが…。そこと2ラウンドでテイクダウンされたところでちょっと向こうのペースになっちゃったかなって感じでしたね」

――結果は負けてしまったが、「平成最後の大みそかが平成で一番刺激的な日だったと記憶に残るようにしたい」という言葉は実現できた?

▼川尻「どうでしょう? それを判断するのは観に来てくれたお客さんだと思うんで。ぜひお客さんに聞いてください。やりきったという気持ちはないですけど、今できることは精一杯やりました」

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