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10/14【新日本】両国感動…深々座礼で男のケジメ 鈴木が“バトルライガー"真っ向撃破

『KING OF PRO-WRESTLING』東京・両国国技館(2019年10月14日)
○鈴木みのるvs獣神サンダー・ライガー×

 鈴木が引退が決まっているライガーとの32年間に“男のケジメ"をつけた。バトルライガー仕様で現れた獣神を真っ向勝負の末に撃沈し、最後は深々と“座礼"。国技館を感動が包んだ。

 鈴木にとってライガーは“特別な存在"だった。32年前。新日本入門時には年齢の近い先輩だった。その後道は分かれたが、17年前に“再会"。総合格闘技の世界で結果が出ず引退すら考えていた鈴木の転機となったのが、2002年11月30日・パンクラス横浜文体大会でのライガー戦だった。

 当初は佐々木健介戦が決まっていたが、健介側の都合で霧散。やり場のない鈴木の心持ちを察し、代わりに名乗りを上げたのがライガーだった。準備期間が短くともパンクラス(総合格闘技)ルールで鈴木と対決。鈴木に軍配が上がったが、この一戦が転機となって鈴木はプロレスへと回帰し、今もなお闘いの第一線に身を置いている。

 来年(2020年)1・4&1・5東京ドーム大会でのライガー引退が決まると、鈴木が動いた。今年4月の名古屋大会で対戦を迫り、同じく4月の後楽園大会では17年前を想起させるオープンフィンガーグローブまで持ち出して挑発。9月の後楽園大会では実況席のライガーを襲撃し、鹿児島大会ではマスク剥ぎまで敢行。そして神戸大会では7年ぶりに“鬼神ライガー"を呼び覚ました。

 そして、この日の両国大会でついに一騎打ち。ライガーは17年前と同じ、上半身裸の簡易マスクバージョン“バトルライガー"仕様で現れた。

 大ライガーコールの響く国技館に、鈴木は不敵な笑み。まずは緊張感あるグラウンドを展開したが、場外戦にもつれ込むや、一気にヒートアップした。ライガーが鈴木を鉄柵に叩きつけ、イスまで手にして怒りを爆発させたものの、鈴木もひるまず。逆にイスを奪ってライガーを殴りつけ、手段を選ばずに左腕へと集中砲火。マスクにまで手をかけ、ブーイングにも構わずにぶら下がり式の逆十字固めも繰り出すと、場内は再びライガーコール一色に染まった。

 構わず鈴木は一本足頭突きやナックルパートで叩き伏せ、「立てオラ!」「来いよライガー!」と仁王立ち。意地のライガーも鈴木の蹴り足をキャッチしての掌打で逆襲し、カウンターの掌打も発射だ。さらには17年前も繰り出した浴びせ蹴りを放ち、場内も沸き返った。

 譲らない鈴木も追撃をスリーパーで切り返し、逃れたライガーも複合関節技で反攻。ならばと鈴木も腕狙いを再びスリーパーで切り返し、激しいせめぎあいに発展。鈴木がゴッチ式パイルドライバーを狙ってもライガーはリバースし、空中胴締め落としからの垂直落下式ブレーンバスターで突き刺した。

 だが、鈴木は3カウントを許さない。雄たけびを上げたライガーはこん身の掌打を狙ったものの、鈴木は追走式のドロップキックで迎撃。そのまま両者は意地でも倒れぬ打撃戦に突入し、しだいに鈴木の放つ鋭角的なエルボーが獣神の意地をのみこんでいった。

 ダウンから立ち上がったライガーも、死力を振り絞るように「鈴木!」と叫びながらながらの掌底で突っ込んだが、鈴木は容赦ないエルボーで鎮圧。そして今度こそのゴッチ式パイルドライバーで突き刺し、完璧な3カウントが数えられた。

 悠然と鈴木が勝ち名乗りを受け、ライガーは大の字。イスを手にした鈴木は、ライガーを介抱するヤングライオンを殴りつけて排除するや、大の字の獣神めがけてふりかぶった。

 ところが、自らイスを投げ捨て、おもむろにライガーの傍らに正座。そしてマットに頭をつけて深々と“座礼"した。

 結果的に引退前に“ありったけのライガー"を引き出しての撃沈、そして座礼。国技館を感動が包むなか、口を真一文字に結んで足早に退場した鈴木は「おまえが俺に勝てるわけねえじゃんかよ。もう限界ですって言って辞めていくヤツ。先頭走ってるヤツに。おまえが何をもってしたって勝てるわけないじゃないか。俺とアイツの17年、いや32年間の“男のケジメ"だ」とだけ語った。

 残されたライガーには、万雷の喝采が注ぐ。ふらつきながらも立ち上がり、マイクを取った獣神は「鈴木、ありがとな」と感謝し、両国を大ライガーコールが包んだ。

 とはいえバックステージでは「近年ここまで俺をブチ切れさせたのは、あいつぐらいじゃないか、そのことに対しての『ありがとう』だ」と強調。「今日は負けた! シングルまた組め! 俺は諦めん。1・4まであと約3ヵ月ある」と現役選手としての矜持をむき出しにした。あくまで獣神は引退するその日まで“ケジメ"をつけるつもりはない。

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