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10/17 『スターダム』がブシロード傘下に 新日本プロレス・オーナー企業が女子プロレスにも参入

 新日本プロレスのオーナー企業・ブシロードが女子プロレスにも参入する。女子プロレス団体の『スターダム』がブシロードグループの一員となることが17日、発表された。

 キックボクシングイベント『KNOCK OUT』を運営してきた子会社のキックスロードが12月1日から『ブシロードファイト』に社名変更し、スターダムから事業譲渡を受ける。現スターダム代表のロッシー小川氏は、ブシロードファイト内スターダム部門のエグゼグティブ・プロデューサーに就任して陣頭指揮にあたるが、徐々に新体制へと移行していく予定。

 当面は観客動員の向上を目指して興行部門の強化に努め、比例してコンテンツ価値を高める方針。ブシロードが得意とする積極的な広告展開も仕掛けつつ、2020年4月29日には大田区総合体育館で7年ぶりのビッグマッチ『東京シンデレラ2020』開催も決定。BS日テレ、TOKYO MXでのテレビ・レギュラー番組開始も決まった。

 2012年に新日本プロレスを買収して“V字回復"を成し遂げたブシロードは、2016年にはキックボクシングにも進出。子会社として設立された株式会社キックスロードが『KNOCK OUT』ブランドを運営してきた。

 続けて目を向けた市場が女子プロレスだった。2016年から世界最大のプロレス団体・WWEが女子部門を強化してマーケットが拡大。昨年には初めて女子のみのペイ・パー・ビュー(PPV)イベントが開催され、今年の『レッスルマニア』では史上初めてメインイベントを女子の試合が飾った。

 時を同じくして、世界に目を向けるブシロードも、ライブエンターテイメント、スポーツ部門での女子市場を重視。着想の出発点となったのは、やはりブシロード創設者の木谷高明取締役だった。

 この日都内で会見した木谷取締役は「動機を正直に言いますと、2年前から悩む…というか迷っておりました。世界的にプロレスのみならず、格闘技、他のスポーツ含めて“女子"というのがひじょうに大きな位置を締めてきた。海外で興行を行うと『なぜ女子の試合が一試合も入ってないのか』という声もあって、それが世界の流れ。このまま“女子"について何もやらないでいいのか…という思いが強まっていきました。(日本でも)ある日突然『なんで女子の試合がないの?』って急に世の中の空気が変わるリスクがあるなと思っていて、(新日本プロレスとは)別立てで女子プロレスをやるのも良いのかなと思った次第です」と説明した。

 そこで白羽の矢が立ったのが、スターダムだった。キックスロードの原田克彦代表らが中心となってリサーチが進められ、木谷取締役もスターダムを観戦。交渉に発展して話がまとまった。会見に出席した小川代表も「スターダムの未来を考えた場合、ブシロード傘下に入ることでより大きな発展を確信しました。なによりブシロード関係者の方はスターダムに対してご理解がありますので、安心してやっていけるという判断になりました」と事業譲渡を決断した。

 スターダムは新日本プロレスと同じブシロード傘下となるが、木谷取締役は「お祭り的な試合への参戦はあるかもしれませんが、当面、新日本プロレスと混ざることはないです」と明言。一方で「当初は(女子進出は)『新日本を守るため、伸ばすため』と主体が新日本プロレスにありましたが、見ていくうちにスターダムはスターダムで立派なIPコンテンツだなと。スターダムを伸ばすため…に考えがシフトしていった。防御的発想ではない。今の素晴らしいスターダムを一緒になってもっと大きなものにしたい」と強調した。

 また、木谷取締役は現在の女子プロレスが抱える課題と可能性にも言及。「今の女子プロレス界は、他の団体含めてお客様の年齢が高く、ほぼ男性しかいない。客層としてもったいないのは、若い男性が少なく、女子がいないこと。かつて女子プロレスが流行ってた時代、支えていたのは女子のファンだった。女子がみやすいイベントにしていきたい。それに今は、頑張っている人を応援したい“応援文化"が昔よりもあると思っていますし、“女子が女子を好きになる"というのも、昔より増えていると実感しています。その客層も開拓できる可能性がある」と指摘した。

 この日の会見にはスターダム選手も同席。中心選手の岩谷麻優は「新体制になってから大きな会場も増えていくと思いますので、どんどん大きくなっていくスターダムを見せていきたいですし、自分たちも楽しんでいきたい」と話し、人気選手の木村花は「女子プロレスをよく分かっていない、同世代の女性などまだプロレスが行き届いていないところに女子プロレスを伝えていきたい」と意気込んだ。

 現在WWEではASUKA、カイリ・セイン、紫雷イオが活躍し、米国の新興団体AEWにも多くの日本人女子選手が参戦。そしてにここに来てブシロードも参入し、女子プロレス界を取り巻く環境が大きな転換点を迎えつつある。

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