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3/18【DDT】右足切断の谷津が6・7さいたまSAで1年ぶり復帰、日本プロレス界初の義足レスラー誕生へ

 DDTは18日、東京・渋谷のサイバーエージェント本社で会見し、谷津嘉章が6・7さいたまスーパーアリーナ大会に参戦すると発表した。

 レスリング五輪出場の輝かしい肩書を引っ提げてプロレス入りした谷津は新日本、ジャパン、全日本、SWSなどで活躍。総合格闘技にもチャレンジし、PRIDEのリングに上がったこともある。2010年11月、自ら主宰するSPWFの解散興行で一度は引退したものの、2015年に復帰。昨年4・28後楽園大会でDDTに初参戦し、その後も継続参戦していた。

 だが、持病の糖尿病が悪化し、右足が壊疽(えそ)。昨年6月25日に右足を切断する手術を受けた。その後、懸命なリハビリに励み、今月29日には東京五輪の聖火ランナーとして栃木・足利市を走る予定。現在は国内最大級のクラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」で活動費のための支援を募っている。

 「去年6月25日に足をなくして、そのとき、こういう場が来るとは思わなかった。目標がなくて消失感がひどかった」。そう述懐した谷津だが、「20年の聖火ランナーの目標に向かって、自分なりにチャレンジしてきた。足をなくして、なんでも興味をもって、チャレンジしたい」と前向きさを取り戻し、ランニングなどに取り組んできた。その中で「ひょっとしたらできるんじゃないかと思うようになった」と当初は考えていなかったプロレス復帰への可能性を感じることができた。

 そこで谷津はDDT高木三四郎社長に相談。今年1月、高木社長の同級生で義肢装具を製作する川村義肢株式会社の川村慶社長を紹介された。そして義肢装具士・小畑祐介氏が改良を重ねて、プロレス用の義足を開発し、谷津復帰のゴーサインが出た。

 プロレス用義足は川村社長が「もともと障害ある方の人生、生活に合わせた義足、スポーツ選手用もあったんですが、プロレスはエンターテインメント的な部分もあるし、できるかなと思ったんですが、プロレスの動きに対応したものができました」と胸を張るほどで、今後も改良されていくという。会見ではそれを装着した谷津がリングで練習する映像が流され、ロープワークに始まり、得意技のパワースラム、ブルドッギングヘッドロック、監獄固めをスムーズに決める姿が見られた。

 復帰戦のカードは未定だが、谷津は「6月7日までの間に、左足で支えなきゃいけないから、左足を強化しないと、美しい試合はできない。今日自分が着けているのは実生活用で、ランニング用と3種類の義足がある。こなさないと乗り越えられない」とコンディションを高めていくつもり。「障害者でハンディ持ってるから、相手も遠慮があるかもしれない。ましてや年下ばかり。遠慮されると、谷津のためにならないし、お客さんにもわかっちゃう。(相手は)手加減するなよ」と今から対戦相手をけん制したうえで、おなじみの「オリャ!」の叫びで気合を入れた。

 谷津の復帰を後方支援した高木社長は「谷津さんには去年からDDTに出ていただいて、元々20年は五輪イヤーでなにかしらのことをして、谷津さんに出場していただきたいと思っていた」といい、ビッグマッチ6・7さいたまSA大会という大舞台を用意。「ハンディを持ってる方にも勇気を与えてほしい」と谷津にエールを送った。

 日本プロレス界では史上初の義足レスラーとなる谷津がこの6月、奇跡の復帰を果たす。

※情報提供:DDTプロレスリング

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