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3/29【NOAH】史上初・無観客GHC戦で異例事態続出…視殺戦で30分、殺伐決闘57分 潮崎が藤田粉砕で初防衛

『PRO WRESTLING NOAH 20th ANNIVERSARY NOAH the CHRONICLE vol.2』東京・後楽園ホール(2020年3月29日)
GHCヘビー級選手権試合 ○潮崎豪vs藤田和之×

 史上初めて無観客試合で行われたGHCヘビー級選手権試合は、開始から実に30分間“視殺戦"が続くなど異例づくしの展開の末に、潮崎が残り2分で藤田を撃破。初防衛に成功した。

 ノア20周年イヤー記念大会第2弾となった後楽園大会。史上初の“4大GHC戦のみ"の聖地決戦は、新型コロナウイルスの影響で、これまた史上初の無観客試合として行われた。

 ただでさえ初物尽くしのシチュエーションだったが、試合でも異例の事態が続出。まずは“最強の外敵"藤田が、杉浦貴、桜庭和志、鈴木秀樹、レネ・デュプリら豪華すぎる杉浦軍メンバーをセコンドに従えて現れた。

 そしてゴング前から互いに視線をそらさぬ視殺戦を展開。ゴングが鳴って潮崎がリング中央に歩みを進めたが、そこから互いに微動だにせず。時を重ねるごとに、斬り合いを思わせる緊張感が増していく。15分経過でようやく藤田がニュートラルコーナーへ場所を変え、25分経過でロープ中央付近に移動するも、なおも互いに手は出さぬにらみ合いが続いた。

 そのまま30分経過のコールがなされ、無音の聖地はもはや異空間に。先に動いたのは藤田だった。タックルを仕掛けてグラウンド戦に持ち込むと、そのまま袈裟固めで5分近く絞め上げる。新弟子を“かわいがる"かのように「エスケープするなよ。動け、チャンピオン」「袈裟固めっていうんだよ。オラ、暴れろ。苦しいぞ。腕極めるぞ!」などと怒声を響かせ続けた。

 さらに場外戦に持ち込んだ藤田は、本部席の消毒液を口に含んで潮崎の顔面に噴射。自らもむせ返ったものの、そのまま無人の南方スタンド席、ロビー、エレベーターホールを引きずり回しながら潮崎をいたぶり、バルコニーから突き落とそうとまで試みた。45分経過がコールされると、リングに戻り、逆エビ固めで潮崎を追い詰める。

 それでも耐え抜いた王者は、ブレーンバスターでの反撃を皮切りにマシンガンチョップで快音を連発。嫌がった藤田もビンタやニーリフトで真っ向から反撃し、エプロンの潮崎を絞首刑式のスリーパーで強制リングイン。絞めに絞め上げてからランニングニーをぶち込み、強烈なパワーボム、顔面蹴り2連発でフィニッシュ態勢に入った。

 攻めの闘魂と受けの方舟。潮崎も真っ向から受け止めて肩を上げ続ける。藤田のビンタ、エルボーにも倒れない潮崎は、逆に豪腕ラリアットを発射だ。藤田がラリアット合戦に応じても、先に立ち上がって再び豪腕ラリアットを振り抜く。

 ならばと藤田は奥の手のフランケンシュタイナーを繰り出したものの、潮崎は止まらず。豪腕ラリアット、リミットブレイクと猛攻を重ね、ラリアットやビンタで真っ向から応戦されても、逆水平連打からの豪腕を叩き込んで真っ向からねじ伏せにかかった。

 藤田も肩を上げたものの、残り時間3分を切ったところで潮崎は豪腕ラリアットを連発。藤田も仁王立ちで受け止めたが、潮崎はさらにこん身の豪腕ラリアットを叩き込み、3カウントをもぎ取って勝ち切ってみせた。

 異例づくしのGHC戦を制して、豪腕王者が初防衛。ノアの系譜を継ぐ者らしいファイトで、“猪木イズム最後の継承者"を返り討ちにした潮崎は、「画面の向こう側にいるノアのホーミーズ(仲間)たち、ひとつだけ言わせてくれ。I am NOAH!」とテレビカメラに向かって締めくくった。

 ノア史上初のタイトルマッチのみの後楽園決戦。ノア史上初の無観客試合。30分間攻防なし。ホール全体を使った試合展開。そして残り2分での防衛。まさに“異例だらけ"の一戦を勝ち抜いた潮崎は「あの30分…時間だけは聞こえてたからね。今までにない緊張感。あれで凄い体力を奪い取られたよね。俺にとっては1つの防衛戦以上に、より得るものの大きかった戦いでした」と振り返った。

 一方で「ただ、やっぱりみんながいないと。観に来てくれるお客さんみんなでノアだね。今日はそれを凄く痛感しましたよ。苦しい、厳しい。でも、それを乗り越えていかなくちゃいけない。それはひとりじゃできないかもしれないし、ひとりじゃできないと思うから。みんながいるからこそ。こういう言い方はおかしいけど、それに今日の無観衆の試合で気づくことができてよかった」とも痛感。

 旗揚げ20周年イヤーを王者としてスタートさせた潮崎だが、まだまだこれで初防衛。I am NOAHの心意気で、“みんなでノア"を体現するためにも、歩みは止められない。

【試合後の潮崎】
――引き分け寸前になるほどの激闘となったが、改めて試合を振り返ると?

▼潮崎「今まで味わったことのない緊張感、そして相手の威圧感。最初見合っていた時、ずっと押されないように俺はもう耐えるしかなかったよ。あの30分…時間だけは聞こえてたからね。今までにない緊張感。あれで凄い体力を奪い取られたよね」

――それでも防衛できた一番の理由は?

▼潮崎「今日、お客さんがひとりもいない状態で。画面の向こうで見てくれているみんなのことを思ったら負けれないし、勝つしかないでしょ?」

――藤田選手からはどんな思いを感じた?

▼潮崎「独特な空気、独特な強さ。藤田選手がどう思ってようが、何を言おうが、そんなことは知らないけど、俺にとっては1つの防衛戦以上に、より得るものの大きかった戦いでしたよ。これがノアを背負う、ノアを守る戦い。これがノアですよ」

――新型コロナウイルス問題など難しい状況だが、今後に向けては?

▼潮崎「今日は無観衆試合。しょうがないことで、今日こうやって試合ができただけでもよかったとするべきだと思うし。ただ、やっぱりみんながいないと。ノアには見に来てくれるお客さんがいないとダメだね。見に来てくれるお客さんみんなでノアだね。今日はそれを凄く痛感しましたよ。苦しい、厳しい。でも、それを乗り越えていかなくちゃいけない。それはひとりじゃできないかもしれないし、ひとりじゃできないと思うから。みんながいるからこそ。こういう言い方はおかしいけど、それに今日の無観衆の試合で気づくことができてよかったと。それは思いますね」

――潮崎選手はラリアットや逆水平で、お客さんと一緒に乗って攻めていくスタイルだと思うが、声援がない状態で戦うのは違和感あった?

▼潮崎「もう違和感だらけの試合でした。それは俺だけじゃない。今日試合をやった、タイトルマッチをやったみんな、そしてその側で試合を見れない人たちみんなが感じたことだと思うんだよね。この体制がいつまで続くかもわからないけど、今はとにかくこの状況を打破して、もう一度後楽園でみんなの前で試合がしたいよね。したいよね、じゃねえな。試合がしたい。みんなと一緒に、みんながいてのノアだ。それがわかりました」

――最後、藤田選手はあえてラリアットを受け止めていたが、それについては?

▼潮崎「それはもう藤田和之自身の意地もあるし。それまで俺が押されるばっかりだったんでね。何とか返してやらないと。それを藤田和之が逃げずに真っ向から受けたこと。それでノアの戦いというものを、最強の外敵というものを体感しましたよ。受けてなお立ってくるその怖さ。そこは痛感しました」

――試合前と試合後で、藤田選手の印象は変わった?

▼潮崎「変わらないよ。よりデカい存在になったと思います。威圧感ハンパなかった」

※藤田はノーコメント

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