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4/1【WRESTLE-1】異例の無観客で最終興行 武藤「プロレスは永遠に不滅」、カズ「選手の生き様見てほしい」

『WRESTLE-1 TOUR 2020 TRANS MAGIC』東京・後楽園ホール(2020年4月1日)
○羆嵐&稲葉大樹&土肥孝司&芦野祥太郎vs武藤敬司&近藤修司&河野真幸&カズ・ハヤシ×

 W-1が無観客という異例の形で最終興行を開催。6年9ヵ月にわたる団体の歴史に終止符を打った。キャリア初の無観客試合となった武藤は「W-1は一旦活動を休止するけど、プロレスは永遠に不滅だからね」と前向きに宣言し、「大部分はプロレス界に残ると思うので、またいつか…どこのリングになるかわからないけど、またいつか出会うことができたらいいね」と将来的な所属選手たちとの再会を熱望した。

 W-1は全日本の分裂騒動を受けて2013年7月に設立。武藤を中心に全日本を離脱した選手たちが集まり、同年9月に旗揚げした。TAJIRIら元WNC勢が入団するなど規模を拡大し、プロレス総合学院など新たな取り組みも行ったものの、選手の退団が相次ぎ、遂に活動休止という形で6年9ヵ月続いてきた団体の歴史に一旦幕を下ろすことに。新型コロナウイルス問題により、無観客試合という特異な形での最終興行となった。

 ラストマッチは旗揚げからW-1をけん引してきた武藤&カズ&近藤&河野と、ここ数年で団体の中心を担うようになった稲葉&土肥&芦野&羆嵐による8人タッグマッチとなった。リング上で激しくぶつかり合ってきた稲葉ら4人だが、最終興行では遺恨を清算し、試合前に握手を交わす。選手コール時には公式サポーター・Cheer1がたくさんの紙テープを投げ込んだ。

 のっけから武藤が先発を買って出ると、W-1後期の中心的存在だった芦野とグラウンド戦を展開した。その後、稲葉たちは河野に照準。かつてタッグを組んでいた土肥&羆嵐の連係攻撃が完璧に決まると、稲葉はダイビングヘッドや卍固めなど得意技を惜しげもなく披露する。

 しかし、武藤たちも後輩たちの前に立ち塞がった。団体休止をW-1王者として迎えた社長のカズはセントーンアトミコを稲葉に投下すると、近藤や河野も追随。武藤もフラッシングエルボーをお見舞いし、STFで絞め上げた。タッチをもらった土肥が立て直しを図るが、武藤が再登場すると流れは再び逆転。武藤はドラゴンスクリューで相手チームをナデ斬りにすると、土肥を足4の字固めに捕獲する。

 それでも土肥たちは下がらず、次々と武藤に猛攻を浴びせる。土肥がこん身のラリアットをぶち込めば、芦野はジャーマンで追い討ちし、アンクルロックで絞め上げた。稲葉は延髄斬り2連発から卍固めで絞めに絞めると、羆嵐は武藤の身体を軽々と抱え上げてバックフリップをお見舞いし、セントーンを投下する。しかし、武藤は大技ラッシュをあえて真っ向から受け止めると、続く羆嵐のダイビングセントーンを自爆させて窮地を脱した。

 その後、武藤組が一気呵成。タッチをもらったカズのハンドスプリングレッグラリアット、近藤&河野のバックドロップ&チョークスラム、近藤のキングコングラリアット、河野のランニングニー、武藤のシャイニングウィザード、カズのファイナルカット…と怒とうの大技連発で羆嵐を土俵際まで追い詰めた。だが、芦野たちのカットに助けられると羆嵐が奮起。土肥との合体バックフリップで巻き返すと、カズの反撃をフライングボディアタックで鎮圧。カナディアン式フェイスクラッシャーを繰り出すと、最後はダイビングセントーンを投下してカズから3カウントを奪い取った。

 羆嵐がW-1ラストマッチで激勝。芦野たち4人で勝ち名乗りを受けると、リングは感傷的なムードに包まれる。敗れたカズはマイクを持ち、「W-1、活動休止前に、本当は興行中止という判断をしなくちゃいけない時に、こうして映像で僕たちの生の声を、今現状の生の声を皆さんに届けることができて、本当によかったです」と無観客興行を振り返ると、「これからW-1の選手みんながいろいろな道を進んでいくと思います。お願いがあります。W-1みんなの選手の今後というものを見ていただきたいです。Twitter、Instagramなどみんなやってます。追いかけてほしい。どうやって生きていくか、その生き様を見てほしいです」と熱いメッセージを送った。

 その後、カズの提案でバトルロイヤルが実現。黒潮“イケメン"二郎らOBたちもサプライズ出場して、ラストマッチを盛り上げた。カズは最後の締めを勝利した征矢に託し、笑顔で全選手による記念撮影に応じると、バックステージではさすがにホッとした様子で、「彼らが今までにない壁というものにぶち当たっていくんで、それを乗り越える姿を見せてくれるはずなんで。もちろん僕もできることなら一緒にやっていきたいし、そういうふうな場所っていうのも作っていきたい」と前向きに宣言した。

 キャリア初の無観客試合を経験した武藤は「正直、36年やってきたけど、無観客試合というのは初めての経験でね。なかなか難しいものがあって。本当は客さえいたら、全お客が泣くような試合をやりたかったんだけどな。なかなか観客がいないと難しいわな」と悔しさを垣間見せたものの、ネガティブな空気は皆無。「W-1は一旦活動を休止するけど、プロレスは永遠に不滅だからね。みんなこのW-1の経験を糧にして、自信を持って。大部分はプロレス界に残ると思うので、またいつか…どこのリングになるかわからないけど、またいつか出会うことができたらいいね」と選手たちに呼びかけた。

 稲葉たちは何も語らず、各選手の今後の動きは不明だが、クルーザー王者の吉岡世起は#STRONG HEARTS脱退を表明するなど、それぞれ新たな活動を視野に入れている様子。武藤もフリーとなるが、「コロナのせいで3月、4月は9割以上の仕事がキャンセルになってさ。まあまあまあまあ、崖っぷちであることは確かだよ。ただ、そんな中で、今日は若いヤツの技を全部受け止めた。それはそれで、俺の自信になるし」と現役続行に自信を深めたようで、「こればっぱりは相手がコロナだとどうなっていくのかわからないし、不安はいっぱいだけど、許される限りにこの自分の身を磨くことをしていこうかと思ってます」と感傷的にならず視線を前に向けた。

【試合後の武藤】
▼武藤「正直、36年やってきたけど、無観客試合というのは初めての経験でね。なかなか難しいものがあって。本当は客さえいたら、全お客が泣くような試合をやりたかったんだけどな。なかなか観客がいないと難しいわな。ただ、W-1は一旦活動を休止するけど、プロレスは永遠に不滅だからね。みんなこのW-1の経験を糧にして、自信を持って。大部分はプロレス界に残ると思うので、またいつか…どこのリングになるかわからないけど、またいつか出会うことができたらいいね」

――武藤選手にとってW-1はどういうリングだった?

▼武藤「今のこの時点になったら通過点だよ。俺のことを言わせてもらうと、本当は前を向いて走ろうと思ったんだけど。コロナのせいで3月、4月は9割以上の仕事がキャンセルになってさ。まあまあまあまあ、崖っぷちであることは確かだよ。ただ、そんな中で、今日は若いヤツの技を全部受け止めた。それはそれで、俺の自信になるし。こればっぱりは相手がコロナだとどうなっていくのかわからないし、不安はいっぱいだけど、許される限りにこの自分の身を磨くことをしていこうかと思ってます」

――W-1を応援してきたファンにメッセージを

▼武藤「7年間弱、W-1を応援していただき、ありがとうございます。今度どこのリングに上がるかわからないけど、武藤敬司を追いかけてください」

――今後はフリーになる?

▼武藤「フリーだよ。今日の全選手、たぶんみんなプロレス界に残ると思うけど、条件一緒だからね。ただ、全日本プロレスを出て、W-1になって、俺も経験したからね。なんだかんだ言って、W-1で30人を食わせていくためのことを考えたら、フリーって気が楽だからな、今から。俺も自信を持って生きていきますんで、皆さんよろしくお願いします」

【カズの話】「ありがとうございました。リングの上で言ったんですけど、W-1全選手のこれからの行動というのをぜひチェックしてもらいたいなと思ってます。彼らが今までにない壁というものにぶち当たっていくんで、それを乗り越える姿を見せてくれるはずなんで。もちろん僕もできることなら一緒にやっていきたいし、そういうふうな場所っていうのも作っていきたいし。ただそれだけです」

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