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8/9【新日本】苦節13年・YOSHI-HASHIが歓喜のタイトル初戴冠 熱戦CHAOS対決制してNEVER6人タッグ奪取

『SUMMER STRUGGLE 2020』東京・後楽園ホール(2020年8月9日)
「第21代NEVER無差別級6人タッグ王座決定トーナメント」決勝戦 ○石井智宏&後藤洋央紀&YOSHI-HASHIvsオカダ・カズチカ&矢野通&SHO×

 キャリア13年目の苦労人・YOSHI-HASHIが歓喜のタイトル初戴冠。後藤&石井とともにNEVER6人タッグ王座を獲得すると、オカダもYOSHI-HASHIの腰にベルトを巻いて祝福した。

 これまでタイトルマッチに挑むたびに高い壁に阻まれてきたYOSHI-HASHIだったが、今度こそはという決意を胸に、NEVER6人タッグ王者決定トーナメントにエントリー。自らの勝利で1回戦、準決勝を突破し、いよいよ決勝に駒を進めてきた。対戦相手はCHAOSの同門であるオカダ&矢野&SHO組。試合は24分を超す熱戦となった。

 ゴング前に「よーし!」と絶叫したYOSHI-HASHIは、オカダを前にしても怯まず、強烈な逆水平を叩き込む。YOSHI-HASHIの気迫は後藤や石井にも伝染し、SHOを代わる代わるに攻め込んで序盤戦を優勢に進めた。

 YOSHI-HASHIたちの気迫は途切れず、オカダにも猛攻。3人がかりで怒とうの大技ラッシュを浴びせると、YOSHI-HASHIは勝利を狙ってカルマの構えに。しかし、SHOがドロップキックでカットすると、両軍入り乱れての大混戦に発展。混乱に乗じてオカダが反撃に転じ、得意のドロップキック、ツームストンパイルドライバーでYOSHI-HASHIを追い詰め、変型コブラクラッチに捕獲した。

 失神寸前となったYOSHI-HASHIだったが、悲願の初タイトルに向けて脅威の粘りを発揮して耐えきる。攻撃の手を緩めないオカダはショートレンジ式レインメーカーを振り抜くも、2発目はYOSHI-HASHIがカウンターのラリアットで阻止。さらに、バタフライロックで一転してオカダを追い込み、大ピンチを切り抜けて、石井に繋いだ。

 そんなYOSHI-HASHIの気持ちに石井は応えた。SHOの執ような右腕への一点集中攻撃を受けると、クロスアーム式ジャーマンやラリアットも食らってしまい、もはやこれまでと思われたが、ショックアロー狙いはなんとかリバースする。すかさず急行した後藤&YOSHI-HASHIが牛殺し&トラースキックでSHOの動きを止めると、YOSHI-HASHIのダブルニーアタック、石井のスライディングラリアットが立て続けに火を吹く。石井は痛む右腕でラリアットを振り抜くと、最後は垂直落下式ブレーンバスターで熱戦に終止符を打った。

 YOSHI-HASHIの奮闘を無駄にしなかった石井が試合を決めて、後藤&石井&YOSHI-HASHIがNEVER6人タッグ王座を戴冠。この結果にオカダと矢野は拍手を送り、SHOも石井との握手に応じた。笑顔のオカダは苦楽をともにしてきたYOSHI-HASHIの腰にベルトを巻くと、CHAOSの6人で記念撮影に。場内は爽やかな空気に包まれた。

 マイクで締めたのはYOSHI-HASHIだ。「ようやく…ようやくベルトを獲ることができました! だいたいタイトルマッチする前とかで、試合に勝ったあとなにをしゃべってやろうとか、いろいろ他の人は考えていると思うけど、俺はマイクを持っている今現在、ノープランで話してますからね」とYOSHI-HASHIらしさ全開のコメントで拍手を浴びると、「俺は言いたいのは“物事が変わるのは一瞬"。ずっと言ってきたけど、まったく変わらなかった。もちろんやって毎回変わってたら、そんな人生楽しいことはないよ。なかなかうまくいかないから、だからね、凄く楽しいと思うんだ」とこれまでの苦しかった日々を振り返った。

 そんなYOSHI-HASHIだからこそ、観客に伝えられる言葉がある。「俺だけじゃないよ。あなたたちも、明日もし、なにかつまずいていることがあっても、なにか大きく変われるんじゃないか。俺はね、願ってるよ。つまずいても、また立ち上がればいいんだよ。それだけ。明日以降、俺も、そしてあなた方もなにか大きく変わりますように」と熱いメッセージを送る。こみ上げてくる思いを必死に抑えたYOSHI-HASHIが最後に「なにかが変わる時、そう物事が変わるのは一瞬だ!」と叫ぶと、後楽園は大きな拍手に包まれ、感動のフィナーレとなった。

 もちろんYOSHI-HASHIの物語は今日で終わりではない。バックステージでは「リング上でね、泣かなかったのは、これで終わりじゃないですよ」とこの先についても言及。後藤や石井のシングル王座獲りに期待を示すと、「もちろん俺もね。NEVERというのが今後IWGPとかそういうところに行く鍵だと思っているから。このまんまじゃ絶対に終わんないから。戦って、戦って、俺たちは屈しないから」と次なる目標を見据えていた。

【試合後の後藤&石井&YOSHI-HASHI】
▼YOSHI-HASHI「ありがとうございました!」

▼後藤「お疲れ!」

▼石井「この3連戦はYOSHI-HASHIが全てだろう。これが獲れたのもYOSHI-HASHIのおかげだ。ここに来るまで散々、レスラー、マスコミ、ファンにいろいろ言われてきただろ? でも、本人はよ、着実に一歩ずつ一歩ずつ、ゆっくりだけど着実に前を向いて歩いていた。その証だよ。いいんだよ。何言われようが、何を思われようが、何年かかろうが辿り着きゃいいんだよ。辿り着いただろ、今日。これからよ、今までいろいろ言ってきた野郎どもをよ、黙らせるぐらいの試合をすればいいんだよ。なぁ、YOSHI-HASHI?」

▼YOSHI-HASHI「そうっすね。あの、1個やって、3個進む人間もいれば、10個進む人間もいるしね。その半分の人だっているよ。たぶん今こうやって見ている人たちっていうのはね、一歩進んでもそんななかなか進めない人が多いんじゃないかなと俺は思っているよ。別に何言われたって構わないけどね。お前はじゃあ、その生き方ができるのかと。自分自身のことを俺の生き方と照らし合わせてできんのかと。それだけだよ。俺がここまで来れたのはもちろん運もあったし、いろいろあったよ。諦めつかないでやってきたっていう、その自負があるから。自信あるよ、それだけは。だから、何言われたってね、『お前、それやってみろ』と。俺はそれだけ。もう自分を信じるしかないから。誰も助けてくれないから。でも、石井さん、後藤さん、タッグリーグに一緒に出て、あと一歩のところで栄冠掴めなかったし、今日こうしてベルトを掴んだのはめちゃくちゃうれしいですね。結構、僕、感動するような映画を見ても涙出たことないけど、今日はさすがに泣きそうになっちゃいました(笑) それも正直なところ」

▼後藤「本当、俺はYOSHI-HASHIから夢をもらったよ。もらった。一つ言えることだけど、諦めなければこうして結果がついてくるっていうことだよ」

▼YOSHI-HASHI「俺ら3人はしゃべりが達者じゃないけど、もう後藤さんも石井さんもずっと世話になってきたから、しゃべるぐらいのことは俺ががんばろうと思って(笑) それだけ。そんなしゃべるのは得意じゃないから。でもね、気持ちだけは伝わったかなって、見ている人にね」

▼後藤「俺にも伝わってるから。見ている人たちにもきっと伝わっていると思うよ」

▼YOSHI-HASHI「大事なのはね、カッコつけて、上辺の何かを見せるだけじゃないんだよ。俺が見せたいのは、明日生きていく力。それだけ。別に俺のことをリスペクトしろとか、カッコよく見てくれなんて、俺は一切思ってないよ。俺たちしゃべり下手だよ。でもね、戦って、あなた方に明日生きていく強さを見せたい。それだけ。あんましゃべり上手くないから伝わるかわかんないけど、それだけは言いたいかな。あとリング上でね、泣かなかったのは、これで終わりじゃないですよ。NEVERをこの3人で獲ってさ、個人的にはだよ? 後藤さんがIWGPのヘビー獲るの、俺は見たいからさ。もちろん石井さんもそういうのを見たいから。もちろん俺もね。NEVERというのが今後IWGPとかそういうところに行く鍵だと思っているから。このまんまじゃ絶対終わんないから。戦って、戦って、俺たちは屈しないから」

▼石井「よし(と言って腰を上げる)」

▼YOSHI-HASHI「よし、また明日から戦っていくから。ありがとうございました。3人でベルト獲れて、心から本当によかった。これで次シングル獲ったら、泣いちゃうよ、俺はね(笑) 泣いちゃうから」

▼後藤「この3人で、この3人で獲れて、それが一番よかった」

【オカダの話】「まぁ、負けましたけど、同じCHAOSでの戦いがね。お客さんのストレスが溜まるような試合が最近多かったと思うんですけど、満足してもらえるような試合がCHAOSでできたと思います。NEW JAPAN CUPもそうですし、本当に栄冠の一歩手前というのが凄く悔しいことですけど、ただ、まぁやっぱり同じCHAOSがチャンピオンになりましたし、本当にYOSHI-HASHIさんが目の前で俺たちを倒してチャンピオンになったっていうのがね。まぁ、今日の戦いを見てもらえれば、NEVERシックスメンの価値も上がったんじゃないかなと思います。こんな激しい戦いをするチャンピオンですから、機会があればもう一回やりたいな。でも、向こうのほうが連係取れていたと思いますし。でも、本当にCHAOS全員でメインイベントをやることができたんで、なんか2020年いろいろありましたけど、忘れられない1試合になりました。ありがとうございました」

【SHOの話】「後楽園のメインでトーナメントの決勝まで俺を連れてきてくれたオカダさんと矢野さん、本当にありがとうございました。そして、最後の最後に本当にすいませんでした。俺の長い長い、これからも続くレスラー人生のもう一つの目標になった。YOSHI-HASHIさん、後藤さん、石井さん、あなた方に一人ずつリベンジします。最後に心から俺はCHAOSで本当によかった」

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