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10/17【全日本】亡き父に捧ぐ…諏訪魔が涙の三冠V3 CC覇者ゼウスに雪辱で5冠死守

『2020旗揚げ記念シリーズ』開幕戦 エディオンアリーナ大阪・第2競技場(2020年10月17日)
三冠ヘビー級選手権試合 ○諏訪魔vsゼウス×

 諏訪魔が亡き父に捧げる涙の三冠王座V3。チャンピオン・カーニバル覇者・ゼウスに雪辱を遂げ、5冠王の座を死守した。

 王者・諏訪魔がコロナ禍の興行再開後、初となる地方大会での三冠戦を希望し、この日のV3戦が決まった。相手は初の秋開催となったカーニバルで初優勝を飾ったゼウス。地元・大阪で2年ぶり2度目の戴冠に乗り出した。

 カーニバル公式戦で敗れている諏訪魔にとって雪辱戦。そして何より負けられない大きな理由があった。が、ファイトスタイルの幅を広げたゼウスに苦しめられてしまう。序盤は左腕にピンポイント攻撃を浴びて防戦一方。ゼウスが普段見せないキーロック、サーフボードストレッチ、コブラツイストといったクラシカルな技を多用して諏訪魔が苦悶する時間が続く。諏訪魔が反撃に出ようとしてもゼウスは腕ひしぎ逆十字で捕まえて主導権を渡さない。

 諏訪魔も雄たけびもろともラリアットを叩き込み、ジャーマンを連発したが、ゼウスはすぐさま立ち上がるとバイセップスエクスプロージョンをぶち込んで返り討ち。ダブルチョップと逆水平の打ち合いも後頭部へのケサ斬りチョップ連打で競り勝ち、諏訪魔の動きが一気に鈍る。何とか立ち上がってもチョークスラムで叩きつけられると、腕極めフェースロックに捕まった。

 耐えた諏訪魔はストライクジャーマンで逆襲したが、ゼウスはバックドロップを阻止した次の瞬間、先輩・イザナギばりの首固めで丸め込んで意表を突く。バイセップスエクスプロージョン、フロッグスプラッシュでたたみかけ、再三にわたる腕極めフェースロックで諏訪魔をグロッギー寸前に追い込んだ。

 諏訪魔陥落も時間と思われたその時だった。諏訪魔はバックドロップをノーモーションで決めて逆襲ののろしを上げた。左右のダブルチョップを乱れ打ち、バックドロップ、ドロップキック、バックドロップ、ラリアット、ドロップキックと有無を言わさぬ猛ラッシュ。ゼウスも1カウントで返す意地をみせたが、諏訪魔はバックドロップホールドを爆発させてようやく3カウントを奪った。

 32分22秒の激闘の末、諏訪魔がゼウスに雪辱。三冠王座3度目の防衛に成功し、5冠王の座を守り抜いた。カーニバル公式戦で敗れた時以上にゼウスの進化を実感。試合後、諏訪魔は「紙一重」を強調したうえで、「ゼウス、お前、強いよ。お前と三冠戦戦えてよかった。ありがとう!」と感謝の意を伝えた。

 この日の大一番を迎える前に、諏訪魔を悲しみが襲った。父が心筋梗塞で倒れ、今月9日に80歳で亡くなったのだ。プロレス好きの父の応援が諏訪魔にとって支えになってきたという。三冠V3を捧げた諏訪魔は試合後のリング上で涙ながらに「天国から『幸平、頑張れ』って言ってる。そんな気がした」と話し、「親父! いつまでも見ててくれよ。ベルトいくつもみせられるように俺、頑張るよ!」と誓った。

 バックステージでも「天国で見ててくれるだろうって思ってさ。その一心で頑張るよ。こうやってベルト巻かせてもらってるんだ。親父にまたベルト見せたいな」と目を真っ赤にしながら言い切った諏訪魔。そのためにも「年内は絶対、俺5冠王でいたい」との思いを強くした。

 5冠王としての越年を成し遂げるためにも乗り越えなければいけない障壁となるのが10・24後楽園大会における芦野&羆嵐との世界タッグ防衛戦だ。石川との不仲が表面化し、「負けたら暴走大巨人解散」も浮上する中、諏訪魔は「ちっぽけなことでさ喧嘩しちゃったなぁって冷静になると思うな」と反省。「俺もまたこう伝えたいんだけどさ、石川選手に。でも、どう言えばいいかわかんねぇな」と悩んでいるものの話し合えば解決できるはず。「まだまだこれから戦いは続くんで、世界タッグだってあるんだし、最強タッグもある。まだまだ今年は暴走してやるよ! その一言に尽きるな」と宣言した諏訪魔は暴走大巨人解散の危機を乗り越え、5冠王として2021年を迎えるのみだ。

【試合後の諏訪魔】
▼諏訪魔「よっしゃあ。厳しい戦いだったよ。ゼウスがどんどん進化しててさ、一点攻めなんていうのをやってきて、心がもういつ折れてもおかしくなかった。それぐらいあいつは研究してるのがわかったし、まだまだこれからあいつ強くなるんだなと思った。だから負けてらんねぇなという気持ちでね、意地張りましたよ。ああいう正面からくるタイプ、やっぱね気持ちでくるんだったら気持ちで応えるって。それを逃げなかったゼウスは凄ぇ男なんだなってわかった今日。親父がさ、亡くなっちゃったけど、プロレス凄ぇ好きだった。いつも見守ってくれると心強かったんだよな。それがね、ないんだけど、でもね天国で見ててくれるだろうって思ってさ。その一心で頑張るよ。こうやってベルト巻かせてもらってるんだ。親父にまたベルト見せたいな。いつも見せてたんだ。でもまた今日の試合で年内は絶対、俺5冠王でいたいなって思うな。普通じゃありえないことなんだけど、その普通じゃないことを俺は意地張ってやっていきたいと思います。それと、石川選手とね、俺のちっぽけなことでさ喧嘩しちゃったなぁって冷静になると思うな。こういう状況になってさ、ホント一人って気分を凄く味わった。俺もまたこう伝えたいんだけどさ、石川選手に。でも、どう言えばいいかわかんねぇな。近くに今いねぇしさ。それをどうしようかなって悩んでますよ。まだまだこれから戦いは続くんで、世界タッグだってあるんだし、最強タッグもある。まだまだ今年は暴走してやるよ! その一言に尽きるな」

――お父さんが亡くなられたのはいつ?

▼諏訪魔「9日。80歳。心筋梗塞で倒れちゃったんだけどさ、ホント周りに迷惑かけねぇで逝っちまったからさ。もっと迷惑かけてくれりゃいいんだよと思ったんだよな。思い出させないで(苦笑) 涙出てくる。これからまた頑張ります。よろしくお願いします」

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