プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

12/11【新日本】ヒロムが“素顔"のデスペ撃破でスーパージュニア制覇 10年越し“同期対決"で武道館メイン揺らす

『WORLD TAG LEAGUE 2020 & BEST OF THE SUPER Jr.27』東京・日本武道館(2020年12月11日)
「BEST OF THE SUPER Jr.27」優勝決定戦 ○高橋ヒロムvsエル・デスペラード×

 ヒロムが“素顔"のデスペラードを撃破して、2年ぶり2度目のスーパージュニア制覇。10年越しの同期対決で武道館を揺らしたヒロムは、次なる標的にSUPER J-CUP覇者との対戦を掲げた。

 史上初となるワールドタッグリーグとの同時開催となったスーパージュニア決勝は、7勝2敗で並んだヒロムとデスペラードによって争われた。約10年前、前座戦線でしのぎを削っていた同期2人が武道館のメインというシチュエーションで激突したが、試合は気持ちと気持ちがぶつかり合う壮絶な死闘となった。

 先に仕掛けたのはデスペラードだった。公式戦で勝利した時と同じように、ヒロムの左ヒザを徹底的に痛めつけて主導権。鉄柵や剥き出しになったコーナーの金具に投げつけ、場外ではボディスラムやヒザ砕きを決めるなど厳しい攻めを連発すると、ヒロムの悲鳴が何度も武道館に響いた。

 リーグ戦からの蓄積もあり、ヒザが爆発寸前のヒロムだったが、場外フェイスバスター、エプロンからの場外ミサイルキックで決死の反撃。再びヒザを狙われると苦もんしたものの、コーナーめがけてのフロントスープレックスやデスバレーボムなど大技ラッシュに打って出ると、TIME BOMBで勝負に出た。

 しかし、上手く足に絡みついて切り抜けたデスペラードはヒザ攻めの総仕上げとばかりにヌメロ・ドスに捕獲する。なんとか逃れたヒロムは起死回生のサンセットフリップパワーボムで逆転を狙うが、踏ん張りが利かずに失敗。せせら笑ったデスペラードは容赦なくパイプイスで左ヒザを殴打すると、再びヌメロ・ドスに捕らえた。

 決定的な場面だったが、ヒロムは上体を起こし、カナディアンデストロイヤーで切り返して逆襲に出る。デスペラードの金的攻撃を受けると、表情を一変させ、右ストレートパンチを一閃。デスペラードのマスクを引きちぎり、頭部を踏みつけた。すると、デスペラードは自ら残るマスクを剥ぎ取り、素顔になると、リング上はさながら同期同士の“決闘"に。

 華麗なテクニックではなく原始的な技で気持ちをぶつけ合う。ビンタ合戦になだれ込むと、互いに馬乗りになってなおも殴り合った。デスペラードがナックルパンチを叩き込めば、ヒロムも頭突きで譲らず。ケンカファイトの末に両者大の字になると、場内は大きな拍手に包まれる。

 得意技が交錯し、ラリアットも相打ちに。デスペラードは再びヒザを攻めるが、ヒロムはカウンターのトラースキックでねじ伏せる。デスペラードは必殺のピンチェロコを狙うが、それを強引に抱えあげたヒロムは、むき出しになったコーナーの金具めがけてデスバレーボムを強行。一気にTIME BOMBに繋げた。粘るデスペラードはフォールを返して場内を沸かしたものの、ヒロムは猛攻を止めず。最後はTIME BOMBIIを決めて、30分を超す死闘に終止符を打ち、2年ぶり2度目のスーパージュニア優勝を果たした。

 かつてヤングライオンとしてしのぎを削った同期2人がリーグ戦決勝で激突し、壮絶な激闘で日本武道館を揺らした。デスペラードは顔にかけられたTシャツを自ら振り払って去っていくと、場内は大きな拍手に包まれる。そんな同期にヒロムは「おい、デスペラード。お前とはこれから先も引退するまでやり続ける、そんな気がする。なあ、デスペラード。ワクワクするだろ? 今日は俺の勝ちだ。またやろうぜ?」とマイクで呼びかけた。

 スーパージュニアを制した先にあるのはIWGPジュニアヘビー級王座…というのが定石だが、ヒロムは「ひとつ、ワガママを言わせてくれ。戦いたい人間がいる。石森、俺とIWGPを懸けて…そうじゃねえんだよ。俺が戦いたい人間、石森の前にやんなきゃいけない、やらないと心がモヤモヤしてしまう、そんな相手がいるんだ。おい、アメリカ、スーパーJカップ優勝者、この俺と戦え! 答えを待ってるぞ」とアメリカで開催される「SUPER J CUP2020」(12月13日配信)の覇者に宣戦布告した。

 今年の新日本は新型コロナウイルスの影響で110日にわたり大会を休止したが、現在は第三波に襲われ、エンターテイメント業界もぐらついている。「なあ、みんな。新日本プロレスはまた困難に打ち勝たなきゃいけない時期にある。俺たちプロレスラーができることはプロレスをすることだけだ。俺たちプロレスラーが思いっきりプロレスをして、みんなに元気を与える。みんなは俺たちに拍手を送り、俺たちは元気をもらう。そういった繋がりが新日本プロレスが今までやってきたことだと思う。どんなことがこれから先にあっても、俺は今の、今この時代の新日本ジュニア、そして新日本プロレスが大好きだ!」。不安な空気を打ち消すようにそうヒロムが叫ぶと、場内は割れんばかりの拍手に包まれた。

 最後に「さあ、みんな。今生きてる人間にしか越えられない困難を、越えられない今を、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、みんなで! 楽しもうぜ!!」と締めくくったヒロム。年末興行、そして年明けの東京ドーム2連戦へと新日本マットの戦いは続いていくが、どんな状況下においても、自ら中心となり、観客に熱闘を届けていくのみだ。

【試合後のヒロム】「(※ZIMAを手に持ちながら)あれ? ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの皆さんは? 俺と『カンパーイ!』って…おいおいおいおい、いないのか? 今頃、みんなで笑いながら見てんだろうな。なんとなく想像できるよ。乾杯! (※と言って、ZIMAを飲むと)ああ、美味しい。俺の思いを聞きたいか? 長かった。ここまで来るのは長かった。きつかった、つらかった、くじけそうになった。それは事実だ。でも、何よりも楽しかった。プロレスが楽しかった。こんなに痛い思い、こんなにつらい思いしても、楽しいんだ。(※一人で拍手をして)これで頑張れたんだ。これが気持ちいいんだ。このために頑張ってんだ。あとは何もいらない。俺たちも、俺たちプロレスラーのほうが力もらってる。そう凄く感じたシリーズだった。だから早く、こんな、こんなクソみたいな! こんなクソみたいなコロナ、早く乗り越えなきゃいけないんだ! 相手がデスペラードで良かった。俺も感情の浮き沈みが激しいから、嫌いだって言ったり、好きかもしれない、別にって言ったり、忙しいかもしんない。でも、今の感情は限りなく好きに近いぞ、デスペラード。俺はお前と一生やり合い続けたい。本気でそう思った。でも、この関係は本当に脆いもので、凄い薄いガラス細工をポンと投げたら割れてしまうような、そんな関係なんだ。いや、卵かな? ガラス細工は少し言い過ぎたかもしれない。卵、卵でいいか。いや、ここはガラス細工でいいな。そんな関係なんだ。でも、そんな関係だからこそ、本当に面白い。本当にずっとやっていたい。ずっとやり合っていたい。そういうふうに思えるのかもしれない。そんな中で、俺が今日『BEST OF THE SUPER Jr. 27』を優勝できたのは、本当に嬉しい。おかげで次の標的がいる。『SUPER J-CUP』優勝者、この俺とやれ。もう一度言うぞ。『SUPER J-CUP』、誰が優勝したかわからない。明日放送するんだろ? 楽しみに見とく。さあ、何が聞いたいですか?」

──ジュニア最高峰の戦いを見せた。今、どんな思いがある?

▼ヒロム「はい? 思いが? え? 俺、今その思いを凄い伝えたつもりなんですけど、これ以上の思いが、これ以上の思いが聞きたいですか? これ以上の思いを言ってしまうと、俺は人間上、盛ってしまう癖がある。盛ってしまうかもしれない。でも、俺がさっき言ったことは盛ったことではなく本心だ。だから、さっき以上の感情なんて存在しない。それでも聞きたいのであれば、俺は言う。どうする?」

──十分に伝わった

▼ヒロム「OKです」

──今日30分を超える激闘でもの凄い拍手が起こった。それをどういうふうに感じた?

▼ヒロム「いや、あれ? 俺、さっきそれも言いませんでしたか? 拍手の関係もさっき言ったと思うんですよ。聞いてましたか? 俺はそれ以上の言葉はないですよ。俺は全て伝えました。拍手のこともその件に関しても全て、俺はこの拍手からもの凄いエネルギーをもらってる! それは本心だ。それ以上のことを聞きたいのであれば、俺は盛ってしまう。それでも聞きたいか?」

──全て伝わった

▼ヒロム「よし」

──これだけの戦い、やはりデスペラード選手だからこその戦いだった?

▼ヒロム「もちろん。相手がデスペラードじゃなかったからとかっていう想像はできないから、ハッキリしたことは言えないけど、俺は本当にデスペラードで良かったと思う。興奮して、ムカついて、マスク破いたら、あいつの素顔が見えたよ。あいつの全てがわかった。あいつが何者なのか、ここで言ってやるよ。あいつはエル・デスペラードだ。それ以外の誰でもない。エル・デスペラード、俺が引退するまできっと戦い続けるであろう、現時点で最高の相手かもしれない」

──『SUPER J-CUP』優勝者の名前も出したが、この先の戦いに何を描いている?

▼ヒロム「まあ、リング上で石森、IWGPジュニアヘビー級チャンピオンの石森の名前を呼ぶことは簡単だ。でも、俺の中でそれはモヤモヤしてしまう何かが残ってしまうかもしれない。だから、アメリカでもジュニアが盛り上がってるはずだ。アメリカの人間たちがジュニアを盛り上げてくれてるんだ。だったら、単純な話、どちらが強いのか? 『BEST OF THE SUPER Jr. 27』優勝者が強いのか? 『SUPER J-CUP』優勝者が強いのか? 単純に、単純な話だ。1vs1でやり合おう。それだけだ。それじゃないと、俺の心がモヤモヤしてしまう」

──リング上で「今のジュニアの最高の戦い」と言っていた。これから先どんなふうに戦っていく?

▼ヒロム「どうだろうな? 俺はこんなもんじゃ満足いかねえぞ。俺はジュニアの顔? そんなもんじゃねえ。ジュニアの顔以上を目指してんだ。それで満足できるか? 俺は新日本プロレスで一番になる。ジュニアをさらに上まで上げる。誰も行けなかった位置まで、俺は行ってやるんだ。俺の決意は固いぞ。誰がなんと言おうと、俺は諦めない。何があろうと、俺は諦めない。そうやって今まで戦い続けてきた。そうやって夢見てきたんだよ。(※帰り際に)あっしたー!」

【デスペラードの話】「(※ヤングライオンに肩を借りながらコメントブースにやって来て、倒れ込みながら)チクショウ…。(※立ち上がって)俺の同期、最強だろう? でもな、リング上にはな、高橋ヒロムとエル・デスペラードしかいなかったよ、今日は」

プロ格 情報局