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1/4【新日本/東京ドーム】棚橋がオーカーン返り討ち 「残りのキャリアでもう一回プロレス盛り上げる」

『バルサン Presents WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム』東京ドーム(2021年1月4日)
○棚橋弘至vsグレート-O-カーン×

 棚橋がオーカーンを返り討ちにし、快勝で2021年を幕開け。「残りのキャリアでベルトを狙うのはもちろんなんだけど、もう一回プロレスを盛り上げます」と悲壮感を漂わせながら決意した。

 昨年末のWORLD TAG LEAGUEで因縁が生まれた棚橋とオーカーンの遺恨対決が新春のドーム大会で組まれた。オーカーンはパイプイス攻撃を何度も敢行して棚橋のヒザを破壊。一方、「怖い棚橋先輩が教えてやる」と宣言していた逸材も昨年最終戦でイス攻撃で逆襲し、波乱ムードを抱えたまま当日を迎えた。

 先手を取ったのはオーカーン。ヒザ十字固めで絞め上げるなど左足攻めを展開したが、しのいだ棚橋もドラゴンスクリューで反撃ののろしを上げて譲らない。フライングフォーアームを3連発して拍手を誘い、ダイビングサマーソルトドロップで攻め立てたが、オーカーンはスリングブレイド狙いをキャッチしてフェースバスターで叩きつけた。

 それでも棚橋はエルボー合戦に持ち込んで張り手で競り勝ったが、オーカーンは地獄突き、二段式フロントハイキックで返り討ち。奇声とともにモンゴリアンチョップを連発し、ヒザ固めで捕らえ、再び左足攻めに。耐えた棚橋はモンゴリアンチョップをことごとく張り手で阻止し、ツイストアンドシャウト、スリングブレイドと得意技を連発した。

 だが、ハイフライフローを狙ってコーナーに上がったところをオーカーンが捕まえ、コブラツイストで捕獲。一回転式バックドロップで弧を描いて叩きつけ、リバースブレーンバスターを敢行。エリミネーターの構えに入ってピンチを迎えた棚橋だったが、決めさせない。ツイストアンドシャウトで動きを止め、オーカーンが持ち込んだイスを手にしたものの使わず投げ捨てた。あくまでも正攻法を貫く棚橋はドラゴンスープレックスで追い討ちをかけると、ハイフライフローを連射して3カウントを奪った。

 オーカーンを返り討ちにした棚橋が2021年を快勝でスタート。エース復権が期待されるところで、この日の勝利はその足がかりとなるかもしれない。が、逸材は現在44歳。キャリアも昨年10月で21周年を数えた。「残酷な話、選手としてのピークは過ぎてるかもしれない」と自ら認めた棚橋は「残りのキャリアでベルトを狙うのはもちろんなんだけど、もう一回プロレスを盛り上げます」と涙声で誓った。

 最前線で戦い続けられる時間がどれほど残されているかはわからない。だからこそ棚橋は「それが今までプロレスでたくさん……たくさん応援してもらった俺の最後の……最後って言いたくないけど、俺の仕事」と言葉に詰まりながらも悲壮な決意を口にしていた。

【試合後の棚橋】
▼棚橋「はい! ありがとうございました!」

──今日は新たなコスチュームで試合に臨みましたけど、その新たなコスチュームに込めた思いを聞かせてもらっていいですか?

▼棚橋「派手に行きたいなと。いろいろね、こういう状況の中でどっか行けなかったり、好きなもん食えなかったりっていうのがあるから、僕の格好だけでも派手でいいんじゃないかと、そういう思いがありましたね」

──そして、東京ドームでシングルの舞台。相手はオーカーン選手でしたけども、戦ってみての改めて気持ちっていうのはいかがですか?

▼棚橋「ああ、強いっすよ。何が強いかって、見ての通り、凱旋帰国っていうのはプロレスラーにとっては華なんですよ。マスター・ワトもそうだし、オーカーンもそうだし、本来であれば凱旋帰国=華々しく活躍するっていうね、思いがあって海外に行ってたと思うんですよね。それがこういう状況の中で悔しいだろうなって。相手のことだけど、相当悔しいだろうなと。でも、オカダ・カズチカの凱旋が一つの形であれば、オーカーンはオーカーンなりの爪痕を今しっかり残している最中だから。今日はたまたま勝ったけど、今のIWGPインターコンチ戦線にいる選手。新日本プロレスは今、選手が充実してきてますよ」

──前哨戦でかなりヒザをやられていましたけど、今日はパイプイスを持って、でも攻撃しなかった。あの時の葛藤はどうだったんですか?

▼棚橋「ファンの思いを乗せたかったんですけど、僕ね、自分の一番短所だと思うんですけど、怒りの持続力がないんですよ。もう昨年末のことじゃないですか? それだったらば、ドームで最高のパフォーマンスを見せるっていうほうに僕のエネルギーが注がれてしまうんで。ただね、まだね、彼との戦いは続いていきますよ。そんな気がします」

──試合前にプロレスがこの状況の中でできることに感謝したいというお話がありましたけども、改めてこの環境の中で東京ドームで戦ったレスラーとしての思いっていうのはどうですか?

▼棚橋「東京ドームのメインイベントを何回も経験してきて、昨年もイッテンヨン、イッテンゴと満員がついて、さあいよいよこっからだって。選手としてのね……残酷な話、選手としてのピークは過ぎてるかもしれない。けど、もう一度! もう一度っていう思いがあった中でのこういう状況で、本当にどうしようかなと思ったんですよ。新日本プロレスをね、もう一度盛り上げて復活させてきたって皆さんに言ってもらえるので、残りのキャリアでベルトを狙うのはもちろんなんだけど、もう一回プロレスを盛り上げます。残りのキャリア全部使ってでも。それが今までプロレスで(徐々に涙声になり)たくさん……たくさん応援してもらった俺の最後の……最後って言いたくないけど、俺の仕事だと思います」

──こういう環境で大きな声で叫べないような状況ですけど、ファンは棚橋さんのあの一言をいつか聞きたいと思っていた方がたくさんいると思うんですよね。そのファンの方に最後メッセージをいただけたらと思います。

▼棚橋「まずはプロレスファンの皆さん、日々の生活に気をつけて。本当に行きたくても行けない状況っていうのはあると思うし、それは僕も理解しているし、だからこそ、そういう方にももちろん感謝の気持ちを持っているし、今日来てくれたファンの方々にももちろん感謝の気持ちでいっぱいだし。ただ絶対に、絶対にプロレスはなくさないから。(涙で声を詰まらせながら)状況が落ち着いたら、たまにはプロレス会場に遊びに来てください。そう思います。以上です。(立ち上がって)最後はカッコ良くポーズ写真でも撮りますか。せっかく髪型もやってきたし、体も絞ったし。(撮影が終わると)絶対もう一回おもしろくするから」


【オーカーンの話】「(腹を押さえながらコメントブースに現れてテーブルの前でマイクを握り、息を切らしながら)ああ……負け犬に……語る言葉は……ねえんだけど……(座り込んで)あいつとさ……あいつの……なんだろう? 教えとかがよ、ねえわけじゃねえんだよ。帝国の侵略は止まんねえよ。(立ち上がって)あいつと一緒だよ(と言って、マイクを叩きつけて退場)」

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