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1/5【新日本】ドームに後光…飯伏「本当の神になった!」 48分激闘で二冠死守、SANADA迎撃へ

『バルサン Presents WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム』東京ドーム(2021年1月5日)
IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタルダブル選手権試合 ○飯伏幸太vsジェイ・ホワイト×

 飯伏が48分超えの激闘の末にジェイを下して二冠死守。ドーム2連戦のメインで連勝を飾り、「本当の神になった!」と絶叫した飯伏が2本のベルトを掲げると、その背中に後光が差した。

 前日の東京ドームメインで内藤哲也を撃破し、悲願の二冠獲りを果たした飯伏が、2日目のメインで因縁のジェイを迎え撃った。昨年のG1を制し、二冠挑戦権利証を獲得した飯伏だったが、11・7大坂でジェイに敗戦。史上初めて権利証が奪われるという屈辱を受けていた。そんなジェイと今度は王者として激突。「ジェイに勝って本当の神になる」と意気込んでいたが、昨年シングル3連敗を喫した天敵との一戦は壮絶を極めた。

 前日に31分を超す激闘を戦い抜いた飯伏に対し、ジェイは試合に出場せず、万全の状態で当日を迎えた。ジェイは序盤からセコンドの外道に介入させて揺さぶりをかけると、のらりくらりとスカしつつ、余裕の試合運びを展開。執ような腹部攻めに着手し、完全に試合を掌握した。さらに、飯伏が内藤戦で痛めた右足もいたぶり、一方的な展開が続く。

 いいところなく長時間攻め込まれた飯伏だったが、気持ちは折れず、ハーフネルソンスープレックスでようやく反撃に移る。大技が何度も交錯すると、ジェイは間隙を突いてロープに足をかけての逆さ押さえ込みで大阪の再現を狙うが、海野レフェリーが気付いてカウントをストップ。抗議するジェイの側頭部を飯伏はバズソーキックで蹴り飛ばした。

 外道の介入にあうと、厳しい右ヒザ攻めに苦しむが、ジェイが顔面にストンピングを連発してくると、飯伏は表情を一変させ、ブチ切れモードに。これでもかと掌底やサッカーボールキックを乱射し、「来いよ、オラ!」と何度も絶叫。ジェイが立ち上がってくるたびに高速エルボーでねじ伏せ、馬乗りになってのナックルパンチでメッタ打ちにした。

 ジェイもスキを突いて金的攻撃を放つと、怒とうの追い上げを見せたものの、飯伏はここ一番で見せる荒技・スワンダイブジャーマンで叩き潰し、シットダウン式ラストライドもさく裂する。ジェイは猛抵抗に出たものの、ブレードランナーを逆さ押さえ込みで切り返した飯伏は、流れるようにカミゴェを一閃。フェニックススプラッシュも完璧に決まると、飯伏はフォールしながら舌を出して、勝利を確信した。

 しかし、外道が海野レフェリーの足を引っ張ってカウントを妨害。飯伏は乱入した外道をカミゴェで返り討ちにしたものの、その間に息を吹き返したジェイは起死回生のブレードランナーを繰り出す。ギリギリで肩を上げたものの飯伏は一転して大ピンチに。リング中央に引きずり込まれ、変型裏足4の字固めで再びヒザを攻められるとたまらず悲鳴。ギブアップ寸前まで追い詰められた。

 それでも客席から発生した手拍子を力に変えて、耐えに耐えてロープに逃れた飯伏は、ジェイの大技ラッシュに飲み込まれそうになったものの、起死回生の飛びヒザ蹴りをぶち込む。ジェイが最後の抵抗を見せても不敵な笑みを浮かべ、ヒザ蹴りやラリアットで鎮圧。最後は初公開となる延髄への裏カミゴェから、生ヒザ式のカミゴェに繋げて、48分超えの死闘に終止符を打った。

 苦しい戦いを乗り越えて、飯伏が二冠V1。史上初めて東京ドーム2連戦のメインで連勝を挙げ、プロレス界に残る伝説を生み出した。そんな飯伏の前に現れたのがスーツ姿のSANADAだ。飯伏とSANADAは昨年のG1決勝で対戦。飯伏が勝利したものの、SANADAが仕掛けたオコーナーブリッジは微妙なカウントだっただけに、飯伏には悔いが残っていた。

 SANADAは「チャンピオン、こんな時だからこそプロレス界の希望となるSANADAからの挑戦表明というギフトを受け取っていただけますか?」と挑戦表明。飯伏は「SANADAさん、僕はG1の時、決勝戦以来になりますよね。僕はあの時、負けていた。それは認めます。でも今、僕が持っているのはこの2つのIWGPインターコンチとIWGPヘビー級のベルト。“最強"と“最高"のベルトが今、僕の手元にあります。僕もSANADAさんともっと試合したい。よろしく」と受諾すると握手を交わし、両者の対戦が決定的になった。

 2日連続の激闘で体はボロボロだが、飯伏の表情は晴れやかだった。最後には「僕はいつも言っている言葉があるのはわかりますよね。逃げない、負けない、諦めない。そして、絶対裏切らない。そして…本当の神になった!」と観客の前で高らかに宣言。最高の形で東京ドーム2連戦を締めくくった。

 達成感や感謝が折り混ざったような万感の表情でリング周りを一周した飯伏。感慨深げに花道を下がってステージ上から客席を振り返ると、いかずちのような花火がさく裂。と同時に二本のベルトを掲げる飯伏に“後光"が差した。

 バックステージでは「“最高"のベルト、インターコンチのベルトと、“最強"のベルト、IWGPヘビー級のベルト、これを一つにしたい。僕は“最高"も“最強"もほしいし、誰もインターコンチだけ挑戦したり、IWGPヘビーだけ挑戦したりしてない。じゃあ何の存在意義があるんですか、二冠に。僕はこれを一つにしたいと思います」と二冠統一を希望するなど早くも王者として動き出した飯伏。ずっと「神になる」と言い続けたゴールデン☆スターがついに「本当の神」となり、2021年の新日本マットを明るく照らす。

【試合後の飯伏】
▼飯伏「(※2本のベルトを腰の前に抱え、ややフラついた足取りでインタビュースペースにたどり着くと、うつむいて何度か深くため息をついた後に)本当に……本当に長かった。本当に何もかも重い。この2つのベルト、やっと重さが分かりました。ベルトの重さじゃなくて、価値の重さ。僕は昨日、『言いたいことがある』って言いました。もう一つだけ言いたいことがあります。この“最高"のベルト、インターコンチのベルトと、“最強"のベルト、IWGPヘビー級のベルト、これを一つにしたい。僕は“最高"も“最強"もほしいし、誰もインターコンチだけ挑戦したり、IWGPヘビーだけ挑戦したりしてない。じゃあ何の存在意義があるんですか、二冠に。僕はこれを一つにしたいと思います。そして、本当の夢を叶えたいと思います。ここからプロレスはどんどん広がると思います。広めるために僕は一つに統一したい。防衛ロードも長いのは分かりますよ。最高、13回ですか。(※報道陣から「12」の声)12ですか。じゃあ僕は13を目指して頑張ります。まだまだその先もあるので」

──リング上で「神になった」と言ったが、いろんな思いがこみ上げてきたのでは?

▼飯伏「僕はプロレスごっこから始めて26年ですかね、小学校5年生から、本当にプロレス、本気のプロレスをやってきたんで。26年。やっとこのベルトが自分の手に入ったと思うと、本当にうれしいですね。名前も刻まれてます」

──中学卒業時、新日本プロレスの入門テストを受けると言ったら、お母さんに泣かれて反対されたそうですが、チャンピオンになって、お母さんにどんな言葉で報告を?

▼飯伏「『あの時の言葉を、僕は裏切らなかったよ』って。夢が叶いました」

──「本当の夢」とは?

▼飯伏「僕の本当の夢は、プロレスを本当に世界一の競技にしたい。やっぱり野球、サッカー、これには勝てない。他にも勝てないものがあるので、ジャンルを超えた部分まで行きたいですね」

──今日はその一歩になったと?

▼飯伏「自分はそう思います」

──48分5秒は東京ドームのメインの最長時間。何が飯伏選手を支えた?

▼飯伏「逃げない、負けない、諦めない。これからもそれは変わらないです」

──ジェイ選手に対して言いたいことは?

▼飯伏「彼のことを僕はプロレスラーとしては絶対に認めてるんで、何回でもやりたいですね。何度でも。一緒にプロレス広めようよと。敵だけど。相手がいないとプロレスは成り立たないんで。何回でもやりますよ」

──リング上にやってきたSANADA選手については?

▼飯伏「彼のことも、僕は認めてるんで。いつでも挑戦、大丈夫です。いつでもいいですよ。今日でもいいです。今からでも」

──まだ動けますか?

▼飯伏「……動けます!」

──やっぱり神ですね。

▼飯伏「神になりましたから」

──改めてチャンピオンとしての気持ちを。

▼飯伏「2つのベルトを手に入れたからには、発言力が増したと思うので、もっともっといろんなところで、いろんな場所で、プロレスをやっていきたいと思います。広めるのが僕の仕事だと思ってるんで。プロレスのベルトがほしい。ま、それもありますけど、ベルトを獲ったことによって発言力が増すと思ってるので。プロレスをどんどん広めていきます。それはこれから分かると思います」

──その熱い気持ちで、世界を明るくしてください。

▼飯伏「はい、どんどん明るくします」

──次のタイトルマッチはどういう形にしたいですか?

▼飯伏「どういうルールでもいいし、一つになるんであれば……出来上がってるものであれば、それに挑戦したいし、2つのベルトを懸けたいんであれば、2つのベルトを懸けるし。逆にインターコンチだけ懸けたいのであればインターコンチだけ。IWGPヘビー級だけだったらIWGPヘビー級だけ。何でもいいです。プロレスが広まるならば何でもいいです。何でもやります」

──昨日のリング上で、内藤選手からの言葉は何だった?

▼飯伏「最後の最後ですか。全〜然覚えてません」

──どうやって締め括りましょうか。

▼飯伏「何でも大丈夫ですよ。ホントにプロレスを広めるってことだけ、僕は思い続けてきたんで。これからも、この2つのベルトを一つにして。できますよね? できないんですか? できますよね? できます! じゃあこの2つのベルトを一つにして、どんどんプロレスを広めていきますよ。もう4回ぐらい言ってますね、僕」

──今回2日間、お客さんが声が出せない状況の中、お客さんの応援はどうでしたか?

▼飯伏「応援もそうですけど、本当に僕はお客さんがいないところで……無観客試合というのは新日本プロレスでも経験してるんですけど、本当にいないところでやったことが何度もあるので、関係ないですね。プロレスを今見てる人、その人たちももちろん大切です。でも、画面越しに見てる人もたくさんいるので、そちらの方にも向けて、僕はプロレスを発信したいです」


【ジェイの話】「(※フラついた足取りでインタビュースペースに向かう途中、一度手前の机にもたれかかり、何とか立ち上がると)誰も助けてくれないのか? (※振り返るが、外道はおらず、またフラフラとインタビュースペースに着席し)今現在、俺の体は今までで一番“死"に近い状態にある。もうこんなことはこりごりだ。俺は全てを懸けてここに来た。お前のためじゃない。俺自身のためにしたかったから、そうしたんだ。リングに上がり戦うことは、お前のためのエンターテインメントじゃなかったはずだ。なのに俺は今、歩くこともままならない。そして(※報道陣を指して)お前ら、お前も、お前も、自分の2本の足で立ち、俺のことを睨んでいた。お前らは、俺が歩くこともままならないまま、この席に着いたことをどう思ってるんだ? せいぜい楽しんでるんだろうな。ここまでやってきたこと全てを踏まえてみれば、もう少しリスペクトしてくれてもいいんじゃないか? もう少し俺に共感してくれてもよかったんじゃないか? なのにお前らは、こんなに傷ついた俺を見て、手助けが必要な人間を見て、そんな風に笑うのか? お前らは本当に俺のことが見えてるのか? ここにたどり着くまで俺自身、何も疑問に思わず、やるべきことは全てやってきた。お前らは『スイッチブレード・ジェイ・ホワイト』の話を聞きたいんだろうが、申し訳ない。今話しているのは(※本名の)ジェイミーだ。全てを犠牲にし、ニュージーランドを出て、もう3年半、両親にも会ってない。(※以下、泣き声で頭を抱えたり、突然大声になって叫ぶなど、不安定な状態に)それだけの時間をかけて、俺は自分自身をプロレスに捧げてきたんだ! 自分を信じて、自分に何ができるか、心の中、頭の中で分かっていることを体現したつもりだった! でもそんな信念なんて、儚く崩れやがった! 今こそ自分の時間、自分の運命を生きる時だと思っていた。もうすぐ神になれたはずだったのに! 全部間違ってたんだ! そんな姿を見てお前ら、楽しいだろう? 俺は間違ってたんだ! (※声を上げて泣く)去年もそうだった。そして今年も、俺に対する答えはノー。“NEW ERA"、新時代なんて全然来てなかったんだ。(※泣きながら笑う)どうだ、お前ら、それを聞いて満足か? 俺は日本に来て、俺の大事な時間を無駄にしてしまったんだ! パンデミックもあったしな! 全部犠牲にした! (※何度も机を叩きながら)犠牲、犠牲、犠牲! ついに『WRESTLE KINGDOM』のメインに出ても、結果は残せなかった! それどころか今はどん底だ! 自分が捧げてきたもの、犠牲にしたものは何だったんだ? 俺はそんなに価値のない男だったのか? なぜ俺はここにいるんだ? もうやめる! やめてやるよ! もうこんなものに価値はない! クソッ! クソッ!(※と、目の前の机を2つとも蹴り飛ばすと、イスごと床に崩れ落ち、足を投げ出して床に座り込む) もう無理だ。もうやりたくない。明日だってどうなるか分からない。契約上は出場することになっているが、どうなるかなんて分からない。どうせお前らは俺の惨めな姿を見るのが好きだから、明日も楽しみだろう? だが、もうやりたくない。8年間頑張ってきたが、もう無理だ。負けて惨めな姿を明日も晒すかもしれないが、それ以降のことはもう何も言えない。(※床に座り込んだまま)おい、助けてくれ! おい! (※スタッフが駆け寄り、肩を貸して控室へ連れて行く)」

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