2/19【大日本】塚本がノーキャンバス戦で奮闘・星野返り討ち デスマッチ王者として一騎当千へ

東京・後楽園ホール(2021年2月19日)
BJW認定デスマッチヘビー級選手権試合 〇塚本拓海vs星野勘九郎×

　塚本がノーキャンバスハードウェポンデスマッチで奮戦をみせた星野を返り討ちにし、デスマッチ王座初防衛。史上初となる王者としての一騎当千出場を決め、「チャンピオンとして出るからには一つ一つが防衛戦のつもりで」とリーグ戦への覚悟を示しつつ全勝優勝を見据えた。

　1・2後楽園大会で涙のデスマッチ王座初戴冠を果たした塚本。一騎当千を目前に控え、星野を迎え撃っての初防衛戦に臨んだ。形式はノーキャンバスハードウェポンデスマッチ。セミファイナル終了後、リングからキャンバスとマットが取り除かれ、板がむき出しとなった。

　となると投げ技の威力が通常よりも倍加する。塚本はショルダータックルでなぎ倒して星野に悲鳴を上げさせた。コンクリートブロックにセントーンを決めて気合を入れた星野はラダーによる力比べを制し、塚本を有刺鉄線ボードに激突させた。その後もブロック攻撃で追撃した星野だったが、勘九郎カッターが不発に終わり、王者ペースに。缶のフタで何度も殴打した塚本は有刺鉄線ボードめがけてボディスラムで投げ捨てた。

　生月スプラッシュをブロックへの自爆に終わらせた星野はランニングネックブリーカーで逆襲。ブロックを乗せてのセントーンを投下し、鉄階段やイスを重ね、パイルドライバーの構えに入ったが、これは塚本がリバース。星野は鉄階段とイスの上に落下してしまった。

　ここから塚本が猛攻に出る。串刺しトラースキックを見舞い、ラダーで星野のノド元を一撃。星野の首にラダーをひっかけてコーナー上から叩き落としたり、ラダーへのブレーンバスターを敢行したりと荒技を連発した。

　粘る星野も一斗缶やコンクリートブロックへの勘九郎カッターで逆襲し、極道クラッチで勝負に出たが、塚本は3カウントを許さない。ダイビングセントーンを狙ってコーナーに上がったところをラダーで阻止し、一斗缶攻撃、ランニングずどんでたたみかける。最後は星野の背中に鉄階段を押し当てての逆エビ固めでギブアップさせた。

　星野の粘りを振り切った塚本がデスマッチ王座初防衛を果たした。試合後、「クソ痛ぇな。星野勘九郎、御年46歳ですか。素晴らしい頑丈な体してますね」と称えると、星野は「塚ちゃんを入門した時から知ってるけど、もう別人だな。ホント、めちゃめちゃ強いよ。今日負けたってことは俺の精進がまだ足りないってこと」と完敗を認めた。一方で一騎当千を見据え、「まだそこにもチャンスあるんじゃないですか自分。じゃあ、そこで優勝して、またお前の前に帰ってくるからな。覚えとけ」と早期再挑戦を誓った。

　すると塚本は「このタイトルマッチもベテランの思い出作りの記念試合なんかじゃないから。ああいう威勢あるの、体力、技術あるの素晴らしいと思います。だけど今日は俺の方がGショックだった」と星野を認めつつ勝ち誇った。

　これで3・3新木場で開幕する一騎当千にデスマッチ王者として臨むことになった。「3月から一騎当千始まります。もちろん私もチャンピオンとして出場します。チャンピオンとして出場するということは、すべて負けられない」と全勝Vを見据えた塚本は「優勝はもちろんですけど、このデスマッチ一騎当千を面白くひっかき回したいと思います」と誓って締めた。

　意外にもデスマッチ王者の一騎当千出場は初めて。「チャンピオンとして出るからには一つ一つが防衛戦のつもりで戦わないといけない」と気を引き締めた塚本は「もちろん、これは俺が優勝しないといけない」と強調。「もちろん優勝して、その中でやる気のある人間が挑戦してくればいい」とデスマッチ初の王者による優勝を成し遂げ、挑戦者の出現を待つ構えをみせていた。

【試合後の塚本】
▼塚本「45歳の星野勘九郎はちゃんとGショックだったっていうのはわかったんで。でもまだまだしっくりきてません。俺が勝ったからね。しっくりくるのはあの人が勝った時じゃないですかね。チャンピオンなんで好きなこと言わせてもらいますよ。ひとつ星野勘九郎が凄いなと思ったのが、リング上でも言いましたけど、あの年であれだけ頑丈な体してる。アラフィフあんまいないと思うんで。ちゃんと毎朝早く起きて、練習して、ジム行って、仕事して、プロレスのこと考えて、デスマッチのこと考えてやってる45歳、素晴らしいと思いますよ。ただ、まだまだ僕の方が今日は体が硬かった。Gショックに打ち勝った。僕がまだまだ強いってことですよね。試合後に一騎当千、必ず優勝してお前の前に立ってやると。月並みな言い方かもしれないけど、そういう言葉がないと人って上がっていかないと思うし、星野勘九郎も多少、体がきつくなってるかもしれないけど、自分に言い聞かせて、自分の体を奮い立たせてると思うんで、いい年の取り方してるんじゃないですかね。キャリアの積み方。ぐらいしかほめるとこないですけどね。ほめなくてもいいんですけどね(笑)」

――デスマッチ王者としての戦いをやってみて?

▼塚本「今後この防衛していくにあたって、今昨今、話題になってる蛍光灯ということもあるんですけど、自分のプロレスの型とデスマッチの型っていうのは人それぞれもちろん持ってるものだし、星野勘九郎に一つの型というのがあるとすれば、Gショックなわけで。我々クレイジー・ラヴァーズでやってて、ある意味、我々の型っていうのは蛍光灯だったかもしれないですね。だけど今日、蛍光灯がなくても、お客さんがどう思ったかは、それは別としても、しっかり勝てるというところを見せつけられたかなと思うんで。今後、一騎当千も始まりますし、そういうところで自分の型を崩さずに、自分のデスマッチ道を突き進んでいきたいと思います」

ーー今日の形式にやりづらさはあった?

▼塚本「つらさは凄いですね。今はアドレナリン出てるんで、試合中とかは凄い痛みがあります。僕もちょっとそこらへんおかしいんでしょうね。快感に感じるところもあったんで。もっとくれよってところもちょっとあったんでね(苦笑) そういう意味でも今日の試合は過酷でもあり、過酷さの中にキチ〇イじみたうれしさっていうか、そういうものがあったんで。あんまり経験することがない、ノーキャンパスって。めんどくさいし、痛いし。でも、ひとつのタイトルマッチの形式としては消化できたんじゃないかなと思いますね」

ーー一騎当千へ向けては?

▼塚本「チャンピオンとして出場するのは僕が初めてってことをあとから聞いて知ったって感じなんですけど、思い返せば、あぁ、そうだなって感じなんで。チャンピオンとして出るからには一つ一つが防衛戦のつもりで戦わないといけないというのはもちろん頭の中にありますし、シングルなんで、そこで負けたらチャンピオンとしてどうなのかな?ってとこも生まれてくると思うんで。ある意味、一騎当千に出場するメンバーに関していえば、チャンスがいっぱい転がってるってことだと思うんで。ただ、そう簡単にそんなチャンスはつかませませんよって感じなんで。それを楽しみにしてる部分ではありますね。過酷ではありますけど、その中で楽しみが何個もあるんで。あとは初出場の選手もチラホラいるんで、一騎当千、デスマッチのつらさ、大変さとか、プロレスにないもの、通常ルールにないもの、デスマッチで味わえる独特の痛みとか、そういうものを経験して、これ、やんなきゃよかったなと思うかもしれないし、俺はこれでのし上がっていくんだって、二つに分かれる、ある意味、一騎当千って素晴らしい意味のある大会だと思うんで。その中で一番強い人が決まるんで。もちろん、これは俺が優勝しないといけないと思ってます。負けられないんで、もちろん優勝して、その中でやる気のある人間が挑戦してくればいいと思ってますね。自分らしく生きていきます。大変な状況ですけど、自分のプロレス、デスマッチの道っていうのをオリジナルを追求するというか、自分らしさで戦っていきたいと思います。ストロング部門でも突き進んで、デスマッチでも突き進んで。人生の中でこれほどチャンス、こんな大きいチャンスないと思うんで、自分なりに人間としても大きく成長する場だと思うんで、これをうまく利用して戦っていきたいと思います。ゴーのゴーだぜ」

【試合後の星野、兵頭】
▼兵頭「大丈夫ですか?」

▼星野「負けた。まだね、精進が足らないってことですよ。その差が今日出たんじゃないですかね。だって俺の手は全部尽くした。セントーンも返された、極道クラッチも返された。別人の塚本だよ。俺はあいつが入って来た時から知ってるけど、本当に悔しいけど、完全に完敗。でもはっきり言って試合は本当に…負けてこんなこと言うのも何だけど、凄ぇ試合できたかなと思います」

▼兵頭「最高にかっこよかったです。でも星野さんらしくないです、試合終わって、まだまだこれからって言って、特訓だ!って言ってるのが星野さんじゃないですか」

▼星野「そうだな」

▼兵頭「僕も一緒に協力するんで、一緒に高み目指しましょうよ」

▼星野「じゃあ有言実行だな。じゃあ、力残ってないけど、お前、こいよ。特訓だ(とその場で仰向けに倒れる)」

▼兵頭「いきますよ。見ててください。これがGショックセントーンです。気合です星野さん! いきます!」

※兵頭が星野にセントーン

▼星野「(立ち上がりながら)よっしゃ、次だ次。一騎当千もあるし、というわけで、いくぞ、いくぞ」