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2/28【新日本】飯伏がIC死守、内藤返り討ちで二冠統一へ前進 3・4武道館でデスペ迎撃へ

『CASTLE ATTACK』大阪城ホール(2021年2月28日)
IWGPインターコンチネンタル選手権試合 ○飯伏幸太vs内藤哲也×

 内藤の厳しいヒザ攻めに苦しみながらも、最後は生ヒザ式のカミゴェで返り討ちにして、飯伏がIWGPインターコンチネンタル(IC)王座を死守。二冠統一に向けて一歩前進した。試合後、今大会でIWGPジュニア王座初戴冠を果たしたエル・デスペラードが対戦を要求し、3・4日本武道館大会での対戦が決定的となった。

 IWGPヘビー級王座とIC王座を同時に保持する飯伏は二冠統一構想をぶち上げたが、それに待ったかけたのが前王者の内藤。統一を阻止すべく、あえてIC王座のみへの挑戦をアピールし、大阪城ホール2連戦・2日目のメインで激突した。

 内藤は右ヒザ負傷で4大会を欠場。直前の2・25後楽園大会で復帰したばかりだったが、逆に飯伏の左ヒザを狙い撃ちにした。ポップアップ式の低空ドロップキックを皮切りに非情な一点集中攻撃を長時間にわたって展開。飯伏の反撃はことごとく単発に終わり、内藤が一方的に畳みかける。ヒザのみならず、デスティーノに繋げるため、首狙いにシフト。内藤の時間が延々と続いた。

 15分経過直後に、飯伏は投げ捨てジャーマンで一矢報いたものの、内藤は止まらず。スイング式DDTからヒザへの関節蹴り、後頭部へのバックエルボーを乱射。飯伏の目がうつろとなり、力なくロープに倒れ込むと、内藤は躊躇なくエスペランサ(飛びつき前方回転リバースDDT)、グロリアと大技を連発した。

 さらに、雪崩式リバースフランケンを仕掛けるが、股の間を抜けて不時着した飯伏は、内藤を顔面からコーナーパッドに激突させてようやく反撃へ。こん身のミドルキックで蹴り倒すと、急角度のスワンダイブジャーマンでぶっこ抜いた。ボマイェ、シットダウン式ラストライドと得意技で一気呵成に攻め込むとカミゴェへ。しかし、かいくぐった内藤はバレンティアでマットに突き刺し、両者大の字に。

 内藤は後頭部にバックエルボーを執ように乱射する。沈まない飯伏がフルスイングでラリアットを振り抜いたものの、内藤は再びカミゴェを回避し、延髄斬りからコリエンド式デスティーノを繰り出した。雄叫びを上げると、正調デスティーノの体勢に。

 体を抱え上げて防いだ飯伏は、背後に不時着を許すも、走り込んできた内藤に、カウンターの右ハイキックを一閃。さらに、飛びヒザ蹴り、リバースカミゴェと畳みかけた。粘る内藤は腕を巻き込んで丸め込んだものの、キックアウトした瞬間、両腕を捕獲した飯伏はついにカミゴェを顔面にズバリ。最後は生ヒザ式カミゴェをぶち込んで熱戦に終止符を打った。

 激しい舌戦を繰り広げた内藤を下し、飯伏がIC王座を死守。試合直後、そんな王者の前に意外な男が現れた。セミファイナルでIWGPジュニア王座初戴冠を果たし、ジュニア二冠王となったデスペラードだ。

 「防衛おめでとうございます、チャンピオン。あんな試合のあとに入ってくるのは勇気いりますよ。そんなのはどうでもいい。今日、実は僕も初めてシングルのベルト獲ったんですよ」とマイクで意味深げに語り出すと、観客は拍手で後押しする。デスペラードは「覚えてます? 僕、初めてシングルに挑戦したのって、何年か前か忘れたんだけど…知っているヤツいる? 俺が大阪でIWGPジュニアシングル王者の飯伏幸太に、コテンパンに伸ばされたのは何年前でしょうか? そこからだいぶかかったんだよ!」と2014年2月の大阪大会でIWGPジュニア王座に初挑戦したものの、飯伏に敗れた過去を持ち出した。その悔しさがいまだに忘れられないようで、「ここ何年か、旗揚げ記念日って、ヘビーと我々ジュニアのシングルのチャンピオンがシングルマッチするじゃないですか? それで、だいぶ時間がかかっちゃったんだけど、初戴冠のご祝儀をいただきに参りました」と3・4日本武道館大会での対戦を要求する。

 それだけにとどまらず、「せっかくなんで、ただのシングルじゃなくて、その2つのベルトが欲しいなあ。だいぶ経ったからさ、あの時の俺じゃねえっていうのを見せてやるからさ」と二冠挑戦までアピールすると、場内はドッと沸いた。

 それを聞いた飯伏は「8年前だよ。覚えてないのか? 俺はいつでもいいよって、いつも言ってるから。いつでもどこでも誰でも挑戦受けますよ」と受けて立つ構え。そのうえで、「素晴らしいじゃないですか。今日、初戴冠して、久しぶりにシングルマッチできるの。俺は覚えてるよ、あの時のことを。忘れないよ。しょっぱかったお前のことを」と挑発した。額をつけてにらみつけたデスペラードも「だから、その時の俺じゃねえっていうのを見せてやるっていってんだよ」と言い返す。

 デスペラードが去っていくと、飯伏は「僕はいつでも誰でもどこでも挑戦を受ける。これは必ず言ってきているんで。そして、いつも言っているように、絶対に逃げない負けない諦めない。そして、必ず約束は守りますよ」と宣言。「今日はこんな時期の中、こんなにたくさん集まってくれて、本当に本当にありがとうございました。プロレスを…これからももっともっと新日本プロレスを見続けてください。よろしくお願いします」と熱く叫んで大阪城決戦を締めくくった。

 内藤との二冠統一論争は舌戦で結論が出なかったが、直接対決で一応の決着がついた。「話し合いがつかないまま、勝負になったわけで。その中で僕が勝利することができたので、1つに。2つ残したまま1つに、1つに統一したいと思います。そこは変わらないです」と飯伏。あくまでも両方のベルトの価値を残しつつのタイトル統一に一歩前進した形となった。

 二冠戦が実現すれば、デスペラードは前代未聞の4冠獲りのチャンスを掴む形となるが、飯伏も負けるつもりはさらさらない。「すごい実力はつけてきてるし、今日もセミファイナル見てるし、すごかったですよね。ここ最近一気にきてるんで全然、全然資格ありますよ」とデスペラードを高く評価しつつも、「なんなら僕も欲しいですよ。ジュニアのベルト欲しい。ぜひ懸けてください。それぐらいの気持ちでいきます。僕も本気でいきます」と貪欲な姿勢を示した。

 『旗揚げ記念日』を乗り越えれば、続いてNEW JAPAN CUP覇者を迎え撃つ可能性が高い。飯伏は1つ1つ防衛を重ねつつ、タイトル統一に向けて歩みを進めていく構えだ。

【試合後の飯伏】
※2本のベルトを両肩にかけて、ふらふらした足取りでコメントスペースにやって来た飯伏。用意されていたイスに座ると、2本のベルトをテーブルに並べながら会見がスタート

――見事3度目の防衛に成功おめでとうございます

▼飯伏「ありがとうございます(※ベルトを並べ終える)」

――今日防衛に成功して、ここまで来るにあたって両者の主張、いろんな論争あったが、あらためて今日勝ったことの意味は?

▼飯伏「簡潔に、簡潔に答えると、気持ちだと思うんですけど、それをもっともっとかみ砕いていうと、たぶん、僕の言いたかったことと、内藤さんの言いたかったこと、これがそもそも食い違った。僕は二つとも残したいから、これを。なくすんであれば、それはこれが、IWGPヘビーとインターコンチ(ネンタル)が一つになるっていうことは、内藤さんいわく、どちらともなくなる、という考え。と、それであれば、二つとも残したい。残したい、ハイ。だから、なくすんであれば一つにしたい。これをずっと言い続けてきた。で、もう決着がつかないまま、話し合い(で決着)がつかないまま勝負になったわけで。その中で僕が勝利することができたので、一つに。二つ残したまま一つに、一つに統一したいと思います。そこは変わらないです」

――やはり新しいことを始めるようとすると、いろんな反発ってものも生まれると思うが、飯伏選手としては勝って主張を貫き通すっていう考え方?

▼飯伏「考え方は変わってないです。考え方は全く変わってない。なくすんであれば絶対一つに。それは変わってないんで。これは、言ってることは変わんないです。一つにまとめたい。なくすんでれば。だって僕、勝負の日は今日。今日、僕が負けてたら要はこの(インターコンチネンタルの)ベルトは消えてたわけで。僕は二つとも残したいから統一したいとずっと言ってきてるんで。そこは変わらない」

――昨日のメインイベントで勝ったオカダ選手のコメントは聞いた?

▼飯伏「オカダさんが言ってるのもわかります。オカダさんはずっと、IWGP(ヘビー級)に挑戦したい。ま、この(IWGPヘビー級の)ベルトが欲しい、残したい。まあでも、それはみんながたぶんそうだと思うんですよ。そうなったときに、じゃあインターコンチはどうなるの?っていう。僕はそこで、だったら二つとも残したい」

――話題は変わるが、デスペラード選手が入って来た時の心境は?

▼飯伏「単純に、そもそもセミファイナルで勝利して。まあ、ヒロム選手のケガがあって3WAYに(カードが)変わって、ジュニア(ヘビー級王座)の争奪戦になったんですけど、それに勝利してるんで、十分、資格はあるかなと。僕はもうヘビーもジュニアも変わらない。誰でも、いつでも、挑戦を受けますよ」

――デスペラード選手は2014年の東京ドームで(当時IWGPジュニアヘビー級王者だった)飯伏選手の前に現れて、初挑戦がその年の2月の大阪だったが、当時のデスペラード選手の印象は?

▼飯伏「まあ、リング上ではああいう言い方になっちゃいましたけど、僕ずっとプロレス見てるんでわかるんですけど、すごい実力はつけてきてるし、今日もセミファイナル見てるし、すごかったですよね。ここ最近、一気にきてるんで全然、全然資格ありますよ。なんなら僕も欲しいですよ。ジュニアのベルト欲しい。ぜひ懸けてくださいよ。それぐらいの気持ちでいきます。僕も本気でいきます。だからわかるんで」

――そのデスペラード選手は、あえてだと思うが、ショッパイと表現した。今のデスペラード選手の一番の変化はどんなところに感じている?

▼飯伏「すべてが変わってると思いますね。まあ、メキシコから帰ってきて、すぐに日本のプロレスのスタイルに慣れるっていうのはたぶん難しいなっていうのは、ずっとプロレス見てきてるんでわかるんで。それはもうわかったうえで受け入れてるんで。いつでも。素晴らしい選手だと思いますよ。(※質問が終わると自分から口を開いて)僕が言いたいのは、ジュニアとヘビーの差を見せます。それだけですよ。あと、内藤さん…(※2本のベルトを示し、立ち上がってそれらを両肩にかけてポーズをとると)また楽しみましょう(※と静かに口にして、ゆっくりと控室に向かう)」

【内藤の話】「(※辻の肩を借りてコメントスペースにやって来る。辻が離れると片ヒザを着いて)東京ドーム(1・4)で敗れた直後の挑戦。俺自身も早いと思うよ。俺が観客席にいたら“また内藤かよ。なんで内藤なんだよ?"って思ってるよ、間違いなく。でも、2本のベルトを統一って話を聞いたらさ、じっとしてられなかったよ。黙ってられなかったよ。だって、もしかしたら、このあとすぐにでも統一されてしまう可能性があるんだよ。のんびりしてるヒマはないだろ? 東京ドームに続いて、またしてもチャンスをものにできなかったよ。ホント俺らしいな。自分でも笑ってしまうよ。俺らしいレスラー人生だよ。俺はどうしても、IWGPヘビー級王座っていう名前を残したかった。きっと統一されて、名前もすべて変わってしまうんでしょ? 負けてしまったから、もう言い訳はできない。でも、俺はIWGPヘビー級王座っていう名前を残したかったぜ、カブロン」

【デスペラードの話】「うれしいじゃないの。あそこから、8年前だっていうんだから8年前なんだろ?(正確には7年前) そっから俺が何回(IWGPジュニアの)シングル(のタイトルマッチ)やったか忘れたけどさ。飯伏相手にショッパく負けて(2014年2・11大阪)、KUSHIDA相手にショッパく負けて(2017年9・16広島)、ライガーとは確かジュニアの…NWA? なんかやったな(NWA世界ジュニアヘビー級戦=2015年1・5後楽園ホール)。(※ほかに2014年10・13両国国技館で田口隆祐に、2018年6・18後楽園ホールで高橋ヒロムに挑戦)そう、あれも目も当てられなくてさ。ショッパかったぜ。でも俺は自分は何が悪いのか、何をしていいのか、何ができるのかできないのか、それすらわかってなかった。でも、今の俺は違うんだ。なんか成人式みてえだな。ああ、まあいいや。ショッパかったっていわれて怒らない? 俺だってショッパかった。だけど、(※IWGPジュニアヘビー級のベルトを示しながら)目にもの見せてやる」

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