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3/3【ストロングスタイル】カシン“脱皮作戦”で36周年・船木を料理 「静かに瞑想しながら」拳王戦へ

『ストロングスタイルプロレス Vol.9』東京・後楽園ホール(2021年3月3日)
○ケンドー・カシンvs船木誠勝×

 カシンが二重マスクによる“脱皮作戦"で36周年の記念日だった船木を料理。前挑戦者を撃破し、ノア・拳王とのナショナル王座戦に弾みをつけると、「静かに瞑想しながら、決戦の時を待ちたいです」と神妙に語った。

 船木51歳、カシン52歳と同世代で、同じく青森出身。新日本でデビュー、総合格闘技に挑戦経験がある…と共通点の多い2人がストロングスタイル後楽園ホール大会のメインで初の一騎打ちに臨んだ。船木はノア2・12武道館大会でナショナル王者の拳王に敗戦。その拳王にカシンはノア3・7横浜武道館大会で挑戦を控えているだけに、負けられない戦いとなった。

 船木にとって今日は36回目のデビュー記念日。気合いに満ちた表情でリングに上がった一方、カシンは胸板にストロングスタイルプロレスのロゴを刻み、いつも通りにひょうひょうと登場する。

 闘志溢れるグラウンド戦で幕開け。観客は固唾を呑んで試合を見守った。激しくせめぎ合ったが、カシンがキャメルクラッチで先制。鼻に指を差すなどして揺さぶりをかけた。その後も関節技を狙って激しいポジション争いが続いたが、船木が腕ひしぎ逆十字固めへ。カシンはニアアロープに救われて、ロープに逃れると、場外に一旦退避する。リングに戻ったカシンに対し、即座にローキックをぶち込んだ船木は、アキレス腱固めに絡み取った。

 ヒジを顔面に擦りつけて抜け出したカシンは、先ほどのお返しとばかりに腕ひしぎ逆十字固めに捕獲。船木の抵抗を受けても三角絞めに持ち込むと、今度は船木がロープにブレイクする。カシンはストンピングやハンマーパンチなど打撃に切り換えて追撃し、低空ブレーンバスターから流れるように、再び腕ひしぎへ。決まらないとみるや、左ヒジにストンピングを連発し、ロープを使ってのアームロックでも左腕を痛めつけた。

 カシンはエルボースマッシュで、船木は張り手で火花。ローキックやニーリフトの連打で前に出た船木は、ランニングローキックをぶち込むと、チキンウイングで極めない変型ハイブリッドブラスターからスリーパーに固める。だが、カシンは二重で被っていたマスクを脱ぎ捨てる“脱皮作戦"で船木を手玉。まんまと脱出に成功すると、すかさず首固めで押さえ込み、まんまと3カウントを奪取した。

 カシンは前ナショナル王座挑戦者を巧みに料理して、4日後に弾みを付ける形に。終盤以外はほぼ正攻法で船木と真っ向からやり合い、コンディションも好調の様子。「すいませんでした。素顔が見えてしまいました。とにかくこれで3月7日の拳王戦になんとか弾みがつきました」と神妙に語ったカシンは、「あとは7日まで、あと3日、4日。静かに瞑想しながら、決戦の時を待ちたいです」と拳王戦に集中する構えを見せた。

 もちろんくせ者だけに、正攻法だった試合内容や言動が拳王戦に反映するとは思えない。しかし、ストロングスタイルプロレスというノアとは違うリングで改めてその実力を見せつけ、拳王戦にいい形で繋げたのは間違いない。

 一方、船木は「ずっとはてなマークがついたまま試合をしてましたね。どこで何があるか。やっぱりそれはマスクなんで。なんか来るんじゃないかなっていうのが、ずっとあって、ずっとあって。ちょっと試合が動いたなって思った瞬間、ちょっと簡単にいきすぎたなって、そういう感じがしたんですけど、案の定、あれがあるんだなと。飛ばされた瞬間に、動揺してしまった自分がいましたね」と敗戦の弁。若手時代にマスクマンを希望しながらも、結果的に現在まで素顔で活動してきただけに、カシンには感じるものもあったようで、「やっぱりマスクなしで来ましたんで、これからもマスクなしで行けということだったような気がします。彼はこれからもマスクマンで、もう一生脱ぐことはないのかなと思いましたね」と振り返った。

 「でも、まだまだこれが始まりのような気がしますし、ノアでも対抗軸のチームにいますんで。何回でもやりたいなと」とカシンとの今後の対戦にも意欲。「久々に猪木さんに見られているような気持ちで、お互い新日本の若手の時代があったと思うんで。猪木さんはまだいますけど、こういう時こそ師匠が見ているという気持ちでやらないと、新日本プロレスの出身じゃないかなって気がしますね。ずっと猪木さんがいた気がします」とデビュー記念日にカシンと新日本仕込みの戦いができたことで、気持ちを新たにした様子だった。

【カシンの話】「すいませんでした。素顔が見えてしまいました。とにかくこれで3月7日の拳王戦になんとか弾みがつきました。とにかくあとは7日まで、あと3日、4日。静かに瞑想しながら、決戦の時を待ちたいです」

【試合後の船木】
▼船木「仕込まれましたね」

――カシン選手の印象は?

▼船木「グラウンドのレスリング力は久しぶりに感じましたね」

――同年代で共通項が多い相手だったが?

▼船木「そうですね。だけど、マスクを被っているか、被ってないかで人生分かれたのかなと。自分はマスク被りたかったんですけども、被らなくて今まで来て。彼は被りたくなかったんじゃないですかね、本当は。でも、被っちゃったら、脱げなくなっちゃったんでしょうね。まあでも、中身は人間ですから。ずっとはてなマークがついたまま試合をしてましたね。どこで何があるか。やっぱりそれはマスクなんで。なんか来るんじゃないかなっていうのが、ずっとあって、ずっとあって。ちょっと試合が動いたなって思った瞬間、ちょっと簡単にいきすぎたなって、そういう感じがしたんですけど、案の定、あれがあるんだなと。飛ばされた瞬間に、動揺してしまった自分がいましたね」

――2人の人生を分けたマスクが勝敗を分ける形になった

▼船木「結果、そんな感じになってしまいましたね。でも、そのマスクはまた彼のもとに戻っていったんで、マスクマンなんだなあと思いましたね」

――今日はデビュー記念日だったが、改めてプロレスラーとしてどう戦っていく?

▼船木「やっぱりマスクなしで来ましたんで、これからもマスクなしで行けということだったような気がします。彼はこれからもマスクマンで、もう一生脱ぐことはないのかなと思いましたね。パッと脱いだ瞬間、髪が見えたんで、顔を出したのかなと思ったんですよ。正面向いたら、違うマスクを被っているじゃないですか。なんだよって思いましたね。ビックリドッキリの。やっぱりなんかあるなと思っていたのが最後に出てきたなって感じがしますね。でも、まだまだこれが始まりのような気がしますし、ノアでも対抗軸のチームにいますんで。何回でもやりたいなと。ただ、この自分らの試合は昭和スタイルなんで、お客さんはどう見るのかなという気がしますけど。まあでも、今日は本当に真剣にやりました。気をつけながら、久々に猪木さんに見られているような気持ちで、お互い新日本の若手の時代があったと思うんで。猪木さんはまだいますけど、こういう時こそ師匠が見ているという気持ちでやらないと、新日本プロレスの出身じゃないかなって気がしますね。ずっと猪木さんがいた気がします。それを感じましたね。あまり変なことをやると、『バカヤロー! なにやってんだ!』ってゲキが来ます。自分の時代は控え室のドアを開けた途端に、猪木さんが立っていて。怖い顔の。どんな試合しても気が抜けなかったので」

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