4/16【ドラディション】長井万感30周年「今後もビッシビシ試合する」 魔界倶楽部復活、柴田も祝福
『DRADITION 2021 UPRISING〜MITSUYA NAGAI 30th ANNIVERSARY〜』東京・後楽園ホール(2021年4月16日)
長井満也デビュー30周年記念試合 ○長井満也&村上和成&魔界2号vs藤波辰爾&越中詩郎&高岩竜一×
長井のデビュー30周年試合で魔界倶楽部が復活。かつてと変わらぬ暴れっぷりを見せ、長井は自らの勝利で記念試合を締めくくった。かつての盟友・柴田勝頼もVTRで祝福。観客、そして仲間たちに感謝の言葉を重ねた長井は「あとどれだけできるかわかりませんが、リングに上がり続ける限り、ビッシビシ試合していきます」と宣言した。
長井は1991年8月にリングスでデビュー。新日本、全日本、ノアなど様々な団体で活躍し、今年30周年記念イヤーを迎えた。ホームリングのドラディションにとっては1年半ぶりの興行となる今大会のメインで記念試合を開催。かつて新日本マットで暴れ回った魔界倶楽部を復活させ、村上&魔界2号とタッグを組み、藤波&越中&高岩組と対戦した。
魔界倶楽部は2002年8月、新日本で結成されたヒールユニット。メンバーは今大会に出場する3人のほか、安田忠夫、柴田(魔界4号)らが名を連ね、星野勘太郎(故人)総裁の「ビッシビシいくからな!」の決め台詞は一世を風靡した。
会場には佐野巧真、モハメド ヨネ、黒潮“イケメン"二郎、十枝利樹2AW会長らから30周年を祝う花輪も届き、リング上はお祝いムードに包まれたが、長井はそれをぶち壊すような暴走ぶりを披露した。
長井はマスク姿で、村上は星野総裁の遺影を持って入場。選手コール時にマスクを脱いだ長井は、ゴングと同時に藤波に襲いかかり、大胆にもタオルで首を絞め上げる。村上も暴走モードで続き、藤波を痛めつけた。
藤波も村上相手にビンタで真っ向から反攻するなど奮戦したが、試合の主役はやはり長井。場外乱闘になだれこむと、高岩を鉄柵にぶん投げる。ブーイングが起きてもおかしくない場面だが、今宵は大きな拍手が飛んだ。藤波のドラゴンスクリューを食らってしまい、ドラゴンスリーパーに捕まってピンチを迎えるが、魔界2号が好フォロー。長井は越中のジャンピングヒップアタック、高岩のデスバレーボムを食らっても必死に耐えてチャンスを待った。
魔界2号のマスクを脱ぎ捨てた筑前りょう太がスリングブレイドを決めて援護射撃すると、息を吹き返した長井が「4号!」と叫んで柴田ばりのPKで高岩に追い討ち。村上&筑前と同時に、高岩の首を豪快に両足で踏みつけて場内を沸かす。連係攻撃で勝機をたぐり寄せた長井は魔界ドライバー、ハイパーニー空牙と必殺技を惜しげもなく披露して、高岩を沈めた。
試合後、村上&筑前とともに、星野総裁ばりに“ビッシビシポーズ"を決めた長井。試合ではやりたい放題に暴れただけに、マイクを持った藤波は「お祝いなんてできるわけないじゃないか」とこぼしたが、コロナ禍の中で来場した観客に感謝の意を伝えると、「最後の試合が終わったあとですから、少しでも気持ちがあるなら、どうぞ皆さん祝ってください」と藤波流で長井を祝福した。
魔界倶楽部時代の盟友・柴田はVTRでメッセージ。「長井さん、デビュー30周年おめでとうございます。長井さんとは魔界倶楽部の時に一緒に同じチームで活動してまして、とても懐かしく思います。自分のK-1ルールの試合の時には、ずっとミットを持ってキックの練習に付き合ってくれたり、本当に感謝しています」と感慨深げに振り返ると、「自分がその後、新日本辞める時に、相談できずに辞めてしまい、それ以降まだ会ってないんで。そのままずっと自分の中に申し訳ない気持ちがあるんで、この場を借りてお詫び申し上げます。本当にすいませんでした」と陳謝した。そのうえで、「自分は今、怪我をしてしまいまして、怪我を治しながら、LAのほうで若い選手にプロレスを教えたりして過ごしています。長井さん、30周年ということで、末永く、これからもパワフルにプロレスの試合…その他も全てパワフルに元気よく頑張って過ごしてください。ありがとうございました。おめでとうございます。以上」と祝福。柴田の言葉を笑顔で聞いていた長井は“ビッシビシ"ポーズで応えた。
最後は長井があいさつ。「皆さん、本日はまだコロナが猛威を振るっている中、後楽園ホールにこんなたくさんのご来場、誠にありがとうございます」と観客に思いを伝えると、「私は後楽園ホールで、こんな記念試合をさせていただくような選手ではないんですが、藤波さんのご好意で、今日は一生記念に残る試合をさせていただきました。藤波さん、ありがとうございました。今日、出場していただきました全選手、それからメッセージをくれた柴田選手、魔界倶楽部をドラディションのリングでさせてくれた新日本プロレス様、感謝いたします。どうもありがとうございました」と感謝の言葉を続けた。
万感の表情を見せた長井は「こんな私は応援してくださりまして、誠にありがとうございます。あとどれだけできるかわかりませんが、リングに上がり続ける限り、ビッシビシ試合していきます」と星野総裁の言葉を借りて、気持ちを新たに。「家族全員でリングで写真を撮るのが夢だった」という長井は家族をリングに招いて記念撮影。最後に「プロレスの世界でなにも結果が残せず、なにも成し遂げられないまま、30年やってきましたけど、皆様のおかげでここまでやってこれました。これからも長井満也、ドラディションをよろしくお願いします」と頭を下げて、30周年記念興行はフィナーレを迎えた。
久々の復活で、魔界倶楽部でのヒールファイトが「今の長井満也を作っている」と改めて感じた長井は、だからこそ「たぶんファンの方も喜んでいただいたと思いますけど、総裁が天国で一番喜んでくれていると思います」と星野総裁に元気な姿を見せられたことを喜んだ。
「星野さんの『ビッシビシいけ』というのは、僕の中もそうですけど、村上選手、あと筑前選手の中にも残っているし。そのビッシビシいくのが、新日本プロレスの柴田選手のスタイルにも出ていたと思うので。今の若い方は、星野総裁も魔界倶楽部も知らないと思うので、僕らがリングに上がり続けて、魔界倶楽部というものを若い世代の人にも覚えてもらえたらいいなと思います」と誓った長井。星野イズムを受け継いで、35周年、そして40周年へとこれまで同様にリングで暴れ回っていくのみだ。
【試合後の長井】
――30周年を迎えて、今はどんな気持ち?
▼長井「自分はデビューする前の新弟子の時に、首の骨を折る怪我をしていたんで、本当にデビューする時は30周年なんて夢にも考えられなかったです。デビューした時は、記念に数試合だけでもやりたいという気持ちだけだったんで。本当にこんな長くできるなんて思ってませんでした」
――長井選手としては、この30周年は長いという感覚?
▼長井「いや、あっと言う間でしたね。もっとこうすればよかった、ああすればよかったということばっかりで。リングの上でも言ったんですけど、大きなベルトを巻いたわけでもないし、大きな記録を残せたわけでもないので。その中で、こうやって30年もリングに上がれて。なおかつ、まだコロナの大変な中ですけど、これだけのお客様が後楽園ホールに足を運んでもらえるとも思ってなかったので。本当にリングに上がって、お客様がいっぱいだったのでビックリしました」
――魔界倶楽部を復活させたが、長井選手の30年の中で、魔界倶楽部は大きなウェイトを占めている?
▼長井「そうですね。その前は全日本プロレスで川田(利明)さんのパートナーを務めてさせてもらって、どっちかと言うと、『長井頑張れ』って応援してもらっていたのが、逆にハゲだなんだって文句言われることになったんで、それが大きかったです。でも、あの経験が今の長井満也を作っていると思うんで、あれは本当に大きかったです」
――コーナーでは星野総裁が写真で見守っていたが?
▼長井「たぶんファンの方も喜んでいただいたと思いますけど、総裁が天国で一番喜んでくれていると思います。総裁がいらっしゃった時は勝っても負けても、どんな試合をしても、控え室に帰ってきたら、『お前らよかった』って褒めてくれてたんで、今日も褒めてくれるんじゃないかなと思います」
――30周年のこの先も、星野イズムで戦っていく?
▼長井「星野さんの『ビッシビシいけ』というのは、僕の中もそうですけど、村上選手、あと筑前選手の中にも残っているし。そのビッシビシいくのが、新日本プロレスの柴田選手のスタイルにも出ていたと思うので。今の若い方は、星野総裁も魔界倶楽部も知らないと思うので、僕らがリングに上がり続けて、魔界倶楽部というものを若い世代の人にも覚えてもらえたらいいなと思います。ありがとうございました。これからもうちょっと頑張ります。またよろしくお願いします」