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7/11【NOAH】丸藤が“21年目の戦友対決"制して初防衛 桜庭のGHCヘビー初挑戦が決定的に

『CROSS OVER 2021 in SENDAI』宮城・仙台サンプラザ(2021年7月11日)
GHCヘビー級選手権試合 ○丸藤正道vs杉浦貴×

 ノア夏のビッグマッチ第一弾となる仙台大会メインで行われたGHCヘビー級選手権試合は、深みある“二人だけの世界"を見せつけたうえで、丸藤が杉浦を破って初防衛に成功。次期挑戦者には杉浦の相棒・桜庭和志が名乗りを上げ、IQレスラーのGHCヘビー初挑戦が決定的となった。

 近年のノアを支え続けてきた“戦友"対決。あらゆる過渡期にあるノアマットにおいて、21年間歩みをともにした二人がGHCを懸けて闘う機会は今後、そう多くないのかもしれない。丸藤が新王者となるなり、杉浦が即座に挑戦表明。「M's alliance vs 杉浦軍」のトップ対決、「GHCヘビー級王者vsGHCナショナル王者」の構図もあったが、戦前はともに“二人だけの世界"を見せつけ、味わい尽くすことを“第一義"とすることで一致していた。

 舞台は杜の都で行われた夏のビッグマッチ。杉浦はあえてナショナルベルトを巻かずに現れ、クリーンに握手でスタートした。丸藤が左腕攻めで先制すれば、杉浦も場外ネックスクリューで反撃。容赦ない馬乗りエルボー乱打などで巻き返した。

 ならばと丸藤はトップロープに飛び乗ってのムーンサルトアタックを披露。杉浦もエプロンの丸藤めがけて捨て身の“トペ式"スピアーを決め、互いの引き出しを惜しげもなく開けていく。先読み合戦はどんどんエスカレートし、杉浦がジャーマンでぶん投げれば、丸藤がすぐさま虎王を返して両者大の字となった。

 その後はキャリアを重ねたからこその熟練の読み合いに。杉浦が丸藤の“脱出"を読みながらアンクルホールドで絞め続ければ、丸藤もさらにその上を読んで逃れ、逆にパーフェクトキーロックで捕獲。前転で切り抜けた杉浦もフロントネックロックで切り返し、丸藤がジャックナイフ式エビ固めで丸め込んでも、杉浦は離さずに絞め続けた。

 丸藤も首を抜いたものの、杉浦はヒザ蹴りでカチ上げ、ランニングニー2連発。一気に後頭部への非情エルボー連発でギアを上げると、予選スラムを発射だ。丸藤もかろうじて肩を上げたが、杉浦は雪崩式予選スラムで仕上げにかかる。

 コーナー上でなりふり構わず頭突きで抵抗した丸藤も、逆に雪崩式不知火で宙を舞って逆転だ。ハイクラッチジャーマンを食らいながらも、真・虎王をぶち込むと、互いに左腕を掴んだ状態で、エルボーと逆水平を打ち合う“セルフ・チェーンデスマッチ式"の打撃戦を繰り広げた。

 互いのプライドをぶつけ合うギリギリの消耗戦。丸藤が虎王で競り勝ちにかかっても、杉浦はエルボー連打で譲らない。丸藤がフックキックから虎王、さらに虎王連打を狙ったものの、杉浦はエルボーを合わせて、ヒジとヒザが連続して正面衝突だ。ならばと丸藤はカカト落としで腕を振り払い、フックキック、虎王、脇腹への虎王、ローリング虎王と猛ラッシュ。コブラクラッチ式虎王も後頭部に叩き込んだものの、杉浦は3カウントを許さない。ならばと必殺の虎王・零を叩き込んだ丸藤は、あえてフォールにいかず、ポールシフト式エメラルドフロウジョンで突き刺してゆっくりと3カウントが数えられた。

 語り合うように二人だけの世界を繰り広げ、最後はやはり死力を尽くしあった“21年目の戦友対決"は丸藤に軍配。試合後は丸藤が杉浦の腕をつかんで抱き起こし、杉浦も丸藤の勝利をたたえて、場内は惜しみない拍手に包まれた。

 マイクをつかんだ丸藤は「杉浦さん、今日は戦ってくれてありがとうございました。杉浦さん、21年目のこれからもどうぞよろしくお願いします」と頭を下げ、花道奥で杉浦も親指を立てて呼応。「こうやって彼と21年。本当に思い起こせば、いい思い出よりも、つらい思い出、苦しい思い出、悲しい思い出、そういうものが本当に多くて。だけど、耐え続けて、信じ続けて、頑張り続ければ、いつか笑って思い出にできる日が必ず来ると思って、信じてやっているんで。その日まであと少し…あと少しなんで、皆さんの応援、本当にどうぞよろしくお願いします」と“戦友との歩み"を改めて噛み締めながら仙台ビッグマッチを締めくくった。

 ともあれ、これでGHCヘビー初防衛。次期挑戦者には、杉浦の相棒でもある桜庭が名乗りを上げた。試合後にブラリとバックステージに現れると「裏で試合を見ていて、丸藤さんの弱点も見えましたし、杉浦さんもやられちゃったんで、次、僕が挑戦します」と表明した。

 丸藤も「弱点だらけの俺は今日杉浦に勝ったぞ。おい、ふざけた桜庭和志で来るな。俺は超強え桜庭和志とやりたい。あと、タッグでも俺は桜庭さんにやられてるんで」と即諾。「待たずとも、大きいところでやりましょう」と見据え、桜庭のGHCヘビー初挑戦がノア夏のビッグマッチ第2弾となる8・1広島大会で実現することが濃厚となった。


【桜庭の話】「裏で試合を見ていて、丸藤さんの弱点も見えましたし、杉浦さんもやられちゃったんで、次、僕が挑戦します。よろしくお願いします」


【試合後の丸藤】
▼丸藤「きつかったですよ、ホントに。虎王の連打でぶちのめそうと思ったんだけど、やっぱり体力的にどんどんどんどん前に出ていくことができなくて。ホントちょっとの差だったと思うんで。最後でも、我ながら自分の動きが鈍ってましたよ」

――お互いに味わい尽くすような、試合で語り合っているような試合に見えた

▼丸藤「そうですね。リング上で言ったように、21年目のこれからもどうぞよろしくと。まずはね、若い良い選手が育ってきたんで、ここで俺たちのような人間がそのまま埋もれるか。それとも、こうやって前に出て、俺たちはノアを守ってきた部分があるんで、そこを今こそ、このノアが変わる今こそ、俺たちがもう一踏ん張りするべきか。それは俺の中で確実に後者だと思っているんで。もうちょいまだ(ベルトを)巻かせてくださいよ、チャンピオンとして」

――これで初防衛。チャンピオンとして強い姿を見せたいといっていたが?

▼丸藤「杉浦貴あっぱれでした。俺よりも全然強かったと思うし。何かの差って言われたら、彼のほうが強かったと思うし、自分でもわからないけど、なんとか勝てました」

――今後についてはどんなことを見据えている?

▼丸藤「誰でも面白いと思うし。ひとまず杉浦貴を倒して、誰かが急に来なくてよかったですよ。誰かがいるなら。俺も試合をしてたんで、他の皆さんがどういう考えかわからないです。誰かいるならまた」

――桜庭がバックステージで「今、裏で試合を見てて、弱点が見えた」と挑戦表明していた

▼丸藤「おっしゃる通りだ。俺は弱点だらけだ。おい、桜庭和志。弱点だらけの俺は今日杉浦に勝ったぞ。おい、ふざけた桜庭和志で来るな。俺は超強え桜庭和志とやりたい。あと、タッグでも俺は桜庭さんにやられてるんで。まあ、いいんじゃないですか。待たずとも、大きいところでやりましょう、桜庭さん。俺が知っている桜庭和志とぜひともやってみたい。ほかに特にないならいきましょうよ、桜庭和志で。ジャンケンはしないぞ。決定でいいよ。言っとけ」

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