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12/1【ドラディション】50周年・藤波が大奮闘 棚橋に敗戦も猪木さんに捧ぐ「1、2、3、ダァー」締め

『TATSUMI FUJINAMI 50th ANNIVERSARY THE NEVER GIVE UP TOUR FINAL レック株式会社presents DRAGON EXPO 1971』東京・国立代々木競技場・第二体育館
藤波辰爾デビュー50周年記念試合 FINAL ○棚橋弘至vs藤波辰爾×

 藤波がデビュー50周年記念試合で棚橋と20年ぶりに一騎打ち。敗北を喫したものの、最後まで必死の奮闘を見せると、最後は師匠・アントニオ猪木さんに捧ぐ「1、2、3、ダァー!」で締めくくった。

 新日本、全日本、ノアなど主要団体の豪華メンバーが集結し、藤波の50周年記念ツアーファイナルとして華々しく行われたドラディション・代々木大会。メインイベントでは、藤波と新日本・棚橋による師弟対決が実現した。両者のシングルは2002年10月以来、約20年ぶり。5・12後楽園大会で藤波が「久々にシングルマッチをやりたくなった」と発言すると、棚橋が対戦相手に名乗りを上げて実現に至った。

 試合に先立ち、田中ケロリングアナのコールを受けて、藤波に縁の深い北沢幹之、藤原喜明、長州力、武藤敬司、蝶野正洋がリングに集結。「藤波辰爾ここにありをリングの上で見せてもらいたい」(蝶野)、「俺のほうが先に辞めることになってしまいました。藤波さん、これからもずっと元気な姿を俺たちに見せてください」(武藤)、「今日は僕は棚橋を一生懸命応援します。そして、ここに藤波ありを今日観に来ました」(長州)などと藤波にエールを送った。

 藤波は歴代入場テーマ曲を前奏にし、師匠・アントニオ猪木さんの『炎のファイター』に乗って猪木さんをほうふつとさせる真紅のガウン姿で入場した。

 68歳の藤波が「50年目の大勝負」と定義づけた一戦は教科書通りの静かな立ち上がりに。リストや首を取り合って相手の出方をうかがう。棚橋がキーロックに固めて先手。腕攻めを狙うが、藤波も意地になってキーロックでやり返した。

 先に棚橋が仕掛ける。ショルダータックル、ボディスラムで藤波の動きを止めると、左足に一点集中攻撃を開始。フロントインディアンデスロックで絞め上げる。藤波も譲らず、永遠のライバル・長州の必殺技サソリ固めで応戦。先にドラゴンスクリューを決めると、足4の字固めの構えに。

 棚橋は首固めで逃れると、スリングブレイドを狙ってロープに走るが、読んだ藤波はスリーパーに捕獲してドラゴンスリーパーへ。即座に振り払われても、藤波はしつこく絡め取り、ドラゴンスリーパーに持ち込んだ。

 捕まったまま強引に立ち上がった棚橋はツイスト&シャウトで形勢逆転。藤波のビンタには同じくビンタを打ち返す。藤波が再度打ち返したものの、棚橋はスキを突いてスリングブレイドをズバリ。一気にコーナーを駆け上がり、ハイフライフローアタックを浴びせる。藤波は必死に肩を上げたものの、棚橋はハイフライフローを投下して3カウントを奪った。

 勝利した棚橋は感極まった表情で勝ち名乗り。倒れる藤波に肩を貸して2人は立ち上がる。藤波にも大きな拍手が巻き起こると、2人は握手を交わして一礼した。出場した選手がリングサイドに集結すると、試合を見届けた長州や藤原らが藤波と棚橋の労をねぎらった。

 大会の最後に10月1日に心不全のため亡くなったアントニオ猪木さんの追悼セレモニーが行われた。追悼の10カウントゴングが捧げられると、藤波は「この50年いろんなことがありました。デビュー戦の相手をしてくれた北沢さん、本当にありがとうございます。あれから50年、こんな素晴らしい選手と渡り合うことができました。そして、最後に師匠である猪木さん。本来、猪木さんもこのリングに立ってくれる約束でした。それは叶わぬことになりましたが、まだ我々レスラーはこれからも猪木さんの意志を継いで邁進していきます。どうぞこれからのプロレスをよろしくお願いします」と決意をあらたに。

 「あまりにも衝撃のジャンピングボディプレスを食らって、一番肝心な締めを忘れました。天国で猪木さんがバカヤローって怒ってますよ」と苦笑した藤波。最後は棚橋とリングで並び立ち、猪木さんへの万感の思いを込めた「1、2、3、ダー!」の雄叫びで大会を締めくくった。

 藤波は「何か伝えられればいいかなって思ったんですけど、僕はご覧の通りの体調がね。やっぱり足がどうしてもいまいちというのか。これは負け惜しみじゃないんだけどね。本来、現役バリバリの選手とやる時にはもうちょっと調整したいんですけどね。今回はちょっと慌てすぎた一戦だったね」と敗戦の弁。それでも気落ちなどはなく、バックステージで棚橋が「僕はプロレスラーになりたくて、藤波さんを目標に頑張ってきたことが間違いじゃなかったなって今日思いました」と涙ながらに頭を下げてくると、「泣くなよ、お前。俺引退じゃないんだぞ」と笑った。さらに、棚橋に「藤波さん、もう一度僕と一緒に肉体改造してください」と提案されると、「もう1回チャンスくれるのか?」と意欲を見せた。

 「やっぱり猪木さんは永遠ですよ。僕らの後ろには猪木さんがいるっていう気持ちでリングに立ってますから」と藤波。50周年以降も闘魂の遺伝子を継ぎ、リングの上でひたすらに戦い続ける。


【試合後の藤波、棚橋】

▼藤波「やっぱり現役のトップの選手は強いね。頑張っていったつもりですけどね」

▼棚橋「藤波さん、50周年おめでとうございます。僕の今年のキャリアは23年です」

▼藤波「おお、ちょうど半分ぐらい」

▼棚橋「まだ半分いってないです。本当に今日戦って、藤波さんの上手さを」

▼藤波「いやいや」

▼棚橋「僕はプロレスラーになりたくて、藤波さんを目標に頑張ってきたことが…(感極まる)」

▼藤波「泣くなよ、お前。俺引退じゃないんだぞ」

▼棚橋「間違いじゃなかったなって今日思いました、本当に。ありがとうございました」

▼藤波「ちょうど僕が猪木さんを独り占めした時とまったく同じ心境かどうかわかりませんけどね。何か伝えられればいいかなって思ったんですけど、僕はご覧の通りの体調がね。やっぱり足がどうしてもいまいちというのか。これは負け惜しみじゃないんだけどね。本来、現役バリバリの選手とやる時にはもうちょっと調整したいんですけどね。今回はちょっと慌てすぎた一戦だったね。彼がちょうど僕が後楽園で言った一言がね、引き延ばせなかったんですけどね。引くに引けなかった」

▼棚橋「藤波さん、もう一度僕と一緒に肉体改造してください」

▼藤波「もう1回チャンスくれるのか?」

▼棚橋「もう1回」

▼藤波「よし!」

▼棚橋「僕も見てください(と自分の腹をつまむ)」

▼藤波「俺もだいぶ絞ったつもりなんだけどな」

▼棚橋「藤波さんと朝、ランニングがしたいです」

▼藤波「そうだね。ランニングできるってことは体幹がもうちょっと戻るってことだもんな」

▼棚橋「はい。ぜひ実現して頑張っていきましょう」

▼藤波「OK。ありがとう。チャンスもらったんで」

▼棚橋「ありがとうございました」

▼藤波「やっぱ強い。体幹が違うわ。俺もロックアップした時にバシッといったつもりなんだけどね。やっぱ芯が違うね」

▼棚橋「違います。僕、藤波さんとロックアップいった時に、現役選手の誰よりも重かったです、本当に。ウワーって。ロックアップってプロレスの基本動作ではあるけど、ここを制したものが次の展開に持っていくっていう」

▼藤波「ちょっと今日はね、ロックアップを巻き込められなかったね」

▼棚橋「僕も最初ロックアップいった時に、バック取ってやろうと思ったんですけど、ガッチリ来られたんで、バック回れなかったです。本当に凄い」

――歴代のテーマ曲と最後は猪木さんの曲で入場したが、どんな心境だった?

▼藤波「50周年、とにかくファンあっての我々でリングで戦えるわけだから。今日はいろんな部分の僕を来てくれたファンに体感してもらいました」

――ガウンも猪木さんのようだったが?

▼藤波「そうですか。猪木さんのボンバイエで僕が入場するのはおこがましいんですけど、ちょっと猪木さんに了解を得てね。でも、あのボンバイエでは足がすくんじゃうね」

▼棚橋「いやでも、藤波さん。猪木さんの曲で藤波さんを待っている僕なんか、2対1で戦うような気持ちで。『ウワー、マジか』と思いましたけど、藤波さんだからこそ猪木さんも喜んでくれているんじゃないかと思います」

▼藤波「やっぱり猪木さんは永遠ですよ。僕らの後ろには猪木さんがいるっていう気持ちでリングに立ってますから」

▼棚橋「ありがとうございました」

▼藤波「本当に今日はありがとう」

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