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12/22【IGF/巌流島】柴田が宮戸氏から“プロレスの原点"教わる 12・28両国へ「根底にあるプロのレスリング見せたい」

 柴田勝頼が22日、東京・高円寺のC.A.C.C.スネークピットジャパンで公開練習。12・28両国大会でトム・ローラーとUWFルールで対戦する柴田は、元UWF戦士・宮戸優光氏からキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの技術を指南され、「今一度、道場論から根底にあるプロのレスリングって何だっていう部分を試合で見せたい」と戦いを通じて問題提起する構えを見せた。

 「猪木さんに呼ばれてここに来ました。自分なりのやり方でアントニオ猪木を弔わせていただきたいと思います」。そう12・28両国大会参戦を決めた柴田は元UFCファイターでもあるローラーとUWFルールで対戦する。この日、本人の希望で宮戸氏が主宰するC.A.C.C.スネークピットジャパンを訪れ、指導を受けた。

 プロレスの原点と言われるのがキャッチ・アズ・キャッチ・キャン。宮戸氏は“人間風車"として名をはせた故・ビル・ロビンソンさんからその極意を教わった。この日、柴田が教わったのはヘッドロック、サルト(巻き投げ)といった基礎的なもの。さらにヘッドロックから相手をコントロールして投げ、ダブルリストロック(チキンウイングアームロック)などの腕関節に移行する一連の動きも学んだ。

 それらは足の位置、相手の腕を取る位置など細かいところにまでコツがあり、すべて理にかなったもの。宮戸氏は「こんな短い時間で伝えきれるものではありませんけど、猪木会長もカール・ゴッチさんを通して学ばれたキャッチ・アズ・キャッチ・キャンというものに若い世代の人たちに一人でも触れていただきたい」との思いで指導。柴田も目からうろこといった様子だった。

 1時間以上の合同練習を終えた柴田の表情は充実感に満ちていた。それまで知らなかった技術をたくさん学ぶことができたからだった。「自分もLA DOJOで教えてはいますけど、まだまだ自分も本当に成長段階だなと(苦笑) まだまだ知らないことたくさんあるんで、もっといろいろ知りたいですね。プロレスを追求していくっていう意味で」と今後も宮戸氏から手ほどきを受けたいのが本音で、「触れておくのと触れておかないのでは試合に挑む姿勢というか本当にスピリッツ的なものが違った」と実感。「肌で組み合ってわかることがあるんで、本当に来てよかったと思います。しっかり試合に活かしたい」と実践する構えをみせた。

 この日、プロレスの原点に触れたことで、柴田は今回の試合の意義を「今のプロレスラー全員ですよ。今プロレスやってる人たちに対する問題提起じゃないですけど、そういうことができる試合になるんじゃないか」と定めた。今現在のプロレスを認めたうえで、「本当に大事なクラシカルな、オーソドックスな、プロレスリングのベースとなるものがあまりにもなくなりすぎている」と危惧。「そういう意味で本当に今一度、道場論から根底にあるプロのレスリングって何だっていう部分を試合で見せたいですね。そんな試合をしたいです」と見据えた。

 参戦発表会見で12・28両国で見せたい戦いを問われて「自分にしかできない新日本プロレス」と言い切った。それはプロレスの原点を体現し、その根底にある闘魂を見せつける戦いといえるのかもしれない。それを通じて現代プロレスにメッセージを投げかけ、亡き猪木さんに弔意を表する。


【公開練習における柴田、宮戸氏】

▼柴田「ありがとうございました」

▼宮戸氏「いかがでした?」

▼柴田「凄く知らないテクニックがたくさん…細かい」

▼宮戸氏「短い時間でどれだけお伝えできたか。僕は1975年の猪木会長とロビンソン先生の試合を見てこの世界への道を決意した経緯がありましたんでね。今日こうやって柴田選手の方から来てくださって、そこに触れたいというお話が本当にうれしく思いました。今日は短い時間でしたけど、私がロビンソン先生から学びました、その一部をちょこっとお見せし、お伝えしました。こんな短い時間で伝えきれるものではありませんけど、猪木会長もカール・ゴッチさんを通して学ばれたキャッチ・アズ・キャッチ・キャンというものに触れていただいて。今、若い世代の人たちに一人でも触れていただきたいのが私の思いですから、今日は私もいい機会をいただきました」

▼柴田「ありがとうございました。まだまだ知らないことがたくさんあって、自分もLA DOJOで教えてはいますけど、まだまだ自分も本当に成長段階だなと(苦笑) まだまだ知らないことがたくさんあるんで、もっといろいろ知りたいですね。プロレスを追求していくっていう意味で」

▼宮戸氏「僕もロビンソン先生に会うまでは本当にレスリングってことの何分の1しか全く知らない状態でした。そういう意味で決して新しいことを知らないわけじゃなくて、レスリングとしては最古のスタイルですから。それを知らない状態で、このまま年月が過ぎてプロレスがどうなってしまうんだろうと。ある種、ルーツ的なものですから。ご先祖様がやってきたものを継がないで。今日お伝えしたのはロビンソン先生から学んだ術の部分ですけど、猪木会長も術は当然凄かったわけですけど、ハートの部分ですね。ハートの部分は目に見えませんから。今日みたいにすぐこうだよってお見せできるものじゃない。そういう受け手の感性というか思い、情熱がなければ絶対にそれはつかみ取れないと思いますので。特に柴田さんの場合はお父さん(柴田勝久氏)が猪木会長の元でずっと長くやられた方ですし。血の部分というかハートの部分で自然と伝わってくるというかね。魂が魂に伝わってくる。そういうものは他の選手以上にあると思うんでね。今日は短い時間でしたけど、機会があればキャッチ・アズ・キャッチ・キャンというルーツの部分にまた触れていただきたいなと思いました。試合に関しては相手のこともよくわかりませんし、この数日間のことで決まったことでわかりませんけど、今日のことがきっかけになって素晴らしい試合で勝ってもらいたいと思います」

▼柴田「1時間とか本当に短い時間でしたけど、触れておくのと触れておかないのでは試合に挑む姿勢というか本当にスピリッツ的なものが違ったなと思いますね。今回UWFルールという意味でも、やっぱりここに一回来て肌でどういうものか。手の取り方から違うんで。それは相手がどうとかじゃなく、それを今日やるうえで知っておくというのがまず必要かなと思って練習させていただいた経緯がありますけど。肌で組み合ってわかることがあるんで、本当に来てよかったと思います。しっかり試合に活かしたいと思います」

▼宮戸氏「よくこうやってマスコミの方に来ていただくと撮影というかね、取材用の練習ってなっちゃうことが多いんですけどね、今日は本当に(柴田に)早めに来ていただいて。(取材陣は)外に待っていただく状況になったんですけど、それぐらい今日、私の中で何かをお伝えしたいなと。今日せっかくこの一期一会というか、この機会を果たしたかったので」

――柴田選手からの希望でぜひとのことだったが?

▼宮戸氏「僕は若手の頃、猪木会長とは現場で2年間、新日本とUWFの業務提携という形でいつも一緒に過ごさせていただきましたけど、当時はデビューして間もない新人と、それこそ一番の、敵方の大将の猪木会長ですからね。ごあいさつさせていただいたり、たまに声をかけていただくことはありましたけど、僕もリングを降りてから、会長もリングを降りてからの15年間ぐらいでしたけど、いろんなハートの部分というんですかね。いろんなことを学ばせていただき、言葉にして教えていただきました。それを今日この瞬間ではお伝えしきれませんし、ロビンソン先生から学んだキャッチ・アズ・キャッチ・キャンを含めて、また機会があって、そういう場があればお伝えできればなと思います」

――大会自体をどのように捉えている?

▼宮戸氏「猪木会長の名前が付く以上は、それぞれの勝ち負け、術、テクニックとかそういう部分だけじゃなくて、やはり猪木会長のハートの部分っていうんですかね。その部分をどれだけ感じられるか。それを精一杯、自分たちの1個人の試合じゃないものまで背負ってるんだというね。ましてや猪木会長が天にいかれてから3ヵ月も経ってないですから。追悼というか、安心してみてくださいっていう思いを込めてというか、そういう思いになるような出し切る試合をみんなが頑張ってもらえたらいいんじゃないかなと思います。僕は関わってる立場じゃないので偉そうなことはいえませんけど、そういう思いですね」

――今後また宮戸さんの教えを受けたい気持ちはある?

▼柴田「ぜひ日本にいる時、連絡させていただいてお願いしたいです」

▼宮戸氏「大丈夫です。よろしくお願いします」

――ここに来たのは初めて?

▼柴田「そうですね。初めてですね」

▼宮戸氏「お会いしたのは11年前。桜庭(和志)選手と柴田さんが組んで鈴川(真一)&澤田(敦士)組っていうね。あれ凄い試合でしたけどね」

▼柴田「あれがプロレス、新日本に戻るきっかけにはなった試合なんで。あれも年末の大会で、何が自分にできるんだろうってリングに上がって、凄くプロレスに可能性を感じて今があるっていう意味では、そこは猪木さんがつないでくれたのかなと。今日ここに来ているのも猪木さんがつないでくれたのかなと思っております」

▼宮戸氏「それこそ柴田さんのお父さんは僕が新日本に上がらせていただいた若手時代のレフェリー。そういう意味では接点のあった方だったんで、そういう意味でも今日は感慨深いです」

――新日本の道場やLA DOJOに相通じるものは感じた?

▼柴田「やっぱりね、道場というのは特別な場所なんですよ。道場は大事なんですよね。プロレスをやるうえで。それは実感してる部分があるので。また時間のある時に練習させていただきたいと思います」

――ここに来たのも踏まえて28日どんな試合をみせたい?

▼柴田「試合はふたを開けてみないとわからないので。いかにそこに自分の持ってるものを出すかなんで。いい状態で挑みたいと思います」

――UWFルールについては?

▼柴田「自分、まだ完全に理解してるわけじゃないんで、あとで宮戸さんにお聞きしたいと思いますけど。逆にこれ凄くいいなと思っていて。今のプロレスのありきたりな光景である乱入したり、決着がつかない。そういうものを一切排除して、本当に技術とレスリングでプロのレスリングができるルールだなと。で、完全決着じゃないですか。3カウントもないし。そういう意味では今のプロレスラー全員ですよ。今プロレスやってる人たちに対する問題提起じゃないですけど、そういうことができる試合になるんじゃないかなと自分は思ってますね。それが今回の試合が決まった意味というか。今のプロレスはもちろん凄い。身体能力お化けみたいなのがいっぱいやってるんで、もちろん凄いんですけど、本当に大事なクラシカルな、オーソドックスな、プロレスリングのベースとなるものがあまりにもなくなりすぎていると思うんで、そういう意味で本当に今一度、道場論から根底にあるプロのレスリングって何だっていう部分を試合で見せたいですね。そんな試合をしたいです」

――宮戸さんから今後さらに教わって、その技術をLA DOJOの弟子たちに伝えていきたい気持ちはある?

▼柴田「そうですね。そうしたいんですけどね。なかなか難しいですからね。技術は自分が理解して教えなければ伝わらないものなので。そこはしっかり努力はしますけど、またそこは難しいですね。難しいですけど、まず自分が知るっていうのが大前提かなと思ってるんで。若手のことより今、自分のことに集中したいです」

――そうなればキャッチ・アズ・キャッチ・キャンを多くの若い選手に触れてほしい宮戸さんの希望につながるかと?

▼柴田「そうですね。今日お会いしてお話をさせていただいて、宮戸さんと芯の部分でつながってるというか、プロレスに対する姿勢、情熱、そこはすごく共感できる部分がありましたね。お話ししていただいて、教えてもらって。プロレスに対する情熱って一番大事だと思っていて。気持ちというか。二の次のことを今やりすぎちゃっていて。そりゃ運動神経いい人が凄いのはわかるんですけど、もっと大事な勝負論だったり、強さだったりを追求したプロレスっていうのを。もともとがそうだったというのをやりたいですね。自分でこうだよっていうのを見せたいです」

――それが会見での「自分にしかできない新日本プロレスをやりたい」という発言につながると?

▼柴田「そうですね。それしかないかなと思ってます」

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