12/30【NOAH/会見全文】「ムタvs中邑」直前会見 中邑「感情たぎりまくってる」 武藤は「最高のアート」予感
ノア1・1日本武道館で実現する「グレート・ムタvs中邑真輔」に向けた直前会見が30日、都内ホテルで開かれた。
これが1年前だったら「(実現)していない」と中邑も断言する“奇跡の一戦"。粘り強い交渉と、あらゆるタイミングが重なって産み落とされた。その時を2日後に控え、ムタの“代理人"武藤敬司と中邑が直前会見に臨んだ。
思い入れの深さを表すように、中邑は“ムタvs中邑"の特製スタジャンを着込んで登場。「奇跡の一戦を祝うため、特別なものとしてあつらえた」と笑った。入場でもWWE同様の奏者を伴ってのバイオリン生演奏が実現する。会見でも「夢の中にいるようです。いまだ震えてます。たぎってます、マジで。本当にこの神がかった状況を味わい尽くしたい」と噛みしめるように話した。
かつてムタの大ファンだった。「プロレス界、一歩足を踏み入れた時からファンであった気持ちは封印して、競争相手としてとがってきた」という中邑だが「もう武藤敬司がリングから降りてしまう。グレート・ムタが魔界に帰ってしまう。この状況の中ではどうしても自分の本物の感情をさらけ出さずにはいられない。だからもうすでに感情がたぎりまくってる」とプロレス少年だった頃の思いを“特別に"全開放して臨むつもりでいる。
ともに世界を魅了する世界観を培ってきた新旧メジャーリーガー対決。実現に尽力した中邑に改めて感謝した武藤は「ともに新日本プロレス、ストロングスタイルで生まれ育ち、そこを飛び出して、大海に出て、荒波にもまれて培ったこの世界観。今回の戦いは世界観と世界観のぶつかり合い。他のレスラーたちでは描けないようなアート、芸術的な最高な戦いになるような予感がします」と改めて“世界観のぶつかりあい"をテーマに見据えた。
これに中邑は「世界観の戦い。それもある。でもやっぱり僕の中では世界観の融合も起こればいいなと思ってますね」と返答。「リングに上がっていったん触れてしまえば、そこから何が変化して、何を感じるか、そして何が生まれるかっていう部分が、陳腐な言い方ですが楽しみです。ある意味、恐怖でもありますけど、ワクワクだとか、どうしてもそういうものが、今はそういう感情が止まらない」とあえて感性にゆだねつつ、全力で“楽しむ"構え。武藤も「重っ苦しく試合はしたくない。やっぱり楽しみたいよ」とやはり“楽しむ"ことをキーワードに挙げた。
コロナ禍で来日できなかった中邑にとって、約3年半ぶりの日本でのファイトとなる。「WWEの興行として日本に帰ってくることは何度かありましたが、今回はそれまでとは全く違う状況での試合。かつ日本武道館で元日に。これ以上の特別感はないなと。誇りに思います」と話した。
ノアの元日武道館だが、試合順はGHCヘビー級選手権試合より後。事実上のメインイベントに据えられた。武藤は「1月1日の試合に限ってはほぼフルハウスになる予定。ある意味、言ったらグレート・ムタとSHINSUKE NAKAMUARの商品価値。俺の口からホントはこんなこと言いたくないんだけど、GHCのチャンピオンベルトより上かな」と手厳しく“現実"を提示したうえで、「今回はきっとノアのファンだけじゃなく、一見さんのファンも大勢見に来るはずなんですよ。だからノアの選手たちは素晴らしい試合して、その人たちのハートをつかんでね。全員がリピーターになる、また同じようになるわけだから、ある意味、ノアの選手たちにも期待しております」とノア勢にもハッパをかけた。
すでに残りチケットは1階スタンド、2階スタンドの一部のみ。年明けとともに世界のプロレスファンへともたらされる“奇跡のお年玉"。除夜の鐘が鳴り終わったら間もなく、そのゴングが鳴る。
【会見の模様】
▼武藤「武藤敬司の言葉として、まずSHINSUKE 中邑、アメリカのタイトなスケジュールのなか、1月1日、日本武道館に来日して、試合をしてくれてありがとう! 俺が思うにグレート・ムタもSHINSUKE NAKAMURAも時代は違えど、ともに新日本プロレス、ストロングスタイルで生まれ育ち、そこを飛び出して、大海に出て、荒波にもまれて培ったこの世界観。今回の戦いは世界観と世界観のぶつかり合い。他のレスラーたちでは描けないようなアート、芸術的な最高な戦いになるような予感がします。グレート・ムタ、生まれて30数年経ちますが、過去にはアントニオ猪木、ハルク・ホーガン、スティング、リック・フレアー、スティーブ・オースチン、そうそうたる世界のトップと戦ってきました。その歴史のページに新たにこのSHINSUKE NAKAMURAの名前が刻まれることをひじょうに喜んでおります。当日、武藤敬司からグレート・ムタ、ハッパかけておきますので、よろしくお願いいたします」
▼中邑「まず最初に武藤選手、そしてプロレスリング・ノア、そしてこの試合を実現可能にしてくれたWWEに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。そして今、武藤選手がおっしゃった言葉の一つ一つが誉れというか、未だ自分の中では夢の中にいるようです。このあり得ない状況というか、この2022年、この激動の時代に決定し、そして2023年1月1日・元日に実現するという。いまだ震えてます。たぎってます、マジで。だから何だろうな。楽しみだけじゃないんですけれども、本当にこの神がかった状況を味わい尽くしたいなっていう気持ちが今はひじょうに高ぶっております」
――改めて中邑選手を前にして代理人ながら直前の高ぶりはある?
▼武藤「もちろんありますけど、今見かけたらジャケットにグレート・ムタの刺繍みたいのがあって、これたぶん俺に断りもなく、グレート・ムタに断りもなく刺繍してるから、ちょっとロイヤリティーが発生するんじゃないかと思っております」
▼中邑「個人的な趣味で(苦笑)」
――自分で作った?
▼中邑「そうですね、はい。この世紀の、奇跡の一戦を祝うために特別なものとしてあつらえました」
――この一戦はGHCヘビーよりあとのメインイベント、大トリとして行われるが、試合順にどんな感想を持っている?
▼武藤「わりと人の集中力ってのは2時間から3時間までがピークかなと思っているなか、今回11試合あるよね。本当はもう少し早いところで試合したかったんですけど、最近のノアの試合で日本武道館がフルハウスになったところを俺、見たことなくてですね。あさっての1月1日の試合に限ってはほぼフルハウスになる予定ですので。ある意味、言ったらグレート・ムタとSHINSUKE NAKAMUARの商品価値。俺の口からホントはこんなこと言いたくないんだけど、GHCのチャンピオンベルトより上かなと。ただ、今回はきっとノアのファンだけじゃなく、一見さんのファンも大勢見に来るはずなんですよ。だからノアの選手たちは素晴らしい試合して、その人たちのハートをつかんでね。全員がリピーターになる、また同じようになるわけだから、ある意味、ノアの選手たちにも期待しております」
――武藤選手が世界観と世界観のぶつかり合いになると発言したが、それについての見解は?
▼中邑「まず第一に、一度は引退試合の相手として、候補として挙げてもらったことに驚きと感激をいたしまして、このカードの実現に向けて尽力させていただいたのがあるんですが、世界観の戦い。何だろうな。それもある。でもやっぱり僕の中では世界観の融合も起こればいいなと思ってますね。かつ自分の中にリングに上がっていったん触れてしまえば、そこから何が変化して、何を感じるか、そして何が生まれるかっていう部分が、陳腐な言い方ですが楽しみです。ある意味、恐怖でもありますけど、ワクワクだとか、どうしてもそういうものが、今はそういう感情が止まらないですね」
――魔界に入る、自分の世界に引き込むということではなく、そのときの感性を大事にすると?
▼中邑「そうですね。今までもそうでしたし。だからこそ全身全霊むき出しで1日の試合、臨みたいとは思ってます」
――中邑選手は今回入場でのバイオリン生演奏が実現するが、ムタもスペシャルな入場はある?
▼武藤「いや、たぶん俺まだそんなこと聞いてないですね。たぶんないですね。普通通りに。もしかしたらスモークとかそういうのはあるかもしれないけど、今回入場はSHINSUKE NAKAMURAに譲りますよ」
――中邑選手のWWEでの活躍は気にしていた?
▼武藤「気にしようとはしてなかったんだけど、必然的に情報として入ってきたり、映像として入ってきたりして、気にせざるを得なかったのが実情ですね」
――日本人初のロイヤルランブル優勝を遂げ、様々なベルトを獲得しているが、中邑選手のアメリカでの活躍で一番印象に残っているのは?
▼武藤「確かね、コロナになる前かな。俺もニューヨークに行って新日本プロレスのリングに出た時、彼はレッスルマニア、メインだっけ? 違ったっけ? に出てたんだよね。その前の年はメインでやってるよね? なかなかレッスルマニアのメインは普通のレスラーじゃできないよね。そのへんは素晴らしいと感じました」
――当初は引退試合の相手として名前が挙がったとのことだが、どういう気持ちがあった?
▼武藤「いや、もう率直にWWEにいて、さっき言ったレッスルマニアでメインをやった商品価値。東京ドームを2月21日にやることはもう決まってたので、それを集客するに相ふさわしいレスラーじゃないかなと思ってオファーもしたと思います」
――中邑選手にとって武藤選手はどんな存在だった?
▼中邑「僕はこのプロレス界、一歩足を踏み入れた時からファンであった気持ちは封印して、武藤選手にしても蝶野選手にしても自分がファンとして見てた先輩たちすべてに対して競争相手であるという意識でとんがって接してきました。武藤敬司選手とは過去2回IWGPをかけて戦ってますが、そのときは大きな壁として立ちはだかられ、自分としては目の上のタンコブ以上にほろ苦い経験をさせていただいたんですけど。今回、自分が戦うのはザ・グレート・ムタですが、さっきも言いましたけど、武藤選手に引退試合の相手に名を挙げてもらえる、そしてもう武藤敬司がリングから降りてしまう。グレート・ムタが魔界に帰ってしまうと。この状況の中ではどうしても自分の本物の感情をさらけ出さずにはいられないです。やっぱり僕の中で中高生の頃、ザ・グレート・ムタは僕のアイドルでした。大好きだったです。その相手と時代は違えども肩を並べることができて、そしてリングで対戦できるという。何だろうな。言葉では本当に言い表せないんですけど、この実現に至る経緯もすべて本当に神がかってんなと思って。だからもうすでに感情がたぎりまくってるというか、そんな感じです」
――大みそかに試合をしたことはあるが、元日に試合をすることについて、日本で試合をすることについては?
▼中邑「日本で試合をすること自体が待ち望んでいたというところなんですけど、コロナもあって約3年以上になるんでしょうか。日本で試合をすることができなかったと。あとはWWEの興行として日本に帰ってくることは何度かありましたが、今回はそれまでとは全く違う状況での試合。で、かつ特別なもの、奇跡的に実現に至った。かつ日本武道館で元日に。これ以上の特別感はないなと。誇りに思います」
▼武藤「ところでみなさん気にしてんだけど、1月4日、東京ドーム、新日本は行くの?」
▼中邑「その予定はありません」
▼武藤「ないの?」
▼中邑「何も声をかけられてはおりません。残念ながら」
――ムタとの一戦がノアで実現することについては?
▼中邑「そのグレート・ムタの代理人である武藤敬司選手はノアの所属じゃないんですかね? すべてにおいてこの試合はホント奇跡としか言ってないから、それ以上のボキャブラリーがないのは申し訳ないんですけども、ありえないことが起こったということにすべて総括されるんじゃないですかね」
――WWE側の状況もあったと思うが、これがもし1年前に話があったら実現していたと思う?
▼中邑「してはないです。実際に三度目の正直と言いますか、いろんなことがありましたので…」
――中邑選手は今年キャリア20年でその締めくくりでこの試合があることについては?
▼中邑「意識してなかったですね。自分が20年やってるっていうこともあんまり意識してなかったです。でもホント何か目に見えない力に背中を押してもらえてる感はあります」
――グレート・ムタとの対戦が決まったことで他のWWEスーパースターからの反応はどんなものだった?
▼中邑「みんな信じてなかったです。だからSNSに上げられた(対戦カードの)この写真、『これいつやったやつ?』って聞かれたんですよ。『昔やったんでしょ?』って言われたんですよ。『いや、違うんだよ。これ1月にやるんだよ』って言ったら、みんなアゴ外れそうになってましたね。あとはファミリーとしてプロレスを続けてる選手なんかも、やっぱりザ・グレート・ムタを、NWA時代、WCW時代のザ・グレート・ムタを見て育ったということで物凄く興奮していたり。レスラーじゃなくてもWWEで設営に携わってるスタッフの方とか照明の方とかもやっぱり凄いな、凄いことが起こったんだなと。普段声はかけてくれるんですけど、プロレスの話をしない方でも、そこまで反応がありました」
――アメリカでの反応を聞いて?
▼武藤「昔、苦労して頑張った成果というか、やめる前にそういうものを言葉として聞けてもうれしいですね。レスラー冥利に尽きますよ」
――今年は猪木さんが亡くなり、時代の転換期に引退を決断し、中邑選手に時代を託す意識はある?
▼武藤「うーん、時代を託すとかちょっとおこがましいからさ。やっぱりSHINSUKEが言ってた通り、そんなに重っ苦しく試合はしたくない。やっぱり楽しみたいよ。こっちが楽しまなかったら、きっと見てる人も楽しくないだろうなと思って。そんな気持ちで試合します」
【NOAH】1/1(日)東京・日本武道館『ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2023』15:00開場、16:00開始
◇第1試合◇
小澤大嗣
vs
矢野安崇
◇第2試合◇
谷口周平
齋藤彰俊
モハメド ヨネ
vs
稲村愛輝
稲葉大樹
マサ北宮
◇第3試合◇
Hi69
タダスケ
近藤修司
vs
アレハンドロ
ダンテ・レオン
ニンジャ・マック
◇第4試合◇
望月ジュニア
望月ススム
望月マサアキ
vs
吉岡世起
小峠篤司
イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.
◇第5試合◇
▼8人タッグマッチ
X
NOSAWA論外
ケンドー・カシン
藤田和之
vs
大原はじめ
征矢学
中嶋勝彦
船木誠勝
◇第6試合◇
▼シングルマッチ
ジャック・モリス
vs
ティモシー・サッチャー
◇第7試合◇
▼GHCジュニアヘビー級選手権試合
[挑戦者]
宮脇純太
vs
AMAKUSA
[第52代王者]
※AMAKUSA初防衛戦
◇第8試合◇
▼GHCタッグ選手権試合
[挑戦者]
KENTA
丸藤正道
vs
小島聡
杉浦貴
[第62代王者]
※杉浦&小島組3度目の防衛戦
◇第9試合◇
▼GHCジュニアヘビー級タッグ選手権試合
[挑戦者]
Eita
小川良成
vs
Kzy
YO-HEY
[第54代王者]
※YO-HEY&Kzy組初防衛戦
◇第10試合◇
▼ダブルメインイベントI・GHCヘビー級選手権試合
[挑戦者]
拳王
vs
清宮海斗
[第41代王者]
※清宮3度目の防衛戦
◇第11試合◇
▼ダブルメインイベントII・スペシャルシングルマッチ
SHINSUKE NAKAMURA
vs
グレート・ムタ