9/17【NOAH】まるで“丸藤vs丸藤"…25周年・丸藤がオスプレイと大激闘 「もう一度テッペン目指す」
『CLEANUP INTERNATIONAL presents 真・飛翔〜丸藤正道デビュー25周年記念大会〜』後楽園ホール(2023年9月17日)
スペシャルシングルマッチ ○ウィル・オスプレイvs丸藤正道×
丸藤正道のデビュー25周年記念大会が行われ、メインイベントでは丸藤とウィル・オスプレイのシングル初対決が実現。まるで“丸藤vs丸藤"な大激闘を繰り広げた末に丸藤が敗れたものの、「もう一度テッペンを目指す」とポジティブに前を向いた。
今年の8月28日にデビュー25周年を迎えた丸藤。「自分のカード一本で後楽園ホールを満員にする」との予告通り、聖地は超満員札止めの観衆で埋まった。
カードはオスプレイとのシングル初対決。オスプレイにとって丸藤は「子供のころからの憧れ」であり、プロレスを目指すきっかけとなった存在だった。フックキックをはじめ、多くの“丸藤ムーブ"を取り入れていることでも知られ、丸藤25周年のタイミングで実現する待望の一騎打ちとなった。
試合はまるで“二人の丸藤"が闘っているかのような激闘となった。のっけからおよそ初対決とは思えない読み合いを繰り広げ、オスプレイが丸藤ばりのステップキックやシューティングスタープレスなどを繰り出すと、中盤にはフックキック合戦、フロム・コーナー・トゥ・コーナー合戦も展開。ひらめきと独創性にあふれた攻防に、超満員の場内はどよめきの連続となった。
そして終盤にかけては、まぎれもなく“丸藤vsオスプレイ"な展開となった。不知火・改を成功させた丸藤は、ヒドゥンブレードを虎王で迎撃して決定機を迎える。さらに真・虎王からタイガーフロウジョンを見舞って勝負あり…かと思われた。
オスプレイがかろうじて肩を上げても、場内は「丸藤」コールに染まる。それでもポールシフトとストームブレーカーの壮絶な読み合いに持ち込んだオスプレイは、組みついてきた丸藤にカウンターのヒザ蹴りをズバリ。丸藤も虎王やフックキックで応戦したものの、倒れないオスプレイはフライング式ヒドゥンブレードを見舞うと、生ヒジ式のヒドゥンブレードを後頭部にズバリ。それでも丸藤はクリアしてみせたが、最後はついにストームブレイカーが決まって3カウントが数えられた。
大の字となった丸藤の手を、敬意を込めて握りしめたオスプレイ。そのまま“憧れの人"を抱き起こしてからマイクを握ると「16歳の時初めてNOAHを見た。マルフジサン、その時からあなたのファンです」と改めて“告白"し、「イチバン、プロレス、マルフジサン! アリガトウゴザイマシタ」と座礼。丸藤も座礼で応じ、場内は感動的な拍手に包まれた。
丸藤も「今日はありがとう。あなたと戦えてこちらこそ光栄でした」と英語で感謝。退場するオスプレイの背中に頭を下げて見送った丸藤は「25年、自分がこの世界に入ろうと思った時、両親は何も反対せず、一生懸命やってこいと言ってくれました。妻と子供は無駄な心配をしないで、家で待っててくれます。そして、スタッフの皆さん、今日この会場にいらしてくれた皆さん、画面越しに見てくれたお客さん、本当に感謝しかありません。ありがとうございます」と噛みしめるように感謝した。
そして、「俺はポジティブがポジティブを呼ぶと思っているんで。今まで本当にいろんなことが起きました。で、25年間、このNOAHになってからも本当にいろんなことが起きた。だけど俺は前を向いて、常に歩いてきました。そんな中で、皆さんがこうやって応援してくれたことが本当に力になっています。ありがとう。今日は負けてしまいましたけど、もう一度テッペン目指して頑張ろうと思います」と決意を新たに。最後は「丸藤、そしてプロレスリング・ノアをどうぞよろしくお願いします」と節目の記念大会を締めくくった。
若かりし時から“天才"と呼ばれ続けてきた丸藤だが、「(オスプレイは)まさに天才。ああいうレスラーを天才って言うんじゃないですか。みんなは俺のことをそうやって言ってくれたりするけど、俺なんて全然。そして、現代プロレスの完成型じゃないですか」とバックステージでもオスプレイに惜しみない賛辞を送った。
とはいえ自身も“健在っぷり"を改めて見せつけた形。「“丸藤もうちょっとやれる"と思ってくれたなら、もうちょっとやらしてもらおうかな。なんだかんだいったって、ギリギリで生きてきたんで。でも、そのギリギリが楽しいしね。ギリギリでやれることをやると、こうやってお客さんが喜んで見てくれるんで。マスコミの方も俺の25年を知っている方もいるし、もっともっとNOAHとしっかり歩んでいきたいと思います」。刺激的な節目を経て、方舟の天才は今日もポジティブに前を向いた。
【オスプレイの話】「(日本語で)新日本プロレスのウィル・オスプレイです。IWGP UKヘビー級チャンピオン。楽しかったですか。(英語で)本当に夢が叶いました。16歳からずっと自分にとってヒーローだった丸藤選手とこうして試合ができました。本当に本当に日本のプロレスが大好きで、この機会を設けてくださった方々、NOAHのオフィスもそうですし、迎え入れてくれたNOAHのファンの皆さんにも凄く感謝しています。日本のG1に出てから凄く忙しいスケジュールだったんですけど、アメリカに行ったり、イギリスに行ったり、またアメリカに行ったり、またイギリスに戻って、そしてようやく自分の夢を叶えるために、この大事な試合に出るために日本に戻ってきました。そうして今日、試合の日を迎えることができて、こうして夢を叶えることができました。本当に皆さんに感謝するしかないと思っています。自分とエディ・キングストン選手はなんとなく似たような歴史を辿っているんですが、もしかすると、秋山選手とエディ・キングストン、そして自分と丸藤選手が組んで、試合をするというのも面白いのかもしれません。それぐらい自分もエディ・キングストン選手も日本のプロレスが大好きで、日本のプロレスこそが最高のプロレスだと思っています。そして、いよいよ次はこのベルトの防衛戦です。辻選手相手に防衛戦を頑張りたいと思っています」
【試合後の丸藤】
▼丸藤「ありがとうございました」
――オスプレイ選手と対戦した感想は?
▼丸藤「まさに天才です。ああいうレスラーを天才って言うんじゃないですか。みんなは俺のことをそうやって言ってくれたりするけど、俺なんか全然。そして、現代プロレスの完成型じゃないですか。しかもあいつが自分が完成していると思ってないから怖いよね。いや、素晴らしい。悔しいけど、素晴らしい。気持ち良かったです」
――超満員札止めの観客の反応を見てどうだった?
▼丸藤「本当に1枚1枚のチケットの大切さっていうのは、この何年間も感じてきたし、こうやって今日、ソールドアウトという形でお客さんも応援してくれたというのは、やっぱりプロレスには可能性があると思うし、その可能性というものをしっかりどれだけ世間に伝えていくか。うちの選手だっていい選手いっぱいいるんですよ。いい試合だっていっぱいするんですよ。彼らのそれがただ伝わってないだけ。俺はたまたま彼らよりちょっとだけこうやって伝えられることができたから、今日こうなったけど、1人1人がこれをできれば、いつも常に超満員だ。武道館だって、ドームだって夢じゃない。別に上から言うわけじゃないけれど、そうしていくことが、1人1人が自覚を持ってやっていくことが、このNOAHの発展につながるんじゃないですか。だから、俺もこれからしっかり精進して。今日負けちゃったからね。精進して、全てがパーフェクトな形に。本当だったら、ジェイク・リーに勝って、ベルトを獲って、N-1に出て、N-1に優勝して、今日という日を迎えて、あいつに勝てば、俺のプロレス人生はもう言うことなかったよ。でも、それじゃもしかしたら引退してたかもしれないから。結果的にこれはよかったけど。生きて帰ってこれてよかったです。とんでもない技が多いからね」
――25年経ったが、まだまだレスラーとしての欲はある?
▼丸藤「今日見てどうでしたかね? 丸藤もうちょっとやれると思ってくれたなら、もうちょっとやらしてもらおうかな。結構なんだかんだ言ったって、ギリギリで生きてきたんで。でも、そのギリギリが楽しいしね。ギリギリでやれることをやると、こうやってお客さんが喜んで見てくれるんで。マスコミの方も俺の25年をずっと知っている方もいるし、もっともっとNOAHとしっかり歩んでいきたいと思います」