プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

2/11【新日本】ザックが劇的丸め込みで雪辱 “テクニック世界一決定戦"制してダニエルソンと握手

『THE NEW BEGINNING in OSAKA』エディオンアリーナ大阪(府立体育会館)(2024年2月11日)
○ザック・セイバーJr.vsブライアン・ダニエルソン×

 ザックが劇的な丸め込みでダニエルソンを下し、4ヵ月ぶりの再戦で雪辱。“テクニック世界一決定戦"とも言われた試合を争ったダニエルソンと握手を交わし、互いを称え合った。

 ザックとダニエルソンは昨年10月にAEWマットで一騎打ち。“テクニック世界一決定戦"と呼ばれた一戦で、ダニエルソンがブサイクニーで勝利した。しかし、ザックは1・5墨田区大会でダニエルソンと邂逅すると、「次はお前がタップアウトする」と対戦を要求。ダニエルソンも受けて立つ構えを見せ、4ヵ月ぶりの再戦が決定に。ザックは「お前はギブアップする。レフェリーストップにはならない」と完璧な形での雪辱を予告していた。

 互いに絶対的なテクニックを誇る2人は、リストを取り合うだけでも技術全開でせめぎ合い、早くもどよめきを巻き起こす。どちらもアグレッシブに関節技を仕掛けるスリリングな攻防が続くと、観客は固唾を呑んで見守った。

 投げられた時に左足を痛めたザックを見逃さず、ダニエルソンは執ようかつエグい一点集中攻撃を仕掛ける。耐え抜いたザックはネックツイストを皮切りに首攻めで応戦。試合は消耗戦の様相に。足関節合戦になると、その体勢のままザックはビンタを連打。笑みを浮かべたダニエルソンもツバを吐きかけると、2人は左足を極めながら、空いた右足で顔面を蹴り合った。

 その体勢のままエプロンに移動。ダニエルソンがザックを場外に蹴落とし、エプロンから飛びヒザ蹴りをぶち込んで、「イエス」コールを巻き起こす。ザックにダイブ攻撃を読まれて関節地獄に持ち込まれたものの、打撃戦から再びアクセルを踏んだダニエルソンはバズソーキックを一閃。ザックを股間からコーナー金具に衝突させると、雪崩式バックドロップで引っこ抜いた。止まらないダニエルソンは首筋にエルボーを連続して振り下ろすと、キャトルミューティレーションの構えに。

 巧みに逃れたザックは、裏の読み合いから起死回生の急角度ザックドライバーで突き刺した。ダニエルソンはギリギリでキックアウト。ならばとザックはランニングローキックを連発し、飛びつき式三角絞めに捕らえる。負けじとダニエルソンは重たいエルボーを振り下ろして脱出すると、両腕を掴んだ状態で顔面に容赦なくストンピングを乱射。そして、必殺のラーベルロックに。足まで極める複合技にも持ち込んだものの、ザックはニアロープに救われた。

 ザックはダニエルソンのミドルキックを正面から受け止めると、絶叫して立ち上がり、後方回転エビ固めへ。ここから再び関節技や丸め込みを仕掛け合うと、場内もさらに熱を帯びる。ザックはエルボースマッシュ、ダニエルソンはローキックで真っ向から火花。ザックがヒザのダメージで動きが鈍ったところで、ダニエルソンが前戦を制したブサイクニーをぶち込む。さらに、連発を狙ったものの、ザックは回避して、再び丸め込み合戦へ。死力を振り絞り、ポジションが何度も入れ替わったものの、ザックは腕十字式の押さえ込みで執念の3カウントを奪った。

 30分を超す激闘を終えると、ザックから握手を求める。一度は拒否して下がろうとしたダニエルソンだったが、きびすを返してガッチリと握手。互いに称え合って、世界屈指の技巧戦は幕を閉じた。

 ザックはダニエルソンに若手時代から影響を受けてきたことを告白。2008年にイギリスで初対決した時の思い出を振り返り、「お前は5分で勝って、すぐにその場を去ることができたはずなのに、人生で一番のレッスンを与えてくれた。俺のキャリアの方向がそこで一変したんだ。その場で。その試合で」と明かした。

 アメリカマットで成功を掴んだダニエルソンを称えつつも、「俺はどのメジャー団体からのオファーも断り続けた。14歳からこのプロレス業界でキャリアを積み、人生の全てを捧げてきた俺には、異なる考えた合ったからだ。まだ成し遂げられていないプロレスの未来へのビジョンがあったんだ。俺はこれからも人生の全てをこのスポーツに捧げるつもりだ。感謝も祝福も期待していない。そしてある日、忽然と姿を消すだろう。その日まで俺は毎日新日本プロレスにいるだろう」と日本で戦い続ける気持ちをあらたに。そして、「2024年、俺はIWGPヘビー級王座を獲って、プロレス界を一変させてやる。1人でやるんじゃない。ここにいるアホども(TMDKのメンバー)と一緒にだ」と悲願のIWGP獲りに執念を燃やしていた。

 一方、敗れたダニエルソンも2008年の初対決を懐かしそうに振り返ると、今野体調が万全だったことを強調したうえで、「それにもかかわらず、あいつ、ザック・セイバーJr.は俺に勝ちやがった。俺はあいつと握手を交わし、リスペクトを見せることしかできなかった。世界一のテクニカルレスラーはもう俺ではない。それはザック・セイバーJr.だ」と手放しでザックを称賛した。それでも敗北は悔しかったようで、「公平であるために正直な気持ちを言うと、もう1試合したい気持ちがある。AEWでは俺が勝ち、新日本ではあいつが勝った。どこかニュートラルな場所で、2アウト・オブ・3マッチで対戦するのはどうか? プロモーターを探そうじゃないか」と決着戦実現に意欲を見せた。

プロ格 情報局