プロレス/格闘技DX

『天龍源一郎 引退10周年記念興行〜革命飛翔〜』東京・後楽園ホール(2025年11月4日)
○拳剛&鷹木信悟vs海野翔太&岩本煌史×

　鷹木&拳剛が熱闘の末に海野&岩本を撃破。天龍プロジェクト最後の後楽園大会メインを締めくくった2人は、天龍源一郎の眼前で龍魂伝承を誓った。

　天龍プロジェクト最後の後楽園ホール大会メインイベントは鷹木&拳剛と岩本&海野が対戦するタッグマッチに。新日本の鷹木と海野は待望の初参戦。龍魂を背負う鷹木は以前から天龍へのリスペクトを口にしている。海野は父のレッドシューズ海野レフェリーが全日本、SWS、WARと天龍と行動を共にしていただけに、「僕のプロレスラー人生の目標の1つだった」と意気込んでいた。一方、天龍プロジェクトで活躍する岩本は現インターナショナルジュニア王者で、拳剛は現IJタッグ王者にして初期からの常連選手。天龍プロジェクトの集大成と言えるタッグマッチとなった。

　天龍プロジェクトのファンから熱い声援を受けた拳剛だったが、序盤から守勢を強いられた。海野は「こんなもんか」と挑発。岩本もいつも以上に熱いファイトを仕掛けていく。だが、拳剛も食らいつき、海野と逆水平合戦で火花を散らして意地を見せた。「俺に渡せ!」と吠えてタッチをもらった鷹木が海野相手に奮闘。鷹木が海野をWARスペシャルに捕らえれば、拳剛もテキサスクローバーホールドで岩本を分断して、絞め技競演を決める。

　新日本勢に負けじと、拳剛と岩本も真っ向火花。拳剛は裏落としでチャンスを掴むと、鷹木を呼び込んで連係へ。連続串刺しラリアットから鷹木のセントーン、拳剛のダイビングフットスタンプが立て続けに決まった。だが、連続ダイブは海野が妨害。雪崩式ブレーンバスターで叩きつけると、「いくぞ、岩本!」とゲキを飛ばし、こちらも連係へ。海野の串刺し延髄ニー、岩本の串刺しバックエルボーから海野のパワーボム、岩本のハリケーンドライバーが連続してさく裂する。

　カットに入った鷹木はDDT&コンプリートショット、両腕ラリアットで鎮圧。拳剛に猛ゲキを送った。そして、2人は岩本に照準。鷹木のスライディングラリアット、拳剛の変型DDTが決まる。海野が飛び込むと、鷹木が呼応し、ハーフネルソンスープレックス合戦、ラリアット合戦を繰り広げるが、痛み分けに。

　試合権のある拳剛は岩本を垂直落下式ブレーンバスターで突き刺すと、フロッグスプラッシュを投下するが、岩本は意地のキックアウト。追撃を切り抜けると、起死回生の孤高の芸術で逆襲した。なんとか立ち上がった岩本は孤高の芸術を再度狙うも踏ん張った拳剛がバックドロップで切り返すと、鷹木と海野も飛び込んで大技が連鎖し、4選手が大の字に。

　這うようにして立ち上がった岩本と拳剛はエルボー合戦を繰り広げると、互いの追撃に出るが、カウント1でキックアウト。場内はさらにヒートアップする。岩本は孤高の芸術からパワーボムを狙うも、拳剛は意地のリバース。飛びヒザ蹴りをぶち込むと、鷹木が介入を狙う海野をエプロンデスバレーボムで排除した。すかさず拳剛が龍魂ドリラーで岩本を突き刺して、熱戦に終止符を打った。

　鷹木&拳剛が20分超えの激闘の末に海野&岩本を撃破。見事にメインで勝利を飾った2人は、天龍とともに「エイエイオー!」と勝ちどきを上げて大会を締めくくった。

　試合後は天龍と並んでコメントを発表。鷹木は改めて天龍への思い入れを吐露し、「僕も僕なりにDRAGONGATEの時から龍魂継承と言って20年経ちました。自分にとって今日は10年分とか、20年分の龍魂を爆発させるつもりで戦いましたけど、まだこれで終わりではないと思っているんで」と前向きに語った。そして、IWGP世界ヘビー級王座戴冠時の自分をモチーフにしたTシャツを示し、「本当の意味で龍魂継承と言うんだったら、天龍さんがIWGPを獲ったのは49歳、40代の時ですから。俺がこれを獲った時は38、30代だから。本当の意味でレボリューションというものを叶えるんだったら、もう一度40代でIWGPを獲って、もう一度コラボTシャツを作らせてください」と気持ちを新たに。天龍も「頑張ってよ」と激励した。

　そんな鷹木の言葉を聞いた拳剛も「僕もずっと天龍プロジェクト中心でやってきたんで、僕なりの龍魂が確実にあると思うんで。せっかく天龍さんが集めてくださった今日のタッグ、龍魂タッグを終わらせたくないです。また鷹木さんどこかで龍魂タッグを組みましょう」と自分なりの龍魂継承を宣言しつつ、鷹木とのタッグ継続に意欲を見せた。鷹木も「拳剛・信悟コンビで面白いことができれば。新日本に上がるのも面白いし、これを点で終わらせずに、線にしてつないでいきたいと思いますよ」と同意。拳剛は「天龍さんの意思を我々が引き継いで、受け継いで、後世に残していきます」と意気込み、2人は天龍と握手を交わした。


【試合後の鷹木&拳剛、天龍】

▼拳剛「ありがとうございます」

▼鷹木「大将、今日はありがとうございました」

▼拳剛「天龍さん、ありがとうございました。(天龍と握手すると)まさに本当に夢空間で。カウンターカルチャーの中にある夢空間という感じで感無量です。この空間を作ってくれた天龍さんと天龍プロジェクトにはホンマに心から感謝しているし。これで終わらせるんじゃなくて、これを次のステップにつなげるためにこの試合があったと思うんで。その気持ちをしっかり受け取って、今後も頑張っていこうと思います。本当に清々しい1勝でした。ありがとうございました」

▼鷹木「本当に同じく感無量でしたね。オファーをいただいた時にメチャクチャモチベーションが上がったんで。実は自分にとってもトリプルイヤーだったんですよ。天龍さんは覚えていらっしゃらないかもしれないですけど、2005年に大阪で一度だけ試合をしまして。2015年の引退興行には出場することができなくて。そして、今年2025年。やっと天龍プロジェクトに出ることができて、自分にとってもトリプルイヤーだったんで。天龍さん、僕も僕なりにDRAGONGATEの時から龍魂継承と言って20年経ちました。自分にとって今日は10年分とか、20年分の龍魂を爆発させるつもりで戦いましたけど、まだこれで終わりではないと思っているんで。1つ、今日の大会に向けて、こういうシャツを作らせてもらったんですよ。こうやって見ると、俺自身がIWGPを持った時の写真のコラボですけど、本当の意味で龍魂継承と言うんだったら、天龍さんがIWGPを獲ったのは49歳、40代の時ですから。俺がこれを獲った時は38、30代だから。本当の意味でレボリューションというものを叶えるんだったら、もう一度40代でIWGPを獲って、もう一度天龍さんコラボTシャツを作らせてください」

▼天龍「頑張ってよ」

▼拳剛「鷹木さんが今おっしゃった龍魂、わかります。わかるんですけど、僕もずっと天龍プロジェクト中心でやってきたんで、僕なりの龍魂が確実にあると思うんで。せっかく天龍さんが集めてくださった今日のタッグ、龍魂タッグを終わらせたくないです。また鷹木さんどこかで龍魂タッグを組みましょう」

▼鷹木「拳剛・信悟コンビで面白いことができれば。新日本のリングに上がるのも面白いし、これを点で終わらせずに、線にしてつなでいきたいと思いますよ。せっかくの出会いですから」

▼拳剛「天龍さんの意思を我々が引き継いで、受け継いで、後世に残していきます」

▼鷹木「今後ともよろしくお願いします」

▼拳剛「よろしくお願いします。天龍さん、ありがとうございました(3人で握手)」


【試合後の海野&岩本、天龍】

▼岩本「天龍さんはトリプルイヤーということで、自分自身も今日がプロレスのデビュー日でして、自分としてもすごい記念日だったんですけど、最後負けてしまったので、拳剛選手には大きな借りができたと思います。対戦相手の鷹木選手も初対戦だったんですけど、これっきりでは終わりたくないなあというのも思いますし。今日、隣で一緒に戦ってくれた海野選手も2018年の両国で3WAYタッグでちょっと触れたぐらいなんで。ぜひ何か機会があれば、がっつり触れ合いたいなと強く思いました」

▼海野「今日のこの大会というのは、個人的にすごい思い入れがあったんですよ。というのも、2015年11月15日、天龍さんの引退試合。僕はまだ新日本プロレスに入る前に観に行ってたんですよ、母親と一緒に。そこで試合が終わって、まき代さん(天龍夫人)に『来月入門テスト受けて、合格できたら新日本プロレスに入ります』と初めて口にしたんですよ。まき代さんからの第一声は『なんで海ちゃん許したんだ。ふざけんなよ』と怒られてしまって。でも、いろいろ自分は5年間プロレスラーになることを反対され続けたり、時には殴られたり、いろんなことがあって、それでも諦めきれなかったんで。プロレスラーになりたいんだということを伝えたら、『じゃあ、頑張ってよ。応援してるよ。いつか大将と同じリングに上がる日を楽しみにしてるよ』って背中を押してくれたんですよ。どんなにつらいことがあっても、どんなに険しい道でも、この日のために俺は今まで頑張ってこれました。そして今日、天龍さんと同じリングに立てたということが、僕のレスラー人生において本当に大切な宝物になりました。最初からお伝えしている通り、これで終わりじゃないんで。ここからがまたスタート。未来につながるために今日の試合を、今日のこの天龍プロジェクトをずっと胸に秘めて、新日本プロレスを盛り上げて、プロレス界を盛り上げて、やっていきたいと思います。本日はありがとうございました」

▼天龍「ありがとう。頑張れよ」

▼海野「ありがとうございました」