【天龍プロジェクト】白熱技巧戦はザックに軍配 矢野を鮮やか料理 2025/11/4

『天龍源一郎 引退10周年記念興行〜革命飛翔〜』東京・後楽園ホール(2025年11月4日)
○ザック・セイバーJr.vs矢野啓太×

 白熱の技巧戦となったが、最後はザックが矢野の動きを読んで、鮮やかに丸め込み、技ありの勝利を手にした。

 天龍とは直接対戦経験がないザックだが、天龍同盟に所属していた小川良成から大きな影響を受けており、自身のルーツにあたる1人だと考えているという。そんなザックが天龍プロジェクトに初参戦。バトラーツ出身で、天龍プロジェクトでは龍魂杯を制するなど実績を残している矢野とのシングルマッチに臨んだ。

 矢野がバトラーツ出身で、英国のプロレスに影響を受けていることも知っており、試合を楽しみにしていたザックは、握手で試合をスタートさせる。のっけから矢野はテクニック全開でザックと互角の攻防を展開。両腕クロス式スリーパーを狙い合うと、変型レッグロックでザックを苦もんさせて、歓声を巻き起こした。

 冷静に対処したザックがしつこく左足首を絞め上げたものの、矢野は手を掴んだ状態からグラウンドに引きずり込み、ヒジの関節を蹴り飛ばして譲らず。コーナー上で寝転んでザックを挑発する。だが、ザックも負けじと右ヒジを踏みつけて報復した。お互いの動きを読んでの高度な関節技合戦が続くと、矢野が脇固めでロープエスケープを奪取。ザックはたまらず場外に逃れる。

 リングに戻ったザックは変型腕固めに絡め取ると、矢野の猛抵抗を受けても動じず、アームロックに持ち込み、またも右ヒジを踏みつけた。エルボースマッシュもクリーンヒット。完全に勢いに乗ったザックはクラーキーキャットに持ち込んだものの、矢野はニアロープに救われる。

 エルボースマッシュで巻き返した矢野は、コーナーからザックをマットに叩きつけた瞬間、ヨーロピアンクラッチで丸め込むと、さらには裏をかいてコブラツイストに捕獲。そこからローリングクレイドルに持ち込んで歓声を巻き起こした。しかし、ザックもテクニックで譲らず、丸め込み合戦で矢野を翻ろう。矢野も足に絡みついて挽回を狙ったが、その先を読んだザックが回転足折り固めで技ありの3カウントを奪った。

 ハイレベルの技巧戦はザックに軍配。試合後、ザックが声をかけると、矢野は再戦をアピールする。ザックは一礼を返してリングをあとにした。

 前日のDDT両国大会ではクリス・ブルックスの親友対決を制し、今宵は矢野との技巧戦で激勝。ドラディションの11・14後楽園大会では藤波辰爾との一騎打ちを控えており、新日本以外の試合が続くが、ザックは矢野を評価しつつ、充実感をあらわにした。

 一方、敗れた矢野は「悔しい。でも、昨日まで肉体と精神がバラバラだった。今朝、目覚めた時にね、頭が冴えているし、能力にも衰えが無くなった。なにより今日自分が誰なのかわかった。キング・オブ・天龍プロジェクトだって」と豪語。「1月4日、スケジュール空けときます」とザックにメッセージを送っていた。

【矢野の話】「悔しい。でも、昨日まで肉体と精神がバラバラだった。今朝、目覚めた時にね、頭が冴えているし、能力にも衰えが無くなった。なにより今日自分が誰なのかわかった。キング・オブ・天龍プロジェクトだって。1月4日、スケジュール空けときます」