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11/7【新日本】KENTAがUS王座挑戦権利証死守 “同世代"棚橋撃破に感慨

『POWER STRUGGLE』大阪府立体育会館〜エディオンアリーナ大阪〜(2020年11月7日)
IWGP USヘビー級王座挑戦権利証争奪戦 ○KENTAvs棚橋弘至×

 KENTAがGAME OVERで棚橋を下し、US王座挑戦権権利証を死守。同世代としてなにかと比較されることの多かった逸材からの勝利に感慨を示した。

 US王座挑戦権利証保持者としてG1に臨んだKENTA。しかし、10・6広島大会での公式戦で、棚橋の頭部に振り下ろした際に権利証の入ったブリーフケースが破損し、試合でも敗北を喫してしまった。その後、KENTAはケースの破損箇所に「←たなはし」と刻み、ことあるごとに棚橋に難癖。棚橋も権利証奪取に意欲を見せ、争奪戦が組まれた。

 序盤はKENTAペースに。ゴング前からブリーフケースを示して「直せ」と棚橋に苦情。試合が始まっても、後ろ髪を何度も引っ張って挑発する。棚橋のエアギターに対抗してエアベースやエアピアノを披露。のらりくらりと試合を展開して逸材の苛立ちを誘い、スキを突いてブリーフケースで頭部を殴打した。

 棚橋もドラゴンスクリューやフライングフォアアームなど得意技で巻き返したものの、KENTAは首攻めで鎮圧。GAME OVERは極まる前にロープエスケープを許したが、その苛立ちを浅見レフェリーにぶつけると、フォールを棚橋がキックアウトした瞬間、自ら衝突してレフェリー不在の状況を作る。そして、ブリーフケースをリングに持ち込んで、棚橋に振り上げた。

 しかし、棚橋は寸前でケースをキャッチ。浅見レフェリーを加えた3人で押し問答を繰り広げるが、棚橋が力ずくで押し切り、KENTAの脳天にブリーフケースを激突させる。続くランニングネックブリーカーは相打ちとなると、続く打撃戦も痛み分けに。ならばと、先に仕掛けたKENTAはグリーンキラーやダイビングフットスタンプなど大技を連発。右のビンタ乱射からブサイクへのヒザ蹴りをぶち込み、go 2 sleepを仕掛けた。

 これを不時着して切り返した刹那、棚橋はツイスト&シャウト3連発で怒とうの巻き返しに出る。go 2 sleepをスリングブレイドで切り返し、正調式も繰り出すと、ハイフライフローアタックで飛翔。そして、10・6広島で勝利を飾ったテキサスクローバーホールドで勝負に。だが、ヒザ攻めが甘く仕留めきれない。スキを見逃さないKENTAが下から腕に絡みついてGAME OVERに捕獲。棚橋も勝負を捨てずにポジションが二転三転したが、最後はKENTAがリング中央で絞めに絞めてギブアップを奪い取った。

 KENTAが棚橋を撃破してUS王座挑戦権利証を守り抜いた。これまではことあるごとに棚橋を様々な言葉で挑発してきたが、試合後にKENTAの口を突いて出たのは素直な感慨だった。

 かつてKENTAはノアで活躍し、新日本の棚橋とは同世代の人気レスラーとして比較される立場だった。「今の歳の棚橋と今の歳の俺で、お互いこの歳でやって。もちろん、10年前、15年前、そこでやってたら…っていう人もいるかもしれないけど、でも、やっぱり今の棚橋と今の俺でやれたことに、おもしれえなって思う」と思いを馳せたKENTA。怪我で思うように活躍できなかったWWE時代の台湾遠征時に、中邑真輔、アスカとともに棚橋と食事をした秘話を明かし、「棚橋弘至、中邑真輔、アスカ、自分で輝いている人たちを見て、なんかその中に入っていけない自分がいたんだよね、それが凄い悔しくて、情けなくて」とその時の思いを吐露した。

 「もう1回、このままで終わってたまるかって、ずっと…まああれからじゃないけど、またあれでさらに気持ちを強くしてここまで来て、輝いてるかどうか、それは人が決めることだからわからないけど、少なくとも俺は今やれていることに充実感があるし、リングに上がるのが凄く楽しいし、それでいいんじゃないかなって。今、もう1回、あの会があったとしても、今の俺だったら胸を張って、そこに入っていける」。感慨深げにそう語ったKENTAは「まあ、結局、今シリーズ通して、俺が何を言いたかったって言うと、人生最後に笑えばそれでいいじゃんってこと」と締めくくった。

 US王者ジョン・モクスリーへの挑戦がいつ実現するのか、まだわからないが、KENTAは最後に笑うために、リング上でもバックステージでも今の自分を最大限に発揮して戦い続ける。

【KENTAの話】「(勝利者用に用意されたイスとテーブルをどけると、ZIMAを一本だけ手にとって床に座り、権利証の入ったケースの破損部分を見せながら)これは約束通り、弁償していただきましょうかね、棚橋くん。で、今日、新たに裏も壊れたよ。どんな頭してんだよ、お前の頭は。しっかり直して返してくださいよ。まあ、今シリーズ通して、楽しかったな、単純に。G1終わってからずっと続いてるような感じで。G1の感覚やテンションを忘れてないし、もちろんニュージャパンワールドのカメラへの気持ちも忘れてないよ。そんな簡単に、そんな簡単に諦めろっていうほうが無理だよ。好きになっちまったんだからよ。まあ、でも棚橋、今シリーズやって、今の歳の棚橋と今の歳の俺で、お互いこの歳でやって。もちろん、10年前、15年前、そこでやってたらっていう人もいるかもしれないけど、でも、やっぱり今の棚橋と今の俺でやれたことにおもしれえなって思うし。いつだったかな? 昔、俺がWWEっていう団体にいた時、台湾への遠征があって、その時になんかの撮影で棚橋も台湾に来てて、こっちもこっちで中邑真輔、アスカがいて、試合が終わって『食事でも行きましょうか』みたいな感じになって。棚橋弘至、中邑真輔、アスカ、自分で輝いてる人たちを見て、なんかその中に入っていけない自分がいたんだよね、あん時。それが凄い悔しくて、情けなくて。もう一回、このままで終わってたまるかって、ずっと……まああれからじゃないけど、またあれでさらに気持ちを強くしてここまで来て、輝いてるかどうか、それは人が決めることだからわからないけど、少なくとも俺は今やれてることに充実感があるし、リングに上がるのが凄く楽しいし、それでいいんじゃないかなって。今、もう一回、あの会があったとしても、今の俺だったら胸を張って、そこに入って行ける。そういうこと。まあ、結局、今シリーズ通して、俺が何が言いたかったかって言うと、人生最後に笑えばそれでいいじゃんってこと」

【棚橋の話】「(仰向けに倒れ込み)クソぉ……。悔しいね。負けたことも悔しいし、いい結果をみんなに伝えられなかったことも悔しいよ。さあ、どこに向かおうか? 東京ドームに行きてえなぁ。東京ドームで試合してえな。積み上げていかないと。時間ないけど、考えて、考えて。俺に暗い話題は似合わないでしょ」

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