【DRAGON GATE】森が9年ぶりに一夜限りの復帰 元盟友・菅原に奮戦も「この場を守り続けることに身を捧げたい」 岸和田、ダークサイドハルクも登場 2019/7/4 23:59

 『RAINBOW GATE 2019』後楽園ホール大会が4日、行われ、アンソニー・W・森が9年ぶりに一夜限りに復帰。かつてを彷彿とさせる華麗な動きで場内を沸かしたものの、最後は元盟友・菅原拓也の十三不塔を食らってごう沈した。試合後、森は「これからもこの場を守り続けることに身を捧げたいと思います」とスタッフとしてDRAGON GATEを支えていく決意をあらわにした。

 3・7後楽園で7年ぶりに古巣のDRAGON GATEに参戦した菅原は、かつて貴族キャラのユニット・ロイヤルブラザーズとしてタッグを組んでいた森に対戦を迫った。しかし、森は2010年に引退し、現在はスタッフとして受付業務などを担当する立場。菅原に挑発されても復帰を頑なに拒否した。諦めない菅原は何度も森に詰め寄り、、6・6後楽園では斎藤了の髪を刈ろうとバリカンまで持ち出して森に復帰を迫った。感情的になった森は「了さんの髪の毛は関係ないだろ! やってやるよ!」と一夜限りの復帰を決意した。

 森は縁のある吉野正人&土井成樹&齋藤とカルテットを組むことに。一方の菅原は「大阪で一番強い男」の投入を予告したが、その言葉の通り、かつてDRAGON GATEにレギュラー参戦したマグニチュード岸和田が久々に登場。そこに、自ら名乗りをあげたYAMATO、当日のサプライズ登場となったダークサイドバージョンのB×Bハルクが加わり、団体設立20周年記念特別試合らしい豪華な顔合わせとなった。

 森は新調した王子風コスチュームで登場。女性ファンから黄色い声援が飛ぶ。ゴング直後こそ控えに回ったが、菅原が登場すると、呼応してリングイン。まずは握手を交わした。ショルダータックルで衝突しただけで肩を押さえて苦しんだ森だったが、貴族キャラらしく互いにロープに飛ぶよう上品に呼びかけ合う。菅原が裏切って髪を引っ張るも、森は華麗なドロップキックでやり返した。

 反撃したい菅原は再び森と対峙すると、頬を突きだしてエルボーを受け止めてから、強烈なランニングエルボーをズバリ。YAMATOたちも加勢に加わり、4人がかりでストンピングを乱射した。ハルクがスピンキックをぶち込み、逆片エビ固めで絞め上げれば、岸和田は串刺しボディアタック、ブレーンバスターをお見舞いし、一方的な展開に。場内は「アンソニー」コールに包まれた。

 すると、森は菅原のエルボーを岸和田に誤爆させて窮地を脱出。吉野と土井が怒濤の連続攻撃で巻き返すと、リングに飛び込んだ森はコーナーを駆け上がって、見事な鉄柱越えプランチャでダイブして、拍手喝采となった

 そんな森に猛攻を浴びせたのが目元を黒く染めたヒールバージョンのYAMATOだ。パイプイスで殴りつけると、さらに無数のパイプイスをリングに敷き詰め、雪崩式ブレーンバスターの構えに。だが、土井が救出に駆けつけ、YAMATOをパワーボムでイスに投げつけて逆転。吉野のトルベジーノ、土井のバカタレスライディングキック、斎藤の斎了ロケットが連続して決まってお膳立てすると、森が得意のエレガントーン(スワントーンボム)を投下して決定的チャンスを掴んだ。

 岸和田がカットに飛び込み、ラリアットやダイビングボディプレスをお見舞いするが、森はギリギリでキックアウト。ラストライド狙いを丸め込んで翻ろうし、三角絞めで失神寸前まで追い込んだ。さらに、ハルクのワイン噴射を菅原に誤爆させて、首固めでニアフォールを奪い取る。しかし、地力で勝る菅原は強烈なビンタから垂直落下式ブレーンバスターを繰り出すと、なおも肩を上げる森を必殺の十三不塔で介錯した。

 元盟友・菅原の猛攻に沈んだ森はリング上で大の字。そんな森に菅原は「自分でやっといてなんだけど…生きてるかい? 大丈夫かい?」と声をかけ、「俺がちょうど出戻ってきた時、アンソニーの引退試合があった。その時、俺はスゲエ悪いヤツだったから、アンソニーの引退試合に絡めなかったんだよ。それがずっと心残りだった」と対戦を迫った真意を告白した。そして、「今日、試合をしてくれて本当にどうもありがとう。そして、こんな場所を作ってくれたDRAGON GATE、本当にどうもありがとう。この今日の思いを胸に、これからもプロレス頑張っていきます」と素直に感謝の言葉を口にし、森とも握手を交わした。

 かつて森と抗争を繰り広げていた岸和田は「プロレスラーに引退なんてないんじゃ! 必ずもう1回リングに上がる時が来るから、その時はいつでも相手してやるからよ。いつでも来いよ。俺のプロレスに絶対握手なんかないからな」とあえてきつい言葉を投げかける。一方、Pos.HEARTSで森と共闘していたハルクは無言でワインを飲ませて拍手を送った。ここで菅原たちは去っていく。

 パートナー3人にも称えられた森はフラフラになりながらも、「痛いし、苦しいんですけど、何よりもファンの皆さんが本当にありがたいなと思いました。だから、これからもこの場を守り続けることに身を捧げたいと思います」と決意をあらわに。「皆さん、これからもDRAGON GATEの選手のみんなを応援してくれますか?」と何度も呼びかけて拍手喝采となると、最後は「今日はご来場ありがとうございました。次回もご来場心よりお待ちしています」と礼儀正しく締めくくった。

 「本当に痛いとか、しんどいとかよりも、凄くファンの皆さんに愛情を注いでいただいているんだなと思いましたね」とバックステージで試合を振り返った森。一夜限りの復帰戦で改めて「本当にリングの上というのは凄い場所なんだなと思いました」と実感した。さらなる試合を望む声もあったが森は否定し、「また今まで通りの定位置に戻って、お客様をお迎えしたいと思います」と宣言。これからも1人のスタッフとして、縁の下からDRAGON GATEを支えていく。

【試合後の森】
――試合を振り返ると?

▼森「なんかあんまりよく覚えてないんですけど、本当に痛いとか、しんどいとかよりも、凄くファンの皆さんに愛情を注いでいただいているんだなと思いましたね」

――懐かしい場面がいくつもあったが?

▼森「僕自身は本当にいっぱいいっぱいだったんで、何となく引っ張られるままにという感じでしたけど、懐かしいと思っていただけたなら嬉しいです」

――体は思っている以上に動いた?

▼森「やっぱり多少練習をして。単純に心肺機能とかということではなくて、状況判断ですとか、プロレスは頭を使わないといけないものだと思いますので。なかなかそういう点では、本当にリングの上というのは凄い場所なんだなと思いました」

――今後については?

▼森「また今まで通りの定位置に戻って、お客様をお迎えしたいと思います」

――岸和田選手からは「プロレスラーに引退はない」という言葉があったが?

▼森「そういう意味で言うと、僕は岸和田さんの言うところのプロレスラーではなかったのかもしれないですね。プロレスラーっていうか、DRAGON GATEの…なんでしょう、DRAGON GATEのグループの一員という立ち位置なんだと思います」