【ドラディション】IWGP世界王者ザックが11・14後楽園に参戦、藤波との一騎打ちが実現 「自分にとって夢の対戦」 2025/9/8

 ドラディションは8日、東京・新宿の京王プラザホテルで会見し、11・14後楽園大会のメインカードを発表。藤波辰爾とIWGP世界ヘビー級王者ザック・セイバーJr.の一騎打ちが決まった。

 約18年ぶりの無我復活となる11・14後楽園大会。この日、メインイベントのカードが決まった。新日本のIWGP世界ヘビー級王者・ザックが参戦し、藤波との一騎打ちに臨む。両者は新日本の2022年3・1日本武道館大会における6人タッグマッチ(オカダ・カズチカ&棚橋弘至&藤波vs鈴木みのる&ザック&藤原喜明)以来、3年8ヵ月ぶり3度目の対戦で、シングル初対決となる。

 ザックはドラディション初参戦。藤波の試合映像を何度も見たというザックは印象に残っている一戦としてvs前田日明、vsアントニオ猪木、vsダイナマイト・キッドなどを挙げ、「藤波さんがやっていたスタイルが本来、私が目指していたスタイル。自分がやりたい本当のストロングスタイル」と感じたという。その中で「自分が使っている技も藤波さんを見て学んだものがかなりの数ある」といい、「日本だけじゃなくプロレス史上最も重要なレスラーの一人だと思う。母国であるイギリス発祥のキャッチレスリングの正統な後継者であり、50年以上やられているのは敬意しかない」とリスペクトの念を示した。

 そんな藤波との一騎打ちが実現することになり、ザックは「新日本のリングを経由して藤波さんのリングで対戦できるとは夢にも思わなかった。夢の対決、夢のカードというのはいろんな人が口にする言葉だけど、今回いただいたチャンスは自分にとって夢の対戦にふさわしい」と興奮を隠せない。「55年やってきた人の情熱を肌と肌で感じたいのが一番のモチベーション。試合が終わった後、どんな感情になるのか楽しみ」と話した。

 無我は1995年10月に藤波がプロレスの原点回帰をテーマに旗揚げ。イギリスのビリー・ライレー・ジムの選手が多数参戦した。そして復活開催となる今回、英国出身で現在、新日本のトップ外国人・ザックが参戦することになった。来年にデビュー55周年を控える藤波は「それに先立って、ワクワクした試合をしたいのが常にあるんですけど、今回はゾクゾクした試合、そういうのができれば」との思いもあって1対1で向かい合うことを決めた。

 ザックが返り咲きを果たした今年6月の後藤とのIWGP戦を見たという藤波は「これがランカシャースタイル、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン。手を取り足を取り、からくり人形のようなね。会場のファンも目からうろこ。新たな動きを見たような目をしてたんで、自分自身も懐かしく感じましたね」と評価。現役王者のザックと戦うことは「大きな冒険」となるが、だからこそ「ただのお手合わせじゃなく、どこまで動けるかわかりませんけど、自分自身が持ってるものを彼にぶつけてみたい」と意気込んだ。

 また、藤波は今大会を全試合シングルマッチとすることも決めた。本来は5月に開催予定だった無我だが、西村修さんの逝去もあって叶わず。「彼も天から見ててくれるだろうし、無我の今回の全試合を彼に見て欲しいなと思います」と話した藤波は天国の西村さんに思いをはせながら「今回ザックとこうやってシングルで当たる。とにかく自分が今持ってるものを出したいなと思います」と力を込めていた。

☆11/14(金)東京・後楽園ホール『DRADITION 2025 DRAGON EXPO 1995 無我』17:30開場、18:30開始

▼メインイベント〜スペシャルシングルマッチ〜
ザック・セイバーJr.
(1/60)
藤波辰爾


【会見の模様】

▼藤波「本日はお忙しい中、お暑い中、いらっしゃっていただき、本当にありがとうございます。久々のドラディションとしての会見になりますが、今大会は当初5月にやる予定だったんですが、皆さんご存じのように西村(修)君が亡くなって。自分自身が今までずっと経緯、経過、これからの予定はアナウンスがあった通りの経過なんですが、とにかく自分自身が来年、デビュー55周年を迎える中で、自分が現役でリングに上がるっていうことの中で、どうしても刺激のある大会というのか、そっちの方をどうしても取ってしまう。5月にできなかった無我っていう大会をね、無我ワールド、今回のドラディション、それをひっくるめた大会ということでね。その中で発表されたカードになりました。全試合をシングルにこだわるというのか、したいなと思います。後ほど発表にもなると思いますが、今日メインのカードだけを発表させていただきました。本当にありがとうございます」

※ザック登壇

▼ザック「ヨロシクオネガイシマス。自分にとって夢の対決、夢のカードっていうのはいろんなレスラーが口にする言葉だけど、今回いただいたチャンスは自分にとって夢の対戦にふさわしいと思っています。藤波さんと同じリングに過去2度ほど上がらせてもらったことがあるけど、藤波さんの大会でシングルマッチで対戦できるのは自分のゴールの一つでもある。私は子供の頃からプロレス少年で、古くはVHSのビデオで藤波さんのジュニア時代の試合を何百回もみました。それが日本に来ることになって、こうやって新日本のリングを経由して藤波さんのリングで対戦できるとは夢にも思わなかったです。プロレスファンからプロレスラーになった最終的なステージになったという感慨があります。ドラディションにとっても記念大会ということで、そこに出場させてもらうことの意義。これもまた認識して試合をさせてもらいたいと思っています」

▼藤波「非常に光栄な言葉が出ましたけど、本来なれば自分がもっといい時期に当たるのが自分自身がもっと思うような。今は今なりに違った自分がやりたいことがこうやって実現したことも自分の中で喜ばなきゃいけないかなと思います。5月にもっと早い時期にやる予定があったんですけど、その時は西村君も一緒にリングに立ってほしかったな。そういう思いがあります。それを今回ちょっと時間が延びてしまいましたけどね。彼もどっかで天から見ててくれるだろうし、無我の今回の全試合を彼に見て欲しいなと思います。そういう中で今回、ザックとこうやってシングルで当たる。とにかく自分が今持ってるものを全て試合の中で出したいなと思います」

――藤波選手の印象は?

▼ザック「藤波辰爾は日本だけじゃなくプロレス史上最も重要なレスラーの一人だと思う。自分の母国であるイギリスから発祥したキャッチレスリング、カール・ゴッチ、ビル・ロビンソンの次の世代の正統な後継者であり、プロレスリングを50年以上、情熱をもってやられているのは敬意しかありません。何よりもこんにち肉体をキープしている事実に本当に驚きますし、尊敬の念しかありません」

――藤波選手が無我をやっていたことは知っている?

▼ザック「1995年に始まったんだよね。無我の公式ビデオも海賊版だけど見てた。私がプロレスを始めた頃はまだブリティッシュレスリングそのものもイギリスに息づいていたんですが、過去20年、25年というスパンでかなりアメリカナイズされてきた印象があります。藤波さんがやっていたスタイル、あれが本来、私が目指していたスタイル。本当のストロングスタイルが自分がやりた勝ったプロレスのスタイルだと当時、ビデオを見ながら考えました」

――ザック選手の印象は?

▼藤波「何年前になりますかね。ちょうどLEONAがデビューした時、会場に見えてたんですが、会話はできなかったんだけど。それから自分の中で彼自身のことはインプットされてますので。テレビで新日本プロレスの試合の中で彼を見て、実際、自分も何度か新日本の会場に行く機会があって、自分たちが常日頃やってるレスリングと同時に、我々が忘れかけてるスタイルというのかな。それが彼の動きの中で出てくる。イギリスから来た選手とやったことはいっぱいありますけど、そういう時に彼もいてくれたらよかったなとかね。いろいろ思いますけど。自分が久々にカール・ゴッチさんから始まってビル・ロビンソン、自分たちがイギリスでお世話になったロイ・ウッド。その流れを汲んでるキャッチ・アズ・キャッチ・キャン。イギリスのスタイル、それを西村君との一つの動きがあった中で、今回それを自分の中でもう一回、プラスにしたいというかね。自分もデビュー55周年、そういうのが来年来るんですけど、それに先立って、とにかく今回、自分が常日頃、ワクワクした試合をしたいのが常にあるんですけど、今回はゾクゾクした試合、そういうものができればなと思います」

――現IWGP世界ヘビー級王者との対戦となるが?

▼藤波「そうですね。自分もただのお手合わせじゃなくて、どこまで動けるかわかりませんけど、とにかく自分自身が持ってるものを彼にぶつけてみたいなと思います」

――今まで最も年齢が高い選手との対戦は何歳ぐらいだった?

▼ザック「間違いなく藤波さんが年齢的にも高いし、一番経験を積んだレスラーとの対戦になるのは間違いないです。自分は16歳の時にイギリスでデビューした。もう22年プロレスをやってるので、ひょっとしたら藤波さんと近い年齢の人とやったことあるかもしれないけど、藤波さんが年齢でいっても一番上だし、一番経験を積んだレスラーとの対戦になると認識しています」

――キャッチレスリングの現代的な解釈はどういったニュアンス?

▼ザック「自分の中では今のプロレスリングと自分のやっているキャッチレスリングを必ずしも対照的なものとして捉えるつもりはなくて、自分のやりたいレスリングであるという信念から今のスタイルを貫いているというだけです。必ずしも対極ではなく、比べられるようなことをやっているわけではないです」

――会見場がかつて新日本の外国人レスラーの常宿だった京王プラザホテルだが、

▼藤波「もちろん、それもあるかもしれません。自分自身が一つのけじめとして55周年というのと同時に、もう一回、自分が忘れている無我というのをもう一回新しいスタートとしてね。この会場もいろんな思い出があった京王プラザですからね。そういう部分で今回の大会に対しての意気込みですね。それで今回ここを選ばせていただきます」

――ピート・ロバーツら多くのイギリス人レスラーと戦ってきたが、ザック選手とタッグで対戦した際、過去のレスラーと重なる部分はあった?

▼藤波「ピート・ロバーツ選手は名前が出てこなくてね。いろんな選手と戦ったなって。ダイナマイト・キッドとかスティーブ・ライトとかね。いろんな選手の中で、いつだったかな。彼がIWGPを獲った時かな。後藤選手と試合した時かな。その試合をずっと見てましてね。あの時の試合がこれが本当にランカシャースタイル、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン。本当に人間の手を取り足を取り、からくり人形のようないろんな形で。会場のファンも目からうろこじゃないかな。今のプロレスもどの時代もプロレスっていうのは本当に進化して凄いんだけど、新たな動きを見たようなファンが目をしてたんで、自分自身も懐かしく感じましたね」

――今大会はすべてシングルマッチとのことだが、こだわりはどんなもの?

▼藤波「無我っていう掲げた中で当初、スタートが最初のオープニングマッチは3試合しかまだ組めなかったんですけど。いろんな形でプロレスの原点、特別なものをやるわけじゃない。我々がカール・ゴッチさんだったり、ロイ・ウッドだったり、いろんな選手と戦ってきた中で、道場でオデコを擦りむき、ヒジを擦りむき、ヒザを擦りむき、そういう部分がどっかでしみついてるんですね。それを一つの節目でできたらなというのがありました」

――ザック選手とタッグも面白いが?

▼藤波「本来は自分がこの年齢じゃなく、全盛期のバリバリのザック選手を相手にして、大きな冒険ですけど、現役でリングに上がってる以上はね。そういう刺激がないと。そういう部分で自分が真っ先に、とにかく今しかないなと思いました」

――藤波選手の試合をたくさん見たとのことだが、一番印象に残っている試合は?

▼ザック「イッパイアル。86年の前田戦、88年の藤波さんと猪木さんの試合、藤波さんとダイナマイト・キッドなどイギリス人と戦っただけでも、藤波さんのビデオを見て今、自分が使ってる技が多い。かなりの数を藤波さんを見て学びました。藤波さんの名勝負は1時間かかっても語り尽くせないです」

――藤波選手と1対1で戦うことによって、自分にもたらされるものなど、どんな予感がある?

▼ザック「55年のキャリアを持つレスラーと自分がシングルで対戦することによって、そのあとに自分の感情、55年やってきた人の情熱を肌と肌で感じたいのが一番のモチベーション。試合が終わった後、どんな感情になるのかが一番楽しみです。藤波さんのドラゴンスクリューを棚橋が継承し、棚橋から何回もドラゴンスクリューを食らった。今回、本人から食らうかもしれないけど、そんな感情も今回の試合にはありますね」