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1/1【NOAH】「奇跡をありがとう」中邑がムタと奇跡の名勝負 “惜別の口づけ”で「マイアイドル」に涙の別れ

『ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR" 2023』日本武道館(2022年1月1日)
ダブルメインイベントII・スペシャルシングルマッチ ○SHINSUKE NAKAMURAvsグレート・ムタ×

 グレート・ムタとWWE・中邑真輔による最初で最後の一騎打ちが実現。中邑が“惜別の口づけ"からの逆毒霧でムタを破り、元日の武道館が“奇跡の異空間"に酔いしれた。

 中邑がWWE所属のままノアに参戦してムタと初対決するという“奇跡の一戦"。WWEではトップロースターの他団体参戦自体が超異例であり、実際に二度にわたって交渉は失敗したという。それでもWWE側に体制変更が生じたタイミングで再交渉した結果、ゴーサインを引き出した。もし武藤引退が1年早かったから実現は「していない」(中邑)一戦。元日の武道館に、世界が注目する夢とも幻ともいえる空間が現れた。

 まずはヴァイオリニストのリー・イングランド・ジュニアさんが“生演奏"するWWE直輸入の中邑入場。和太鼓とのスペシャル・コラボバージョンだった。しかも中邑は白装束のガウン姿。たぎりまくった中邑の後に、フラフラとムタが幻想的に現れてついに両雄が向き合うと、武道館は元日から異様な熱気に包まれた。

 中邑が白装束を脱ぎ捨てると、中からはムタのペイントを思わせる赤&黒のマーブル柄コスチュームが現れる。声援禁止の超満員でも一部から“ナカムラ"チャントが起こってしまうほど戦前から観衆をのめり込ませた。

 まずはムタが押した。序盤から毒霧の上空噴射で“ムタワールド"に引きずり込むと、場外に中邑を連れ出して暴行。ドラゴンスクリューからの足4の字固めも繰り出して中邑を苦しめた。

 負けじと中邑もスライディングジャーマンなどの得意技で反撃に出たものの、続くキンシャサはムタが毒霧で迎撃。場内が大きくどよめくなか、非情さのギアを上げたムタは、中邑のコスチュームを引き裂くとレフェリーを暴行。無法地帯となったリング上で公然と中邑を殴りつけ公開処刑モードに入った。

 ところが中邑も、イスを振りかぶったムタに故アントニオ猪木さんばりのナックルパートを発射。さらにはロープ越しに魔性のスリーパーで絡みつくや、特設花道を走ってのラリアットを叩き込む。勢い余ってリングインし、かつての“ムタvs猪木"を想起させる動きで反撃に成功した。

 まだまだ沈まないムタも中邑の鮮やかな飛びつき逆十字固めを毒霧で脱出。逆に閃光魔術を前後から連発したものの、中邑も3発目にカウンターのキンシャサを合わせて武道館はさらに熱を帯びた。

 そして最後が圧巻だった。なおも毒霧を狙うムタの顔面をむんずとつかんだ中邑は迷わずにキス。毒霧を口移しで吸い尽くすや、逆に噴射だ。続けざまにキンシャサを叩き込み、3カウントが数えられた。

 かつてムタの大ファンだった中邑。プロ入り後は胸にしまい続けてきた思いを、この日ばかりは“特別に"全開放した。最後は“惜別の口づけ"ともみえる毒霧逆噴射。毒霧まみれの顔面で、感情あらわにマイクを握った中邑は「奇跡を…奇跡をありがとう。バイバイ、マイ・アイドル、ムタ。イヤァオ!!」と感謝の言葉を送った。

 耳にしたムタも花道の途中で歩みを止めると、そのまま中邑と肩を組んで退場。花火散るステージ上で“イヤァオ!&毒霧"の競演が実現して二人が姿を消すと、まだ“魔法"にかかっていたい超満員の武道館からは万雷の拍手がしばし止まらなかった。

 「こんな奇跡、神様じゃないと仕組めないでしょうよ。言葉を出せば出すだけ自分自身の感動が薄れていってしまうような感じが。もう試合前から…ずっと殺してきたんですよ、こういう感情はプロとして…」とバックステージでは感極まった中邑。「それをこういった奇跡のタイミング、元日・日本武道館、相手はザ・グレート・ムタ、最高の入場、たまんないっすね、マジで。奇跡をありがとうございました」と改めて感謝した。

 奇跡の一戦は奇跡の名勝負に昇華した。ムタも最後の最後にまたひとつ芸術的名勝負を産み落とした。いよいよ次は魔界へと還(かえ)る1・22横浜アリーナでのラストマッチとなる。

【試合後の中邑】
▼中邑「汚い顔ですね。マジで本当に…こんな奇跡、神様じゃないと仕組めないでしょうよ。言葉を出せば出すだけ自分自身の感動が薄れていってしまうような感じが。もう試合前から…ずっと殺してきたんですよ、こういう感情はプロとして(と感極まる) それをこういった奇跡のタイミング、元日・日本武道館、相手はザ・グレート・ムタ、最高の入場、たまんないっすね、マジで。奇跡をありがとうございました。なんかあれば?」

――試合を振り返ってムタという存在に触れて思ったことは?

▼中邑「そうですね。何だろうな。あんなにでかかった壁が何ら色あせることなく、まだまだでかい壁でいてくれて。武藤敬司とリング上で…いや、グレート・ムタとリング上で最後に肌を合わせられたことがこの上ない喜びと感激です。はい」

――ファン時代に見ていたムタの試合をオマージュしようとしていたようだが?

▼中邑「そう思ったんであれば、そう思ったことを書いてください」

――花道疾走ラリアットなど思い出したところがあったが?

▼中邑「いや、大好きだったんですよ。ガキの頃。武藤敬司は60で引退しますが、それに比べりゃまだハナタレ小僧ですから僕は。まだまだ世界で戦っていきたいと思います。ありがとうございました」


【ムタの話】「He is good.Shinsuke good.Maybe he is clear.He is tough baby.Bye bye Shinsuke.Ok thank you thank you.Bye bye.Nippon Budokan bye bye.See you Yokohama!」

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