プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

1/2【NOAH】傷だらけの“15年越し"初対決…飯伏が丸藤撃破も“混とん”の2024年船出

『ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2024』東京・有明アリーナ(2024年1月2日)
○飯伏幸太vs丸藤正道×

 丸藤正道と飯伏幸太による“15年越し"シングル初対決は飯伏に軍配。いみじくも“傷だらけの15年"を象徴するかのような一戦は、あらゆる感情が交錯する混沌の結末を生んだ。

 2005年5月に行われたディファカップ一回戦(ディファ有明)で初めて出会った丸藤と飯伏。NOAHではタッグも組み、飯伏のメジャーシーン進出の立役者となったのも丸藤だった。2009年と2010年にはシングルマッチが決定していたものの、いずれも双方の負傷で二度に渡って霧散。もう実現することはないと思われていたシングル初対決が、二人が出会った“有明"の地で15年越しに実現した。

 じっくり味わうような立ち上がり。グラウンドやヘッドロックでしのぎを削ったが、丸藤は腕4の字固めなどひらめきも発揮しながら飯伏の左腕を攻め立てた。

 飯伏もパワースラム、ムーンサルトプレスの連続攻撃で反攻。エプロンパイルドライバーを狙われてもリバースし、スワンダイブ式ジャーマンの体勢に。これを振り払った丸藤はエプロンサイドでのエメラルドフロウジョンを繰り出したが、続くフロム・コーナー・トゥ・コーナーは飯伏が回避。逆にもたつきながらもバミューダ・トライアングルを放った。

 負けじと丸藤も打撃戦で応戦し、ステップキックで顔面を蹴り上げると、飯伏も“プッツンモード"に突入。ストレートパンチを容赦なく連発すると、止めるレフェリーを振り払ってまで打ち続ける。

 ならばと丸藤もレフェリーの背中を踏み台にして虎王をズバリ。またもやひらめき発揮で好機を迎えると、トラースキックからの不知火で仕留めにかかった。

 キャッチした飯伏も急角度でマットに突き刺して切り返したものの、丸藤も屈さず。飯伏のシットダウン式パワーボムを不時着するや、前方回転式不知火をズバリ。続けて今度こその不知火を繰り出すや、フックキック連発からの真・虎王をぶち込んでタイガーフロウジョンを狙った。

 だが、形が崩れて不完全。逆に飯伏は丸藤のリストクラッチを逆利用だ。腕を引っ張りながらのヒザ蹴りで丸藤の顔面を打ち抜き、後頭部へのカミゴェを発射。続けて正調カミゴェを叩き込んで、『DESTINY 2024』と題された運命の一騎打ちを制した。

 飯伏は試合中に右足を負傷した模様で、勝っても足を引きずったまま。まるで詫びるかのように手を握りながら丸藤の腕に顔をうずめ、負けたはずの丸藤が笑顔で飯伏を励ますシーンが印象的だった。

 15年越しの対決は、いみじくも“傷だらけ"だった二人の15年を象徴するかのような一戦に。試合後にはジェイク・リーが現れ「あんなウルトラヘビーみたいなリズムで試合しやがって! そんなリズムで試合していいのは、俺みたいなでかいヤツだけなんだよ!」と真っ向から否定され、同様に現れた清宮海斗も「2024年、清宮海斗、NOAHの闘いの中心に入っていきます。ここにいるみんなで一緒にNOAHを創っていこうぜ!」と改めて“時代の変化"を叫んで大会を締めくくった。

 飯伏はノーコメントで姿を消し、丸藤は両腕につけていた緑色のリストバンドを放り投げながら退場。「ハッキリ言えば10年前、15年前。それぐらいに当たったほうが確かにとんでもない試合ができたかもしれない。だけど、そんなこと言ってもしょうがないし、年が明けて2024年。これが今の俺たちだ」と認めつつも、「どんなに叩かれようが、否定されようが、文句言われようが、一人になろうが、25周年迎えて44歳。一人でも自分の力でもう一回、駆け上がってやるよ。かませ犬なんかになんねえぞ。丸藤正道ナメんなよ。負けて言うのもなんだけどな、ナメんなよ。おい、安く見るんじゃねえぞ」と前を向いた。

 戦前に物議を醸した有明の新春メイン。感慨と切なさが入り交じった一戦の後に残ったのは、混とんとした状況。2024年マットは、あらゆる意味で“波乱"の幕開けとなった。

【試合後の丸藤】

▼丸藤「なんかある?」

――飯伏選手との試合を振り返って?

▼丸藤「振り返ってというか、何か無様だよね。見てくれよ。本当は今あのモニターに映ってるジェイクと清宮にしっかりとした背中を見せなくちゃいけないのが俺だったんじゃないのかって。無様だな。あと数年って言ってたけど、どうだ? 丸藤はもういらないか? もういいか? もういいんじゃないか? だけどな、そう思ったけど、プロレスじゃなくてもよ、突然の恐怖に見舞われて一生懸命、生きようとしている人たちがこの日本にいるだろ。なあ、そんな人たちのこと思ったらよ、こんな負けぐらいでクヨクヨしてらんねえよ。今日この大会でメインイベントという場所で負けたということは確かに大きいことだよ。でもよ、生きるか死ぬかに比べたら、こんなことで落ち込んでらんねえ。だから、どんなに叩かれようが、否定されようが、文句言われようが、一人になろうが、25周年迎えて44歳。一人でも自分の力でもう一回、駆け上がってやるよ。かませ犬なんかになんねえぞ。丸藤正道ナメんなよ。負けて言うのもなんだけどな、ナメんなよ。おい、安くみんじゃねえぞ」

――13年越しに飯伏選手と対戦して感触は?

▼丸藤「ハッキリ言えば10年前、15年前。それぐらいに当たったほうが確かにとんでもない試合ができたかもしれない。だけど、そんなこと言ってもしょうがないし、年が明けて2024年。これが今の俺たちだ。いろんな状況で試合をして、いろんな状況で相手が生まれて、どんな中でも試合をしなくちゃいけないってのがプロレスラーなんだよ。勝って何かが生まれることもあるけどよ、負けて何か生まれることも絶対ある、プロレスは。今日メイン出てきたジェイク、清宮、タイトルマッチやった拳王、征矢、潮崎。俺みたいなヤツに負けたくないって気持ちでこれからもやってくれると思うけど、俺はまだあいつらの壁になるつもりでいるから。確かに強いよ、若いよ、うまいよ、激しいよ。説得力あるよ、人気もあるよ。でもなんでNOAHって言ったら、まだ丸藤って言われるんだよ? なあ、そこを変えていこうぜ。俺はわざわざ譲るつもりはねえよ。でも彼らはそれを変える力を持ってる。なあ、NOAH=丸藤、そんなもん変えちまえ」

※飯伏はノーコメント

【ジェイク、清宮の話】

――最後のメッセージ、どんな思いを込めた?

▼ジェイク「私はこれを伝えたい。まずは今、NOAHのリングには自身がベルトを獲って舵を取ろうという選手がたくさんいる。それは私もだ。そして隣に来た清宮海斗もそうだ。それは間違いない。去年にも増してだ。だからこそ、だからこそ私はその主張を言い放っただけであって、それは特別なことでも何でもない。今日、第2試合からスタートした男が言うんだ。まだまだ説得力が足りない部分があるかもしれない。だがしかし、ここからだ。私はいつだって、ここからの人間だった。だから今度、またタイトルマッチを組むような、その機会を私は必ず手に入れて、私が改めて舵を取らせてもらう。そのうえでやりたかったことを実現させていく。どうでしょう? 分かりやすかったですか? そんな私とはたぶん意見が多少違う清宮海斗の言葉も皆さん聞きたいはずだ。私だけじゃなく清宮海斗に対する質問も皆さん、どうぞご応募ください。奮ってご応募ください。何でもいいです」

――ジェイク選手の言葉を受けて?

▼清宮「みんな思ってることはやっぱり一緒だなと。今のNOAHの中でどうやって、このNOAHという団体を上げていくか。それぞれみんな気持ちは一緒だなと思いました。しかし、今の自分の位置を考えると、自分はNOAHで中心に入っていかないといけない。そう思ってるんで、今年2024年、NOAHを清宮海斗の年だったと思ってもらえるように戦っていきます」

▼ジェイク「何もないんだったら今すぐ…こんな隣でいるが、敵対同士だ。仲良しこよしなんかする気はさらさらない。そうだろ? なら私は話したいことはしっかりリング上で話した。ここでも話した。それでいいんじゃないかな? いいと思いませんか?」

――丸藤選手は「NOAH=丸藤を変えてみろ」と言っていたが?

▼ジェイク「NOAH=丸藤というのを変えてみろ? はあ、なるほど。副社長からの課題だと。そういうことですね。NOAH=丸藤、別にそれをさらさら変えようなんて気はない、私は。ただ、NOAHはジェイクが来て変わった。そういうふうに言わせてみせますよ。誰だっていいんですよ、NOAH=誰々っていうのは。ただ、これだけは譲れない。NOAHはジェイクが来て変わった! もういいですかね?」

――試合順をめぐって物議をかもしたが、終わってみて?

▼ジェイク「終わってみて? 見たでしょう? 皆さん。あのウルトラヘビー級のリズムの戦いを! あんな試合の展開していいのは! こういうでかいヤツの仕事なんですよ!! そう思わない?」

――自分がメインをやるべき?

▼ジェイク「自分がメインをやるべきというか、やらなければいけないとも思いました。それが私の責務であり、それが私の目標でもある。いいですかね?」

――清宮選手は丸藤選手のメッセージをどう受け止める?

▼清宮「丸藤選手もその上の選手がいたと思いますし、そういう偉大な選手に向かっていくことで今の丸藤正道という一つの形というのができてきたと思うんですよ。そういう意味で言うなら、これだけ大きい存在がいるってことは自分たちにとって恵まれてることなんで、そこを変えていくところを2024年、見せていきます」

▼ジェイク「皆さん、もうちょっと清宮選手の話聞きたいでしょ? だから私は先に退散させていただきます。ありがとうございました」

――試合順に関しては?

▼清宮「自分はセミとかメインとか試合順に関しては、それぞれの選手が思いをぶつけた試合をすれば、お客さんにその熱は届くと思いますし、それがNOAHを広めていくことにつながると思うので。今日も有明大会、凄くお客さんも盛り上がってましたし、試合順よりも選手の思いが大事なのかなと思ってます。今、ジェイク選手が言っていたように、本当に今のNOAHは一人一人の選手がNOAHをどうやって大きくしていこうか、自分が上がっていこうかと考えてる。みんなそれぞれ考えがあると思うんで、その気持ちが今年、たぶんリング上に表れると思います。その中でこのリングの中心は自分が獲っていくので、見ててください」

【武尊の話】

――今日解説をしてみて、どうだった?

▼武尊「久しぶりのプロレス観戦というか、生で見たんですけど、迫力を凄い感じたし。後半2試合もいろんなものを背負った同士のお互いの意地のぶつかり合いが凄い試合だったんで、見てて本当にパワーをもらいましたね」

――ご自身の試合も近いが、刺激になった?

▼武尊「今日は今度やる試合と同じ会場だったんで。この会場の雰囲気がどんな感じなのかというのは見れたし、プロレスの会場の熱っていうのは凄い感じるんで。今日のお客さんの熱もそうだし。もう1ヵ月切ってますけど、数日後には僕もここで同じように歓声浴びるんだろうなっていうのをイメージしながら見てましたね」

――武藤さんの隣に座ったが、試合に向けて、何か言われた?

▼武尊「ええと、『プロレスラーと二刀流でいいんじゃないか』みたいな(笑) メチャクチャなこと言われましたけど、まずは1月28日の試合で勝つことなんで。そこに全集中して頑張りたいなと思います」

――同じ会場でなんとなく雰囲気を知れたのはプラスになりそう?

▼武尊「凄い綺麗な会場だし、形も格闘技向きな会場で、凄いお客さんからの熱を感じやすい形だったんで。僕は試合中って、お客さんの熱を感じれば感じるほど、試合中のアドレナリンも出やすくなるし、いい試合できるんで。自分にピッタリな会場だなと思いました」

――来たのは初めて?

▼武尊「1回イベントで来たことはあるんですけど、この格闘技仕様の形を初めて見たんで、改めて見れてよかったですね」

――今日の大会で一番印象に残ったこと、印象に残った試合は?

▼武尊「メインの2人は、やっぱ僕もプロレスが大好きで、ずっと昔から見ている2人なんで。いろんな思いも見れたし。丸藤さんもずっと団体を引っ張ってきて。僕もK-1を10年ぐらいずっと引っ張ってきた時の気持ちだったり、下から追い上げが来る時の気持ちだったりを凄い感じるし。そういうのもあったりして、結構試合内容だけじゃなくて、プロレスラーとしてのストーリーみたいのを凄い見れて、いろんな意味で感情が揺さぶられるというか。面白い大会だったなと思います」

プロ格 情報局