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10/1【川田プロデュース興行】川田と田上が20年ぶりに対峙 トークバトルで変わらぬ絆確認

『川田利明プロデュース「Holy War〜vol.3〜」』
東京・新宿FACE(2018年10月1日)
俺のトークバトル=△川田利明vs田上明△

 川田と田上が20年ぶりにリング上で対峙。トークバトルで変わらぬ絆を確認した。

 川田と田上は90年代の全日本プロレスで、三沢光晴、小橋健太(現・建太)と並び、四天王と称された。90年代初期、川田は三沢の、田上はジャンボ鶴田の正パートナーとして活動。2人はライバルとして激しい抗争を繰り広げた。しかし、鶴田の長期欠場や小橋ら若手の台頭を受けて、川田は三沢とのタッグを解消し、田上と合体。聖鬼軍を結成し、世界タッグ王座6度戴冠、世界最強タッグ決定リーグ戦2連覇など輝かしい実績を残した。

 2000年、プロレスリング・ノア旗揚げにより、田上は三沢、小橋らとともに全日本を離脱。川田は残留したことで、2人は袂を分かつことになった。のちに川田のノア参戦が実現。2009年10月の三沢光晴追悼興行では9年3ヵ月ぶりにタッグを結成し、秋山準&KENTA組と対戦している。田上は2009年からノアの社長になると、2013年12月に引退。2016年に経営体制が変わるまで社長を務めた。現在は地元の茨城・つくば市でステーキ屋を経営。今年4月には胃ガンのため、胃を全摘出したことを公表した。

 リング上での“直接対決"は98年4月以来20年ぶり。久しぶりに対角線のコーナーに立って向かい合った。田上が久々の選手コールに笑みを浮かべると、川田は現役時代さながらに屈伸をしてどよめきを誘う。やはりリングの上は気持ちいいようで、田上は「久しぶりにいい雰囲気だね」と会場を見渡していた。

 2人は2月にトークショーを行ったが、川田はその打ち上げで田上が痛飲していたことを暴露。その後、田上の胃ガンが発覚し、胃を全摘出したが、すでに今は酒を飲み始めているという。田上は「医者がたしなむ程度ならいいって…」と苦笑していた。

 今やバカ話で笑い合う関係にあるが、現役時代、プライベートでの付き合いはそこまで深くなかった。「プライベートでタッグを組みたかったんですけど、この人は百田光雄さんとプライベートでタッグを組んでたんで」と川田。当時の田上は年上の選手とばかり飲み歩いていたという。川田は「前から普通に会話をしてたし、リングで組むようになってからも気が楽でした。三沢さんの時はやっぱり気を遣ってたんで」と田上を称したが、一方の田上は「俺は気を遣ってたよ(笑) ちょっと気難しいから」とこぼして笑いを誘った。

 2人でタッグを組んだあともプライベートの付き合いは深まらなかったが、「組んでみたら、今まで一番信頼できるパートナーだった。話はあんまりしないけど、あうんの呼吸というのがわかるタイプだった。お互いに『こいつが負けたらだらしないなあ』ぐらいに思っていたんじゃない?」(田上)、「本当に気が楽だったんで、自分の好きなことをリングでできた。気を遣わないでできたから。デッカイガイジンが苦手なんで、やる来る時は任せてた」(川田)と相性ピッタリの名タッグチームになった。

 分裂時の話になると、川田が「いろいろあとで聞いて、本当に苦労したんだなと思うし。でも、それは全日本を出て行ったあんたたちが悪いんでしょって」と本音を口にしたが、田上は「その通りです。すいませんでした」と苦笑い。「よく言えばアットホームな会社、悪く言えばワンマン経営だったわけだけど、ずっと育ててもらったわけだから、そこで頑張っていくべきじゃないかなって俺は思ってたんだけど。天龍さんたちが大量離脱した時をみんな味わっているわけだから。味わっていることとまさ同じことになるとは」と当時の思いを振り返った。「それだけ俺が思っている時に、『おい、川田。何やってんだ』って電話がかかってきて。お前らが出て行っちゃったから困ってんだよって」と川田が当時の秘話を明かすと、田上も「一応誘おうかなと思って。でも、来る気ないって言うから」とコメント。川田は「その時に連絡があったのは田上だけですね」と語り、パートナーとの絆を感じさせた。

 その後、川田のノア参戦が実現。三沢追悼興行では一度だけタッグを組んだが、それから接点はなく、田上は引退することに。川田が「引退試合に行って、やっとお疲れ様でしたと。田上火山大の噴火は引退試合で最後で、今度はノアの社長として田上火山を大噴火してくださいと言ったら、ドンドン鎮火していって(笑)」と語って笑いを誘ったが、田上のことを心配していた。「プロレスをやってて、全日本プロレスで頑張ってて、ノアで頑張ってて、頑張った選手時代じゃなくて、一番苦労したのはノアの社長時代だって言ってました」と田上の思いを代弁したが、田上自身は多くを語らず、恨み節は出なかった。

 田上の現役引退後、2人の間にプライベートで接点が生まれる。川田がアポ無しで田上の店を訪問したのがキッカケだった。「俺が去年ぐらいになんにも言わないで田上のお店に行ったんですよ。行くって言うと、構えられちゃうと嫌だから、普通に何も言わないでお店に行って」と川田。「あれだけ街灯も何もない真っ暗な怖いところでお客さんが来ているのは不思議でしょうがない。地元の人で毎回同じ顔で」と笑い飛ばすと、田上は「あれはキツネやタヌキが化けてくるんだよ」と爆笑。その後も川田が店ある場所の話題を続けると、「けなしてるのか? いい加減にしてよ(笑)」とこぼし、川田のお店については「うまいねえ、ラーメン。だけど、オヤジが中にいてつまらない。出てこないから」と厨房にいつもいる元パートナーを皮肉ってお返しした。

 「年も2つ上なんで。でも、先輩ではないから、自由に会話もできるし、試合の時もそうだし、自由に付き合ってこれた相手だなと思っています。リングに上がらなくなってからも、こうやっていつも楽しく普段会話ができるってことはいいことだなと思います」(川田)、「ちょっとじゃないよ。凄い気難しいよ。だけどね、若い頃はよきライバルで。今はまあ、おっさんになったら、よき飲み友達かな」(田上)と語る2人は、今やよき友人関係。川田が「病気しているんで、飲み友達でいれるように、お互い健康で管理していきたいなと。タバコは止めてください」と注意するも、田上は「タバコも止めない。酒も止めない(笑)」と断言した。

 その他にも若手時代の思い出話や超世代軍時代の秘話、田上の相撲時代のエピソードなども飛び出し、2人のトークバトルは大盛り上がりに。最後に川田が「裏の話はお互いのお店で聞きましょう。よく来てくれるお客さんは裏話が好きらしいんで」とお店のPRをすれば、田上は「今日はありがとうございます。つまらんオッサン2人、これからもよろしくお願いします」と締めのあいさつ。大会後の打ち上げにも2人で参加することを明かし、さらに深まった絆を確認してお開きとなった。

【試合後の川田、田上】
――対談してどうだった?

▼川田「いつも思うんだけど、30分は短いよね」

――話し始めたら止まらない感じだった

▼川田「一緒にやっている時代はこんなに喋ったことなかったんで。だから、面白い話も今できるんじゃないかなと思うし」

――田上さんはどうだった?

▼田上「面白いよね。たまにこう光を浴びてね。いい気持ちになれたよ(笑)」

――冒頭で向かい合った時、どういう気持ちになった?

▼川田「僕はそういう場があるってことが嬉しいことだなと思うし。そういう時代があったってことも、今のお客さんにもわかってほしいし」

――田上さんは川田選手が屈伸したのを見てどうだった?

▼川田「俺はなんかやってくれると思ったら、やってくれないんだよ」

▼田上「いや、俺が屈伸したら後ろに倒れたみたいになるから(笑)」

▼川田「屈伸の角度が昔と全然違うんだけどね」

▼田上「四股をやろうと思ったけど、しょうもない四股だからやめた(笑) でも、現役の時も何もやらなかったよ」

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