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3/10【NOAH】リング一新、新体制ノア“主役"は清宮、32分激闘で丸藤超え 新風景構築へ拳王と再合体

『ザ・リーヴpresents GREAT VOYAGE 2019 in YOKOHAMA』神奈川・横浜文化体育館(2019年3月10日)
GHCヘビー級選手権試合 ○清宮海斗vs丸藤正道×

 若きGHCヘビー級王者・清宮が、32分を超える激闘の末に丸藤超えを達成。この日から本格発進となった新生ノアの“主役"の座を射止め、新風景構築を誓いあった拳王と再合体を果たした。

 ノアは今年2月に『リデット・エンターテインメント株式会社』傘下に。その新体制の本格スタートとなったこの日は、新ロゴをあしらった白いリングマット、新しい団体テーマ曲が初披露され、新たなスローガンとして「美学ある闘い」も掲げられた。一方で大会冒頭では“スパルタンX"と緑の光線演出がほどこされるなか、創設者である故・三沢光晴さんへの敬意も表され、温故知新で新ステージに踏み出す決意が示された。

 そのメインを飾ったのが、若き王者の清宮に、近年ノアの象徴的存在だった丸藤が挑むGHCヘビー級選手権試合。“新星か天才か、勝者が方舟の舵をとる"のキャッチコピーが据えられた。

 新コスチューム&ガウンで臨んだ清宮に、丸藤が序盤からキャリアの差を見せつけた。非情かつ徹底した腕攻めで前哨戦から痛めつけた左ヒジをいじめ抜き、清宮が得意のドロップキックを放っても、空中でヒザを蹴って撃墜する“天才"っぷりも発揮。

 一方的な展開が続いたものの、清宮もエプロンでのパイルドライバーをリバースしてようやく反撃。さらにはウルトラタイガードロップも繰り出し、ブリッジの利いたジャーマンで投げ飛ばす。虎王に動きを止められても、丸藤の不知火・改狙いを逆利用し、これまでの防衛戦でチャンスを切り開いてきた正面から落とす雪崩式リバースDDTに持ち込んだ。

 屈さぬ丸藤も前方回転式不知火や正調不知火で巻き返すが、意地の清宮はエメラルドフロウジョンを敢行して両者大の字に。意地の打撃戦では、側頭部への逆水平やトラースキックの直撃を受けたものの、丸藤の虎王はドロップキックで迎撃だ。そして桜庭和志との特訓で磨きをかけた変型フェイスロックに持ち込み、そのままぶん投げてどよめきを誘う。そして投げ捨て式のタイガースープレックスも放った。

 それでも丸藤は沈まない。一瞬のスキを突き、コブラクラッチ式三角絞めに絡め取ると、前哨戦でギブアップを奪ったパーフェクトキーロックへ。万事休すかと思われた清宮だったが、歓声に支えられてどうにかロープへ。ならばと丸藤はふらつく王者のエルボーをかいくぐり、背後からのフックキックで顔面をえぐるや、虎王を連射してフィニッシュ態勢に入った。

 だが、清宮は丸藤の虎王を空中キャッチ。そのままファイヤーマンズキャリーで抱えあげるや、秘策のエメラルドフロウジョン式スクラップバスターを発射だ。なも立ち上がる丸藤をドロップキックでなぎ倒すや、後頭部に浴びせ蹴りを叩き込む。初披露の大技で勝機をたぐり寄せると、こだわりのタイガースープレックスホールドで3カウントをもぎ取った。

 32分を超す激闘の末に、清宮が王座を死守。同時に新生ノアの“主役"の座を射止めた清宮は「丸藤さん。ありがとうございます」と去りゆく天才に頭を下げ、改めて方舟新風景の構築をマイクで宣言した。そして「でも、それにはもっと大きなパワーが必要です。第1試合でくすぶっているヤツがいる…。拳王、出てこい」と呼び込んだ。

 清宮より前に、三沢さんや丸藤、杉浦貴らがつむいできた“これまでのノア"からの脱却を訴え続けていたのが拳王だった。現れた拳王は「てめえみたいな小僧にこんなこと言われて悔しいよ。メチャクチャ悔しいよ」とこぼしたものの、「俺たちの力で以前みたいな景色…いや、ノアも新しくなったんだ。以前以上に輝いている景色、メジャー団体として、メジャー団体のプロレスリング・ノアの景色をもう一度見せてやろうぜ」と承諾してガッチリ握手。昨年一度GHCタッグ王座に挑戦した両雄が、4月のグローバル・タッグリーグ戦、そして方舟新風景構築を目指して“再合体"を果たした。

 最後は「プロレスリング・ノア、メジャー団体としてさらに輝かせるために、俺と拳王さんでノアの景色を変えます。皆さん応援よろしくお願いします。駆け上がる、みんなと一緒に!」と清宮が叫び、緑色に輝くテープが客席に放たれて幕。そのテープには「Misawa-san,you will forever live in our hearts as we set out on a new voyage」(三沢さん、私たちは次の航海に旅立ちますが、あなたは永遠に私たちの心の中で生き続けます)という、決意のメッセージが刻まれていた。


【試合後の清宮、拳王】
――試合を振り返ると?

▼清宮「試合中のことはあんまり覚えてないですけど、必ずこのベルトを守って、あの時代を超えたい思いで、全力で戦いました」

――杉浦選手にも丸藤選手にも勝った。改めてそのベルトの重みをどう感じている?

▼清宮「このベルトは凄く重いです。だけど、このベルトとともに俺はもっと上のステージに駆け上がっていかなきゃいけないんで。新しい景色を見たいと思うんで。このベルトと一緒に新しい景色を、拳王さんと…拳王と作っていきたいと思います」

――拳王選手は新生ノアが始まったこの日に清宮選手からの呼びかけに応えた。その思いは?

▼拳王「リング上で言ったけど、本当に悔しいよ。去年、杉浦、丸藤、そいつらを超えないといけないって俺はチャンピオンの時代に言ってて、こいつにやられたのは本当に悔しいよ。ただ、こいつの言っていることも理解できる。新生ノア? 新しくなったんだろ。新しい景色を見せないといけない。これは本当に理解できるよ。だからな、俺もこいつに便乗して、新しい景色を…過去以上に輝かしい新しい景色を見せてやるよ」

――本当に連れていってくれる?

▼拳王「新生ノアスタートの日に約束しただろ? 誓いを交わしただろ? 見てたヤツら、聞いてたヤツら全員に俺は誓ったんだ。必ず連れていってやるよ」

▼清宮「必ず連れていきます」

――次の防衛戦の相手ではなく、次のリーグ戦のパートナーを選んだというのはそういう思いがあったから?

▼清宮「そうですね。俺1人ではとてもじゃないけど…。これから高いレベルに行くために俺1人ではパワーが足りないと思ったので。拳王と一緒にやりたいと思いました。拳王さんは…拳王は凄く心強い。だけど、そこに俺が甘えたら終わりだと思うんで。自分にもカツを入れて、2人で切磋琢磨していきたいです」

――タイトルマッチでの丸藤選手は戦ってみてどうだった?

▼清宮「前哨戦からだったんですけど、今まで経験したことがないような攻めばかりで、本当に苦しかったです」

――パーフェクトキーロックでピンチとなったが、逃げられた要因は?

▼清宮「試合が始まる前からあの技を食らわないように、食らったら意地でも逃げてやろうと思ってたんですけど、実際に食らってみると、やっぱり逃げられなくて。でも、そこで頼りになったのはお客さんの声なので。本当に皆さんに感謝しています」

――拳王選手はタッグリーグの先にシングルも狙っていく?

▼拳王「もちろん。俺はタッグリーグでこいつと組むかもしれない。だけど、ずっと狙い続けてるから。本当にやってやるよ」

――9月の大阪府立第1、11月の両国が発表となったが、チャンピオンとしてどう捉えてる?

▼清宮「上に上がっていくためには高い目標を掲げることが大事だと思います。俺は拳王と一緒なら、そこまで高いとは思いません。それはお客さんも感じていると思います。必ず2人で新しい景色をドンドンドンドン見せていきます。駆け上がる、みんなと一緒に!」

【試合後の丸藤】
――清宮はどうだった?

▼丸藤「負けちまったな…」

――想像以上だった?

▼丸藤「ああ、だから負けたんだよ。時代は俺を求めてなかったか。約束通り、グローバル・タッグリーグは出ない。ちょっと自分を探すよ」

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