3/15【WRESTLE-1】カズが意地の中嶋撃破、活動休止前にW-1王座奪還 大田区に「W-1」コール響く
『WRESTLE WARS 2020』東京・大田区総合体育館(2020年3月15日)
WRESTLE-1チャンピオンシップ ○カズ・ハヤシvs中嶋勝彦×
大田区総合体育館に響いた「W-1」コールを受けて発奮した手負いのカズが中嶋を撃破し、外敵に流出した至宝・W-1王座を活動休止前に奪還した。
W-1王座を強奪して以降、傍若無人な振る舞いを続けてきたノアの中嶋がV2戦の相手に指名したのが、かつて全日本のジュニア戦線でしのぎを削ったW-1の社長・カズだった。ベルトを投げ捨て、足蹴にする外敵王者に対して、カズが怒りのトラースキックで返答し、今大会での挑戦が決定した。その後、4・1後楽園でのW-1活動休止が発表に。カズが左足大腿二頭筋断裂の怪我を負ったことも明らかとなり、中嶋有利の下馬評が目立つが、「W-1の全てを背負って大田区のリングに立つ」と不退転の決意を胸に決戦に臨んだ。
カズは左足をテーピングでガッチリと固め、覚悟を決めた表情でリングに入る。一方、中嶋はベルト管理を拒否しているだけに至宝を持たず、新型コロナウイルス問題の渦中で行われる今大会を意識してマスクを装着して入場。ガウンを脱いでもマスクはつけたまま試合はスタートした。すぐさま場外に退避してカズを翻ろうした中嶋は、観客からマスクを受け取り、カズと神林レフェリーにも差し出して揺さぶりをかける。苛立ちを爆発させたカズは、中嶋からマスクを引っぺがし、ヘッドロックで絞め上げたものの、中嶋はニークラッシャーを繰り出して脱出。負傷箇所を攻められたカズは悲鳴を上げた。
中嶋は様々な体勢からピンポイントで左足を蹴り飛ばし、鉄柱を使ったレッグロックに捕獲。何度も場外戦を仕掛けてカズを一方的に蹂りんした。やりたい放題の中嶋はカズをコーナーに追い詰めると、両足で首筋を踏みつけて“撮影タイム"に突入。四方のコーナーでカズを踏みにじると、カメラのフラッシュだけでなく、ブーイングも巻き起こった。
防戦一方のカズだったが、声援を浴びて奮起。コーナーめがけてコンプリートショットを繰り出し、決死の反撃に打って出る。怒りを爆発させて王者の顔面を何度も踏みつけ、、ステップキックで蹴り上げると、ローリングエルボー、バックドロップと猛攻。観客も「W-1」コールを送って後押しした。
しかし、中嶋も譲らない。ターンバックルごと顔面を蹴り上げると、ミドルキック、トラースキックと強烈な蹴りがうなりを上げる。お返しとばかりにバックドロップで引っこ抜くと、前後からサッカーボールキックやランニングローキックでメッタ打ちに。余裕タップリにカズのセコンドにつくW-1所属勢を挑発した。
それでも止まない「カズ」コールに社長が応えた。こん身のビンタで中嶋を腰砕けにすると、ファイナルカットをズバリ。直後にヴァーティカルスパイクの餌食になったが、ギリギリでキックアウトすると、顔面蹴りを間一髪で回避し、トラースキックからリバースゴリースペシャルボムに繋げて、とうとう勝機を掴んだ。
中嶋のアンクルホールドに捕まり、一転して大ピンチに陥るも、カズはファンの声援に応えようと執念のロープエスケープ。投げ捨てジャーマン、顔面蹴りを食らってしまったが、勝負を捨てずに反撃のチャンスを待った。中嶋はヴァーティカルスパイクで勝負に出たものの、一瞬のスキを突いて不時着したカズは絶叫しながらラリアットを一閃。中嶋が吹き飛んで場内が沸き返る中、カズは顔面を蹴り上げ、側頭部にローキックを放つと、トラースキックに繋げる。さらに、ファイナルカットをお見舞いすると、カズコールに後押しされる中、パワープラントをズバリ。こん身の一発で中嶋を仕留めた。
カズが団体の活動休止前にW-1王座を奪還。同王座初戴冠を果たした。マイクを持ったカズは「ご声援本当に力になりました。ありがとうございます。そして、本当にW-1を応援してくれてありがとうございます」と観客に何度も感謝すると、正規軍の面々をリングに上げ、「W-1は4月1日までみんな、みんな、みんな、みんな全力で走り続けていくんで、皆さんついてきてください。今日はありがとうございました!」と絶叫し、大田区大会はフィナーレとなった。
「俺は中嶋勝彦が相手だったから、ここまで真剣に一生懸命になれた。中嶋勝彦が悪いことをやっているからだけじゃない。彼の中に本当と戦いがあるから、僕はここまで出せたんだと思う。いろいろ無礼なことはしてくれたけど、いちレスラーとしては中嶋選手に感謝します」と中嶋にメッセージを送ったカズ。客席から巻き起こった「W-1」コールは耳に届いていたようで、「こうやって生でこういう声援が聞けるっていうのは、本当にプロレスラー冥利に尽きるというか。もうプロレスやって28年か、29年かになるんですけど、やっぱりプロレスっていいなって。最高の競技だと思っています」と感慨深げだった。
泣いても笑っても残すは3・25新木場と4・1後楽園のみ。今後のW-1王座の扱いは未定だが、「本当にお客さんに助けられ、そして今まで歴代のチャンピオンたちが感じた重み、そういうものを感じながら、今はこの凄い重いベルトを僕は腰に巻いています。こんな素晴らしいベルトを巻けたというのは、僕にとって財産であり、生涯いくつになっても誇らしいと思います」と新王者として胸を張ったカズだった。
【試合後のカズ】
▼カズ「僕の今できる精一杯だよ。全て出しきった。俺、中嶋勝彦がよくわからない。ヒールだか、ベビーだか、どうでもいいよ。俺とあいつの戦いにはそういうものはいらない。お互いにあるものを全て引っ張り出す。こんな今の俺の状態だけど、俺は中嶋勝彦が相手だったから、ここまで真剣に一生懸命になれた。中嶋勝彦が悪いことをやっているからだけじゃない。彼の中に本当と戦いがあるから、僕はここまで出せたんだと思う。いろいろ無礼なことはしてくれたけど、いちレスラーとしては中嶋選手に感謝します」
――ベルトの重みは?
▼カズ「リングの上でも話したけど、W-1は本当にいいファンに恵まれて。そういう感じで、今はチームというか、そういうものを感じました。やっぱり僕はたくさんのお客さんのいる前で、お客さんの期待を背負って、そうやって戦っていきたいから。本当にお客さんに助けられ、そして今まで歴代のチャンピオンたちが感じた重み、そういうものを感じながら、今はこの凄い重いベルトを僕は腰に巻いています。こんな素晴らしいベルトを巻けたというのは、僕にとって財産であり、生涯いくつになっても誇らしいと思います」
――今後、防衛戦をやる可能性はある?
▼カズ「3月31日をもちまして、W-1全選手契約はしないということになり。もちろん私も含めて。会社というものはそのまま存続し、活動休止ということになっています。その活動が再開されない限り、このベルトというのはW-1預かりということになります。なるはずです」
――4・1後楽園でタイトルマッチを行うことはない?
▼カズ「そのことに関しては明日記者会見がありますので。今からみんなでどうするか協議することになると思います」
――試合中、W-1コールが起きていたが?
▼カズ「聞こえてました。お客さんの声援って本当に励みになるんだなって思いました。パワーが湧いてくるし。やっぱりライブだからですね。本当にこうやって生でこういう声援が聞けるっていうのは、本当にプロレスラー冥利に尽きるというか。もうプロレスやって28年か、29年かになるんですけど、やっぱりプロレスっていいなって。最高の競技だと思っています」
【中嶋の話】「中嶋勝彦がいる、このW-1はどうだった? 刺激的だっただろ? 相変わらずカズ・ハヤシって男は“男の中の色男"だな、いつまで経っても。効いたよ。やはりあの時からそうだったよ。後楽園から、一発の蹴りが周りと違って重たいんだよ。痛え…。でも、とりあえず今日で俺の仕事は終わりだ。W-1よ。ファンも選手もスタッフも、たくさん会話できて嬉しかったぞ。楽しかったぞ。そういう意味では、しょっぱい団体だったけど、収穫あったな。ありがとう。もう帰る」