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11/15【天龍プロジェクト】引退から5年 天龍がオカダと“再戦"もトークバトルで完敗…?

『天龍プロジェクトpresents 革命伝承〜天龍源一郎引退5周年記念大会〜』東京・後楽園ホール(2020年11月15日)
スペシャルトークバトル 天龍源一郎vsオカダ・カズチカ

 引退試合から5年が経った天龍がオカダとリング上で久々に対峙。トークバトルでの“再戦"となったが、予想以上に流ちょうなオカダのしゃべりに押され、最後は完敗を認めた。

 天龍は2015年11月15日、両国国技館でオカダとの一騎打ちで敗れ、完全燃焼して引退。その引退記念日となる今日、久々に天龍とオカダがリング上で向かい合った。いきなり天龍は「今、オカダ選手が入ってくるのを見て、素直にカッコいいなと思った」とレインメーカーをを賞賛。一方、スーツ姿のオカダは緊張しきりで、「控え室でも背もたれにもたれることができずに緊張して座っていました」とこぼし、「トークにはちょっとすいません、不安な部分もありますけど」と不安を垣間見せたが、その後は流ちょうなトークを展開した。

 今回のトークバトルはオカダから引退試合の時の心境と最近の状況を聞き出したいと天龍が自ら臨んでオファーしただけに、話題は5年前の一騎打ち中心に。当時のお互いの心境や相手の印象を改めて語り合った。

 引退試合では大ブーイングを浴びるという珍しい立場となったオカダだが、「両国の会場に来ている方たちみんなに天龍さんは愛されているんだなって。そこに立つことができて凄いいい経験ができましたね。僕が引退するからといって、あんなに全国から集まってくれるかといったらわからないですし、天龍さんはさすがだなって。またその中で試合ができて、本当にブーイングも気持ち良かったですね」と冷静に状況を受け止めていた。リングで天龍と対峙した時に感じたのは「全盛期の時に戦いたかった」という思い。「天龍さんがバリバリの時にやりたかったなって。今までそんな感覚になった先輩レスラーはいないんですよ」と感じながら引退試合の相手を務めた。

 対する天龍は序盤でドロップキックを食らった際に「パッと見たら、オカダ選手が客席を見渡しているのを見て、余裕があるなと。これは俺が若いヤツとやった時にやってた仕草だなと。余裕をかまされて、俺の気持ちの中で、生半可に勝てる相手じゃないなと芽生えてました」とオカダの実力を肌で感じ、「キツいな、今日は」と苦しい戦いを覚悟していた。

 それでも天龍は逆水平やグーパンチなどを厳しい攻撃を浴びせたが、オカダは「それを食らって立ち上がらないと、『これからのプロレスを任した』という風にはならないと思うんですよね」とあえて真っ向から受け止めた。天龍も意地になって、体勢を崩しながら必殺技のパワーボムを繰り出したが、受けきったオカダは「天龍さんの意地を感じました。最後の試合で決めてやるんだっていう。結果的に垂直落下みたいな形で落ちましたけど、そこもカッコいいなと思いましたね。完璧に上がらなきゃやらないよっていうレスラーのほうが多いと思うんですよ。完璧主義というか。その中で、決まらなくても最後だからやるっていう天龍さんの“漢"を感じました」と告白。珍しく熱い思いを口にしたオカダは、「ちょっと僕、しゃべりすぎっすかね? しゃべりが苦手って言ってたのに」と苦笑したが、天龍は「メチャクチャ心地いいよ、俺は」と満足げに聞き入っていた。

 完全燃焼した天龍も「60のオッサンがあんないいドロップキックを食らって立ち上がれたって俺は自慢してますよ。交通事故の時ぐらい破壊力ありましたからね」とオカダとの試合を堪能できたようで、「アメリカのプロレスを知ってて、新日本のプロレスを混ぜ込んだような選手という感じでしたよね。今までいろんな新日本の選手と戦ったけど、新しい新日本カラーの選手だって感じでした」と新しい時代の息吹も感じ取った。最終的にこの試合はプロレス大賞の年間ベストバウトを受賞している。

 あの一戦から5年が過ぎたが、オカダは「引退されてからもしっかり今のプロレス界を見ていただいているんだなって思うので。そういう意味では、『オカダ全然ダメだ』って書かれないように、しっかりやらなきゃダメだなと思ってますね」と今でも天龍の目を意識しており、「天龍さんが飽きないプロレスを…。新日本プロレスだけじゃなく、プロレス界がどんどん上がっていくような戦いをして、天龍さんがワクワクしてもらえるような戦いをしていきたいなと思ってますんで」と決意をあらたにした。

 一方、天龍は最近のオカダを「俺を介錯したというような気持ちを持ってるか持ってないかはわからないんだけど、あれからずっと発言とかいろんなコメントを聞いていると、新日本プロレスの上に立っているという気持ちがわかる」と高く評価。「俺はオカダ選手と最後に戦ったということで、最低あと15年は『俺が最後に戦ったプロレスラーだよ』と語り継いでいけるからしめしめですよ」と“天龍節"で称えつつも、「これからキャリアを踏んでいけば、もうちょっとボリュームアップした体になってくるとは思うんですけど、それだけですね」と注文をつけることも忘れなかった。

 現在はコロナ禍のため実現できないが、将来的に酒を飲み交わすことを誓い合って、34分を超す熱いトークバトルは終了に。オカダは「またこの状況がよくなったら、もう1回トークバトルをやらなきゃダメですよね? 僕たちだけでしゃべって、皆さんが聞いているだけじゃなくて、本当にワイワイガヤガヤできるよなトークバトルをまたできたらいいなと思います。その時はまた天龍さん、トークバトルをよろしくお願いします」と“再戦"をアピールすると、その見事な締めに天龍は「こんだけ綺麗にしゃべったあとに何をしゃべるんだよ、俺は」と完敗を認めるしかなかった。

 5年ぶりとオカダと“再戦"し、刺激を受けた様子の天龍。最後に「これで懲りずにまたいろんな団体が興行をやると思うんで、皆さんお時間がありましたら、足を運んでプロレス界を盛り上げてください」と観客に呼びかけ、オカダたち出場選手とともに恒例の「エイエイオー!」で興行を締めくくった。

【試合後の天龍&オカダ】
――5年ぶりにリングで向かい合ったが、話をしてみてどうだった?

▼天龍「オカダ・カズチカっていう選手はなんか余裕シャクシャクって感じだね。それは感じましたよ」

――リングで戦うのとトークはまた違うが、5年前とは違った?

▼天龍「あの時は『こんなアンチャンに』と思う気持ちが俺にはあったけど、今は水戸黄門と助さん助さん格さんの関係だね」

――オカダ選手は今の発言を聞いて?

▼オカダ「なるほどなと感じました」

――オカダ選手は向かい合って話してどう感じた?

▼オカダ「トークバトルは僕の完勝だったんじゃないかなと思いますし。でも、5年前の時は僕が先に入場して、天龍さんはあとだったじゃないですか。今回は僕があとに入場してきて、天龍さんがリングにいる時はこういう感覚なんだなって凄い感じましたし。でも、5年はあっと言う間でしたけど、長いじゃないですか。その分、レスラーとしてもそうだし、人間としての成長も今回天龍さんにお見せすることができたんじゃないかなと思いますね」

――天龍さんはそういう部分を感じた?

▼天龍「レスラーってね、言葉でどうのこうのじゃなくて、なんとなく醸し出す雰囲気があるんだよね。レスラー同士しかわからない威圧感とか、雰囲気が出てきてましたね。だから、いみじくもしゃべったけど、彼が出てきた時に思ったのは、あっ、カッコいいな、貫禄出てきたなって」

――天龍さんは取材の中で、オカダ選手は新日本のエースではなく、業界のエースだと言ってきたが?

▼天龍「今日は特に思ったし、話を聞いてて、オカダ選手ももっと自分の中で、猪木さんは別にして、猪木さんの話も出たりしているけど、そういうものも踏まえて、プロレス界の、新日本プロレスのエースはオカダ・カズチカだからって、責任を持って行動していってほしいなと思うし、それも出てきているから、今日の言葉になったんだと思ってます」

――オカダ選手も「業界全体を盛り上がって、天龍さんを飽きさせないように」という発言があったが、そういう責任感を持っている?

▼オカダ「僕は新日本プロレスの人間ですし、新日本プロレスのことしか考えられてないですけど、天龍さんはいろんな団体を見られてて、天龍さんが他の団体を褒めれば、僕たちも負けないようにやんなきゃダメだなと思いますし。最近、新日本プロレスは全然褒められてないなあと思ったなあ…」

▼天龍「そう? 某週刊誌、某週刊プロレス」

▼オカダ「でも、そんなようなことは起きないように、しっかりと活躍もしていきたいですし、プロレス界がもっともっと大きくなっていくように。天龍さんもドーンとレジェンドとしていられるように、僕がもっともっと広げていきたいなと思いますね」

――コロナ禍が終息して、お客さんが騒げる時にもう1回と?

▼オカダ「そうですね。試合でも勝って、今回も勝っちゃったんで」

▼天龍「エリザベス女王杯も取れなかったし、最低だよ」

――天龍さんももう1回というのは望むところ?

▼天龍「今日は彼のトークを見て、十二分に業界のトップになってきているなって感じだから、先はトークを楽しんだだけでした。なんのわだかまりもなく、心地良い感じで彼のトークを聞きました」

▼オカダ「落ち着いたら、トークバトルと食事で…」

▼天龍「じゃあ、うちの代表に言って、住所教えておかないとね。お中元とお歳暮を」

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