12/31【RIZIN】那須川完勝 来場・武尊との頂上決戦浮上「一緒に格闘技を盛り上げましょう」
『Yogibo presents RIZIN.26』さいたまスーパーアリーナ(2020年12月31日)
RIZINキックボクシングルール(57.0kg) ○那須川天心vsクマンドーイ・ペットジャルーンウィット×
那須川がムエタイの強豪クマンドーイに判定勝ち。無敗を死守した神童は、来場したK-1の武尊に「一緒に格闘技を盛り上げましょう」と呼びかけて、頂上決戦が浮上。武尊は対戦が現実的になってきていることを明かし、「僕の理想の試合の形は、RIZINでもK-1でもない中立なリングを作って、そこでやりたいと思っています」と第三者的リングでの実現を示唆した。
いまだ無敗を守る那須川はもはや敵なしで、ボクシング転向も浮上する中、5年連続で大みそ日のリングに立った。今回の対戦相手は150戦の戦績を誇るムエタイの強豪クマンドーイだ。2018年の大みそ日に延長戦までもつれこむ激闘を繰り広げて、“那須川を一番追い詰めた選手"と言われるロッタン・ジットムアンノンにも勝利している実力者。これまで幾度となく対戦が浮上しながらも実現に至らなかった武尊がリングサイドで見守る中、那須川は気合い十分で戦いに臨んだ。
クマンドーイはジャンプしてのハイキックや強烈な左右のフックなど那須川に負けない強打を唸らせる。那須川もミドルキックなどを勝ち気に打ち返し、クリーンヒットしたら一撃で試合が終わりかねない緊張感溢れる攻防が続いた。
2Rに入ると、那須川はクマンドーイの蹴り足を掴んだ直後に左ストレートを浴びせて、明確なダメージを与える。回し蹴りなど大技も交えつつ、優勢に試合を展開。3Rは左ハイからのボディブロー連打、左ストレートなどでクマンドーイを下がらせた。KOできなかったものの、最後まで攻め続けた那須川が文句なしの判定勝ちを手にした。
勝利した那須川は「今、やりたいことがやれない状況がたくさんあると思うんですけど、格闘技は戦う競技ですけど、格闘技だけじゃなく、皆さんいろんなことを感じていると思います。逃げずに、前に向かってどんどん日々やっていけば、最高の人生を送れると思うんで、一生懸命皆さんが過ごしていければいいなと思います」と観客にメッセージ。武尊にも「今日会場に来てくれて、本当にありがとうございます。まだ何も決まってないんですけど、一緒に格闘技を盛り上げましょう」と呼びかけると、花道付近で接近し、わずかながら言葉を交わした。
「勝てたってことが第一で、多少はホッとしてます。課題もまだまだたくさんあり。クマンドーイ選手は強かったですね。今までやった中で、一番足が硬かったです」と試合を振り返った那須川。「今まで観に来たことはないですし、嬉しく思いました」と武尊の来場もプラスに働いたようだ。
両者の対戦に向けて大きく前進し、一騎打ちの機運が一気に高まる形となったが、那須川も「今まで観に来たりするのはなかったので、長い期間ですけど、一歩前進できたんじゃないかなと格闘技界全体が感じているんじゃないかと思います」と前向きにコメント。それでも「まだその試合がある、ないはわからないので、そこに左右されてもいけないと思いますし、決められたら全然やるよっていうスタンスですかね」と慎重なスタンスを崩さなかった。
一方、記者団の質問に応じた武尊はさらに踏み込んだ発言をした。「今年最後の日ですけど、僕の意思表示として、来年実現させるという決意を込めて、RIZINの会場に今回は来場させていただきました」と今回の行動はもちろん那須川との一騎打ちを見据えてのこと。実現に向けて、具体的な目処が立ちつつあるという。武尊は今回初めて那須川の試合を生で観戦。間近でその強さに触れたことで、戦いたい気持ちがさらに高まり、「これだけ試合ができなかったことも、この格闘技界を1つにするための大事な期間だったなと思う。僕自身、天心選手がいてくれたからこそ、今でも現役をやっていると思っているんで」と熱い思いを吐露した。
「どこかを落としてやる試合にはしたくない。K-1で一緒に戦っているファイターたち、後輩たち、背中を追っかけてくれている子たち、そしてK-1に入ってくれた人たち、その人たちを裏切ることはできない」とK-1ありきの姿勢を示した武尊は、「この試合をやるには中立なリングで。僕はK-1チャンピオンとして、天心選手はRISEのチャンピオンとして、格闘技界をひとつにするための試合にしないといけないと思っているんで。僕の理想の試合の形は、RIZINでもK-1でもない中立なリングを作って、そこでやりたいと思っています」と第三者的なリングを舞台に指定した。
時期は「来年しかない」と語るにとどまったが、武尊はK-1の1・24代々木大会で、那須川はRISEの2・28横浜アリーナですでに次戦が決まっており、まずは互いにその試合を乗り越えることが絶対条件。武尊は今大会とは逆に、那須川に代々木大会への来場を求めた。