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2/7【ZERO1】両国延期も20周年シリーズ開幕 大谷が熱闘締め「これからも思いっきりZERO1したい」

『プロレスリングZERO1 20周年記念イヤーシリーズ Believe “Z"road』東京・後楽園ホール(2021年2月7日)
○大谷晋二郎vs田村ハヤト×

 両国国技館大会が延期となる非常事態の中、ZERO1の20周年記念シリーズが開幕。初戦のメインを熱闘で締めくくった大谷は「これからも俺がZERO1だなんて言うつもりはない。みんなが支えているZERO1だ。ただ、これからも思いっきりZERO1したいと思います」と視線を前に向けた。

 新型コロナウイルス問題で世界全体が揺れる中、20周年記念イヤーを迎えたZERO1。選手離脱に続き、会場側の都合によって3・14両国大会が延期に。1年前から準備を進めていた大谷は悔しさをあらわにするしかなかった。それでも今大会を“ZERO1のへこたれない記念日"と定義した大谷は、「どんな窮地に陥っても前進する、前に進むプロレスラーの姿を、人間の姿を見せていきたい」と意気込み、“20周年記念イヤーシリーズ"開幕戦のメインに臨んだ。対戦相手は1・1後楽園大会で田中に敗れ、世界ヘビー級王座から転落したばかりの田村。一筋縄ではいかない強豪だったが、大谷は熱い気持ちを爆発させた。

 大谷が左足攻めで田村の出鼻をくじいて先制。得意の顔面ウォッシュで場内を沸かす。しかし、田村は「もっと打ってこい」と強気にアピール。大谷が再度顔面ウォッシュを決めると、ブレーンバスターを仕掛けるが、ここで田村が強引に引っこ抜いて反撃へ。大谷の首に集中砲火を浴びせた。

 しかし、大谷は気持ちで下がらない。低空ドロップキックからしつこくヒザ十字固めに絡め取る。田村が逃れても、エルボーを連発しても、引かずに何度も捕獲して絞めに絞めた。さらにミサイルキックを突き刺す。

 田村も気迫全開で串刺しラリアット、DDTで巻き返すと、師匠TAKAみちのく譲りのジャストフェイスロックに捕獲。その後も執ようなフロントネックロックで大谷を長時間絞め上げて追い込んだ。意識もうろうとなった大谷だが、客席から巻き起こった手拍子に背を押されるように、執念のロープエスケープを果たす。止まらない田村は串刺しラリアット、正調ラリアットと攻めに攻めるが、大谷はムクリと立ち上がってどよめきを誘うと、カウンターのケサ斬りチョップを振り下ろし、両者大の字に持ち込んだ。

 水面蹴りを皮切りに、大谷は投げ捨てジャーマン、投げ捨てドラゴンスープレックスと猛ラッシュ。田村もカウント1で返してみせると、顔面へのランニングニーやジャックハマーで応戦したものの、大谷は沈まない。真っ向からビンタを打ち合うと、ケサ斬りチョップで反攻。田村が肩を上げたものの、再度こん身のケサ斬りチョップを叩き込み、接戦をものにした。

 区切りの試合では負けて大の字になることが多かった大谷だったが、20周年記念シリーズ初戦のメインを快勝で締めくくった。疲労困ぱいの様子だったが、それでも「勝ったぞ! 大切な節目のビッグマッチでなんと大谷晋二郎が勝ったぞ!」と勝利の雄叫び。その後、大谷の口から出たのは感謝の言葉だった。

 「それよりも、それよりも、それよりも、なんと言われようと、この言葉を言わずにはいられません。本当に今、全ての人たちが大変な毎日を送っていますが、ZERO1を、そしてプロレスを求めてくださったお客様、心の底からありがとうございました!」。そう語って大谷が深々と頭を下げると、後楽園ホールは大きな拍手に包まれた。

 熱い言葉は続く。「皆様もたくさんの葛藤があると思います。そんな皆様に勇気と元気を与えるため、本日は我々プロレスラーだけじゃない。今日集まってくださった皆さん、全ての人たちの“へこたれない記念日"です。これからもっともっと大変なことが起こるかもしれませんが、僕たちはいつでも皆さんにプロレスで元気と勇気を与えますので、皆さん一緒にこのへこたれないイヤーを駆け抜けようじゃありませんか?」と自らに言い聞かせるように呼びかけた。

 最後に「皆さんに心配ばかりかけますが、両国大会が延期になっても、たくさんの選手が巣立っていったとしても、みんな外で頑張ってます。ただ、このZERO1のリングは、いつどこでも大谷晋二郎、田中将斗がいるからな! そのZERO1を絶対に守ってみせるので、これからもよろしくお願いします。そして、そして、プロレスをよろしくお願いします」と観客の前で誓った大谷はZERO1のロゴがあしらわれたリング中央で感慨深げに大の字になった。

 逆境続きでも、大谷は立ち止まるつもりなどない。どこまでも前向きだ。バックステージでは「これからも俺がZERO1だなんて言うつもりはない。みんなが支えているZERO1だ。ただ、これからも思いっきりZERO1したいと思います」と宣言。ZERO1流の熱い戦いを重ね、この20周年記念イヤーを駆け抜けるのみだ。

【試合後の大谷】
▼大谷「改めまして、ZERO1の20周年、へこたれないツアースタート。そして、今日はへこたれない記念日。たくさんのご来場、そして多くの記者の皆様、本当にありがとうございました。緊急事態宣言の最中、本当に苦しい後楽園ホール大会、選手のみんなで一丸となって、営業・チケット売りに頑張り、やはり『このご時世だからごめんね』と言われる方がおられて。でも、その方も『本当は行きたいんだけどごめん』と熱い言葉を送ってくださり。そして今日、会場に来てくれたお客さん。中にはね、僕がチケットをお願いしたら『本当にごめん』と断ったお客さんが今日来ててさ。お迎えの時にその方に『大丈夫なんですか?』と聞いたら、『大変な日々だから来たんです』、そう言ってくれた。今日来てくれたお客様はそれに近い気持ちを持ってきてくれてるんだろうと僕は信じてます。そんな熱いお客さんがプロレスファンにはいるんだ。プロレスラーがへこたれるわけにはいかないだろ。もっと言えば、プロレスを追いかけてくださる皆様、記者の皆様もへこたれるわけにいかないですよね? やるぞ。へこたれないツアー。今現時点で決まっている試合も少ないけど、危険を承知でやるんじゃない。いろんなもの、全て安全を兼ね備えて、大会をこれからやっていくからな。ZERO1は、いや、プロレスはそういうスポーツなんだ。ここを勘違いして書かないでくださいよ。危険を承知でやるんじゃない。安全をしっかり考慮したうえで、感染予防を徹底したうえで、プロレスは勇気と元気を与えるためにやるんだ。そんなプロレスラーでいたいと思います。改めまして、いい人ぶると言われようと、なんと言われようと、何度言っても足りない。今日のこの大会のために尽力を尽くしてくださった関係者の皆様、そして来場いただいたお客様、そして取材してくれたプレスの皆さん、そして丸藤選手をはじめ、今日の大会に急きょ参戦してくれた選手の皆様、本当に心からありがとうございました。プロレスは熱いだけじゃなくて、温かいねぇ。プロレスは心に染みるねぇ。プロレスは絶対に裏切らないねぇ。そんな思いを持ったプロレスを、これからも一生懸命に大切にしていきたいと思います」

――田村選手との初シングルはどうだった?

▼大谷「ここで『いい選手だった』『強かった』と言ったら、もしかするとありきたりに聞こえるかもしれない。でも、ありきたりな言葉を、心を込めて言わせてもらうぞ。スゲエな田村ハヤト。強ぇな田村ハヤト。このありきたりな言葉を心の底から言わせる田村ハヤト。強ぇな。もうさ、お前がどこの団体所属だ、フリーだ、関係ねぇよ。このZERO1のリングにずっと上がり続けろ。いや、上がり続けてください。そんな思いを田村ハヤトに感じましたね。今日勝ったからなんだって言うんだ。あいつがそう言うなら何度でもやってやる。1日に2試合、3試合でもいいぞ、シングルマッチ。いや、ちょっと言い過ぎた。1日やっぱり1試合にしよう。でも、何度でも戦いたい。そう思わせる熱い選手でしたね。熱いプロレスラーはZERO1のリングに集まるんだ。俺はこれを言い続けるぞ」

――HOT JAPAN興行の延期も決定したが?

▼大谷「会社もやっぱりどうしてもやろうと考えてくれたんでしょうね。今日もHOT JAPANのメンバーが(青木)優也を筆頭にいるけども。やるぞ。みんな熱くなってるよ。もしかしたら俺がHOT JAPANじゃないのかと思う人もどんどん引っ張るからな。そんな新木場大会にしたいと思います」

※ここでカーベル伊藤が姿を現すと

▼伊藤「大谷さん。試合見ました。コメントもうかがいしました。噂通りの熱い選手ですね。HOT JAPAN、聞きましたよ。団体の垣根を越えて業界を熱くする。そんな選手のユニット。カーベル伊藤、まさにピッタリの選手だと自負してます」

▼大谷「HOT JAPAN、感じましたか?」

▼伊藤「カーベル伊藤、入ります」

※2人は握手を交わすと

▼大谷「3・11空いてますか?」

▼伊藤「空いてます」

▼大谷「新木場大会よろしくお願いします。カーベル選手もHOT JAPAN入り、決定です」

▼伊藤「HOT JAPAN、大谷さんを中心に、日本のプロレス界を盛り上げましょう。私も微力ながらお手伝いします。ありがとうございます」

※伊藤が去っていくと

▼大谷「いやあ、次から次へと…。これはね、熱さにみんな反応してるんだよ。まだまだ出てくる気がするな。もっともっとこれを増やさないとな」

――今までの20年間、節目の戦いでは大谷選手が負けてしまい、リング上で大の字になっていることが多かったが、今日は勝利した

▼大谷「なんかでも、試合前もさ、終わったあとも、キャンバスの真ん中にあるZERO1のマークを見ると、たまらなく愛おしくなって。気付いたらあぐらをかいたり、気付いたら大の字になってましたね。いやあ、ZERO1だもん。これからも俺がZERO1だなんて言うつもりはない。みんなが支えているZERO1だ。ただ、これからも思いっきりZERO1したいと思います」

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