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9/14【日本プロレス殿堂会】猪木、藤波、天龍が日本プロレス殿堂入り 闘病中・猪木に「1、2、3、ダー!」でエール

『日本プロレス史70周年記念大会「LEGACY」』東京・後楽園ホール(2021年9月14日)

 アントニオ猪木、藤波辰爾、天龍源一郎がついに始動した日本プロレス殿堂入り。藤波は病気と闘う師匠・猪木に「1、2、3、ダー!」の叫びでエールを贈った。

 日本プロレス殿堂会は日本プロレスの歴史、選手を後世に残していくための中立後援組織として2020年に設立された。その一環として、殿堂会初の興行となる9・14&9・15後楽園大会2連戦で殿堂入りのセレモニーが行われることに。今大会では殿堂入りが決まった猪木、藤波、天龍、明日(15日)はジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、長州力の偉業を称えることになった。

 セレモニー前に、獣神サンダー・ライガー、谷津嘉章、前田日明、田上明、蝶野正洋、スタン・ハンセンといったレジェンドたちから届いた日本プロレス史70周年記念大会『LEGACY』への応援メッセージがVTRで流され、現役選手への激励の言葉が続いた。

 アントニオ猪木は今年の1月から腰の治療のため入院。6月には腸捻転を引き起こして緊急手術を受け、8月末に退院したばかりとあって、来場は叶わなかった。インダクターを務める愛弟子の藤波が代わってリング上でコメント。「自分が昭和45年にこのプロレス界に入り、そのきっかけを作ってくれた自分の憧れの師匠であるアントニオ猪木さん。この場に立って、殿堂入りという名誉あるインダクターを承りました。今、猪木さんは復活に向けて戦っています。そのエールを込めて、最初に殿堂入りのアントニオ猪木さんを紹介したいと思います」と語ると、猪木がVTRで登場した。

 「元気ですか!」の雄叫びで元気な姿を見せると、ブラジルに渡る前にプロレス中継をテレビ越しに見ていた思い出を語り、「皆さん、ご唱和ください。いくぞ! 1、2、3、ダー!」と拳を突き上げてみせた。

 1976年にプロレスデビューし、アントニオ猪木とジャイアント馬場の2巨頭を破る偉業を成し遂げ、2015年11月の引退まで数々の名勝負を残した天龍も殿堂入りを果たした。全日本時代の後輩であり、ノアマットでは激しい逆水平合戦を繰り広げた小橋建太がインダクターを担当。「私が若手の頃から天龍さんの激しいプロレスをいつも意識して頑張ってきました。プロレス大賞のベストバウトの受賞回数を天龍さんと争えたことは思い出にも残りますし、私の誇りです。今後もプロレス界のOBとして、そしてご意見番として、ご活躍をしていっていただきたいと思います」と激励すると、天龍をリングに呼び込んだ。

 杖を使いながらもリングに上がった天龍は、感慨深げに語り始める。「日本プロレス殿堂会第1回で諸先輩方を差し置いて私が受賞することになりましたが、非常にありがたく思います。ですが、未来のプロレスに向けてやっと動き出したという気持ちでもあります。生きてるかぎりは、未来に繋がる希望になれたらと思い、僭越ながらお受けすることと相成りました」と殿堂入りを受け入れた思いを告白した。

 さらに、「こんな不格好なレスラーである天龍源一郎を信じてついてきてくれたファンと一緒に歩んできたからこそ、取れた賞なんじゃないかなと思っています。今日をキッカケに、プロレスラーはプロレスラーでいることにもっと誇りを持ち、プロレスファンはファンであることを誇りに思ってください。脈々と引き継がれている日本に根付いたプロレスをこれからも皆さんよろしくお願いします。プロレスはいいものです。皆さん、長くプロレスを愛してください」と後輩たちや観客にメッセージ。熱い言葉を受けて、場内は大きな拍手に包まれた。

 ジュニアヘビー級を日本プロレス界に根付かせ、猪木、長州力、前田日明らとの名勝負を残した藤波も殿堂入り。いまだ現役として戦い続け、今年でデビュー50周年を迎えた藤波のインダクターを務めるのは新日本時代のライバル・木村健悟だ。両者は初代IWGPタッグ王者で、87年1月にはここ後楽園ホールで史上初のワンマッチ興行で対決している。木村は「歳も同じで、背格好もあまり変わらない。顔はどっちかと言うと、私のほうがハンサムですけど」と語って笑いを誘うと、「私は寝ても覚めても当時は藤波辰爾しか頭にありませんでした。今現在はようやく忘れてきましたけど、これからもよきライバルとして、そしてこれからも一日でも長く元気で過ごしていきたいと思っています。私のライバルである藤波辰爾さんを呼びたいと思います」と熱っぽく語って、藤波をリングに呼び込んだ。

 藤波はマイクであいさつ。「日本において殿堂の賞をまさかいただけるとは思っていませんでした。この殿堂入りというのは、我々レスラー自分の頑張りだけではなく、いろんなレスラー、いろんなライバル、それを支えてくれるファンの皆さんの力があってのことだと思っています。本当にありがとうございます」と感謝の言葉を重ねると、「この殿堂入りの名誉に、それから期待に添うように、いろんな形でまだ現役としてこれから自分の体力の続く限り、リング上でプロレスをやっていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします」と気持ちを新たにしていた。

 小橋、木村を含めた4人で記念撮影に応じると、藤波が「最後のあいさつはあれしかないでしょう。アントニオ猪木さんの早くの回復を祈って、エールを贈る意味で、例の1、2、3、ダーでいきます」と宣言。最後は出場選手、観客とともに「ダー!」の雄叫びで殿堂入りセレモニーを締めくくった。

【藤波&天龍の話】
――70周年の殿堂入りとなって、初日は藤波さんと天龍さんが受賞された。改めて今の気持ちは?

▼藤波「まず日本にプロレス殿堂会ができて、馬場さんや猪木さん、本来、力道山先生もそうなんですけど、我々が大先輩と肩を並べるってちょっとおこがましいんですが、今のこういう時期というか、何があるかわからないと。ただ、僕はどうしても日本でいろんな方々が応援してくれる中で、このプロレスというのを先に自分たちが繋げていくために、次の世代にバトンを早く渡したいと。そういう願いもあって、まず自分たちが(受賞した)。明日もありますし、そういう意味で、1つの形ができたかなと。そういう部分では本当に感謝しています」

▼天龍「藤波さんが今言われた通りで、僕らはいい時代にプロレスラーとして過ごしてこれたから、その気持ちを若いレスラーの人たちにバトンタッチして、またプロレスを隆盛させてくれればいいなと思ってます」

――こういう殿堂はなかなか形にできなかったが、この時期にできたのはよかった?

▼天龍「コロナ禍の中で、こういう大会があったというのも、たぶん思い出すことになるでしょうね」

▼藤波「いい思い出になるでしょうね。こんな時期にやったんだよねって」

▼天龍「この中でファンの人たちが集まってくれて、ありがたい限りですよ」

――ビジョンでは猪木さんの姿もあったが?

▼藤波「猪木さんの今の姿を見ていると、こみ上げてくるものがあるね。猪木さん自身も一生懸命に今自分が抱えている病気と戦ってますんでね。本来、ここにあの軽快な音楽と同時に猪木さんが入場してくれたら、お客さんがどう思うだろうとかね。今日の大会も、お客さんが半分しか入れられない状況の中で、仕方ないんだろうけど。でも、本当に天龍さん、長州さん、僕で、今回はこうやって我々でやったけど、実際この下で動いてくれた我々の二世のグループというのかな。彼らが血の繋がった意味だけじゃなくて、プロレスを大事にするという意気込みから、こういうことがスタートしたと思うんでね」

▼天龍「ありがたい限りですよ」

▼藤波「いろんなプロスポーツの中で、遅かったぐらいですね。本来、もっと早くいろんな形で。僕も2015年にWWEのビンス・マクマホンからスタートの苦しみを聞きましたけど、今の殿堂式典ができるまでは、相当いろんなことがあって。それを見習えじゃないけど、そういう部分では、力道山先生が作ってくれたプロレスを残していく1つのスタートになればいいかなっていう」

――70周年の締めで今回開催できたが、来年、再来年と継続していきたい?

▼天龍「今日もたくさんの選手の方がリングに上がってくれて、頑張ってくれましたけど、こういうことがやれるんだよ、やれるのがプロレスだよってことで心の糧にして、プロレスに邁進していってほしいと思いますよ。そのためには、殿堂会が上手く転がっていくようにしてあげたいなと思ってます」

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