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10/9【スターダム】詩美が“女子プロ26年ぶり"大阪城メインでワールド王座V7、彩羽熱戦突破で「最先端」宣言

『10th Anniversary GRAND FINAL OSAKA DREAM CINDERELLA 2021 〜大阪めっちゃスターダム〜』大阪城ホール(2021年10月9日)
ワールド・オブ・スターダ選手権試合 ○林下詩美vs彩羽匠×

 女子プロレスにおいて実に26年ぶりとなった大阪城ホール大会のメインで、詩美が彩羽を30分超えの熱闘の末に突破。ワールド王座V7を果たした。

 95年3月に全日本女子プロレスが開催して以来となった大阪城ホール大会のメインに立ったのは、“赤いベルト"ワールド・オブ・スターダム王者の詩美だ。挑戦者のマーベラス所属・彩羽とはシングルリーグ戦「5★STAR GP」で対戦したものの、時間切れ引き分けに。「5★STAR GP」を制した朱里がワールド王座挑戦の舞台を12・29両国大会に指定したため、詩美と彩羽は決着戦を大阪城大会の大舞台で行うことに同意。時間無制限1本勝負で激突した。

 試合は静かな立ち上がりに。パワーでジワリジワリと彩羽がペースを奪いにいく。詩美は右ヒザ攻めで流れを変えたものの、彩羽はニールキックで譲らず。負けじとサソリ固めに捕獲して、詩美の動きを止めると、鋭い足技でリズムを刻んだ。

 詩美はその足技を黙らせようと、再度右ヒザ攻めへ。しつこく何度もエルボードロップを落とすと、彩羽の悲鳴が大阪城ホールに響く。彩羽の反撃をことごとく潰し、ようやく詩美が主導権を握った。痛む足で彩羽はソバットやミドルキックを繰り出し、スリーパーで絞めに絞めたものの、詩美は両足クロス式のグラウンド・ドラゴンスクリューを連発すると、足4の字固めで仕留めにかかる。

 彩羽は耐え抜いたものの、詩美はロープを挟んだ状態から強引に逆落としを決め、「終わりだ」とトーチャーラックボムの構えに。足にダメージを負いながらも、不時着した彩羽はスクリューハイキック、トラースキックでたたみかけ、ランニングスリーに。今度は詩美が不時着。カウンターのドロップキックを発射するが、彩羽も止まらず、投げ捨てジャーマン、バズソーキック、スワントーンボムと怒とうの猛攻でワールド王者を土俵際まで追い詰めた。

 しかし、ライガーボム狙いは詩美がこうもり吊り落としで阻止。打撃戦になだれ込むと、彩羽は鋭いハイキックを唸らせるが、倒れない詩美は強烈なエルボーでねじ伏せ、スライディングラリアットからトーチャーラックボムを繰り出す。それでも試合が決まらないとみるや、ハイジャックボムの構えに。

 間一髪着地して逃れた彩羽はパワーボム、そしてシットダウン式ラストライドで詩美を再び追い詰める。彩羽がランニングスリー、詩美がハイジャックボムを狙って体勢が二転三転。詩美はなりふり構わずハンマーパンチを振り回すと、コーナーめがけての投げ捨てジャーマンやショートレンジラリアット連発で攻勢を止めない。ハイキックに被弾してもそのまま、彩羽を担ぎ上げてパワーボムを繰り出すと、30分経過直後に2度目のトーチャーラックボムがさく裂。フォールにはいかず、今度こそハイジャックボムでマットに叩きつけて熱戦に終止符を打った。

 30分超えの激闘の末、彩羽との決着戦を制した詩美がワールド王座V7を果たした。マイクを持つと、「7度目の防衛成功しました! 匠さん。あなた本当にどこまでもタフな人で、朱里さんと同じぐらい最高の挑戦者でした。正直、あなたから勝てて、ホッとしちゃってるぐらいです。私たちもう1度リングで出会えたなら、今日よりもっとまだまだやり合いましょう」と彩羽にメッセージ。「そして今日、7度目の防衛に成功して、私はどんどん防衛戦をやっていきたいと思ってます。次は11・3とどろきアリーナ(川崎)で、この赤いベルト、挑戦者を受けつけます」と次なる防衛戦の相手を求めた。

 そこに現れたのが、今大会で2年ぶりに復帰した葉月だ。「詩美、防衛おめでとう。あなたが今持っている赤いベルト、私に挑戦させてください」とアピールすると、5★STAR GPで詩美に勝利している舞華も名乗りを挙げる。結果的に舞華が川崎大会での挑戦を葉月に譲り、自身は11・27代々木大会での挑戦をアピールしたため、詩美は年末の朱里戦の前に、葉月、舞華を連続して迎え撃つことになった。

 それでも彩羽との決着戦を制した詩美の自信は揺るがない。「葉月さん…いや、葉月。おい、そんな復帰したてで簡単に獲れるようなベルトじゃないって、そんなことお前もわかってんだろ? でも、私は赤いベルトの挑戦資格がある人なら、誰だっていつだって挑戦受けつけますよ。葉月、お前の挑戦も受けてやるよ」とプライドをあらわに。最後にリングに残ると、「スターダムはいつだって時の流れが早い。昨日いなかった人が復帰したり、今までいた人がいなくなったり、時の流れが早い。でも、だからこそ、スターダムこそが最先端の王道女子プロレスなんだと思います。そのスターダム、いつだって再先端はこの林下詩美。まだまだ皆さんにスターダムの最高の景色を林下詩美が見せていきたいと思います」と高らかに“最先端"宣言をぶち上げて、大阪城ホール大会を見事に締めくくった。

【試合後の詩美】
▼詩美「ここに、林下詩美のもとに赤いベルトがちゃんと返ってきました。彩羽匠さん、本当に強すぎるって、スキがないって。チャンピオンだけど、こんなことを言っちゃダメなのかもしれないけど、あの人から防衛できてよかった。すごいホッとしちゃってますが、今日はしっかりあの人と決着つけれたけど、私って欲深いから、まだまだもっとやりたいなって思いました。早くまたリングで再会したいですね。そして、次の防衛戦。葉月さん、いや、葉月。あんだけスターダムのこと悪く言ったじゃん? 嫌になって出て行ったんじゃなかったの? ちょっと未練がましいんじゃないの? 今日復帰したけどさ。復帰はすごいめでたいことだと思うけど、忙しい合間縫って、しっかり裏で見てたよ。ちょっと動きが落ちたんじゃないの? そんな姿で、この勢いで赤いベルトに挑戦したい? なめたこと言わないでくださいよ。私だってあの頃の林下詩美じゃない。あなたの知らないところで、私はもうあなたが大嫌いだって言って出て行ったスターダムの頂点にいるんですよ。今のスターダムを私が11月3日、しっかり葉月にわからせてやりたいと思います。(年内)最終戦、朱里とやるまで、それ以降もずっとずっとスターダムの最先端、頂点はこの林下詩美です」

――11月に防衛戦をと自分から言っていたが、ハイペースで防衛戦をやりたいと思ったのはどんな気持ちから?

▼詩美「11月にタイトルマッチをやらずに、じゃあ次は朱里さんとってなると、2ヵ月近く間が空いちゃいます、防衛戦をしないままに。それでチャンピオン、スターダムの頂点を名乗っていいのかって。私は恥ずかしくてそんなこと言えないです。戦いの舞台があるなら、挑戦資格があるような選手から、誰だって、いつだって挑戦を受けつけて、何度だって林下詩美が叩き潰して、私が頂点だというのをお見せしていきたいと思います」

――女子プロレスとしては26年ぶりの大阪城ホール大会のメインに立った気持ちは?

▼詩美「正直、最初やるって聞いた時、あまりにも壮大なことすぎて。聞いた時の林下詩美、まったくことの重大さに気づいていませんでした。その時の詩美にすごいことをやっているよって。26年ぶりで、私はまだ生まれてもなかったから。そんな前から久しぶりにやった女子プロレス団体がスターダム。そして、その頂点が林下詩美。そして、その大事な大会のメインイベントで、最高峰のベルトを懸けてやっているのが林下詩美。ことの重大さに、大阪城ホールでやるって聞いた林下詩美、早く気づいていたほうがよかったかもしれない。最高の景色でした。これをスターダムは当たり前にしていきたい。何十年ぶりとかじゃなくて、スターダム大阪城ホール大会を恒例行事にこの林下詩美がしていきたいと思いました」

――赤いベルトを巻いてから、防衛戦がメインではなかったり、勝って終われなかったり、いろいろな試練があったが、大阪城ホールというビッグマッチで、最後にリングに上がって、最後にリングを降りるという予告を成就させた。今年の防衛ロードを通して、今の気持ちは?

▼詩美「今年の防衛ロード、最強の選手たち相手に防衛戦してきたにもかかわらず、セミになったり、しっかり決着をつけれなかったり。私が悪いんだけど。そんな防衛ロードをしてきたけど、ここ大阪城ホールのメインイベントで、マーベラスの彩羽匠相手にしっかり防衛した。やっぱりスターダムの頂点はこの林下詩美じゃなきゃダメだって思いました。セミに決めたヤツ、よく聞いとけよ。スターダムの頂点は林下詩美じゃなきゃダメだって。そう思えるような大会でした。言いたいことは全部言わせてもらいましたよ。これからはもっともっと、もう少し今までの林下詩美よりも偉そうに、ワガママに、赤いチャンピオンの頂点らしく、堂々とさせてもらいますよ」

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