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12/31【RIZIN】天心が五味と真っ向打撃戦で涙のRIZIN卒業 電撃来場・武尊に「物語終わらせる」

『Yogibo presents RIZIN.33』さいたまスーパーアリーナ(2021年12月31日)
RIZINスタンディングバウト特別ルール △那須川天心vs五味隆典△

 天心がRIZINラストマッチで五味と真っ向打撃戦で火花。RIZIN卒業にたまらず涙を流したものの、来年6月に対戦する武尊が電撃来場すると、「僕から始めた物語なんで、僕がしっかり終わらせてやろうと思います」と必勝を誓った。

 来年6月にK-1・武尊とのスーパーファイト、そしてその後にボクシング転向を控える天心が数々の激闘を残してきた大みそかに登場。RIZIN卒業マッチとして、五味とパンチのみのスタンディングバウトルールで対戦した。本来は総合格闘家の五味だが、パンチをを得意としており、昨年の大みそかには元K-1ファイターの皇治にスタンディングバウトで判定勝ち。体重差も約13kgあり、天心にとっても油断できない相手だった。

 1ラウンドがスタートすると、サウスポースタイルに構えた天心は右のジャブを散らしつつ、左ではボディを狙っていく。五味も右のストレートやフックで呼応。構えをスイッチしつつ強打を狙うが、天心は手数を活かしてコンビネーションで前に出た。

 天心にとってRIZIN最後の3分を前に、満員の観客からは大きな拍手が巻き起こる。体重差を活かした五味の強打と持ち前のスピードを発揮した天心の連打が交錯。五味はボディを的確に射抜いて天心を苦しめる。それでも天心は前進を止めず、打ち合いを継続。五味が左右のフックを振り抜けば、天心も負けずに応戦し、熱い打撃戦のまま試合は終了に。判定決着はなく、引き分けとなった。

 熱い戦いを繰り広げた五味が先にマイクを持ち、「ムチャさせないで、榊原さん。俺いくつだと思ってんだよ。2週間で天心はないだろ? 2週間はダメだよ。2ヶ月じゃなきゃ」とぼやいて笑いを誘うと、「武尊はもっと強いぞ。勝てよ」と天心を激励した。

 RIZINラストマッチを終えた天心は「体格差はあったんですけど、それよりも気持ちがこもっていたというか、プライドが拳に宿っていて、非常に楽しいというか、ちょっと悲しくもあり、いろんな気持ちが混じった試合でした。本当にありがとうございました」と五味に感謝。「この試合でRIZIN卒業という形になるんですけど…。ずっと僕はRIZINが大好きで…」とリング上で号泣し、関係者やファンに何度も感謝の意を表した。

 「大勝負なんで、RIZIN代表として絶対に勝って、キックボクシングを卒業したいと思います」と武尊戦に向けて意気込むと、子供たちに「常識を変えるヤツは非常識なヤツしかいないと思うんで、なんでも挑戦して。人が決めた限界なんて、人しか超えられないと思うんで。学校や大人たちが教えてくれないことを、俺は体で体現したいと思うんで。これからもなにかチャレンジしたいと思ったら、信念を持って、前に前に進んでいってください」とメッセージを送った。

 涙ながらにRIZINマットに別れを告げた天心の前に、ここで来年6月の対戦を控える武尊が電撃登場。2人がリングに並び立つ。武尊は「この試合はK-1でもなく、RIZINでもなく、RISEでもなく中立な新しいリングを作るという格闘技界にとって、格闘技が1つになるキッカケの試合になると思う。日本格闘技界最高のカードを、来年6月は日本格闘技界最高の試合にして、必ず勝つんで、応援よろしくお願いします」と必勝を宣言。天心には「たくさん期待していたファンを待たせてしまったと思うんで、6月は最高の果たし合いしましょう」と言い放ち、拳を合わせた。

 天心も気持ちは同じ。「しんみりモードからモードの切り換えた大変なんですけど」と涙の卒業から戦闘モードへの切り替わりに戸惑いながらも、「皆さんが待った試合。僕も非常にワクワクしてますし、4月でキックを引退するはずだったんですけど、これをやらなきゃ終わらないよねって皆さん思いますよね? もともとは階級が一緒で、僕から対戦表明をした感じなんで。僕から始めた物語なんで、僕がしっかり終わらせてやろうと思います」とこちらも勝利を誓った。

 全試合終了後には卒業式も行われ、胴上げでRIZINを旅立った天心。4月のRISEラストマッチ、そして6月の武尊戦でキックボクサーとして完全燃焼する構えだ。

【試合後の天心】
――今の心境は?

▼天心「これでRIZINは卒業という形で、いろんな感情がありました」

――最後のRIZINとなったが、どういう気持ちで花道を歩いていた?

▼天心「なんも考えないようにしようと思ってたんですけど、5年間の思いだったり、気持ちが出てきたというか。非常に感極まりそうになりましたね」

――RIZINはどういう存在だった?

▼天心「いろんなものに挑戦させてくれる舞台だったし、本来僕はキックボクサーなんで。RIZINはMMAがメインの団体なんですけど、それなのにもかかわらず、自分に試合をさせてくれたりとか。もちろんMMAも最初にやりましたけど、それからキックをやらせてくれたりとか、メイフェザー選手とボクシングをやるとは思わなかったし、本当に面白いことをいろいろさせてくれる舞台でしたね」

――最後の試合に五味選手と戦ってみてどうだった?

▼天心「五味さんとやれてよかったなと思いましたね。試合という感情ではなかったですけど、パンチももらってみたいなと思ったし、お客さんにもしっかり見せたいなっていうのもあったし。普段だったら駆け引きしてというのはあったんですけど、そういうの関係なく、思いっきり殴ってみようかなと。そういった気持ちですっきりできたと思います」

――今後の展望は?

▼天心「4月、6月と試合が2つ決まっているんで、それをしっかりと乗り越えるというか、そこで勝って。みんな期待している試合なんで、それをしっかり終えたいなと思います」

――実際に打ち合った五味選手のプレッシャーはどうだった?

▼天心「メッチャありましたよ。ハンマーで殴られたような感覚でしたね。最初は避けようと思ったんですけど、最後はハンマーに当たりにいきました」

――あえて当たりにいった?

▼天心「駆け引きとかいうよりも、自分の思いを拳で伝えたって感じですね」

――お互いに伝えあえた?

▼天心「僕はそう思ってますね。顔面に思いっきりガーンともらったというのはあんまりなかったんですけど、肩にパンチをもらって、肩が痛えなって」

――何ラウンドのパンチ?

▼天心「1か2ですね。1か2しかやってないか(笑)」

――武尊選手もリングインしてエールの交換をしたが、どんな感覚だった?

▼天心「感情が行ったり来たりというか、気持ちの作り方がいろいろわからなかったですけど、皆さんも本当にやるんだよねって感じだと思うんですけど、本当にやりますから。まだみんな決まった実感があんまりないと思うんで。日にちが経つにつれて、いろいろ煽りとかもあると思いますし、実感が湧いてくると思うんで。しっかりとキックの集大成を最後にやってやろうじゃないかと思ってます」

――4月と6月に向けて、どんな調整をしていきたい?

▼天心「今回の試合はまったく対策とかはやってなかったんですけど、ここからしっかりと仕上げてというか。6月まで。キック最後ですから。あと半年しかないですから。僕はキックの引退と言いましたけど、これなら誰も文句は言わないと思うんで。しっかりキックボクサーとして試合をやります」

――RIZINの最後で超満員の会場で試合をして、拍手をもらった感覚はどうだった?

▼天心「歓声がちょっとダメですね。反応にやられちゃうんで。ワーッと出ちゃうというか、本当に感極まるというか。本当に泣きたくないんですよね。なんですかね? 本当にRIZINが大好きというか。みんなお客さんもRIZINを楽しみに来てますし、1つの興行として、エンターテインメントとして、非常にいい思い出になりました」

――いろんなルール、いろんなムチャぶりをされて、それを批判する人もいたと思うが、それも含めてRIZINのマッチメイクをどう受け止めて、どう乗り越えてきた?

▼天心「当初は本当に榊原さんが鬼に見えたというか、なんでこの人はこんなこと言ってくるんだろうって。嫌いでしたね。当初はね。でも、毎回本気で言ってくるんで。軽くな感じじゃないんで。本当に思いが伝わってくるというか。だからこそそれに応えたいなって。本当にあの人がいなければ、RIZINはこういう風に大きくなってなかったと思いますし、あの人に提案されたからやるって決めたと思いましたし。それを一緒に作り上げてきたチームの仲間にも感謝してますし。終わり良ければ全てよしというか、いい思い出がたくさんありました。メイフェザーとやるなんて発想はないですよね。凄いなと思って。今回も6月に引退を延ばさないかって誰も言わないでしょうって思うんですけど、そういうところから格闘技が大好きなんだなって伝わってきて、それにしっかり応えようというか、それじゃあもっとしてやろうっていう。そんな人でした」

――五味選手の入場する際に、入ってくる五味選手を見つめながら曲を聴いている姿が印象的だったが、あの時はどういう感情だった?

▼天心「僕は大好きな選手だったんで。まさか戦うのかっていうか、僕を目指して入場してくるなんて思わなかったし、あの入場を聴けただけで本当によかったなと思いましたね。お客さんもやっぱり試合もそうですけど、僕も五味さんも入場が見れただけでよっしゃあと思ってもらえるというか。そういうのが僕の中にもありましたね」

――試合前にはPRIDEを感じたいと言っていたが、体感できた?

▼天心「なにがなんでもというか、意地が見えましたよね。パンチも正直相当嫌だったと思うんですけど、それでも前に出てきたというか。そういった気持ちは感じれたので。今の格闘家にはないものをたくさん持っているなって改めて体感できたんで。本当にこの一戦は自分の記憶に凄い残るというか、やってよかったなって今は思いますね」

――拳と拳で会話できたと言っていたが、感覚として五味選手からなにを言われて、天心選手からはなにを伝えたつもり?

▼天心「僕はガムシャラにというか、駆け引きなくというか、グーでいったんですけど、五味さんもグーを出してくれたんで。本当にさっきも言ったんですけど、今の格闘家にないような気持ちをいただけた感じですね。活を入れてもらったというか」

――天心選手の姿を見て、格闘家を目指す子供たちも多いと思う。その子供たちに向けてメッセージがあれば

▼天心「本当になんでもいいんでチャレンジするというか。信念を持って動くことが大事だなって思うんですよね。言い方悪いですけど、口だけで言っている人とかも結構いるんですけど、やっぱり信念が大事かなと思うんで。何事もブレたら負けると思いますし、どういう形であれ、自分はこうやるっていう目標を持って。いろんな人が否定すると思うんですよ。僕も否定されたし、中学校でも僕が格闘家になってその道で食っていきますって先生に相談しても、『わかるけど就職して、そこからでもいいんじゃない?』とか。学校の先生はそう言うんですけど、それに負けたらダメだなって。誰かに止められたからやめるんじゃなくて、自分がやりたいと思ったことを自信を持って、俺はこれがやりたいって言えるようになってほしいなと思いますね。そうすれば、同じエネルギーを持った人がついてくると思いますし、そういう人が寄ってくると思うんで。本当になにかに挑戦している姿っていうのはカッコいいと思いますし、キラキラしているなと僕は思うんで。その気持ちだけはどれだけ歳を取っても忘れたくないですね」

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