6/14【Fortune Dream】「不沈艦vs鉄人」トークバトル実現 小橋が“ハンセンにされたひどいこと"告白も「僕の先生」
『小橋建太完全プロデュース興行第8弾 FortuneDream8』後楽園ホール(2023年6月14日)
トークバトル スタン・ハンセンvs小橋建太
小橋建太が恒例のトークバトルでスタン・ハンセンと対峙。現役時代に「ハンセンにされたひどいこと」をいくつも告白した小橋だったが、「スタン・ハンセンという人がいなかったら、ここまで上がって来れなかった。僕の先生です」と改めて敬意を示した。
FortuneDream恒例となっている小橋と大物レスラーのトークバトル。当初、ハンセンとは昨年の大会でトークバトルを行う予定だったが、ハンセンが新型コロナウイルスに感染したため来日中止に。小橋はFortuneDreamでの1年越しの開催に意欲を見せ、聖地・後楽園ホールのリングに2人が並び立った。
小橋は若手時代のテーマ曲「SNIPER」、ハンセンは「サンライズ」に乗って入場。場内は「小橋」コール、「ハンセン」コールに包まれた。リングで向かい合った2人は笑顔で握手。ハンセンは赤コーナー、小橋は青コーナーに立ち、全日本プロレスの木原リングアナが現役時代と同じように選手コール。ハンセンは「ユース!」とテキサスロングホーンを突き上げた。
小橋にとってハンセンは若手時代から高い壁として目の前に立ち塞がった。対戦するたびにウエスタンラリアットを食らってごう沈。それでも小橋は戦いを挑み続け、トップ選手へと成長した。
ハンセンと久々にリングで対峙して「燃えてきました」と小橋。「戦って今日こそやっつけるぞという思いが段々強くなってきた。そういう背中を追える選手でした」とハンセンへの思いを語ると、ハンセンも「若い時から見ているが、絶対負けないぞという気持ちで頑張ってきた選手で、それを見てこいつは叩き潰さなきゃと思っていた」と告白。そのうえで小橋が成長したことを称賛した。
ハンセンの言葉からもわかるように、現役時代のハンセンは小橋に厳しい攻撃を幾度となく浴びせてきた。今回のトークショーでは「ハンセンが小橋にしたひどいことリスト」が映像で公開された。
93年4月、ハンセンは小橋のダイビング攻撃をラリアットで撃墜したことがあった。ハンセンは「あれはコーナーに上がっていた小橋の反則だ」と冷静に指摘した。同年7月にはコーナーに上がっていた小橋をハンセンがラリアットで叩き落としたこともある。ハンセンは「この前に何発も殴られていた」と弁明。「毎回ロープに飛ばしてラリアットを打ちたかったが、カウンターが上手なので、いろんな方法でやることを覚えた」と小橋から刺激を受けていたと明かした。小橋も「ハンセンさんほどのキャリアがあるにも関わらず、トップ選手が進化に負けないでいこうとしている。その熱心さというか、プロレス魂というか、プライドにビックリしました」と研究熱心なハンセンにリスペクトを示した。
その他にもハンセンがセコンドの小橋にラリアットを浴びせた場面や流血暴走してパイプイスでメッタ打ちにした場面、世界最強タッグ決定リーグ戦の表彰式でハンセンが盾で小橋を殴打した場面などの映像も公開に。場内がどよめくほどの暴れっぷりだったが、ハンセンはラリアットの映像を見て「最高だったね」と満面の笑顔。これには小橋も「よくないでしょう」とぼやくばかり。「イスは座るものです」とこぼすと、ハンセンは「そういう考え方もある。でも、そうされても仕方ないことをしているからね」と言い返した。若手時代の小橋は幾度となく乱闘に巻き込まれて、ラリアットなどの餌食になっていたが、ハンセンは「ずっと目をつけていた。若い時からトップに行くと分かっていた」と当時から小橋に潜在能力を感じていたことを明かした。
改めて小橋は「本当にひどいことをしているんですよ。なぜそれがわかってもらえないのか。僕のほうが悪くなるなんて。なんであんなことをしちゃうんですか?」と質問。ハンセンは「なんでしたのかわからないけど、私のほうが悪かったです」と苦笑するしかなかったものの、互いにファイティングスピリットを称え合った。
ハンセンも小橋もラリアットが代名詞的な必殺技。小橋はヒザの負傷から必殺技をムーンサルトプレスからラリアットに切り換えた際、後楽園ホールの控室でハンセンから「ラリアットは一発で倒せ。それが本当のラリアットだ」とアドバイスを受けたという。小橋は「その時の教えをずっと引退するまで守れた。フォールを取れない時はありましたけど、1発でぶっ倒すというのは最後まで約束を守れたのかなと」と現役時代を振り返った小橋。それを聞いたハンセンは「その時の会話はよく覚えています。自分の大事なフィニッシュホールドは株を下げてはいけない。安売りしてはいけない。一発で仕留められないなら、フィニッシュホールドにしてはいけないんです」とラリアットへの熱い思い入れを口にした。
2人が三冠王座を懸けて対戦したのは96年9月の一度のみ。この試合では、小橋がラリアットでハンセンを下している。この時のラリアットをハンセンは「体格も凄いし、パワーもある。正直言って自分がラリアットで負けた試合は記憶に残ってないが、小橋のラリアットで負けたのはもちろん記憶に残っている」と懐かしそうに振り返ると、小橋は「日本人でハンセンにラリアットで勝った選手はいないと思うんですよ。フォールできた時は感無量でした」と胸を張った。
散々ひどいことをされたと今回のトークショーで明かしてきた小橋。最後はハンセンも「もうやめてくれ」と苦笑し、30分時間切れ引き分けに。小橋は「スタン・ハンセンという人がいなかったら、ここまで上がって来れなかった。本当にハンセンさんのキャリアの最後のライバルだと自分は思っています。そして、僕の先生。アメリカの先生です」と改めて感謝のメッセージ。「試合を通じて、プロレスラーとしてのプライドとタフじゃないとこの世界は生き残れないんだということを教えてもらった」と変わらぬ敬意を示していた。