【全日本】テーマは「キラー宮原健斗を見せられるか」 15周年記念試合・安齊との初シングルへ予告「完全に叩き潰す」 宮原健斗インタビュー 2023/8/28

 9・8代々木大会におけるデビュー15周年記念試合で安齊勇馬とのシングル初対決に臨む宮原健斗が「キラー宮原健斗っていうのをどう見せられるか」をテーマに設定し、「完全に叩き潰す試合をしたい」と予告。「宮原健斗の位置としては壁になった方が面白いなと。客観的に見た時に僕の立ち位置はそこ」と15周年以降のスタンスも明確にした。

 今年2月11日に宮原はデビュー15周年を迎え、9・8代々木大会で記念試合の舞台が用意された。相手は自ら指名したスーパールーキー・安齊。両者はこれがシングル初対決となる。

 「いろんな団体の選手と戦ってきたからこそ、この宮原健斗と安齊勇馬の価値が上がったと思うし。そういう意味ではプロレスファンにとって楽しみなカードじゃないかな」というように、二人で組んで新日本・内藤哲也と対戦し、宮原はNOAHで中嶋勝彦との再会対決を実現。安齊はNOAHのN-1 VICTORYに出場するなど全日本ファン以外の目に留まる機会が多かった。そんな中で「安齊勇馬という認めざるを得ないスーパールーキーと僕が戦うことによって、全日本プロレスを盛り上げることができるんじゃないか」との思いがあって安齊を相手に望んだ。

 宮原は王道トーナメント2回戦で本田竜輝に敗れた時、「宮原の優勝が見たかったという層はいるんですけど、それより新しい時代を見たいという熱いプロレスファンが多い」と感じさせられた。それは安齊にも当てはまる。端正なルックスと恵まれた長身、そしてレスリングのバックグラウンドと期待するなというのが無理なほどの要素が安齊には揃っている。「世間が思うプロレスラーってやっぱ最低限、強くなきゃダメなんですよ。安齊選手はそこを持ってるからこそ、プロレスファンは乗ってるんだと思いますよ。たぶん顔だけじゃない」と分析した宮原はファンの後押しをエネルギーとする男だが、今回もそれが安齊に集中する状況を想定している。

 新世代勢の台頭によるゼンニチ新時代のさらなるうねりが起こりつつある今、宮原は15周年以降を見据えて、ある決意をしていた。「今までの僕って若い子を引っ張り上げようとしてきて。ジェイク(・リー)選手だったり、青柳(勇馬)選手だったり。2,3年前ですよね。あの時はライバルを作ろうとしてたんですけど、もうその必要がないぐらいのタレントがいっぱい出てきてる」と実感している最高男は「その中で自分がどう壁になるかっていうのが今後、15周年以降の自分のテーマかな。宮原健斗の位置としては壁になった方が面白いなと。客観的に見た時に僕の立ち位置はそこじゃないかなと」とこれからを描いた。

 三冠ヘビー級王座初戴冠によってエースへの道を踏み出したのが2016年2月。あれから7年以上の歳月が流れ、宮原が壁となる時代が訪れた。「次に求められてるのはそこだと思うんで。そうすれば、また新しい自分と出会えるし、新しい景色をみせられるんじゃないか」と考える最高男にとって安齊との初シングルは「運命の一戦」であり、「ベルトを落として、いろんな行動をしてきて、一つ9月8日が上半期の集大成」となる。

 そこで宮原は「15周年記念試合、もう完全に叩き潰そうかなと。叩き潰す試合をしたいですね」と予告。いわゆる“いい試合"をするつもりなどさらさらない。トップ勢を相手にひけを取らない戦いを繰り広げている安齊だが、宮原がそう決めたことによってワンサイドマッチとなるかもしれない。「キラー宮原健斗っていうのをどう見せられるか。どう叩き潰すか」と定めた宮原は鬼と化して安齊の前に立ちはだかる。


【宮原インタビュー】
――9・8代々木大会でのデビュー15周年記念試合についてお聞きする前に、王道トーナメントを振り返っていただきたいのですが、残念ながら連覇はなりませんでした。

▼宮原「当初は2連覇っていうのをずっと掲げてたんですけど、それを有言実行できずっていうのは人生甘くないなと痛感してますよ。でもまだまだ宮原健斗の伸びしろはあるのかなと自分の人生としては受け取りましたけどね」

――2回戦で本田竜輝選手に敗れましたが、それだけゼンニチ新時代の波が宮原選手を飲み込むほどのうねりを起こそうとしているように感じました。

▼宮原「だから1年前とは全然、風景が変わってきてるんで。それは全日本プロレスにとってはいいことだし、その中で自分がどう壁になるかっていうのが今後、15周年以降の自分のテーマかなというのがありますね」

――三冠ベルトがない中でこれから宮原健斗がどれだけ存在感を示せるかが求められますね?

▼宮原「そうですね。上半期、ベルトを落として、いろんな行動をしてきて、一つ9月8日が上半期の集大成かなと。僕の中ではそういう位置づけでいますね。いろんな団体の選手と戦ってきたからこそ、この宮原健斗と安齊勇馬の価値が上がったと思うし。そういう意味ではプロレスファンにとって楽しみなカードじゃないかなと思いますね」

――安齊選手を記念試合の相手に指名した一番の理由というのは?

▼宮原「一個人としてはプロレス界のトップ戦線のいろんな選手と戦ってきた中で、じゃあ次、宮原健斗は何をするんだ?っていうところの一発目ですよね。安齊勇馬という認めざるを得ないスーパールーキーと僕が戦うことによって、全日本プロレスを盛り上げることができるんじゃないかなという観点で指名しましたね」

――先ほどの発言にあったように、宮原選手が壁になる時代になったということですね?

▼宮原「今までの僕って若い子を引っ張り上げようとしてきて。ジェイク(・リー)選手だったり、青柳(勇馬)選手だったり。2、3年前ですよね。あの時はライバルを作ろうとしてたんですけど、もうその必要がないぐらいのタレントがいっぱい出てきてるんで。逆に宮原健斗の位置としては壁になった方が面白いなと。客観的に見た時に僕の立ち位置はそこじゃないか。そう感じるんで。15周年記念試合、もう完全に叩き潰そうかなと。プロレスファンはいい試合を見たくないんじゃないですかね? この15周年記念試合、叩き潰す試合をしたいですね」

――それは今までの宮原選手になかったスタンスといえます。

▼宮原「僕は次に求められてるのはそこだと思うんで。そうすれば、また新しい自分と出会えるし、新しい景色をみせられるんじゃないかなと思ってますよ」

――宮原選手にとって新しい挑戦になりそうですね?

▼宮原「新しい挑戦ですね。壁になって叩き潰して。そういうキラー宮原健斗っていうのをどう見せられるかというのがこの15周年記念試合のテーマかなと。何となくいい試合するんじゃないかなと思ってる人は多いと思うんですけど、その中でどう叩き潰すか、キラー宮原健斗を出せるかというところですね」

――デビューから1年近くが経過した安齊選手の今に感じるものは?

▼宮原「凄いですよね。彼自身も1周年というところで、たぶん彼って意外と頑固そうなので、宮原健斗15周年自体も面白くないと思ってるだろうし、『俺の1周年だ』ぐらいに思ってると思うんですよ。その感じが面白いんじゃないですか。ぶつかり合った時に。たぶん彼は宮原健斗15周年ってお膳立てされる気もさらさらないと思いますよ。たぶん彼はそういうところで内面は頑固だと思いますよ。だからこそプロレスファンが彼に乗ってるんじゃないかなと思うんですよね」

――へたしたら宮原選手を上回る声援が安齊選手に集まるかもしれないですね。

▼宮原「そう。可能性はある。今のところ発表した時点では五分五分。安齊勇馬選手を応援するファンは本当に倒せと思ってるし、それぐらい一気に時代を変えるのを望んでる。(8・22新木場の王道トーナメント2回戦で)本田選手に負けた時も感じたんですよ。俺が今まで全日本プロレスで感じたことない感覚。僕もファンだったら新しい時代は見たいなと思うんですけど、別に俺、そんな年老いてないですからね。だから俺の世代にもその風が来てると思ったら、今までのプロレス人生で味わったことない『世代ってこういう感じ?』っていうのを本田選手に負けた時に感じました。会場とかSNSの反応だとかがね。宮原の優勝が見たかったという層はいるんですけど、それより新しい時代を見たいという熱いプロレスファンが多いんですよね。だから僕の次のステップはそこかなと」

――1年前に同じ状況だったら、宮原選手が負けたことへの落胆が大多数だったかもしれないですね。

▼宮原「そうなんですよ。でも8割ぐらいそんな感じだったんで。あの会場の反応が8割で、そのまま大きく見ても8割だと思うんですよ。そういう意味ではあの試合は確かに僕にとっては、『あぁ、こんな時が来たのかな』という感じがしましたね」

――だからこそ、引き上げるではなく壁になるということですね?

▼宮原「もう十分でしょう。僕が引き上げる必要なんかないし、誰もそれを望んでないですよね。もうそういう戦いが始まるんじゃないですかね。王道トーナメントから始まってましたけど。代々木で15周年というところで、なおそういう戦いになるんじゃないですかね」

――安齊選手の一番凄いと感じるのはどの部分ですか?

▼宮原「気の強さでしょうね。ルックスとかから想像できないようなね。なぜ彼のことを人々は気になるのかなとずっと考えてるんですよ。僕が1年目の時を思い返したんですけど、明らかにプロレス界が期待してるんでしょうね。身長もあるし、ルックスもあるし、身体能力もあるし、気迫もある。で、下地もある。プロのレスラーとして期待されてるんでしょうね。飾ってないじゃないですか。世間が思うプロレスラーってやっぱ最低限、強くなきゃダメなんですよ。安齊選手はそこを持ってるからこそ、プロレスファンは乗ってるんだと思いますよ。たぶん顔だけじゃないですよ。日本のプロレスファンっていうのは最終的に強さがないと認めないと俺は知ってるから。たぶん彼はそういうところでプロレスファンに期待されてますね。何か昔のプロレスラーの匂いもするし、今の一般のカッコいいというものも揃ってるんで、世の中は彼をほっとけないんでしょうね」

――個人的には現代風なイケメンというよりも、昭和の俳優のような男前ぶりを感じています。

▼宮原「そっち系ですよね。今系じゃないですよね。だから本当に久しぶりにプロレス界に出た、野球でいう大谷翔平さんみたいな存在じゃないですか。だから僕にはできないなと。僕なんかずっと前のめり、前のめりでやってきたプロレスだから。彼は1年目で世間を注目させてる。逆にうらやましいですよ。僕はリング上に立ってるだけで、そういうものを表現できないから、しゃべったり、動いたりして自分を表現するんですけど。うらやましいなって。こっちは真反対ですよ。だから運命なんですかね、今のエースとスーパールーキーが戦うっていうのは」

――さらに言うと現在のエースと、将来必ずエースになるであろう男の戦いといえますね。

▼宮原「そうでしょ。指名という形になりましたけど、こういう運命なんでしょうね。と僕は感じてます。運命の一戦ですよ」

――最後に。15周年を迎えて宮原健斗が進もうとしている道は?

▼宮原「この上半期、2023年はいろんな団体の選手と戦って、他団体との交流があったんですけど、僕はプロレス界のトップ戦線だと思ってるから。自分の行動だとかに責任がありますよね。だから2023年下半期もそういうものを意識して、スーパースターとしてどう生きていくかを見せたいですね。全日本プロレスだけとか、そういう考え方は僕にないんで。プロレス界全体の中に全日本プロレスがあるし、あまり全日本プロレスだけの話をするよりはもっともっと全体を見ないといけない立場だと思ってますから。だからこそ全日本プロレスの新時代の人たちは脅威ですよね。それがこの15周年の使命になればいいなと思ってます」