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10/4【ドラディション】団体初のタッグトーナメントで「猪木さんの原点」伝承と「若いエキス」吸収へ 藤波辰爾インタビュー

 藤波辰爾が取材を受け、師匠・アントニオ猪木さんの一周忌を迎えた心境と、若手選手と組んで出場するドラディション初のタッグトーナメント『DRAGON CUP 2023』へ向けた思いを話した。

 今月1日、猪木さん一周忌を迎えた。猪木さんに憧れてプロレスラーとなり、新日本旗揚げに参加後、長年苦楽をともにした藤波にとって、猪木さんは「親同然」。「プロレスのことは猪木さんがすべてだからね。あの人が道しるべで僕はずっとついていった」というほど大きな存在だった。

 12月に70歳の誕生日を迎える藤波だが、今なお現役で年齢を感じさせない戦いを見せてきた。そこには「自分がリングに立った時にはどっかに猪木さんがいますよね。これは引退するまで猪木さんが付きまとうだろうね。だらしないことしてたら降りてきそう」と言うように“猪木さんの目"を常に意識しているからかもしれない。実際、猪木さんは厳しい師匠だった。試合や練習でだらしない姿を見せれば、竹刀やプッシュアップボードで容赦なく殴られた。その中で叩き込まれたのは「リングに上がる心構え」。言い換えれば「手に汗握るような緊張感」で、藤波は「それを宝にしてこれからもやっていく」と言い切った。

 それを後輩たちに伝える絶好の機会となりそうなのがドラディション初のタッグトーナメント『DRAGON CUP 2023』だ。10・29大阪大会で1回戦、11・17後楽園大会で準決勝、決勝戦が行われる。藤波は今月中に配信される『第1回ドラゴンスタジアム』の優勝者と組んで出場する。ドラゴンスタジアムは「自分が今、いろんな若手を見てみたい」、「彼らが羽ばたける、光る、そういうチャンスをあげたい」との思いからスタートするもので、今回はキャリア3年未満の若手選手6人が出場して争われる。

 その副賞的な意味合いで優勝者が藤波のパートナーとしてタッグトーナメント出場権を得る。「アドバイスできる部分があればするぐらいでね。俺がイチからその選手をバラバラに変えてしまったら、その団体に失礼」と前置きしたうえで藤波は「猪木さんが常々言ってたのが『戦いっていう部分は絶対切り離しちゃダメだよ』というのはね。これだけは選手に伝えていきたい」と猪木イズム伝承の機会とするつもり。「いろんな選手がいて、プロレスのスタイルも変わってきたけど、猪木さんの原点、そこだけは気持ちの中に置いておいた方がいい」との思いを強調した。

 「僕だけじゃなく、いろんな選手がいますから、いろんな選手のいい部分を吸収して、自分の団体で大いに羽ばたいてくれればね」。そう願う藤波にもプラス面がある。久々となるトーナメント出場、それも若手とのタッグはまだまだ現役を続けていく藤波にとって刺激となるのは間違いない。「若い選手と組むと若さをもらえるじゃないですか(笑) 若いエキスをどんどん吸いながらね。同世代がいないから若い選手のそういうエネルギーを自分がもらってやるしかないよね」と話した藤波はこのトーナメントを機に“若返り"を図る。


【藤波辰爾インタビュー】
――師匠・猪木さんの一周忌を迎えてどんな心境でしょうか?

▼藤波「もう猪木さんはいないんだけどね。僕の気持ちの中で猪木さんの影響が大きすぎるからね。自分がリングに立った時にはどっかに猪木さんがいますよね。これは引退するまで猪木さんが付きまとうだろうね。だらしないことしてたら降りてきそうなね」

――目の前に猪木さんがいなくても気合が入るところがあるんですね?

▼藤波「これは猪木さんをどのへんの位置に自分が置いているか、レスラーみんなまちまちでしょうけどね。僕自身、猪木さんは親同然の感じのね、実際に自分の親よりも長くいたわけだから」

――現役で猪木さんを知る選手がほとんどいなくなった中、藤波選手が今後、猪木さんのイズムだったり、プロレス観などを伝えていく役割があるかもしれません。

▼藤波「これは自分がそんなに押し付けたくはないし、僕自身のプロレス論もあまり押し付けたりはしてないしね。そういう時代じゃないし、選手は心構えが変わってきちゃってるし。今は今で新日本もいろんな団体にしても、それぞれの選手が伸び伸びとやってるじゃないですか。半分うらやましい部分があるけどね。我々の時代とは違うからね。でも、我々には我々の時代の良さがあったから、これは彼らが感じてない部分でね。俺はそれを宝にしてこれからもやっていく感じだね」

――猪木さんの教えは多くのものがあったと思いますが、その中で最も藤波選手にとって大きいのは?

▼藤波「リングに上がる心構えだろうね。プロレスのことは猪木さんがすべてだからね。あの人が道しるべで僕はずっとついていった感じだからね」

――今も猪木さんの背中を追いかけている感じですか?

▼藤波「あの人を追いかけても絶対近づけないというかね。あの人がこの場ではどうしただろうかなとか、そういうのを自分の中で思い浮かべながらやってますけどね。あの人を追いかけていこうと思っても無理なんでね」

――では、藤波選手が今のレスラーたちに伝えたいものはどんなことでしょうか?

▼藤波「みんなそれぞれ自分たちが感じてるものをリング上で表現してるんでしょうけど、猪木さんが常々言ってたのが『戦いっていう部分は絶対切り離しちゃダメだよ』というのはね。これだけは選手に伝えていきたいですね。選手の心の持ち方はそれぞれ違うでしょう。でも僕らが猪木さんから受け継いだ戦いというのは、手に汗握るような緊張感というかね。そういう部分は忘れないでやってますけどね」

――今月から配信されるドラゴンスタジアムについてお聞きしますが、まず狙いはどこにありますか?

▼藤波「みんなそれぞれの団体に所属して、その団体でデビューしてきてるわけだから、それを自分が彼らの動きとかいろんなものを変えたら団体に失礼だしね。デビュー3年目ぐらいまでかな。それを今やってる中で自分が目に付くところがあれば、『あなたはこうしたほうがいいよ』とか、多少のアドバイスはしますけど、それを彼らがものにするかものにしないか。どっかで自分が今、いろんな若手を見てみたいというね。押し付けるわけじゃないけど、そういう機会をね。彼らが羽ばたける、光る、そういうチャンスをあげたいだけなんです。ドラゴンスタジアムがこれからどういうふうに化けるか。本当は自分が選手を募集してイチから育てる。そうなれば自分の分身みたいなレスラーが出てくるでしょうね。それはこれから第2回、3回の時にそっちの方にも手を伸ばしてみたいなというのがある。自分が選手を発掘する、デビューまでもっていく。そういうことをやりたい気持ちはありますよ」

――出場選手は何人ですか?

▼藤波「今回は6人かな。今回はまず各団体のデビュー3年目までの選手に限ってますけどね」

――優勝者が『DRAGON CUP 2023』で藤波選手のパートナーになりますね。

▼藤波「10月29日の大阪で1回戦、11月17日の東京で準決勝、決勝。僕のパートナーはドラゴンスタジアムで優勝した選手と組むと。そういう感じで若い選手にチャンスを。いろんな形でお客さんの目に触れる、そういう機会を作りたいですね」

――藤波選手と若手選手のタッグというのも斬新に感じます。

▼藤波「だよね。僕もまた若い選手と組むと若さをもらえるじゃないですか(笑)」

――若手選手が藤波選手から吸収するもの、得るものもたくさんあると思います。

▼藤波「(トーナメントには)僕だけじゃなく、いろんな選手がいますから、いろんな選手のいい部分を吸収して、自分の団体で大いに羽ばたいてくれればね」

――若手選手にアドバイスをすることもありそうですね。

▼藤波「彼らは自分の団体でデビューして、自分のスタイル、道が出来てるわけだから、それを僕が1、2回会って変えるのは無理ですからね。こうした方がいいよとかね、そういうアドバイスできる部分があればするぐらいでね。俺がイチからその選手をバラバラに変えてしまったら、その団体に失礼だからね」

――タッグを組みながら伝えたいものもあると思いますが?

▼藤波「それは要するにリングに上がるうえでの心構え、戦いっていう部分。いろんな選手がいて、プロレスのスタイルも変わってきたけど、猪木さんの原点、そこだけは気持ちの中に置いておいた方がいいよと思うね」

――藤波選手がこういったトーナメントに出場するのもかなり久しぶりになりますね?

▼藤波「久しぶり。今回、スタッフの方から優勝者に副賞じゃないけど、俺のパートナーとしてトーナメントに出したらどうかと。それもそうだなと。そしたら今度はファンが先の取り組みを見るじゃないですか。勝ち上がっていけばLEONAと親子対決になるなとか、船木とまたやれるなとか。俺が出てなければファンにそういう期待も持ってもらえないんでね」

――藤波選手自身にとってもいい刺激になりそうですね?

▼藤波「そう。若いエキスをどんどん吸いながらね(笑) 同世代がいないから若い選手のそういうエネルギーを自分がもらってやるしかないよね」

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