【UJPW】日本プロレスリング連盟が法人化 団体間連携強化でプロレス界発展へ 棚橋は引退ロードで「いろんな団体に上がりたい」 2025/1/20

 日本プロレスリング連盟が20日、都内で会見し、法人化を発表した。

 日本プロレスリング連盟は2022年12月に発足。プロレス界に行政、民間企業への対応窓口がないことがコロナ禍に問題化したことをきっかけに組織された。それがこのほど、一般社団法人として法人化。「プロレスは常に日本の皆様の背中を押すものでありたい。」をスローガンに、プロレスのイメージの向上、プロレスによる社会貢献、日本のプロレス文化を世界に発信、プロレス市場の拡大を目指す。

 現在、ガンバレ★プロレス、九州プロレス、新日本プロレス、スターダム、全日本プロレス、大日本プロレス、DDTプロレスリング、東京女子プロレス、DRAGONGATE、プロレスリング・ノアの10団体が正会員として参加。法人格を有し、所属選手を1名以上有していること、直近の事業年度における売り上げが5千万円以上、団体設立から2年以上経過していることなどが参加条件となっている。

 DDT・高木三四郎が代表理事を務め、新日本・菅林直樹、DRAGONGATE・斎藤了、九州プロレス・筑前りょう太が業務執行理事に就任。参加団体の首脳陣が理事として名を連ね、公認会計士の山田真哉氏が監事を務める。理事の任期は2年。年2回の理事会の開催を必須とし、これまで以上に団体間の連携を密とする。

 団体間での共通課題の解決が目的の一つ。今後、共通ガイドラインを策定し、安全面、医療面を強化していく予定で、高木代表理事は「安全面、ドクターの用意、メンテナンスも連盟でご紹介、依頼することが増えればいいのかなと。各団体連携を取ってやっていきたい」との意向を示した。

 何よりも大きな目的といえるのが、プロレス市場の拡大。10年後に現在の2倍の市場規模に発展させることを目標に定めた。日本のプロレスの歴史は1954年、力道山によって始まり、昨年70周年を迎えた。筑前理事は「どれだけの多くの方の背中を押せるプロレス界になっていけるか。これからどれだけプロレスの価値を最大化して次の世代にお渡しできるかが勝負」とし、「100周年に向けて、80周年に現状の規模を2倍化させる。各団体の売り上げ統計値であります。この数値を負うことが連名の役割だと思っています。そのためにまずやることが現状把握です。常にヒヤリングさせていただきながら進めていければ」と話した。

 また、連盟は営利を目的としない一般社団法人。昨年6月には連盟発足記念大会として『ALL TOGETHER』が開催されたが、高木代表理事は「今後の可能性自体、否定はしないんですが、連盟自体が非営利団体です。記念大会として興行を行うことはあるかもしれませんが、現時点では予定しておりません」との意向を示した。

 会見には参加団体の選手たちも出席。新日本1・4東京ドーム大会から引退ロードがスタートした棚橋は「プロレス界が発するエネルギーの安定した供給」の必要性を説き、「ドームから始まったファイナルカウントダウン。新日本の中で終わらせるのではなくて、できればいろんな団体に上がりたいなというのもあります」との意向を示した。

 連盟が目指すプロレス界の発展はプロレスファンのニーズに直結する。もし棚橋の“他団体行脚"が実現すれば、連盟効果として申し分ない。これを受けてNOAHの武田有弘取締役は「棚橋選手の引退に協力できれば協力したいなという気持ちがあります。もともと夢のある業界なんですけど、今以上に夢あるジャンルにしていければ」との意向を示した。


【会見の模様】

▼海野翔太「新日本プロレス“ROUGHNECK"海野翔太です。今回、日本プロレス連盟が法人化されました。今までALL TOGETHERだったり、連盟の興行を行ってきましたが、もっと積極的に連盟を盛り上げるために、プロレスを広げるために興行を行っていきたいと思います。また、日本全国プロレスを通して明るくしていきたいですし、震災があった場合、その土地に行き、プロレスの力で復興のお手伝いや興行を行ったり、その土地の皆様に活力を与えられるように、プロレスを通して皆様にお届けしていきたいと思います。これから日本プロレス連盟、盛り上げていきますので、ぜひご注目下さい」

▼清宮海斗「プロレスリング・ノアの清宮海斗です。プロレスそのものを広めていくためには選手、団体の努力はもちろんですし、それと並行して連盟がプロレスというジャンルを上げていく仕組み作りをしてほしいと思っています。選手はより高い意識を持って、どうやったらプロレスが広まっていくのか考えながら、鮮明にそれを明確にしたいと思っています。よろしくお願いします」

▼クリス・ブルックス「皆さん、こんにちは。DDTのクリス・ブルックスです。今回、日本プロレスリング連盟のスタートに関わることができて、とてもうれしいです。プロレスはボーダーがない。たくさんの人をつなぐパワーがあります。一緒に新しい時代、作りましょう。ありがとうございます」

▼山下実優「東京女子プロレスの山下実優です。このたび日本プロレスリング連盟が法人化ということで、連盟が掲げる理念とビジョンについて、もちろんすべてのことに期待し、志すことは同じですが、私はその中でも日本のプロレスを世界に発信するということに強く共鳴しました。というのも私が最近よく海外遠征に行かせていただくんですが、その中で世界各国で日本のプロレス文化、そして技術が高く評価されているなと多く感じることがありました。これはひとえに歴代の選手の方々が積み重ねてこられた日本のプロレスの強さと信頼だと思っております。このことは私も一人のレスラーとして、非常に誇りに思っております。これからも日本と世界のつながりを大切にして、さらに発展していくことに期待しております」

▼風城ハル「東京女子プロレスの風城ハルです。私は今16歳で未成年なのですが、両親の理解があって東京女子プロレスに入団し、団体にもいろいろなサポートをしてもらっています。私は東京女子プロレスに入団して、もっとプロレスが好きになりました。こんな素晴らしいプロレスをもっと世界中の子どもたちに知ってほしいと思っています。そのために、まず多くの人にプロレスを知ってもらい、世間のプロレスに対するイメージが変わってほしいなと思っています。そしてプロレスがもっと多くの子どもたちの憧れの職業になってほしいです。安全面、医療面、コンプライアンスなどが整っていれば親御さんがより安心して子どもたちを預けられる業界になると思っていますし、その点も日本プロレスリング連盟に期待しているところです」

▼舞華「スターダムの舞華です。今回のスローガンにもあるとおり、自分の団体はもちろんのこと、時にはほかの団体の皆さんと手を取り合いながら、日本全体をもっともっと明るく元気にしていこうと思いますので、よろしくお願いします」

▼HANAKO「スターダムのHANAKOです。私はデビューして2年目になるのですが、若手のうちから業界の一員であり、そして業界の未来を担う存在だということを自覚し、日本のプロレス、そして女子プロレスが最高だということをプロレスを通じて世界に発信していきたいと思います」

▼芦野祥太郎「全日本プロレスの芦野祥太郎です。日本プロレスリング連盟法人化ということで、今いるすべてのプロレスラーのためにというのはもちろんなのですが、ファンのため、こちらのためになるということを切に願っております。全日本プロレスとしては全力でそこに力を注いでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします」

▼YAMATO「DRAGONGATEプロレスのYAMATOです。この日本プロレス連盟の法人化という歴史的舞台に立ち会えることをすごく光栄に思います。プロレスの社会的地位の向上というのは、長年この業界が抱えてきた一つの問題とだと思いますので、DRAGONGATEもその一点、全力で向かわせていただきます。ありがとうございます」

▼神谷英慶「大日本プロレスの神谷英慶です。プロレス連盟が法人化したということで、より僕たちが安心してプロレス界の未来に希望を見出せる環境になったと思います。それによって僕たちがプロレスで皆さんに興奮や感動をもっともっと届けていければいいなと思っております。プロレス連盟、ゴーゴゴーだぜ!」

▼大家健「ガンバレ☆プロレス代表の大家健でございます。日本プロレスリング連盟法人化、本当に素晴らしいと思いますね! みんなで一丸となって! プロレスをもっともっと! もっともっと盛り上げていきましょう! よろしくお願いします!」

▼まなせゆうな「ガンバレ☆プロレスのまなせゆうなです。私はプロレスに出会って、とても心が豊かになりました。なので、この気持ちをもっとたくさんの人と共有したいなと思っていたので、こうしてリング以外でもプロレスラーの皆さんとお会いして意見交換できたり、そういうふうになれたのがとても素敵なことだなって思ってます。日本のプロレスを愛するみんなでたくさんの人にプロレスで元気を届けたいです。これからもよろしくお願いします、ありがとうございました」

▼真壁刀義「新日本プロレス真壁刀義です。今回こうやって連盟を組むことによって僕が一番思ったのは、震災のところで復興の試合をやったんですけど、その時のなんでしょうね。僕、戦後すぐに生まれてるわけではないのでわからないですけど、力道山先生であったりとかね、(アントニオ)猪木さんだったり(ジャイアント)馬場さんだったりとか、あの人たちが戦後の日本に勇気を与えて立ち上がる力、それを与えたっていうのは間違いないと思うんですよね。プロレスに熱狂した、そういう僕らのおじいちゃんであったりとか、親父であったりお袋であったりとか、ばあちゃんだったりとか、ひいばあちゃんだったり、ひいじいちゃんちゃんだったり。そういう人たちの話を聞くと、やっぱりプロレスって力もらえるんだなって僕は思ったんですよね。僕ら自身、プロレスラーですけれども、そのプロレスラーの力、本当に底辺から立ち上がる勇気っていうんですか。それを僕たちがリングで戦うことによって見てる観客の方たちに力を与えるということができるということを確信しましたので。だったら、なおさらみんなで連盟組んで頑張ってじゃねえかっていうのは僕の考えでもあります。ですので、この連盟を組んだことによって新しいものが生まれると思うんですよね。今後のこと、たぶんいろんなことを考えてるマスコミの方もいれば、レスラーももちろんそうです、観客の方もそうだと思いますし。それがまた新しいステップアップとして作られれば面白いなと思ってるんで、今後のこの連盟を見ててください。すごいものになりますね。よろしくお願いします」

――今の日本プロレス業界に足りないもの、強化していきたい課題があれば?

▼棚橋理事「各団体で積極的に頑張られているので、足りないものっていうのはあまり感じないんですけども。やはり次の世代を担っていくようなスター選手っていうのはやはり各団体いると思うんで、そういう選手が旬のときに何か協力してできたりっていうのは一つ連盟の役目であってもいいのかなっていうのは思いますね」

――安全面・医療面に対する共通ガイドラインが重要になるが、選手の安全を守るための保障という部分で具体的にやっていこうとしていることがあれば?

▼高木代表理事「これは本当にプロレスに携わる方々皆さんが思っていることだと思います。もちろん安全面ですとか、保証面ですとか、そういった部分ですね。これから具体的にそういったことを一つひとつ解決していかなきゃいけないなと思っておりますし、まして各団体ごとにガイドラインが違うと思いますので。そういった部分、いろいろと気をつけながら各団体と連携を取りながらやっていきたいというふうに思っています。安全面等とかに関しては、いろいろあると思うんですけども、ドクターだったり、そういった準備だったり、それと選手のメンテナンスですね。というところも連盟でご紹介できたりとか、そういう機会が増えればいいのかなと思っておりますので、そういった横の連携を強化していこうとは思ってます」

――この法人自体は『ALL TOGETHER』のようなものを今後も主催していく法人なのか、それともあくまでシステム作りのような法人なのか、どちらになる?

▼高木代表理事「そうですね、もちろんその今後の可能性自体は否定はしないんですけども、そもそも連盟自体が非営利団体ではあるので、合同興行自体が目的ではないということは、あらためて強調しておきたいというところであります。あくまでプロレス界全体の発展のために横のつながりが重要であるので、興行して利益を得るということが目的ではないということですね。たとえば記念大会としての興行を行うということはあり得ると思うんですけども、現時点では予定はございません」

――ここに名前を連ねていない団体と今後は、正会員になる?

▼高木代表理事「もちろん特段、一部の団体を積極的に排除したいという意図はもちろんございませんし、会員資格を満たしていて、なおかつ理念を同じくできる団体様から申し込みがあれば、既存団体のコンセンサスを得た上で、参加を認めていきたいとは思っています。ただ、やはり今回、日本には今、大小合わせて100以上の団体が存在しますので、そのすべてにこちらから声をかけるということはちょっとできませんでしたので、その点だけご了承いただければと思っております」

――直近の売上が5千万円と設定されているがなぜか? 人気が2年だが、2年目の時に5千万円を下回った場合、会員資格がはく奪されるのか?

▼高木代表理事「ここに関しては、あくまでも基準ということではありますので、継続的にプロレス事業を行っているという意味で最低限のラインとさせていただきました。これを下回った場合っていうところに関しましては、今後の話としてそこはちょっと考えていきたいなと思っておりますので。現状ではそこを下回ったからといって加入から外すというようなことは考えておりません」

――すでにアジア太平洋プロレスリング連盟が立ち上がっているが、そちらとの連携は考えている?

▼棚橋理事「目的が被るところがあれば協力体制は取っていくと思うんですけども、まだ何も決まっておりません」

――財務的な力を持った第三者組織っていうものという発言もあったが、具体的に頭にあるものはある?

▼筑前業務執行理事「はい、ありがとうございます。現状としてはまだないというところです。やはり、これだけの各団体さんが集うという機会自体がなかったので、これから実際にこの会見を機に、また集う機会を増やして、そういったものを作り上げていくっていう、今日はそのきっかけかなというふうに思っております」

――設立において大変だったところ、法人化によって各団体にどのようなビジネス的なメリットがあるのか?

▼高木代表理事「まずは設立に向けて何年かかかってきたということなんですけども、かなり前から話を進めていたんですが、本当にコロナ禍にわりと興行自体が無観客であったりとか、観客動員の半数しか席を作れないとか、問題がいろいろありまして。コロナが明けたタイミングでいろいろと協議を重ねて設立できたというふうになっております。なのでタイミングとしては、このタイミングだったのかなというふうに思ってます。そのプロレス界全体として行政とか民間企業、団体に相談する窓口がないっていう問題に直面したのが一番大きかったですね。だから団体間で横の連携が取れる重要性というのを認識したというところが大きかったです。この連盟ができることによって各団体ともにメリットが生まれるという部分に関しては、これからの課題だというふうに認識しております。現状では我々も先ほどお話があったとおり、まずプロレスの市場規模というのがどのくらいあるのかということを現状を把握するというのが一番大事だと思っております。把握した上でこういったところを伸ばせばいいんじゃないかとか、こういうところに注力したほうがいいというふうなところを協議を重ねていって、加盟団体がよりよく運営していけるような体制作りを目指しております」

――法人化の経緯の目的の中でガバナンス強化、会員資格ではコンプライアンス重視、スタッフ、選手の人権尊重があるが、先週、木谷さんから非常に残念な発言があり、SNS上でファンから問題視されている状況がある。こうした発言が今後、会員の団体の幹部の中から出た場合、理事会にはかって何かの対応、処分を検討されることになる?

▼松本仁司理事「事務局からまず回答します。今コンプライアンスを重視するというところに関しては当然、連盟で基準等を作って、そういった発言もそうですけれども、SNSの発言の仕方、あるいは受け取ってリアクションの仕方。もちろん普段のお行儀の悪さを直すとか、いろんなことがございます。そういった方向に向けて、統一したコンプライアンス基準を設けて、各連盟に伝えたうえで、特にレスラーのみなさんにセミナー的な感じで、プロレス界全体を綺麗にしていくと。世の中から認められるような団体にしていくということが目的であり、やることですので。何か処分とか、そういったことをやる団体では現状ではないと思っています。それは各会社、各団体で検討いただければと思います」

――会員資格に反するものがあった場合、対応がどうなるのか?

▼松本理事「これから、まさにそういったところも決めていかなきゃいけないのかもしれませんが、現状では団体さん全体としてどういうふうな取り組みでやるのかというところ。一個一個の案件がどうということは、あまり議題にすることはないのではないかと思いますが、何かあった時にはプロレスリング連盟の中でまた新たにそういったことがないように、防止策とかガバナンスの強化とかそういったことをレスラー、あるいは団体の皆さんに広めていくという啓蒙作業は必要だと思ってます」

――統一したコンプライアンス基準は策定されている?

▼松本理事「これからです」

――それはマスコミ、ファンに公表される?

▼松本理事「決定ではありませんけども、これからもちろん理事会等は定期的に開きますし。ホームページもいつとは言えませんが、近々に立ち上げます。そういったところで必要なことは必要に応じて公表していくというふうに考えています」

▼木谷高明理事「ごめんなさい、私にもあったようなので。まずはご迷惑をおかけしたことは非常に申し訳なく思います。ただ、一つだけ言わせてください。プロレスのいいところはおおらかなところです。おおらかなところを自ら殺すようなことは絶対にしちゃダメです。と僕は思ってます。これ以上、語るとまた問題になるのでこれ以上、言いませんけども。オープンに開かれて、なんでもあり、おおらかなところがプロレスの一番いいとこなんですよ。それがどんどん今、狭められている。私のところに来るには来ましたけど、ウチの他の音楽とかゲームとかアニメのファンからはまったく来なかったです。プロレスファンだけです。プロレスファンのおおらかさがだんだんなくなっていってるんですよ。そのことが業界を狭くしていってるんですよ。他の分野から見ると入りずらい業界だなと思われるんですよ。絡みづらってやつです。ちょっと絡んだだけで、こんなに来ちゃうのかと。ま、そういう業界になっていってもいいんだったら、僕はそれでもいいと思いますよ。ただ、僕はそれは一番のよさをなくすことになるというふうに思ってます」

――医療面の基準、安全面の重視という話があったが、加盟団体の規模に差があるがどのように認識している? 医療面、安全面で統一した基準を作ろうとなった時に、それについてこれない団体も出てくるのではないかという懸念があるが。

▼高木代表理事「理想だけを言えば、本当はこういった連盟の方から何かしら資金を援助するとか、ねん出したりとかっていうようなことも将来的には考えなきゃいけないのかなと思ってるんですけど、まずは連盟をどういうふうに運営していくのか、どういうふうに運営資金をやっていくのかというところに関しては、これから協議が必要かなと思います。思いとしては加盟している団体の選手が安心して取り組めるような環境づくりをやっていきたいというふうに思っています」