7/1【全日本】ライバル対決で三冠挑戦者決定戦 ゼウスがリミッター解除宣言、崔「世界中の人にみせたい」
7・10後楽園大会で三冠ヘビー級王座次期挑戦者決定戦が決まったゼウス、崔領二が1日、神奈川・横浜市の全日本事務所で会見。二人は互いを認め合うライバル関係で、ゼウスが「リミッターを全て解除して戦い挑む」と宣言すれば、崔も「全日本プロレスで今シングルマッチ組んで、これ以上のカードは絶対ない。世界中の人に見てほしい」と言い切った。
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前夜の6・30後楽園大会で三冠王者・宮原健斗がヨシタツを退け、5度目の防衛に成功。試合後、ゼウスと崔が現れ、挑戦を同時にアピールした。これを受けてこの日、7・10後楽園大会で組まれていた両者の一騎打ちが次期挑戦者決定戦に決定。勝者が7・28大阪大会で挑戦することになった。
ゼウスと崔は自他ともに認めるライバル関係にある。これまで何度もシングル対決し、そのたびに激闘で会場を沸かせてきた鉄板カードだ。このカードに対する思い入れは両者とも強い。ゼウスが「崔領二という男といつでも戦いたい。お互いの闘志と闘志がぶつかり合ってかみ合って最高の試合ができる自信がある」と言い切れば、崔も「全日本プロレスで今シングルマッチ組んで、これ以上のカードは絶対ない」と自負するほど特別な思いがある。
だからこそ、崔は「三冠に対する予選みたいに形的になったのかなと。そこが僕の中で気に入ってなくて、そんな軽いもんじゃないんですよ」と強調した。ゼウスとは向き合えばバチバチの意地の張り合いを繰り広げてきた。それは全日マットでも屈指の激しさで、「俺とゼウスの戦いというのはね。ハッキリ言ってこのあと半年、1年欠場するぐらいのケガするリスクだって正直あるし、僕の中では彼とシングルマッチするのは年に1回か2回が限度」と痛感している崔は、そのたびに「いつこれが最後になってもいいという気持ち」で腹をくくっている。それは今回も同じだ。
プロレス人気の復興が叫ばれているが、崔は「間違いなく世界には響いてない」とそれを否定した。「この試合に勝って次ベルトがどうこうとか、もちろんそれは大事ですよ。それ前提でやってるから受けたし。何かね、そこだけこだわるのは凄く小っちゃいと思うんですよ。そのベルトのことすら知らない人は世界中に山ほどいるんですよ」と持論を展開すると、「僕がもし世界中に自分をプロレスラーとしてアピールする時に何をみてほしいかと言ったら、僕はこの試合をみてほしい」と言い切った。
ゼウスも思いは同じで、「どっちが三冠に挑戦するんやとか、そういう目でお客さん観るのもいいけど、そういう目で観るんじゃなく、男と男の本当に気合の入った、どこのプロレス団体もこんな試合できないと思うんですよ。その試合をお客さんに楽しんでいただけたら、それが一番本望」と訴えた。
ゼウスが好人物であることは誰もが知るところだが、当の本人は「自分のもともともってる性格を悪くいうのもアレやけど、人に比べものにならんぐらい荒々しい凶暴な性格」という。それが最も発揮されるのが崔との戦い。前夜の後楽園大会でも6人タッグで対戦して火花を散らし、メイン後のリング上では喧嘩腰の乱闘も繰り広げた。「レスラーとして先輩で、凄い強烈な強いインパクトを持ってる選手」と崔に敬意を表したゼウスは、「自分が制御してるものを全て解き放って崔さんとは試合ができる」と断言。7・10後楽園大会でも同様で、リミッター解除を宣言したゼウスは「自分も崔さんの強い攻撃を全てこの体で受けよう思ってるんで。自分の全力の攻撃を崔さんも全力でびびらんと受けてほしい」と投げかけた。
前回の対戦は4・14大阪大会におけるチャンピオン・カーニバル公式戦で崔が勝利している。ともに地元である大阪での三冠挑戦権をかけた戦いだが、二人はそれを抜きに相手への思いを真っ向からぶつけ合う。
【会見の模様】
▼崔「本当は昨日、宮原選手に僕なりの伝え方で、三冠に関して挑戦させてほしいっていうだけじゃなくて、僕なりのプランがありまして、それを伝えようと思った時に彼が来たんで、伝えそびれたけど、これはこれでいいんじゃないかなと思ってるのと、ちょっとこれってどうなのかなと思うのがいくつかあって。ゼウスと試合が決まって、これがひょっとしたら三冠に対する予選みたいに形的になったのかなと。そこが僕の中で気に入ってなくて。凄く軽いというか。僕は自分でランズエンドという団体をやって、プロレスというものがもっと世に出てほしい。地位もどんどん上がってほしいし。でも何かね、凄く気に入らないというか軽いんですよね。プロレスのいろんな、この流れみたいのがあって。僕とゼウスが7月10日、後楽園で。僕の中では本当に大事なシングルマッチなんですよね。これが決定戦どうこうというのは僕の中でなくて、勝った方が次、三冠に挑戦するっていう。ただね、プロスポーツとしてこのあり方があんまり僕の中で気に入らなくて。ケガせずこのまま終わるとでも思ってるのかなというね。そんな軽いもんじゃないんですよ、俺とゼウスの戦いというのはね。ハッキリ言ってこのあと半年、1年欠場するぐらいのケガするリスクだって正直あるし、僕の中では彼とシングルマッチするのは年に1回か2回が限度なんです。それだけ疲れるし、リスクも高いし、気持ちを持っていくのも大変だし。それを決定戦という形に、不満はないけど、見え方みたいなものには正直納得してなくて。もちろん勝ったら挑戦させてもらうし、それは喜ばしいけど、予選じゃないんですよ、これは。それはゼウスも同じこと感じてると思うし。ファンに対してどうこうなんて僕は全く思ってないんですよ。ファンに媚びるつもりもないし。俺らが何かをみせて世界広げて、そこに対して生まれてくるものがたくさんあって、そこがビジネスになっていって、そこが新たな歴史になっていくっていう部分で。ファンが見たいからどうこうとか、三冠挑戦するまでの予選とか、僕はそんなつもりで全くやってるつもりない。というのが僕の正直な意見です」
▼ゼウス「実は自分も昨日、三冠に挑戦表明しようと思って試合をゲートの裏からみてたんですけど、試合が終わって崔さんの方が挑戦いったから先越されたなと。先越されないようにと自分もリングに上がらせていただいたんですけど。7月10日、都合よくね、こうやって崔領二とのシングルマッチが組まれてるから、そこが決定戦になる。まぁ、崔さんの気持ちも自分わかる部分あるんですよ。崔さんとは自分も何回勝って何回負けたか。自分の方がちょっとだけ負け越してると思うんですね。ZERO1とか合わせたら。レスラーとして先輩で、凄い強烈な強いインパクトを持ってる選手なんで、僕も自分が制御してるものを全て解き放って崔さんとは試合ができるんで。気持ちいい反面、自分もやっぱり全ての心の準備がいるというかね、それなりに覚悟を決めて挑む一戦になるんでね。というところが正直あります。三冠やる前に大きな関門ができたなというのが正直な意見ですね。ここは絶対負けられないなって。自分の中ではこの間チャンピオン・カーニバルでまさかの大阪大会で負けてしまったんで、凄く悔しい思いが残ったままなんで。昨日『俺に勝てんのか?』と言われた時に言葉に詰まってしまって。スムーズに『7月10日やったろうやないか』と言えたらいいものの、自分も『勝てんのか?』言われたらね、今やったろやないかって気持ちになって、ああなってしまったんですけどね。気持ちとしては崔領二という男といつでも戦いたい。お互いの闘志と闘志がぶつかり合ってかみ合って最高の試合ができる自信があるんですよ。どっちが勝っても負けても。この一戦は負けられないですね。あとは崔さんと同じ気持ちで、会社にアピールというかね。新木場で組まれたことがあったんですけどね。正直、何でここで新木場で組むねんってイメージがあったんですよ。でも今回は後楽園ホールのメインイベントなんで、ファン感謝デーのメインイベントなんで、僕も120%の気持ちでやろうと思ってるんですけどね。正直このカードは自分と崔さんにしかわからない気持ちというものが凄くあるんで、軽くは組んでほしくないなって。それだけ一戦一戦に重みがあるんでね。絶対にファンの方の気持ちを裏切らない試合をしようという気持ちもあるし。その試合が果たして年間に崔領二vsゼウスが何回できるのかっていうところも自分の中でプレッシャーがあるし。重圧、重みがあるんでね。そういうことも会社に理解していただいて、この一戦をお客さんにもみてほしいなと。なかなかこういう試合はプロレス界でもみられへん試合になると思うんでね、自分と崔領二の本当にまさにバチバチのプロレスを。どっちが勝つ負けるじゃなく、この一戦、別にどっちが三冠に挑戦するんやとか、そういう目でお客さん観るのもいいけど、そういう目で観るんじゃなく、男と男の本当に気合の入った、どこのプロレス団体もこんな試合できないと思うんですよ。それぐらい僕もゼウスvs崔領二、自負してるんで、その試合をお客さんに楽しんでいただけたら、それが一番本望なんでね。そのために全力で今から10日に向かって準備して頑張らせていただきます」
――崔選手にとってもゼウス選手は特別な相手?
▼崔「もちろんそうですし、こういう試合ですね。僕とゼウスの試合が組まれて、どんどん3年ぐらいまたいでですかね。こういう熱い試合が組まれて僕、世界中の人に見てほしいなという気持ちとか感情が変わってきていてね。ハッキリ言ってね、皆さんどう思うかわからないけど、僕、日本中、世界中もそうですけど、いろんなプロレスの試合をシングルマッチ、タッグも含めてみるんですけど、ほとんどの試合をみて、僕の正直な感想ですよ。何も感じないんですよ。全然、面白くないし、ほとんどの試合ですよ、僕がみる。それが今あるプロレス界の大きさというものにもつながってるのかなと思うんですよね。凄く盛り上がるんですよ、後楽園とか東京ドームでもそうですけどね。他の団体の小さい会場でも。凄く響いてるように見えるんですよね。でも、それは凄い小さいプロレス村のマーケットの中での話だと僕は思うんですよ。間違いなく世界には響いてない。そう考えると凄く悔しいんですよね。これだけ頑張って命削ってて。でもそれが現実だったりするし。いつまで経ってもファンにどう思われてるかとか、ファンがファンがとか、何か物凄く小さいプロレス界の中でどうこうを考えてる。それが僕は一番ダメなんだと個人的に思ってるだけです。僕は自分の団体を運営する上でもそんなところは全無視でやってます。ゼウスとの試合もそうです。やっぱり一部のマニアに受けたいとか、そんな思いで僕はやってないし、これをやったらみんなにどう思われるかとか、細かいことに関しては正直わからないです。ケガするかもしれないし。一つだけ言えることは、彼としかこの試合はできないし、僕がもし世界中に自分をプロレスラーとしてアピールする時に何をみてほしいかと言ったら、僕はこの試合をみてほしい。これしかないんですよ。この試合しかないんですよ。もっと言うと、ゼウスのことでもう一つ言うとね。この感覚は皆さん感じてなかったら僕は絶対おかしいと思うんですけど、ゼウスの試合、他の選手とやってる試合みるんですよ。けどね、あんまり僕、何も感じてないんですよ。彼はどんどん体が大きくなって、どんどん際立って、彼の能力が進化してるのは事実。全日本プロレスもどんどん大きくなって、やってる舞台も素晴らしいし、これも事実なんですよね。けどね、僕あんまり何も感じたことないんですよ。何でかというとゼウスも対戦相手もその他全部含めて、今彼が言いましたけど、彼ね、気つかってるんですよ、いろんなことに対して。僕もそうかもしれないですね。他の選手に対して、彼以外の選手に対して。気つかい合ってるのがわかるんですよ。リングサイドで昨日、全日本の若手、北斗とか亮生とかいろんないい選手がチラっとみえて、僕がもし若手だったら先輩のこういう試合がみたいなって。そういう試合をみせたいし、みせないといけないし。全員に対してですよ。ファンだけじゃなくて。ホント世界中に僕はこれ届けたいし。ゼウスが今、自分で言ってましたけど、リミッターってやっぱあるんですよ。それイコールどっかに気をつかってるんですよ。誰かにこう思われたいとか、こう思われたらダメなんじゃないかとか、ファンに対してどうみえるとか。僕思うんですよ。そんなことどうでもいいんですよ。ファンにはファン、関係者には関係者。試合中、俺らを助けてくれるわけじゃないんですよ。戦うのは俺らなんですよ。この試合に勝って次ベルトがどうこうとか、もちろんそれは大事ですよ。それ前提でやってるから受けたし。何かね、そこだけこだわるのは凄く小っちゃいと思うんですよ。そのベルトのことすら知らない人は世界中に山ほどいるんですよ。ましてや、そのベルトに到達できるかどうかって、この試合終わってからじゃないとわからないし、二人とも大ケガしてる可能性あるし、ここでレスラー人生、二人とも終わる可能性だって十分あるし。だから僕の中では決定戦とか、そういうもんじゃないんですよね。それは終わってから考えます。チャンスいただけるのは凄くありがたいし、そのリスペクトは大事に頂戴します。けどね、そんなもんじゃないんですよ。僕は勝手なこと言って申し訳ないけど、全日本プロレスで今シングルマッチ組んで、これ以上のカードは絶対ないです。間違いなく。どこかでみんな気をつかい合ってるから。リミッター外してない試合ばかりだなと僕は正直思ってるんですよ。でもそれが正しいのかもしれないですね。ハッキリ言ってこんな試合してたら体がもたないです。年1回2回ぐらいしかもたないと個人的に思ってます。気持ちももたないし。7月10日、このカードが組まれた意味は僕は大事にしたいというか。いつこれが最後になってもいいという気持ちで僕は彼とやってるんで。プロレスとはこういうものだとか、昔、僕が学んできた先輩たちはいろいろ言うけど、今になってわかることあるんですよね。答えなんかないんですハッキリ言って。理想形なんてみんな模索して、日々恐怖と戦いながらこの業界にいるんですよ。答えがないんですよ。こういうレスラーが一番理想という理想像もないんです。誰一人として世界中のレスラーは到達してないんですよ。だからマスコミの人にどう思われるとか、ファンの人にどう思われるとか関係ないんですよ。7月10日に俺ら二人で一つの歴史を作る。やっぱりあいつらってちょっと違うなっていうものをみせる。それだけですね。その先のことはその時考えるしかできないですね。勝ちました、やりました、次いついつベルト挑戦します。そんな軽いもんじゃないです。絶対それはゼウスもそう思ってると思うし。だからこそ僕は会場でみてほしいなと思います。業界人、ファン含めて。たぶん映像じゃ伝わりきらないと思うんで」
――ゼウス選手にとっても崔選手は最大のライバル?
▼ゼウス「そうですね。自分で自分のことを言うのもあれですけど、自分ってプライベートなんか自制心の塊やと思うんですよ。こういうもの食べて、こういうことはしない、こういうトレーニングをする、こんだけ寝て、そういう決められたこと、やるべきことを必ずやってきてる。リングの上でも自分のもともともってる性格を悪くいうのもアレやけど、人に比べものにならんぐらい荒々しい凶暴な性格なんで。それは子供の時からなんですよ。小学生の時からクラスで一番殴り合いの喧嘩もしてきたし。そういう延長線上に僕のプロレスがあったんですけどね。プロレス界に入ったら気をつかうことも多々あるんで。先輩後輩もあるし。自分は今、逆のプライド持ってるんですよ。頭を下げること、ありがとうございます、お願いしますっていうプライドで僕生きてるんですね。昨日のメインイベント、ちょっと王者の健斗選手には申し訳なかったかなとは思うんですけど、崔領二という相手には自分のリミッターが取れるんですよね。全然取れるんですよ。だから乱闘の時も正直いわしたるって気持ちにしかならなくていっちゃったんですけどね。冷静になって7月10日決定してよかったかなと思うんですけど。お客さんはお客さんで、ツイッターとかみてると、あの乱闘も今の新日本とかでは絶対見られへんなって。あの魂のこもった乱闘はとか書いてくださってたり、全日本プロレス面白かった、ゼウス、崔、面白かったって。ゼウス、崔とかで入れたらツイッターで上がってきたんでね。あれはあれでよかったんじゃないかなと僕も思うんですけどね。だからそのリミッターを全て解除して戦い挑むんで。自分も崔さんの強い攻撃を全てこの体で受けよう思ってるんで。自分の全力の攻撃を崔さんも全力で、こんなこと言ったら怒るかもしれんけど、びびらんと受けてほしいなっていうのが凄くありますよね。それで最高の試合が出来上がるんで。本当に楽しみです今から」