5/26【NOAH/インタビュー企画】5・28大阪に向けて 潮崎豪編
開催目前となったノア5・28大阪大会。直前企画としてGHCヘビー級王座に挑む潮崎豪のインタビューをお届けします。
【潮崎豪インタビュー】
――昨年11月にノアのマットに帰ってきてから半年が過ぎました。この半年はどんな時間でしたか?
▼潮崎「まだ何もできていないですよね。ノアのリングに戻ってきて『ノアを守りたい』と言いましたけど、タッグタイトル戦で負けて、グローバル・タッグリーグでも優勝できなくて、言ったことを実現できなくて、なかなか自分でもチャンスをつかめずにいたかなというのがあります。今回、GHCに挑戦するのでここで獲って、『ノアを守りたい』と言った言葉を現実にしたいなという気持ちがあります」
――改めてになりますが、3年ぶりにノアマットに帰ってきてみて、変わったと感じる部分、変わらないなと感じる部分はありますか?
▼潮崎「選手のレベルの高さだったり、試合の部分ではノアに戻ってきたなって感じるところもあります。ただ、自分がいた時との大きな違いは鈴木軍が入ったことや、自分が離れている間に入ってきた選手がいることですよね。だから以前と同じように感じる部分もありつつ、まったく違うイメージを感じるところもありますね。リング外のほうでは、選手、スタッフ、会社の人たちも全員でノアをよくしていこうっていう気持ちが見えるので、みんなで一つの方向に向かっている感じがしますね」
――会社全体にも変化を感じる部分がある?
▼潮崎「昔よりもみんなで作り上げていこうっていう雰囲気を感じますね。一度外に出た自分が言うのもおかしいですけど、危機感というのをみんなが持ってよりよくしていこうと頑張っているのがわかります」
――2012年に潮崎選手をはじめ5選手が退団したことを受けてノアが苦境に立たされたことは事実だと思います。そうした過去から潮崎選手の復帰を快く思わないファンがいることも事実です。選手やファンの拒絶をどう感じていましたか?
▼潮崎「絶対にそういう反応はあると思っていました。だからそこから逃げちゃいけないと思ったし、全部受け止めた上で自分のやりたいことをやるのが一番伝わりやすいのかなと。拒絶反応は覚悟の上でノアに戻ってきたわけですから全部受け止める覚悟はありました。拒絶反応から逃げるようなことはしたくなかったです」
――でも潮崎選手の場合、デビュー時から期待されて、ベビーフェイスとしてやってきたので、正直なところブーイングや罵声は精神的にこたえたんじゃないですか?
▼潮崎「まあ……覚悟はあっても最初はあれだけくるとヘコみましたね(苦笑) でもそういう負のパワーが強ければ強いほど、余計に陽のパワーを出さないといけないなと思いました」
――やっぱりちょっとヘコんだんですね(笑)
▼潮崎「そうですね(笑)」
――5・28大阪大会でGHCヘビー級選手権を闘う王者は杉浦貴選手です。GHCをめぐる闘いでは因縁が深い相手ですが、潮崎選手にとって杉浦選手はどんな存在ですか?
▼潮崎「杉浦貴という選手に対しては、自分の中でも思い入れがありますし、何かしら自分の起点となる時にはあの人が前に立っていた印象があります。あの人とやり合う、闘うことは、自分がより上がっていくために必要なことだと思っています。自分がノアに戻ってきて初めてGHCに挑戦するこのタイミングで、ベルトを持っているのが杉浦貴というのも運命を感じますね。自分が出ていく前とは違う、鈴木軍の杉浦貴なので状況は変わっていますけど、今この状況のノアで杉浦貴から、鈴木軍からベルトを獲ることに意味があるのかなと思っています」
――鈴木軍に加入後の杉浦選手はイスを多用するなど、ファイトスタイルに変化があります。その変化はどのように受け止めていますか?
▼潮崎「それは何かしら杉浦貴なりの考えがあってのことだと思いますし、自分は相手がどんな闘い方できても逃げるつもりはありません。それが今の杉浦貴の闘い方なら、それをしっかりと跳ね返してベルトを巻きたいという気持ちが強いですね」
――対杉浦に限らず試合のテクニカルな部分でお聞きしたいのですが、全日本にいた3年間では曙選手、諏訪魔選手、ジョー・ドーリング選手など、スーパーヘビーとの闘いが多かったと思います。ノアに戻ってきてからはKESのような大きい選手もいますが、杉浦選手もそうですし、鈴木みのる選手や丸藤正道選手なども含めて、スーパーヘビーとはタイプ、試合のリズムが違うと思います。そこにはすぐに順応できるものですか?
▼潮崎「正直言うと、戸惑いというかリズムの違いは感じていました。自分もヘビーでは小さいほうですけど、全日本とは違うタイプのヘビー級の闘いなので対応するというのもなかなか難しかったです。でも、自分の中ではどこの団体よりもこのリングはハードな闘いだと思っているので、少しずつそこに体があってきたかなと思っています」
――元々はノアでデビューしているのにノアのリズムと合っていなかった。
▼潮崎「そうですね。自分でもどうしたらいいんだろう…ていうか、試合のリズムと自分のリズムが合わないという部分はありました。そこは自分が対応しきれなかったということですから。自分がデビューした団体なのに戻ってきたら噛み合わないって、不思議なものですよね。やっぱり3年という時間の長さを感じましたね」
――3年経つと自分もそうですけど、周りも変化するものなのですね。
▼潮崎「お客さんの反応もそうですけど、そういうことなんだろうなって思いましたね」
――試合ではムーンサルトやリミットブレイクなど、ノア復帰後は使っていない技もありますよね。
▼潮崎「自分で意識して使っていないというわけではないんです。出せる時があったら出そうと思っていますし。まず今はチョップとラリアットを意識して使うようにはしています」
――チョップに関してはここ最近の試合ではより威力を増している印象を受けます。自分の中で変化を感じるところはありますか?
▼潮崎「それは相手が杉浦貴だからだと思います。杉浦貴とやると、より威力が増しているような気がしますね」
――向かい合うと必然的に燃える相手なんですね。
▼潮崎「自然とそうなります。それで当たりが強くなるのかなと思います。強くいけば相手も返してきますし、そういう闘いをしていると、ノアのリングに戻ってきたなっていうのを強く感じます」
――思えば2012年12月23日の一騎打ちではかなり激しい杉浦選手の攻撃がありましたね。
▼潮崎「あの時は本当にボコボコにされた試合でしたけど、あれがあったから自分としても外に出て気持ち的にも負けたくないって思ったし、常に杉浦貴の動きは気になっていました。その時とは立場が違いますけど、今度は俺がよりハードにいく番だと思っています」
――3・19後楽園ではGHCタッグ獲りに失敗して、巻き返しを期した「グローバル・タッグリーグ」でも優勝を逃しました。そうした背景もあって今度の試合はより結果が求められると思いますが、後がないという気持ちはありますか?
▼潮崎「そうですね。ノアに再び上がるようになって、自分でチャンスというものを壊してきてると思うので、次こそはという気持ちがあります。これまで以上の覚悟を持って大阪のGHCには挑みたいなと思います。これ以上ないぐらいの覚悟があります。本当にここで負けたら後がないと思っています」
――まさに背水の陣ですね。
▼潮崎「試合内容はもちろん大事ですけど、とにかく結果を出さないといけませんね。勝ってGHCを巻くという結果。それしかないですよね。これからもノアのリングに上がるためにも自分としての存在意義を示さないといけないと思うので」
――フリーという立場上、そう何度もチャンスはやってこないと思います。
▼潮崎「それは思います。ここで結果を残せないと、もう厳しいだろうなと。『ノアを守りたい』と言って戻ってきて、それをできないなら本当に存在価値がないですから。いい試合内容は大事ですけど、ここは負けることが許されないので勝つ試合をします。もうファンの人の期待を裏切りたくないですから」
――先シリーズは熊本地震の募金だったりTシャツにメッセージをもらったりと、ファンの人の声を直に聞く機会が多かったと思います。
▼潮崎「そうですね。地震のこともあって募金を被災地に届けてくださいっていう言葉ももらいましたし、GHC頑張ってくださいということも言ってもらってファンの人の温かさを感じました。自分のためにも、ノアのためにも、熊本のためにも、GHCを獲って少しでも明るい話題を送りたいなと思っています」
――では最後に5・28大阪に向けて意気込みをお願いします。
▼潮崎「今度のGHCは今後の潮崎豪のレスラー人生がかかっていると思うので、必ずGHCヘビー級のベルトを鈴木軍からノアに取り戻します。俺の覚悟を見にきてほしいですね」