5/26【NOAH/インタビュー企画】5・28大阪に向けて 熊野準編
開催目前となったノア5・28大阪大会。直前企画としてGHCジュニア王座に挑む熊野準のインタビューをお届けします。
【熊野準インタビュー】
――タイトル戦が迫ってきた今の気持ちは?
▼熊野「タイトルマッチはタッグで2回やったことがあるんですけど、その時は調印式がなかったんです。今日初めてだったので緊張するかなと思ったんですけど、全然緊張もなくて、タイトルマッチに向けてはベルトを取り返すっていう使命感が強いですね」
――5・20後楽園では熊固め改めフラッシュ・パッケージで金丸選手から3カウントを奪いました。こだわりを持って使っている技ですか?
▼熊野「いつから使っているかは記憶にないんですけど、あの技じたいはザック(・セイバーJr)と一緒に練習している時に思いついた技なんです。やり方は違ったんですけど、こういう技があるよって教えてもらっていた時に、これで足を取ったら丸め込めるんじゃないかなっていうアイディアで、ちょっと試してみたら入れるなって思って。それから使い続けているっていうのがありますね」
――使い続けることによって技の精度が高まっている印象があります。
▼熊野「そうですね。最初は入る時にごたごたする感じもありましたけど、この前の後楽園でかけた時は今までにないぐらいスパッと入れました。しかも体重のかけ方、もっとこうしたらいいんだっていう改良法をあの試合で見つけられたので、3カウント取ったという結果だけでなくて手応えがあった試合でした」
――その前日には変形のスパインバスターを初公開しました。技の名前は決まりましたか?
▼熊野「あれはまだ決まってないんです。僕は技の名前をつけるのがヘタな人間なので。自然とついてくればいいかなと思います」
――新技を考えたのはタイトルマッチを見据えてのことだったんですか?
▼熊野「そうですね。熊野は技がないとか、丸め込みしかできないだろうって思ってる方もたくさんいると思うんです。そのなかで自分でもこれではダメだなと思ってたどり着いたのがあの技です」
――なるほど。熊野選手といえば上の先輩がマイバッハ谷口選手で7年キャリアが離れていますから、ここに至るまではいろいろと大変なこともあったと思います。
▼熊野「今思うとそうですね。寮に入った時はTMDKやザックとか外国人しかいないし、最初はコミュニケーションも取れなくて部屋から出られないくらいでしたから。デビューしてからも勝つまでにすごく時間がかかりましたよね。100連敗を軽く超えてますよ。週プロさんの誌面を見たら、272戦目でやっと初勝利だったみたいで。そんなに負け続けてたんだって思いました。でもそんなことも気にしないでずっとやっていましたから」
――結果が出ない日々で心が折れることはなかった?
▼熊野「なかったですね。僕自身、体に恵まれてるとか身長がデカイとかじゃなくて、運だけでデビューできたと思ってるので、運だけはあると信じているんです」
――運だけということはないですよ。
▼熊野「僕がデビュー目前の時に選手の離脱があって、その穴埋めではないかもしれないですけど、ある程度できるからデビューさせてみようみたいな感じになったんじゃないかなって思っているんです」
――2012年の暮れに5選手が退団して、翌13年の1月にバトルロイヤルでプレデビューをしていますよね。
▼熊野「そうなんです。だから運があっただけだと思っています」
――高校でレスリングをやっていた時は55?級。かなり軽量ですよね。
▼熊野「普通に考えたらその体重でプロレスラーはなかなかないですよね。でも高校からすぐにノアに来たわけではなくて2年間専門学校で体作りのことを学んで、体も大きくしていたので」
――デビュー時から比べるとずいぶん体も大きくなりましたね。
▼熊野「昔が細かったからじゃないですか。前よりかは大きくなってると思いますけど、まだ満足はできないなっていうのがあります。理想は95〜100?の間でやりたいなって思っています。今のノアのジュニアにはそういう人はいないので、そこにいけば他の選手と違うことができるかなと思っています」
――昨年は友寄選手、清宮選手と2人の後輩がデビューしました。後輩ができたことによる変化はありますか?
▼熊野「ありますね。ずっと下がいなかったので彼らがデビューしてくれて、いろいろ考えるようになりましたね。彼らと試合をすることも増えましたし、自分より下のキャリアの選手とやるってことは、今までみたいに先輩に当たっていった時とは違うんですよね。どうやってコイツをコントロールしてやってやるかっていう、いろいろ試しながら試合をできるようになったので、それがプラスになってると思います」
――後輩との闘いで勝ち方を覚えるというのも大きなプラスだったと思いますが、いかがでしょうか?
▼熊野「それはあると思います。先輩相手だと攻撃を受けて受けて丸め込みで返してっていう試合が多かったですからね」
――また、昨年から鈴木軍がやってきて、かなりひどい目に遭わされてきました。悔しい思いをした反面、選手としてはレベルアップしたのではないでしょうか?
▼熊野「ジュニアタッグのタイトルマッチもありましたし、それ以外でも普通に試合で絡むことがあって、散々ボコボコにされましたからね。でも先輩と闘うのとは違いますよね。鈴木軍に対しては潰すか潰されるかだから、潰してやるっていう気持ちでいってますね」
――この闘いを通して力をつけたという手応えはありますか?
▼熊野「デビューした年とか2年目よりは、確実に充実していたと思います。毎日対抗戦をやってる感じだし、ボコボコにされても次の日にはまた試合をしてっていうのが続いていたので、肉体的というよりも精神的には成長してるんじゃないかなと思います」
――そうしたなかで今回のタイトルマッチです。金丸選手は練習生時代に見ていた選手ですよね。
▼熊野「そうですね。ほとんど喋ったことはなかったんですけど、セコンドで試合は見ていました」
――当時はどんな印象がありました?
▼熊野「当時は遥か上ですからね。あんまり喋らない人という印象でしたね」
――ノアに入る際にノアジュニアで憧れ、目標とする存在はいたんですか?
▼熊野「ジュニアの時の杉浦選手に憧れていましたね。ジュニアの中でも体格が明らかに大きかったので、それに憧れていましたね。だから自分もそういうところを目指したいと思っているんです」
――華やかなジュニアとは違うんですね。
▼熊野「そうなんですよ。僕自身も飛んだり跳ねたりはそんなに得意ではないので、それよりもパワーで押し込むようなプロレスをやりたいなと思っています。もともとトレーニングが好きというのもあるので苦にはならないですしね」
――今回のタイトルマッチは圧倒的にチャンピオン有利という下馬評です。そういう見方をされていることについてはどう思いますか?
▼熊野「それはキャリアとか実績とか考えたらそう思うのが普通だと思います。でも、僕は小川さんから取って、金丸からも取ったので、どうなるかなんてわからないし、舐めてかかってきてくれればフラッシュ・パッケージで丸め込めるので。今回に限らず、僕自身がそういう評価をずっとされてたんですよ。なんでアイツがレスラーなの? ガリガリのアイツがなんで試合してるの?って。そういう声があるのは僕も知ってましたし、だからこそそういう意見を見返したかったんです。言いたいヤツには言わせておけばいいけど、黙らせてやるって思ってました。それが僕のレスラー人生なんだと思います」
――根本にはそういう気持ちがあるんですね。
▼熊野「入った時も小さいからデビューできないって陰口を叩かれたと思うけど、そういう陰口が僕の力に変わるんですよ」
――金丸選手には「顔じゃない」と言われて、一部のファンからも同様の声があったと思います。そういう声に対する反発はエネルギーになるんですね。
▼熊野「そうです。そういうヤツらを見返してやって、黙らせてやります」
――昔からそういうタイプですか?
▼熊野「そうかもしれないですね。反骨心で。基本的に恵まれてない人間なんで、そこに負けたくないんです。思いこみだけでアイツは無理だとか、オマエじゃ勝てないよとか、そういう意見をぶっ壊していきたいんです」
――GHCジュニアの最多戴冠記録を持つ金丸義信に初挑戦の熊野準が挑む。反骨心を発揮するには最高の舞台ですね。
▼熊野「みんながチャンピオンが勝つって思えば思うほど僕には力になるので」
――GHCジュニアのベルトに対してはどんな思いがありますか?
▼熊野「先輩たちがすごい試合をしてきたタイトルだし、すごく大切にしないといけないベルトだと思っています。それなのにぞんざいに扱っているというのもあるので、それは許せないという気持ちもありますね」
――GHCジュニアへの思いは大きいのですね。
▼熊野「僕もレスラーとしてデビューして、今は小峠さんとかが俺たちがノアジュニアを引っ張っていくって言ってますけど、ちょっと待てよって。俺だってノアジュニアだって気持ちがあるので、だから僕は今回ベルトを獲って、俺たちが引っ張っていくっていうなかに割り込んでいきたいなって思っています」
――ノア内でも負けたくない思いあるんですね。
▼熊野「鈴木軍に対してもそうですし、ノアジュニアの中でも負けたくないですね」
――では最後にタイトルマッチに向けて一言お願いします。
▼熊野「僕が負けるんじゃないかとか、オマエじゃまだ早いよって思ってる人もいるかもしれないですけど、そんなのは全部覆してやるって気持ちがあります。負けると思ってる人たちもぜひ会場に来てもらって、その気持ちをぶっ壊してやりたいなって思います。そして僕を応援してくれてる人たちのためにも、また僕自身のためにも金丸義信からベルトを取り戻します」